イソフルラン

成分名

イソフルラン

適応症状

全身麻酔

簡易説明

イソフルランを主成分とする医薬品であるイソフルラン吸入麻酔液「VTRS」は不燃性の揮発性吸入麻酔剤になります。吸入により投与する為麻酔の導入及び覚醒は速やかです。またイソフルランは循環器系に対する抑制作用は弱いです。生体内での代謝が少なくほとんど呼気中に排泄され、肝臓等への毒性もない為動物実験の麻酔にも使用されています。

処方可能な診療科目

内科/外科/整形外科/小児科/産婦人科/脳神経外科内科/泌尿器科/消化器内科外科/麻酔科など

健康保険の適応

健康保険適応

病院で処方してもらう時の費用目安

薬代後発薬1mLの目安:約25円
病院によって差が有り薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要になります。

厚生労働省による認可、または発売年月日

イソフルランを主成分とする医薬品であるイソフルラン吸入麻酔液「VTRS」は旧販売名として1999年8月5日に製造販売が承認され、2001年7月6日に薬価基準に収載されました。その後2001年8月23日に発売が開始されました。また販売名変更に伴い新たに2015年2月9日に製造販売が承認され、2022年4月20日に薬価基準に収載されました。

国内のジェネリック認可

国内ジェネリック認可あり

関連製品(先発薬)

先発医薬品は該当なし

関連製品(ジェネリック)

イソフルラン吸入麻酔液「VTRS」【製薬メーカー:マイランEPD合同会社】

効果・作用

イソフルランを主成分とする医薬品であるイソフルラン吸入麻酔液「VTRS」は全身麻酔に対して効果のある医薬品になります。

【作用機序】
手術患者及び健常成人において、麻酔の導入と覚醒は速やかであり、軽度の気道刺激性はありますが、気管及び唾液による分泌刺激は少なく、咽頭・喉頭反射は速やかに消失します。麻酔深度は容易に調節できます。

中枢神経系に作用して麻酔状態がもたらされますが、その機序についての学説として、リポイド説、電宿水開放説等多くが提唱されていますが未だに不明です。

1)麻酔作用
臨床試験の結果より、イソフルランによる麻酔の導入及び覚醒は速やかです。
2)脳波に対する作用
臨床試験の結果より、イソフルラン投与による痙攣と判断できる脳波所見は見られませんでした。また、過換気を行っても棘波や痙攣様脳波は誘発されませんでした。
3)呼吸器系への影響
臨床試験の結果より、イソフルラン吸入麻酔液を導入した健康成人において、麻酔深度の増加に伴い、1回換気量は低下したが、呼吸数は不変又は軽度増加しました。イソフルランは呼吸抑制作用は他の吸入麻酔剤同様強いです。
4)循環器型への影響
健康成人で、イソフルラン使用中にPaCO2を正常に保った場合、心拍出量はほぼ一定に保たれます。麻酔状態を維持している状態において、麻酔深度の増加に伴い、末梢血管抵抗が低下するため、血圧は低下し、心筋のアドレナリンに対する感受性を高めます。

使用方法

【導入】
睡眠量の静脈麻酔薬を投与し、イソフルランと酸素もしくは酸素・亜酸化窒素混合ガスとで導入します。また、イソフルランと酸素もしくは酸素・亜酸化窒素混合ガスでも導入できます。
本剤による導入では、最初0.5%から始めて徐々に濃度を上げてゆき、手術に必要な濃度にする事が望ましいとされています。通常、4.0%以下の濃度で導入ができます。
【維持】
患者の臨床徴候を観察しながら、酸素・亜酸化窒素と併用し、最小有効濃度で外科的麻酔状態を維持します。通常、2.5%以下の濃度で維持ができます。

【重要な基本的注意】
1)麻酔を行う際には、原則としてあらかじめ絶食をさせておかなければなりません。
2)麻酔を行う際には、原則として麻酔前投薬を行う事とされています。
3)麻酔の深度は手術、検査に必要な最低の深さに留めなければなりません。
4)麻酔中は気道に注意して、呼吸・循環に対する観察を怠ってはいけません。
5)麻酔の影響が完全に消失するまでは、自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させない様注意しなければなりません。
6)本剤の使用にあたっては、麻酔技術に熟練した医師が、専任で患者の全身状態を注意深く監視しなければなりません。

副作用

重大な副作用
1)悪性高熱(頻度不明)
原因不明の頻脈・不整脈・血圧変動、急激な体温上昇、筋強直、血液の暗赤色化(チアノーゼ)、過呼吸、ソーダライムの異常過熱・急激な変色、発汗、アシドーシス、高カリウム血症、ミオグロビン尿(ポートワイン色尿)等を伴う重篤な悪性高熱が現れる事があります。
2)呼吸抑制(頻度不明)
麻酔中、呼吸抑制(咳、喉頭痙攣、気管支痙攣等)が現れる事があります。
3)ショック、アナフィラキシー(いずれも頻度不明)
血圧低下、呼吸困難、血管浮腫(顔面浮腫、喉頭浮腫等)、全身紅潮、蕁麻疹等の異常が現れる事があります。
4)肝炎、肝機能障害(いずれも頻度不明)
肝炎、AST、ALT等の著しい上昇を伴う肝機能障害が現れる事があります。
5)QT炎症、心室頻拍(torsades de pointesを含む)、心室細動、完全房室ブロック、心停止(いずれも頻度不明)

