成分名 |
ベクロニウム臭化物 |
適応症状 |
・麻酔時の筋弛緩
・気管内挿管時の筋弛緩 |
簡易説明 |
ベクロニウム臭化物は麻酔をするときの痛みやしびれなどの症状を改善する筋弛緩薬です。これまでの薬剤でみられていたた迷走神経遮断作用や交感神経刺激作用がなく、本剤のみで使用すれば、血圧や心拍数への影響は認められませんでした。富士製薬が製造しており、丸石製薬が販売していましたが、2019年に販売中止となりました。現在この薬剤は医療機関では扱われておりません。 |
処方可能な診療科目 |
麻酔科 |
健康保険の適応 |
現在は販売されておりません |
病院で処方してもらう時の費用目安 |
この薬は処方薬ではありません。
また、現在この薬は販売されておりません。 |
厚生労働省による認可、または発売年月日 |
2000年7月発売 |
国内のジェネリック認可 |
現在ジェネリック医薬品の製造はありません。 |
関連製品(先発薬) |
ベクロニウム静注用4mg「F」/ベクロニウム静注用10mg「F」【製薬メーカー:丸石製薬】 |
関連製品(ジェネリック) |
現在ジェネリック医薬品の製造はありません。 |
効果・作用 |
ベクロニウム臭化物は、アセチルコリンと競合し,筋収縮を阻害する機序を持っています。効果を発現するには、アセチルコリン受容体の75%をベクロニウムで占拠する必要があります。
ベクロニウムでは,パンクロニウムの一方の第 4 級アンモニウム基が脱メチル化されて荷電していない第 3 級アンモニウム基となっているが,生理的pHでは,この第3級アンモニウム基が荷電して,第4級アンモニウム基と同様に筋弛緩作用を発現すると考えられています。以前一部の筋弛緩薬にみられた迷走神経遮断作用や交感神経刺激作用はないことが特徴であり、,ヒスタミン遊離作用も臨床使用量ではみられません。
ただ、単独使用では血圧および心拍数の増加は認められないが,オピオイドとの併用により徐脈となる傾向があります。
もし、筋弛緩状態を回復させたい場合には2つの方法があり、1つは、アセチルコリン分子の絶対数をベクロニウムより多くすることで、もう1つは代謝あるいは再分布によってベクロニウムの濃度が低下して筋力が回復するのを待つことです。
本邦における多施設協同研究の結果では,成人の ED50およびED90は,ハロタン麻酔下で 0.016mg/kgおよび 0.029mg/kgでした。ただし,対象となった患者の大部分で気管挿管時にスキサメトニウムを使用した後であることに注意をしてください。
ICUにおいて腎不全を合併した患者の呼吸管理を目的に長期に使用した場合に,ベクロニウムが蓄積して筋弛緩作用が遷延する可能性が報告されています。 |
使用方法 |
成人には初回量0.08〜0.1mg/kgを静脈内投与し、術中必要に応じて0.02〜0.04mg/kgを追加投与します。年齢、症状にあわせて増やしたり減らしたりすることが可能です。 |
副作用 |
主に、ショック、アナフィラキシー様症状、徐脈、頻脈、低血圧、発疹、吃逆があげられます。
項目別の副作用一覧は下記の通りです。
循環器・・徐脈/頻脈/低血圧(頻度不明)
呼吸器・・吃逆(頻度不明)
過敏症・・発赤/発疹(頻度不明)
重大な副作用としてはいずれも頻度不明ですが、以下に注意をしてください。
<ショック、アナフィラキシー様症状>
気道内圧上昇、血圧低下、頻脈、全身発赤等があらわれた場合には、投与を中止して適切な処理を行ってください。
<遷延性呼吸抑制>
遷延性呼吸抑制があらわれることがあります。もし起こった場合には、自発呼吸が回復するまで呼吸管理を行ってください。
<横紋筋融解症>
筋肉痛、脱力感、CK(CPK)上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇を特徴とする横紋筋融解症があらわれた場合は、すぐに投与を中止してください。
<気管支けいれん>
気管支けいれんを起こすことがあるので注意をしてください。
※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。 |
使用に注意が必要な方 使用出来ない方 |
使用が出来ない方 ■ベクロニウム臭化物を配合した医薬品の添加物に、アレルギーをお持ちの方
下記、添加物にアレルギーをお持ちの方はアレルギー反応を起こしてしまう為、服用できません。
▼ベクロニウム臭化物の有効成分
ベクロニウム臭化物
▼代表薬の添加物
D-マンニトール、クエン酸水和物、無水リン酸一水素ナトリウム、水酸化ナトリウム(pH調整剤)、塩酸(pH調整剤)
・以前、ベクロニウム臭化物を使用して過敏症となったことのある方は使用できません。
・重症筋無力症、筋無力症候群の方は、のうち、スガマデクスナトリウムに対して過敏症の既往歴のある方は筋弛緩回復剤であるスガマデクスナトリウムを使用できないため、筋弛緩作用が遷延する恐れがあります。
