セチルピリジニウム塩化物水和物

成分名

セチルピリジニウム塩化物水和物

適応症状

のどの痛み、口内炎など

簡易説明

セチルピリジニウムは1933年に繊維洗剤として開発され、その後殺菌力があることが確認されました。現在ではその殺菌作用と安全性が広く世界的に評価されています。CPCとも呼ばれています。
岩城製薬株式会社はセチルピリジニウム塩化物トローチ(本剤)として国内で初めて医療用として製剤化しました。
なお、セチルピリジニウム塩化物は一般用医薬品にも広く用いられています。

処方可能な診療科目

内科/耳鼻咽喉科など

健康保険の適応

健康保険適応

病院で処方してもらう時の費用目安

診察料などの目安:約20円/1日
薬代1錠あたりの目安:5.70円
薬代後発品1錠あたりの目安:後発品なし
病院によって差が有り薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要になる

厚生労働省による認可、または発売年月日

販売開始年月日:1971年2月15日

国内のジェネリック認可

あり

関連製品(先発薬)

なし

関連製品(ジェネリック)

セチルピリジニウム塩化物トローチ2mg「イワキ」【製薬メーカー:岩城製薬株式会社】

効果・作用

セチルピリジニウム塩化物水和物は、その殺菌効果によりのどの痛みや口内炎を治療するトローチ剤です。
その作用は、エネルギー産生酵素の阻害、細胞タンパク質の変性、細胞膜の破壊によります。この作用により一般細菌等に対する殺菌効果が認められています。

試験管内では溶結性連鎖球菌(溶連菌)、黄色ブドウ球菌といった病原細菌やカンジダ等の真菌に対する殺菌効果が確認されています。

本剤の臨床試験成績
口腔・咽頭感染症に対する効果
口腔・咽頭感染症患者148例に本剤を1日4錠4日間投与した結果、有効性は85.1%でした(細菌の減少率50%以上を有効として評価)
アフタ性口内炎(*)に対する効果
アフタ性口内炎患者に対する効果を本剤投与群と未治療群にわけて比較した結果、本剤投与群では86,4%、未治療群では20.0%の改善率だった。
(*)潰瘍性口内炎とも呼ばれる、最も一般的な口内炎。

殺菌効果
健康な成人5名に本剤1錠を投与し、経時的な細菌数変動率を調べると、投与30分で75.6%減少したのをピークに徐々に回復し、服用後、約4時間で元の菌数に戻った。
(口腔内には常在菌がいることが正常であるため、投与後に前値に戻ることは重要です。)
本剤で殺菌効果を確認した菌種
(細菌)
Streptococcus hemolyticus(ブドウ球菌)、Staphylococcus aureus 209P(黄色ブドウ球菌209P株)、Escherichia coli NIH-J(大腸菌NIH-J株)
(真菌)
Candia albicansA-105、B-406-1B、佐藤、No.5-2(カンジダ症起因菌の株)、Aspergillus fumigatus(アスペルギルス症起因菌)

本剤はこれらの病原体の外郭にあるタンパク質を破壊する作用があります。界面活性剤と呼ばれる薬剤の一つです。
セチルピリジニウム塩化物水和物は第4級アンモニウム塩(陽性界面活性剤)です。4級アンモニウム塩には他に、新型コロナウィルス対策として有名な、次亜塩素酸ナトリウムやエタノールなどがあります。その中でセチルピリジニウム塩化物水和物は安全性が高く、本剤以外にも一般用医薬品、歯磨き、マウスウォッシュ、のど飴、化粧品など様々な用途で用いられています。なお本剤はほとんど体内に吸収されることがありません。

セチルピリジウム塩酸塩水和物が用いられている製品には以下の様なものがあります。
のど飴(医薬部外品):ヴィックスメディカルトローチ(大正製薬)、浅田飴アズレンCPCドロップ(浅田飴)、等
うがい薬(指定医薬部外品):イソジンクリアうがい薬(ムンデルファーマ)、新コルゲンコーワうがい薬(興和)、等
マウスウォシュ:モンダミン(アース製薬)、ガム(サンスター)等
歯磨き粉:(医薬部外品)ガムデンタルペースト(サンスター)、クリーンデンタル(第一三共)等