その他の副作用
精神神経、循環器、肝臓、消化器、その他の副作用が報告されております。

発生頻度は以下の通りです。
1)精神神経
激越、譫妄(頻度不明)
2)循環器
不整脈(徐脈、頻脈を含む)、血圧変動、ST低下、心電図異常(0.1~5%未満)
3)肝臓
肝機能異常、AST上昇、ALT上昇(0.1~5%未満)
4)消化器
悪心、嘔吐(0.1~5%未満)
5)その他
シバリング、頭痛(0.1~5%未満)
覚醒困難(0.1%未満)
痙攣(頻度不明)

頻度不明の痙攣等のように異常が認められた場合は速やかに投与を中止し主治医への相談を仰ぐようにしましょう。

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
1)本剤又は他のハロゲン化麻酔剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
■イソフルランを配合した医薬品の添加物に、アレルギーをお持ちの方
下記、添加物にアレルギーをお持ちの方、イソフルラン吸入麻酔液「VTRS」はアレルギー反応を起こしてしまう為、服用できません。
▼イソフルラン吸入麻酔液「VTRS」の有効成分
イソフルラン
▼代表薬の添加物
・なし
2)血族に悪性高熱が見られた患者
悪性高熱が現れやすいとの報告がある為使用できません。

使用に注意が必要な方
1)合併症・既往歴等のある患者
①スキサメトニウム塩化物水和物の静注により筋強直が見られた患者
悪性高熱が現れる事がある為使用には注意が必要です。
②心疾患及び心電図異常のある患者
QT延長、心室頻拍(torsades de pointesを含む)、心室細動、完全房室ブロック等が出現し、心停止に至ることがある為使用には注意が必要です。
③胆道疾患のある患者
胆道疾患が増悪する恐れがある為使用には注意が必要です。
2)腎機能障害患者
腎機能が更に悪化する恐れがある為使用には注意が必要です。
3)肝機能障害患者
肝疾患が増悪する恐れがある為使用には注意が必要です。
4)妊婦
他の吸入麻酔剤と同様、麻酔深度が深くなるにつれ、子宮筋を弛緩させる作用が増強すると報告されている為使用には注意が必要です。
5)授乳婦
6)小児等
低出生体重児、新生児、乳児又は幼児を対象とした臨床試験は実施していません。
7)高齢者
副作用発現率は年齢と相関して高くなるため使用には注意が必要です。

上記にあてはまる方は、イソフルランを使用する事が出来ない可能性があります。
イソフルランを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

併用注意薬
1)アドレナリン製剤(アドレナリン、ノルアドレナリン等)
心筋のアドレナリンに対する感受性を亢進する為併用には注意が必要です。
2)筋弛緩剤(ベクロニウム臭化物、スキサメトニウム塩化物水和物等)
筋弛緩剤の作用を増強する為併用には注意が必要です。
3)カルシウム拮抗剤
低血圧、陰性変力作用等の副作用が現れやすくなる恐れがある為併用には注意が必要です。
4)中枢神経抑制作用を有する薬剤(オピオイド型薬剤、ベンゾジアゼピン系薬剤等)
呼吸抑制等の副作用が現れやすくなる恐れがある為併用には注意が必要です。

上記を使用している方は、イソフルランを使用する事が出来ない可能性があります。
イソフルランを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬
現在併用禁忌薬に該当する医薬品はありません。

併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

イソフルランに関する
よくある質問
イソフルランに吸入麻酔使用後はどの様に消失していきますか?

イソフルランは、92%が呼気中に未変化体として排泄されました。また0.4%は有機及び無機フッ化物として尿中に排泄されました。
インタビューホーム 【マイラン EPD 合同会社】

イソフルランは、投与中止後どの位効果が持続しますか?

麻酔使用後の消失半減期は、第1相が2.2~2.8分、第2相が50.2~51.0分となっています。また、動脈血中濃度は、中止直後には平均7.1mg/dLだったものが、吸入中止10分後には平均1.7mg/dLと速やかに低下してしまいます。この消失速度は覚醒時間とほぼ一致しています。
インタビューホーム 【マイラン EPD 合同会社】

イソフルランは代謝されるとどうなりますか?

イソフルランは代謝後、トリフルオロ酢酸や無機フッ素を生成します。
インタビューホーム 【マイラン EPD 合同会社】

参考元一覧

インタビューホーム 【マイラン EPD 合同会社】
医療用医薬品の添付文書情報 【PMDA】

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