エダラボン

成分名

エダラボン

適応症状

・脳梗塞急性期に伴う神経症候、日常生活動作障害、機能障害の改善
・筋萎縮性側索硬化症(ALS)における機能障害の進行抑制

簡易説明

エダラボンは、フリーラジカルの消去および脂質過酸化の抑制によって、脳内の細胞、具体的には血管内皮細胞や神経細胞の酸化的損傷を抑制します。
特に、脳梗塞の急性期においては、脳浮腫、脳梗塞、神経症候群、後遺症の発現および進行を抑制することで、脳保護効果を発揮します。
この薬は、フリーラジカルや脂質過酸化によって引き起こされる酸化的ストレスを軽減することで、脳細胞の損傷を最小限に抑え、神経機能の回復を促進することが期待されています。
また、神経細胞の生存率を高めることによって、脳梗塞後の後遺症を軽減する効果も期待されています。

処方可能な診療科目

神経内科/脳神経外科など

健康保険の適応

健康保険適応

病院で処方してもらう時の費用目安

この薬は処方薬ではありません。
薬代1バッグ当たりの目安:20ml1バッグ2,524円/(薬価)
薬代後発薬1バッグの目安:20ml1バッグ1,030円/(薬価)
病院によって差が有り薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要になります。

厚生労働省による認可、または発売年月日

発売年月日:2010年5月1日

国内のジェネリック認可

国内のジェネリック認可あり

関連製品(先発薬)

ラジカット注30㎎20ml【製薬メーカー:田辺三菱製薬株式会社】
ラジカット®内用懸濁液2.1%【製薬メーカー:田辺三菱製薬株式会社】

関連製品(ジェネリック)

エダラボン点滴静注30mg「DSEP」20mL【製薬メーカー:第一三共】
エダラボン点滴静注30mg「KN」20mL【製薬メーカー:小林化工】
エダラボン点滴静注30mg「NP」20mL【製薬メーカー:ニプロ】
エダラボン点滴静注30mg「杏林」20mL【製薬メーカー:第キョーリン】
エダラボン点滴静注30mg「タカタ」20mL【製薬メーカー:高田】
エダラボン点滴静注30mg「明治」20mL【製薬メーカー:明治】
エダラボン点滴静注30mg「NS」20mL【製薬メーカー:日新】
エダラボン点滴静注30mg「ケミファ」20mL【製薬メーカー:ケミファ】
エダラボン点滴静注30mg「サワイ」20mL【製薬メーカー:第沢井】
エダラボン点滴静注30mg「日医工」20mL【製薬メーカー:日医工】
エダラボン点滴静注30mg「トーワ」20mL【製薬メーカー:東和】

海外での使用実績

エダラボン(商品名: Raxone)は、特定の疾患(Leberの遺伝性視神経症)の治療薬として、スイスの製薬会社Santhera Pharmaceuticalsによって開発されました。現在、エダラボンは、日本を含む世界中で承認を取得していますが、Leberの遺伝性視神経症以外の疾患に対する新しい治療法として、多くの国で承認が認められていません。

エダラボンは、2015年に欧州医薬品庁(EMA)から希少疾患用医薬品指定を受け、2019年にはLeberの遺伝性視神経症の治療薬として欧州で承認されました。また、同じ年には米国食品医薬品局(FDA)からも希少疾患用医薬品指定を受け、2021年1月にはLeberの遺伝性視神経症の治療薬として米国で承認されました。

一方で、エダラボンがLeberの遺伝性視神経症以外の疾患に対する新しい治療法として、海外で承認を取得するための臨床試験が行われていますが、現在は承認を取得している国以外では、まだ承認されていません。

効果・作用

エダラボンは、フリーラジカルの除去と脂質過酸化の阻害によって、脳細胞(血管内皮細胞や神経細胞)における酸化的損傷を抑制することができます。
フリーラジカルは、酸素代謝によって生成される活性酸素種であり、細胞のDNAや細胞膜、タンパク質などの重要な分子を攻撃し、細胞死を引き起こすことがあります。
また、脂質過酸化は、脳細胞にとっても有害であり、細胞膜の損傷を引き起こして、神経機能の障害や神経変性疾患の発症に関与することが知られています。

エダラボンは脳梗塞急性期において、脳浮腫、脳梗塞、神経症状、そして後遺症の進行を抑制することで、脳を保護する効果を発揮します。
脳梗塞急性期では、脳梗塞による虚血性障害が脳細胞の死滅を引き起こすため、脳保護が非常に重要です。
エダラボンは、フリーラジカルや脂質過酸化による酸化的損傷を抑制することで、脳細胞の損傷を最小限に抑え、神経機能の回復を促進することが期待されています。

さらに、脳細胞の酸化的損傷を抑制することにより、神経細胞の生存率を高めることができます。
神経細胞は、一度死滅すると再生することができないため、神経細胞の生存率を高めることは非常に重要です。この薬剤は、神経細胞の酸化的損傷を抑制することで、神経細胞の生存率を高めることができます。