新型コロナウイルス感染症予防・治療に関して

大正製薬株式会社と熊本大学の共同研究では、試験管内においてセチルピリジニウム塩化物水和物が新型コロナウィルスを99%以上不活化することを確認しました。この効果は新型コロナウィルスのエンベロープと呼ばれる外郭を破壊することで不活化させることがわかりました。なお、エンベロープはコロナウィルスである限りは変異株にも存在します。

【注意】
この結果はあくまでも試験管内での研究結果です。この報告では生体内(人体)での効果は示されていません。

使用方法

本剤1剤(トローチ剤)を1日3~4回、口中で徐々に溶かす。

かみ砕いたり飲み込んだりせず、できるだけ長時間口の中に含んでおいてください。
1剤が直径13㎜、厚さ4.1mmで、半分に割って使用することもできます。

副作用

発疹等の過敏症、口腔内やのどの刺激感が現れることがあります。
重大な副作用は報告されていません。

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用に注意が必要な方
妊婦には薬の効果が危険性を上回ると判断される場合のみ使用します。また、授乳婦はこれに加え授乳の継続は授乳の効果を見ながら使用を検討します。

上記にあてはまる方は、セチルピリジニウム塩化物水和物を使用する事が出来ない可能性があります。
セチルピリジニウム塩化物水和物を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

併用禁忌薬
なし

併用禁忌薬がないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

よくある質問
セチルピリジニウム塩化物水和物は上記の最近(黄色ブドウ球菌等)や真菌(カンジタ等)にしか殺菌作用がないのですか?

記載されている菌種は『セチルピリジニウム塩化物トローチ2㎎「イワキ」』という製品を用いた試験の結果となります。富士フィルム和光純薬株式会社の研究ではBacillus subtilis(枯草菌)、Pseudomonas aeruginosa(緑膿菌)などでも殺菌効果が確認できているほか、MRSA(耐性黄色ブドウ球菌)への殺菌効果や新型コロナウィルスに対する殺菌効果も確認されているとあります。これらの殺菌効果はあくまでも試験管内でセチルピリジニウム塩化物水和物が殺菌効果を示したことを表す研究結果です。この結果のみで、新型コロナウィルスの感染により引き起こされる症状を改善できるという報告にはなりません。
なお、病原微生物である真菌、細菌、ウィルスの違いにから、殺菌作用が現れない場合があります。例えば、真菌や細菌は自分自身で新しい個体を複製することができますが、ウィルスは寄生した生物の細胞を使わないと複製することができません。このため、セチルピリジニウム塩化物水和物を含む界面活性剤のように外郭にあるタンパク質(人間でいう皮膚)を破壊する物質(セチルピリジニウム塩化物水和物やアルコール等)は幅広い病原微生物に対して殺菌効果を示しますが、抗生物質(抗菌薬)のように細胞内での自己複製を妨害する薬はウィルスには効果が期待できません。かぜの治療にはは医師は抗生物質を処方しません。

医療用医薬品と一般用医薬品、医薬部外品の違いは何ですか。

医療用医薬品は医師の診断による治療薬として「処方」される薬剤で、一般用医薬品はご自身の判断で薬局などで「購入」する薬剤です。
一般に医療用医薬品は効果が高い反面、の副作用に対する注意が医師の管理下で行われる必要があります。一方、一般用医薬品は、様々な年齢、性別、基礎疾患等の方がご自身の判断で使用するため、安全性が重視されています。
一般用医薬品は副作用などのリスクに対して特に注意が必要な「第1類医薬品」、注意が必要な「第2類医薬品」、比較的リスクの低い「第3類医薬品」に分類されています。セチルピリジニウム塩化物水和物は第三類医薬品の成分とされています。
しかしながら、セチンピリジニウム塩酸塩水和物を含有するのど飴や歯磨き粉などは医薬部外品として販売されています。
医薬部外品とは厚生労働省が指定した成分(この場合はセチルピリジニウム塩化物水和物)が含まれたもので、作用が緩和なものです。使用目的も定められており、のど飴や歯磨き粉は「吐き気その他の不快感又は口臭若しくは体臭の防止」のために用いられるものとされています。うがい薬は指定医薬部外品とありますが、これは厚生労働大臣が指定した用途(この場合は含嗽剤(うがい薬))となります。

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