B型ボツリヌス毒素

成分名

B型ボツリヌス毒素

適応症状

痙性斜頸

簡易説明

B型ボツリヌス毒素はボツリヌス菌によって産生されるたんぱく質毒素であり、その抗原性によりA~G型の7型に分類されております。今回ご紹介のB型ボツリヌス毒素製剤は、痙性斜頸に適応症があり、使用により痙性斜頸に伴う頭位偏倚、生活機能障害の改善及び疼痛の緩和に有効であることが認めらております。その効果は臨床試験の成績よりA型ボツリヌス毒素治療抵抗性患者にも有効であることが報告されております。

処方可能な診療科目

内科/外科/整形外科/小児科/産婦人科/脳神経外科内科/皮膚科/神経内科など

健康保険の適応

健康保険適応

病院で処方してもらう時の費用目安

■病院で処方してもらう時の費用目安
診察料などの目安  :約10,000円~
薬代1錠あたりの目安:1瓶約26,590円/(薬価)
※病院によって差が有り薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要になります。
高額療養費制度の対象になるため患者の年齢、所得水準によっても異なってきます。

厚生労働省による認可、または発売年月日

ナーブロック筋注2500単位は、2011年1月21日に製造販売が承認され、2013年2月22日に薬価基準が収載となりました。その後2013年3月27日に販売開始されました。

国内のジェネリック認可

現在ジェネリック医薬品の製造はありません。

関連製品(先発薬)

ナーブロック筋注2500単位【製薬メーカー:エーザイ株式会社】

関連製品(ジェネリック)

現在ジェネリック医薬品の製造はありません。

海外での使用実績
米国ではMyobloc(販売名)として、また英国ではNeuroBloc(販売名)としてバイアル5000単位が販売されています。
効果・作用

B型ボツリヌス毒素は痙性斜頸にたいして効果のある医薬品になります。

その作用機序は、本薬は末梢神経筋接合部における神経終末内で、アセチルコリンの放出に関与するタンパク質であるシナプトブレビンを切断する事により神経筋伝達を阻害し、筋弛緩作用を示すと考えられております。
神経終末におけるアセチルコリンの放出の機序については、神経筋接合部でシナプス小胞膜と細胞膜が融合すると、シナプス小胞からアセチルコリンが放出され、神経筋接合部の受容体に結合することにより筋肉が収縮します。
B型ボツリヌス毒素投与におけるアセチルコリンの放出抑制の機序は、神経終末においてB型ボツリヌス毒素は、シナプス小胞膜に存在するシナプトタグミンに結合し、細胞内に取り込まれます。細胞質内に取り込まれたB型ボツリヌス毒素は、蛋白分解酵素として機能し、シナプス小胞膜と細胞膜との融合に関与するSNARE複合体のシナプトブレビンを切断することによりシナプス小胞と細胞膜の融合を阻害します。これによってアセチルコリン放出が阻害されることで、筋弛緩作用を示すと考えられています。
薬効を裏付ける試験成績として1)筋麻痺作用(マウス)、2)僧帽筋における効力(サル)、3)腓腹筋における効力(サル)、4)投与部位周辺の筋肉に及ぼす影響(サル)を行っており、これらの結果よりB型ボツリヌス毒素の薬理作用が証明されています。

使用方法

通常、成人にB型ボツリヌス毒素を注射する場合、初回投与時には合計2500~5000単位を緊張筋を投与部位とし筋肉内注射を行います。緊張筋が複数ある場合には、投与部位に応じて分割する事により注射を行います。
日本においてB型ボツリヌス毒素を有効成分とする商品にはナーブロック筋注2500単位がありますが、この注射を指示通り投与しても効果不十分な場合、もしくは症状が再発する場合には、投与単位の合計が10,000単位以内であれば、再投与する事が認められています。但し、再投与する期間は最低2ヶ月以上開けなければなりません。

副作用

重大な副作用
1)アナフィラキシー(頻度不明)
呼吸困難、全身潮紅、血管浮腫(顔面浮腫、喉頭浮腫等)、蕁麻疹、瘙痒感等が現れる事があります。
2)呼吸障害(頻度不明)、嚥下障害(18.2%)
嚥下障害から嚥下性肺炎をきたし、重篤な呼吸困難に至ったという報告があります。

