アクリノール水和物

成分名

アクリノール水和物

適応症状

下記化膿局所における患部の消毒に適応があります。
泌尿器や産婦人科術中術後、化膿性疾患等に用います。

簡易説明

消毒用エタノール、次亜塩素酸ナトリウム、ベンザルコニウム塩化物など様々な消毒液が発売されておりますが新型コロナウイルスが流行りだした頃には消毒剤が市場から一時姿を消しました。消毒剤は一般的には化学的分類、用途別分類、抗微生物スペクトルによる分類によって分けられていますが、その中でも今回はアクリノール水和物について紐解いていきます。

処方可能な診療科目

内科/外科/整形外科/小児科/産婦人科/耳鼻咽喉科/脳神経外科内科/精神科/神経内科外科/麻酔科/心療内科/泌尿器科/歯科口腔外科/消化器内科外科/皮膚科など

健康保険の適応

健康保険適応

病院で処方してもらう時の費用目安

診察料などの目安  :約2,000円~5,000円
薬代1錠あたりの目安:1mL約1円
病院によって差が有り薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要になります。

厚生労働省による認可、または発売年月日

先発医薬品であるアクリノール消毒液0.1%「東豊」は2008年6月薬価基準に収載され、翌月2008年7月に発売されました。しかしこの度諸般の事情により後発医薬品も含め廃止予定となっております。令和5年3月31日をもって薬価基準収載から削除となる予定です。

国内のジェネリック認可

ジェネリックあり

関連製品(先発薬)

アクリノール消毒液0.1%「東豊」【製薬メーカー:東豊薬品株式会社】

関連製品(ジェネリック)

アクリノール消毒液0.1%「タイセイ」【製薬メーカー:大成薬品工業株式会社】
アクリノール消毒液0.2%「タイセイ」【製薬メーカー:大成薬品工業株式会社】

効果・作用

アクリノール水和物は化膿局所の消毒にたいして効果のある医薬品になります。泌尿器・産婦人科術中術後及び化膿性疾患(せつ、よう、扁桃炎、副鼻腔炎、中耳炎)に使用されます。

アクリノール水和物は各種化膿菌、特に連鎖球菌、ウエルシュ菌、ブドウ球菌、淋菌に対して静菌及び殺菌作用を示します。作用機序は生体においてアクリジニウムイオンとなり細胞の呼吸酵素を阻害すると言われております。生体の組織にはほとんど刺激を与えず、血清蛋白質の存在かでも殺菌力は低下しないと報告されております。
アクリノール水和物は水にやや溶けにくい乳酸塩ですが、塩酸塩は溶けにくいです。従って、クロルイオンが共存する場合には、濃度により塩酸塩を析出する事があります。
アクリノール水和物の特徴は刺激か少なく化膿局所の消毒に適していると言う点です。有機物による殺菌力低下が少ない消毒剤です。注意しなければいけない点としては黄色の薬液で、衣類に付着すると脱色しにくい消毒剤と言う点です。
主な使用用途としては生体への使用の場合、化膿局所の消毒に使用する場合0.05~0.2%、口腔内の消毒(うがい)に使用する場合には0.05~0.1%を用います。

アクリノールは抗トリパノゾーマ作用を有するアクリンジンから改良された低毒性の消毒剤になります。一般細菌およびカンジダなど酵母様真菌に抗菌力を示します。

適応外使用ではありますがアクリノール湿布という使い方がされております。アクリノール湿布は消毒目的ではなく炎症を鎮める目的で使用します。使用方法としては滅菌ガーゼにアクリノール液を含ませたものをアクリノール湿布と呼びこれを直接患部に貼付すると言う方法になります。
アクリノール湿布は昔からよく使われてきましたが、エビデンスがないという論文もあり、現在ではあまり処方されなくなりました。


アクリノールは消毒薬の種類は色素系と呼ばれ、酵素系を阻害する消毒作用として塩化メチルロザニリンと同じ区分にまとめられます。アクリノールは皮膚創傷面、粘膜面に使用できますが、眼の消毒には使用できません。また細菌に対して有効ですが、長時間の接触が必要になります。収斂作用による抗炎症効果を併せ持ちます。しかし、エキスパートオピニオン以外に感染した創傷に使用した論文はなく、エビデンスレベルⅥになります。

使用方法

アクリノール水和物は、消毒剤として、0.05~0.2%液として使用する事とされております。
現在薬価収載されているアクリノール水和物は先発品としては0.1%液1種類、後発医薬品としては0.1%液及び0.2%液の2点存在します。
薬価基準削除される以前にはアクリノールの原末も販売されており、0.05~0.2%の濃度に調整して使用していました。

副作用

皮膚、過敏症の副作用が報告されております。

発生頻度は以下の通りです。
1)皮膚
塗布部の疼痛、発赤、腫脹、潰瘍、壊死(頻度不明)
2)過敏症
過敏症状(頻度不明)

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用に注意が必要な方、使用出来ない方は現在報告されていません。

※何か異変を感じた場合は、直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

併用禁忌薬

現在併用禁忌薬に該当する医薬品はありません。

併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

アクリノール水和物に関する
よくある質問
アクリノールはエタノールが含まれますか?

アクリノールにはエタノールは含まれておりません。
医療用医薬品の添付文書情報 【PMDA】

アクリノールはどの様な菌に対して効果的に作用しますか?

アクリノールは一般細菌類の一部であるレンサ球菌、黄色ブドウ球菌などの化膿菌に対して効果的に殺菌消毒作用を示します。しかし、真菌、結核菌、ウイルスに対しては効果がありません。
医療用医薬品の添付文書情報 【PMDA】

衣類に着色した場合洗浄方法はありますか?

すぐに付着部分をなるべく熱い湯で繰り返し洗い、その後消毒用エタノールで湿らせた布または綿などで付着部分を拭き、酵素系漂白剤(ワイドハイター(花王)など)で処理して下さい。ベンジンや塩素系漂白剤は褐色のシミを生じますのでご使用になれません。
ケンエー消毒剤ハンドブック 【健栄製薬株式会社】

誤飲した場合はどうしたらよいでしょうか?

アクリノール水和物は消化管からの吸収が極めて悪い為、誤飲による毒性は低いと報告されております。しかし、大量に服薬する事で、悪心、嘔吐、食欲不振、腹痛、肝機能障害等が現れる事があります。このような場合には、胃洗浄、吸着剤(活性炭)、下剤(硫酸マグネシウム、クエン酸マグネシウム)、肝保護剤を加えた輸液を投与する事とされております。
薬局薬剤師の為の消毒薬のしおり 【一般社団法人千葉県薬剤師会】

軽い中耳炎にアクリノール液は使用しても良いでしょうか?

医療用医薬品のアクリノール液には中耳炎における消毒の適応がありますので使うことができます。また、耳鼻科領域では、実際に中耳炎の消毒に使われることがあります。但し、これはあくまでも耳鼻科での処置の時や、医師の指示に基づいての使用になります。このため、ご自身の判断だけで使用せず必ず医師の指示を受けてから使用するようにしましょう。
医療用医薬品の添付文書情報 【PMDA】

医療用医薬品のアクリノール液と医薬部外品のアクリノール液の違いはありますか?

医療用医薬品も医薬部外品も同じアクリノール水和物が使用されております。消毒の作用効果も同じになります。
医療用医薬品の添付文書情報 【PMDA】

参考元一覧 医療用医薬品の添付文書情報 【PMDA】
ケンエー消毒剤ハンドブック 【健栄製薬株式会社】
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