三菱ケミカルグループの田辺三菱製薬株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役:上野裕明、以下「田辺三菱製薬」)は、「ラジカット®内用懸濁液2.1%」(一般名:エダラボン)について、筋萎縮性側索硬化症(Amyotrophic Lateral Sclerosis:ALS)を適応症として、12月23日に、厚生労働省より医薬品製造販売の承認を取得しました。

ALS治療薬エダラボン 経口懸濁剤「ラジカット®内用懸濁液2.1%」について 日本における製造販売承認取得のお知らせ

【上記引用元:田辺三菱製薬】

使用方法

〈脳梗塞急性期に伴う神経症候、日常生活動作障害、機能障害の改善〉
脳梗塞急性期の場合、発症後24時間以内に、1日朝夕2回の点滴静注を14日以内行い、1回あたり30mgのエダラボンを投与します。

〈筋萎縮性側索硬化症(ALS)における機能障害の進行抑制〉
成人には1日1回、1回あたり60mgのエダラボンを投与し、点滴静注を60分かけて行います。本剤の投与期と休薬期を28日間を1クールとし、1クールごとに繰り返します。第1クールは14日間連日投与し、投与期の後に14日間休薬期を設けます。第2クール以降は、14日間のうち10日間の投与期の後に14日間休薬期を設けます。

副作用

主な副作用
ALT上昇(5%以上)
吐き気/腫脹/注射部発疹/AST上昇/血清コレステロール上昇(0.1~5%未満)

重大な副作用
急性腎障害(0.26%)
ネフローゼ症候群(0.02%)
劇症肝炎(頻度不明)肝障害(0.24%)黄疸(頻度不明)
血小板減少(0.08%)顆粒球減少(頻度不明)
播種性血管内凝固症候群(DIC)(0.08%)

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
■重篤な腎障害のある方
腎機能障害が悪化するおそれがあり、投与ができません。
筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者では特に以下通り注意が必要です。
筋肉の萎縮により血清クレアチニン値が低下するため、単一の値を基準とするのではなく、クレアチニン値やBUN値の推移を確認し、腎機能評価を実施することが重要です。また、蓄尿や血清シスタチンCの算出による影響を受けにくい方法で評価を行うことも必要です。
■妊婦の方、または妊娠している可能性のある女性には基本投与を避けてください。
■授乳中の方は、有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続または中止を検討するよういにしてください。
■18歳未満の方は使用できません。
■有効成分エダラボンに対して、過敏症の既往歴がある方は使用できません。

■エダラボンを配合した医薬品の添加物に、アレルギーをお持ちの方
下記、添加物にアレルギーをお持ちの方、エダラボンはアレルギー反応を起こしてしまう為、服用できません。
▼ラジカット注の有効成分
エダラボン
▼代表薬の添加物
亜硫酸水素ナトリウム/Lシステイン塩酸塩水和物

上記にあてはまる方は、エダラボンを使用する事が出来ない可能性があります。
エダラボンを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

併用注意薬
抗生剤(セファゾリンナトリウム/セフォチアム塩酸塩など)
機序は不明であるが、腎機能障害が憎悪するおそれがあるので、併用する場合は頻回に腎機能検査を実施するなど十分なモニタを行うが必要です。
持病、服用中の薬がある方、通院中、治療中の方は必ずかかりつけの医師に相談してから服用するようにして下さい。

上記を使用している方は、エダラボンを使用する事が出来ない可能性があります。
エダラボンを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬
現在併用禁忌薬に該当する医薬品はありません。

併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

エダラボンに関する
よくある質問
ラジカット注射剤あるいは内用懸濁液によってALSの症状改善や完治は可能ですか?

ALSにおける機能障害の「進行抑制」は効能又は効果として認められていますが1)、臨床試験のデータでは、ALSの症状の改善や完治は認められていません。

ラジカット注Q&A

【上記引用元:田辺三菱製薬】

ALSに対してラジカット注射剤の1クールを28日間より短くすることは可能ですか?

ALSに使用する際は、ラジカット投与期(14日間)と休薬期(14日間)を組み合わせた28日間を1クールとします1)。
1クールを28日未満にした場合の有効性・安全性についてのデータはなく、勧められません。

投与期において、第1クールは14日間連日、第2クール以降は14日間のうち10日間、ラジカットを投与します1)。
投与日数が少なくなった場合でも、各クールの1~14日目を投与期、15~28日目を休薬期として1クール28日間とし、次クールの開始日を前倒しすることは避けてください。第1クールの1回目の投与日を「1日目」とすると、第2クール以降の開始日は「28の倍数+1日目」となります。

ラジカット注Q&A

【上記引用元:田辺三菱製薬】

参考元一覧

ラジカット点滴静注インタビューフォーム【田辺三菱製薬株式会社】
ラジカット医療関係者サイト【田辺三菱製薬株式会社】

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医薬品を使用する場合、必ず医師や薬剤師の指示に従って下さい。
医薬品を使用し、体調不良が現れた場合、我慢せずに直ちに医師の診察を受け、指示に従って下さい。