その他の副作用
過敏症、呼吸器、消化器、筋骨格、投与部位、精神神経系、肝臓、循環器、血液、眼、その他の副作用の報告があります。

発生頻度は以下の通りです。
1)過敏症
蕁麻疹(1%未満)
掻痒感、発疹、血管浮腫(頻度不明)
2)呼吸器
咽頭不快感、発声障害(1~5%未満)
喘息、咽頭乾燥(1%未満)
3)消化器
口渇(13.6%)、口内乾燥(5%以上)
便秘、下痢、悪心、嘔吐、上腹部痛、唾液欠乏、口の感覚鈍麻(1%未満)
消化不良(頻度不明)
4)筋骨格
頸部痛、肩部痛、筋骨格硬直、背部痛、筋力低下、筋炎、関節痛、筋痛(1%未満)
5)投与部位
注射部位疼痛(1~5%未満)
熱感、異常感(1%未満)
6)精神神経系
頭痛(1~5%未満)
振戦、感覚鈍麻(1%未満)
7)肝臓
Al-P上昇、ALT上昇、AST上昇(1~5%未満)
8)循環器
高血圧(1%未満)
9)血液
白血球数増加、好中球数減少(1%未満)
10)眼
眼の異常感、羞明、眼乾燥(1%未満)
眼瞼下垂、霧視、調節障害(頻度不明)
11)その他
異物感、CK上昇(1~5%未満)
倦怠感、皮膚乾燥、排尿困難、尿路感染、圧迫感(1%未満)
斜頸増悪、無力症(頻度不明)

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
1)全身性の神経筋接合部の障害を持つ患者(重症筋無力症、ランバート・イートン症候群、筋萎縮性側索硬化症等)
2)高度の呼吸機能障害のある患者
3)本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

■B型ボツリヌス毒素を配合した医薬品の添加物に、アレルギーをお持ちの方
下記、添加物にアレルギーをお持ちの方、ナーブロック筋注2500単位はアレルギー反応を起こしてしまう為、服用できません。
▼ナーブロック筋注2500単位の有効成分
B型ボツリヌス毒素
▼代表薬の添加物
・塩化ナトリウム、塩酸、コハク酸二ナトリウム六水和物、人血清アルブミン

使用に注意が必要な方
1)合併症・既往歴等のある患者
①神経疾患を有する患者
②慢性の呼吸器障害のある患者
③重篤な筋力低下あるいは萎縮がある患者
2)生殖能を有する者
3)妊婦
4)授乳婦
5)小児等
6)高齢者

上記にあてはまる方は、B型ボツリヌス毒素を使用する事が出来ない可能性があります。
B型ボツリヌス毒素を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

併用注意薬
1)他のボツリヌス毒素製剤
A型ボツリヌス毒素製剤
本剤及びこれらの薬剤は、ともに筋弛緩作用を有する為、作用が増強されるおそれがあり併用には注意が必要です。
2)筋弛緩作用を有する薬剤
骨格筋弛緩剤(ツボクラリン塩化物塩酸塩水和物、ダントロレンナトリウム水和物等)
スペクチノマイシン塩酸塩水和物
アミノグリコシド系抗生物質(ゲンタマイシン硫酸塩、フラジオマイシン硫酸塩等)
テトラサイクリン系抗生物質
ポリペプチド系抗生物質(ポリミキシンB硫酸塩等)
リンコマイシン系抗生物質
ベンゾジアゼピン系薬剤及び類薬(ジアゼパム、エチゾラム等)
抗コリン剤(ブチルスコポラミン臭化物、トリヘキシフェニジル塩酸塩等)
抗痙縮剤(バクロフェン等)
ベンザミド系薬剤(チアプリド塩酸塩、スルピリド等)

上記を使用している方は、B型ボツリヌス毒素を使用する事が出来ない可能性があります。
B型ボツリヌス毒素を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬
現在併用禁忌薬は報告されていません

併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

B型ボツリヌス毒素に関する
よくある質問
食事の影響はありますか?

食事の影響を検討した資料はありません。

半減期や排泄などの薬物動態について教えてください。

ラットにおける臨床試験の結果より投与後0.5時間後に最高値として認められております。また消失半減期は15.7時間であり、投与後24時間以内に56%が尿中に排泄されたと報告されております。

自動車運転への影響はありますか?

本剤投与後、脱力感、筋力低下、眩暈、視力低下があらわれる事がある為自動車の運転等危険を伴う機械の操作をする際には注意が必要です。

参考元一覧 インタビューホーム 【エーザイ株式会社】
医療用医薬品の添付文書情報 【PMDA】
サイト利用に関する注意事項

医薬品を使用する場合、必ず医師や薬剤師の指示に従って下さい。
医薬品を使用し、体調不良が現れた場合、我慢せずに直ちに医師の診察を受け、指示に従って下さい。