成分名 |
ロクロニウム臭化物 |
適応症状 |
麻酔時の筋弛緩/気管挿管時の筋弛緩 |
簡易説明 |
ロクロニウム臭化物はオランダのMSD社で開発されました。作用が似ていたベクロニウム臭化物よりも作用発現がはやいことが特徴です。現在は90か国以上で発売されています。繰り返し投与しても作用が持続する時間は一定であるため、維持投与としても使用されています。後発品も複数の製薬会社から発売されています。 |
処方可能な診療科目 |
麻酔科 |
健康保険の適応 |
健康保険適応 |
病院で処方してもらう時の費用目安 |
この薬は処方薬ではありません。
<先発品>
エスラックス静注25mg/2.5mL【製薬メーカー:MSD】2.5mL1瓶377円(薬価)
エスラックス静注50mg/5.0mL【製薬メーカー:MSD】5.0mL1瓶552円(薬価)
<後発品>
ロクロニウム臭化物静注液25mg/2.5mL「マルイシ」【製薬メーカー:丸石製薬】2.5mL1瓶250円(薬価)
ロクロニウム臭化物静注液50mg/5.0mL「マルイシ」【製薬メーカー:丸石製薬】5.0mL1瓶374円(薬価)
ロクロニウム臭化物静注液25mg/2.5mL「F」【製薬メーカー:富士製薬工業】2.5mL1瓶250円(薬価)
ロクロニウム臭化物静注液50mg/5.0mL「F」【製薬メーカー:富士製薬工業】5.0mL1瓶374円(薬価)
ロクロニウム臭化物静注液25mg/2.5mL「FK」【製薬メーカー:フレゼニウスカービジャパン】2.5mL1瓶196円(薬価)
ロクロニウム臭化物静注液50mg/5.0mL「FK」【製薬メーカー:フレゼニウスカービジャパン】5.0mL1瓶334円(薬価) |
厚生労働省による認可、または発売年月日 |
2007年10月発売 |
国内のジェネリック認可 |
あり |
関連製品(先発薬) |
エスラックス静注25mg/2.5mL【製薬メーカー:MSD】 |
関連製品(ジェネリック) |
ロクロニウム臭化物静注液25mg/2.5mL「マルイシ」、50mg/5.0mL「マルイシ」【製薬メーカー:丸石製薬】
ロクロニウム臭化物静注液25mg/2.5mL「F」、50mg/5.0mL「F」【製薬メーカー:富士製薬工業】
ロクロニウム臭化物静注液25mg/2.5mL「FK」、50mg/5.0mL「FK」【製薬メーカー:フレゼニウスカービジャパン】 |
海外での使用実績 |
90か国以上で発売されています。
【アメリカ】
ROCURONIUM BROMIDEという名前で、1994年から発売されています。50mg/5mLと100mg/10mLバイアルの2種類があります。
<効能・効果>
本剤は、全身麻酔の補助として使用される非脱分極性神経筋遮断薬です。
迅速なシーケンスとルーチンの気管挿管の両方を容易にし、手術または人工呼吸中に骨格筋を弛緩させる作用をもっています。
<使用方法>
•患者ごとに投与量は個別化します。
•気管挿管: 推奨される初期用量は 0.6 mg/kg です。
•迅速な連続挿管: 0.6 ~ 1.2 mg/kgです。
•維持用量:回復が明らかになるまで投与せず、患者ごとの用量反応によって導かれます。
•持続注入: 10 ~ 12 mcg/kg/分の速度で投与します。 挿管投与からの自然回復が早期に確認された後にのみ開始してください。 |
効果・作用 |
ロクロニウム臭化物は非脱分極性の筋弛緩剤であり、麻酔タイミングに使用します。骨格が似ているベクロニウム臭化物のステロイド骨格A-環3位のアセチル基を除去し、さらに4級アンモニウム基のメチル基をアリル基に変換し、アセチルコリンのような構造をなくすことにより、効力は減弱してしまうが、作用発現が速くなることを発見しました。作用機序としては、神経筋接合部のニコチン性アセチルコリン受容体に拮抗することによって、筋弛緩作用を示すことがわかっています。