・妊婦又は妊娠している可能性のある女性
使用に注意が必要な方 ・呼吸困難及び気道閉塞のある方は、換気不全により、患者の自発呼吸の再開が遅れるおそれがあります。
・肝疾患、胆道疾患又は腎疾患の方は、本剤の排泄が遅れるため作用が遷延することがあります。
・気管支喘息の方は、喘息発作、気管支けいれんを起こすおそれがあります。
・電解質異常(低カリウム血症、低カルシウム血症、高マグネシウム血症等)、低蛋白血症、脱水症、アシドーシス、高炭酸ガス血症の方は、本剤の作用が増強されるおそれがあります。
・高血圧症の方は、血圧上昇を起こすおそれがあります。
・低体温麻酔及び低体温灌流法による人工心肺使用の方は、作用の遷延を起こすおそれがあります。
・重症筋無力症、筋無力症候群の方では非脱分極性筋弛緩剤に対する感受性が極めて高いため注意をしてください。
・重症筋無力症、筋無力症候群を除く神経筋疾患の方(筋ジストロフィー、筋緊張症候群、先天性ミオパチー、脊髄性筋萎縮症、ギラン・バレー症候群等)又はポリオ罹患後の方は、本剤の作用の増強又は減弱が生じることがあります。
・心拍出量の低下が認められる方は、作用発現時間が遅延し、また作用が遷延することがあります。
・肥満の方は、実体重で投与量を算出した場合、作用持続時間が延長し回復が遅延することがあります。
・熱傷の方は、筋弛緩剤の作用が抑制されることが知られています。
・高齢者
・新生児及び乳児
上記にあてはまる方は、ベクロニウム臭化物を使用する事が出来ない可能性があります。 ベクロニウム臭化物を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。 |
併用禁忌薬 |
併用注意薬 <スキサメトニウム塩化物水和物>
スキサメトニウム投与後に本剤を投与すると、本剤の筋弛緩作用が増強されることがあります。また本剤投与後、スキサメトニウムを投与すると本剤の作用が増強又は減弱されることがあります。
<他の非脱分極性筋弛緩剤>
本剤と他の非脱分極性筋弛緩剤との投与順により、本剤の筋弛緩作用が減弱あるいは、増強することがあります。
<吸入麻酔剤(イソフルラン/セボフルラン/エンフルラン/ハロタン/エーテル等)、リチウム塩製剤>
本剤の筋弛緩作用が増強されることがあるので、併用する場合には減量してください。
<カリウム排泄型利尿剤(フロセミド/チアジド系)>
本剤の筋弛緩作用が増強されることがあるので、併用する場合には減量するなど注意してください。
本剤の筋弛緩作用が増強されることがあるので、併用する場合には減量するなど注意してください。
<抗生物質(アミノグリコシド系/リンコマイシン系/ポリペプチド系/アシルアミノペニシリン系)、マグネシウム塩製剤、キニジン、キニーネ>
本剤の筋弛緩作用が増強されることがあるので、併用する場合には減量するなど注意してください。また、これらの薬剤を術後に投与した場合、本剤の筋弛緩作用が再発現することがあります。
<フェニトイン>
術中の静脈内投与により本剤の筋弛緩作用が増強されることがあるので、併用する場合には注意してください。
<塩化カルシウム製剤、塩化カリウム製剤>
本剤の筋弛緩作用が減弱されることがあります。
<プロテアーゼ阻害剤(ガベキサート/ウリナスタチン)>
本剤の筋弛緩作用が減弱されることがあります。
<副腎皮質ホルモン剤、抗てんかん剤(カルバマゼピン/フェニトイン)>
長期前投与により、本剤の筋弛緩作用が減弱されることがあります。
<リドカイン>
本剤の筋弛緩作用が増強されることがあるので、併用する場合には減量するなど注意してください。また、リドカインの作用発現が早まることがあります。
上記を使用している方は、ベクロニウム臭化物を使用する事が出来ない可能性があります。 ベクロニウム臭化物を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。
併用禁忌薬 なし
上記の併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です 現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。 |
ベクロニウム臭化物に関する よくある質問 |
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参考元一覧 |
ベクロニウム臭化物 【麻酔薬および麻酔関連薬使用ガイドライン 第3版 Ⅵ 筋弛緩薬・拮抗薬】
ベクロニウム静注用10mg「F」の基本情報 【日経メディカル処方薬辞典】 |
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