気管挿管時の筋弛緩作用について検討した第3相試験があります。国内で実施された3つのオープン試験において、プロポフォール麻酔下の各科領域手術患者(ASA分類Class 1~3)に、本剤の挿管用量0.6mg/kg、0.9mg/kgもしくはベクロニウム臭化物0.1mg/kgを投与しました。その結果、本剤はベクロニウムと比較して有意に作用発現時間が早かったことが認められています。
また、本剤の回復時間についても検討しています。セボフルランで麻酔中の手術患者において、本剤0.9mg/kgを静脈内に投与した後、筋弛緩モニターにおけるTOF刺激による2回目の収縮反応の再出現時からTOF比0.9に回復するまでの自然回復時間を評価しました。結果、本剤の自然回復までの時間はは82.1±27.6分でした。 |
使用方法 |
1kgあたり0.6mgを静脈内に投与し、オペ中は必要に応じて1kgあたり0.1~0.2mgを追加投与してください。持続注入によって投与する際は、7μg/kg/分の投与速度で注入します。年齢や症状にあわせて増やしたり減らしたり調節しますが、1kgあたり0.9mgを超えての投与はできません。 |
副作用 |
主な副作用
主に、浮動性めまいや、低血圧、発疹や臨床検査値異常があげられます。
最も多い副作用でも1%未満の発現率となっています。
項目別の発現頻度は以下の通りです。
神経系障害・・浮動性めまい(1%未満)
心臓障害・・徐脈/洞性徐脈/心室性期外収縮(1%未満)
血管障害・・低血圧/潮紅(1%未満)
胃腸障害・・上腹部痛(1%未満)
皮膚及び皮下組織障害・・接触性皮膚炎/発疹(1%未満)、発赤(頻度不明)
全身障害及び投与局所様態・・注射部位紅斑(1%未満)、疼痛(頻度不明)
臨床検査・・心拍数増加/血圧上昇/血圧低下/アラニン・アミノトランスフェラーゼ増加/アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ増加/血中ビリルビン増加/白血球数減少/白血球数増加/血小板数減少/血小板数増加/血中アルカリホスファターゼ増加/血中アルカリホスファターゼ減少/血中コレステロール増加
重大な副作用
<ショック、アナフィラキシー(頻度不明)>
頻度不明ですが、気道内圧上昇、血圧低下、頻脈、全身発赤等のショック、アナフィラキシーを起こすことが認められています。
<横紋筋融解症>
頻度不明ですが、筋肉痛、脱力感、CK上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇の症状は、横紋筋融解症の初期症状の可能性があるため、注意をしてください。
<気管支痙攣>
喘息発作、気管支痙攣を起こす可能性があります。
※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。 |
使用に注意が必要な方 使用出来ない方 |
使用が出来ない方 ■ロクロニウム臭化物を配合した医薬品の添加物に、アレルギーをお持ちの方
下記、添加物にアレルギーをお持ちの方はアレルギー反応を起こしてしまう為、服用できません。
▼ロクロニウム臭化物の有効成分
ロクロニウム臭化物
▼代表薬の添加物
酢酸ナトリウム水和物、塩化ナトリウム、pH調整剤
・以前、ロクロニウム臭化物を使用して過敏症となったことのある方は使用できません。
・重症筋無力症、筋無力症候群のうち、スガマデクスナトリウムに対して過敏症の既往歴のある方は、筋弛緩回復剤であるスガマデクスナトリウムを使用できないため、筋弛緩作用が遷延しやすいことがわかっています。
使用に注意が必要な方 ・呼吸困難及び気道閉塞のある方は換気不全により、患者の自発呼吸の再開が遅れる可能性があります。
・胆道疾患の方は、本剤の排泄が遅れ、作用が遷延することがあります。
・気管支喘息の方は、息発作、気管支痙攣を起こすおそれがあります。
・低カリウム血症、低カルシウム血症、高マグネシウム血症などの電解質異常、低蛋白血症、脱水症、アシドーシス、高炭酸ガス血症の方は、作用が強まるおそれがあります。
・低体温麻酔及び低体温灌流法による人工心肺使用の方は、作用が増強し、作用が持続してしまい、効果が延長してしまうおそれがあります。
・重症筋無力症、筋無力症候群の方は、非脱分極性の筋弛緩剤への感受性が極めて高いので、注意をしてください。
・重症筋無力症、筋無力症候群の患者を除く神経筋疾患の方(筋ジストロフィー、筋緊張症候群、先天性ミオパチー、脊髄性筋萎縮症、ギラン・バレー症候群等)又はポリオ罹患
後の方は、本剤の作用の増加もしくは減少のおそれがあります。
・心拍出量の低下が認められる方は、作用発現時間が遅くなり、また作用が遷延することがあります。
・肥満の方は、実体重にあわせて投与量を決定した場合、作用持続時間が延長し、回復が遅延するおそれがあります。
・熱傷の方は、筋弛緩剤の作用が抑制されることがあります。
・腎疾患の方は、本剤の排泄が遅れて作用が遷延することがあります。
・肝疾患の方は、本剤の排泄が遅れて作用が遷延することがあります。
・妊婦または授乳婦
・小児
・高齢者では本剤の排泄が遅れるため作用が遷延することがあります。
上記にあてはまる方は、ロクロニウム臭化物を使用する事が出来ない可能性があります。 ロクロニウム臭化物を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。 |
併用禁忌薬 |
併用注意薬 <スキサメトニウム塩化物水和物>
スキサメトニウム投与した後、本剤の投与によって、本剤の筋弛緩作用が強まることがあります。
<他の非脱分極性筋弛緩剤>
本剤と他の非脱分極性筋弛緩剤との投与順によって、本剤の筋弛緩作用が減少もしくは、増加することがあるあります。
<吸入麻酔剤(イソフルラン/セボフルラン/エンフルラン/ハロタン/エーテル等)、リチウム塩製剤>
本剤の筋弛緩作用が強まることがあります。もし併用する際には減量するなど注意をしてください。
<カリウム排泄型利尿(フロセミド/チアジド系)>
本剤の筋弛緩作用が強まることがあります。もし併用する際には減量するなど注意をしてください。
機序は不明ですが、本剤の筋弛緩作用が強まることがあります。もし併用する際には減量するなど注意をしてください。
<抗生物質(アミノグリコシド系/リンコマイシン系/ポリペプチド系/アシルアミノペニシリン系)、マグネシウム塩製剤、キニジン、キニーネ>
本剤の筋弛緩作用が強まることがあります。もし併用する際には減量するなど注意をしてください。また、上記の薬剤を手術後に投与した場合、本剤の筋弛緩作用が再発現することがあります。
<フェニトイン>
手術中、静脈内投与をすることによって本剤の筋弛緩作用が増強されることがあります。
<塩化カルシウム製剤、塩化カリウム製剤>
本剤の作用が弱まってしまうことがあります。
<プロテアーゼ阻害剤(ガベキサート/ウリナスタチン)>
本剤の作用が弱まってしまうことがあります。
<副腎皮質ホルモン剤(抗てんかん剤/カルバマゼピン/フェニトイン)>
長期的な投与によって、本剤の筋弛緩作用が減弱されることがあります。
<リドカイン>
本剤の作用が増加する、またはリドカインの作用発現が早まることがあります。併用する場合には減量するなどして注意してください。
上記を使用している方は、ロクロニウム臭化物を使用する事が出来ない可能性があります。 ロクロニウム臭化物を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。
併用禁忌薬 なし
併用禁忌薬がないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です 現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。 |
ロクロニウム臭化物に関する よくある質問 |
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参考元一覧 |
ロクロニウム臭化物 添付文書
ロクロニウム臭化物 医薬品インタビューフォーム |
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