ペニシラミン

成分名

ペニシラミン

適応症状

関節リウマチ/ウイルソン病/水銀中毒/銅中毒/鉛中毒/肝レンズ核変性症

簡易説明

ペニシラミンは、関節リウマチの治療に用いられる薬です。
ウィルソン病や重金属中毒にも効果があります。
体の異常な免疫機能を正常化する作用があります。
効果が高く、3人に2人くらいの割合で有効です。
その反面、さまざまな副作用を引き起こすことが多いのが欠点です。
このため、関節リウマチにおいては他により適した薬が存在します。
その一方で、ウイルソン病においてはまずこの薬による治療が試みられます。

処方可能な診療科目

内科/整形外科など

健康保険の適応

健康保険適応

病院で処方してもらう時の費用目安

診察料などの目安:約1,000円~3,000円
薬代1錠あたりの目安:50mg26円/100mg45.7円/200mg83.6円
病院によって差ががあります。また、診察料・薬代の他に、初診料・検査料などが必要になる場合があります。

厚生労働省による認可、または発売年月日

発売年月日:1980年2月販売開始【メタルカプターゼカプセル50mg】

国内のジェネリック認可

現在ジェネリック医薬品の製造はありません。

関連製品(先発薬)

メタルカプターゼカプセル50mg/100mg/200mg【製薬メーカー:大正製薬】

関連製品(ジェネリック)

現在ジェネリック医薬品の製造はありません。

効果・作用

ペニシラミンは、免疫調節作用により関節リウマチの痛みやこわばりをやわらげる効果のある薬です。
また、銅や水銀、鉛などの重金属と結合して体外へ排出させる作用により重金属の蓄積による症状を改善します。そのため、通常、関節リウマチ、ウイルソン病(銅が体内にたまる病気)や銅・水銀・鉛の中毒の治療に用いられます。
関節リウマチは、免疫の異常によって炎症反応がおこる自己免疫疾患の一種です。
関節の腫れや痛みがあらわれ、進行すると手足が変形したり、関節の骨や軟骨が破壊されたり、脱臼を引き起こすこともあります。免疫反応に関わる物質に免疫グロブリンやサイトカインなどがあり、これらが異常産生されることにより、免疫異常の亢進や炎症などの要因となります。

ペニシラミンは、異常な免疫反応を調整し、免疫グロブリンやサイトカインなどの物質の産生を抑えることで関節リウマチの進行を抑えたり症状を緩和する、抗リウマチ作用をあらわします。発症早期からの投与が推奨されていますが、投与開始から効果があらわれるまで薬剤によっては数週間~数ヶ月かかる場合があります。
また、薬の効果に個人差が出たり長期投与によって効果の減弱が生じる場合もあります。
金属と強く結合する性質があるため、血液中で銅や水銀・鉛などの重金属と結合し、尿中へ排泄させる働きをします。そのため、重金属中毒の解毒薬として用いられるほか、銅が体にたまるウイルソン病にも有効です。

使用方法

「慢性関節リウマチの場合」
消炎鎮痛剤などで十分な効果が得られない場合に限って使用して下さい。
通常、成人はペニシラミンとして1回100mgを1日1~3回、食間空腹時に経口服用します。患者の年齢・体重・症状・忍容性・本剤に対する反応等に応じて適宜増減しますが、一般的には成人、初期量を1日100mgとし、増量するときは4週間以上の間隔をおいて100mgずつ漸増します。
維持量は効果が得られる最低用量に調節して下さい。また、服用を再開するときは、低用量から開始して下さい。
なお、1日300mgでは効果不十分で増量により有効性が期待される場合には、患者の状態を十分に観察しつつ1日600mgまで増量することもできます。
ただし、効果が得られた後は減量して有効最少量で維持して下さい。

「ウイルソン病・肝レンズ核変性症の場合」
通常は、成人はペニシラミンとして1日1,000mgを食前空腹時に1~数回に分けて経口服用します。
なお、患者の年齢・症状・忍容性・本剤に対する反応等に応じて、一般に1日量600~1,400mgの範囲で増減して下さい。
服用法については、連日服用、間歇服用、漸増服用法など各症例ごとに用法及び用量を決定して下さい。

「鉛・水銀・銅の中毒の場合」
通常は、成人はペニシラミンとして1日1,000mgを食前空腹時に数回に分けて経口服用します。
なお、患者の年齢・症状・忍容性・本剤に対する反応等に応じて、一般に1日量600~1,400mgの範囲で増減して下さい。
また、服用法についても、連日服用、間歇服用、漸増服用法など各症例ごとに用法及び用量を決定して下さい。
通常、小児の場合はペニシラミンとして1日20~30mg/kgを食前空腹時に数回に分けて経口服用します。
なお、患者の年齢、症状、忍容性、本剤に対する反応等に応じて適宜増減する必要があります。1日の量は、成人の標準用量(1日1,000mg)を上限として下さい。

副作用

重大な副作用
白血球減少症/血小板減少症/貧血/低色素性貧血/溶血性貧血/味覚脱失/天疱瘡様症状/無顆粒球症/好酸球増多/血栓性血小板減少性紫斑病/モスコビッチ症候群/肺胞炎/間質性肺炎/PIE症候群/好酸球性肺浸潤症候群/閉塞性細気管支炎/発熱/咳嗽/呼吸困難/胸部X線異常/グッドパスチュア症候群/尿所見異常/喀血/X線での肺浸潤/視神経炎/ギラン・バレー症候群/多発性神経炎/筋不全麻痺/血栓性静脈炎/アレルギー性血管炎/多発性血管炎/白血球破砕性血管炎/肺に多様な臓器障害/腎臓に多様な臓器障害/血清学的に抗好中球細胞質抗体陽性/MPO−ANCA陽性/胆汁うっ滞性肝炎/顆粒球減少症/好酸球増多症/再生不良性貧血/汎血球減少症/ネフローゼ症候群/膜性腎症/神経炎/SLE様症状/重症筋無力症/多発性筋炎

その他の副作用
口角炎/食欲不振/嘔気/嘔吐/下痢/消化性潰瘍/舌炎/消化不良/口内乾燥/脱毛/皮膚炎/潮紅/皮下出血/肝機能障害/AST上昇/ALT上昇/尿蛋白/血尿/BUN上昇/クレアチニン上昇/浮腫/倦怠感/咽頭炎/昏迷/痙攣/膵炎/爪異常/毛細血管脆弱/ビタミンB6欠乏/乳房肥大/尿失禁/無力症/知覚障害/眼瞼下垂/複視/白内障/聴力低下/胃炎/口唇炎/下血/歯肉炎/便秘/結節性紅斑/多形紅斑/創傷治癒障害/穿孔性弾力線維症/黄疸/腎炎/鼻出血/リンパ球減少/白血球増多/免疫グロブリン減少/IgA減少/IgG減少/IgM減少/関節痛/筋肉痛/動悸/体重減少/疼痛/陰門糜爛/体重増加

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
▼関節リウマチの場合
・血液障害のある患者及び骨髄機能の低下している患者[再生不良性貧血等の重篤な血液障害を起こすおそれがある。]
・腎障害のある患者[ネフローゼ等の重篤な腎障害を起こすおそれがある。]
・SLE の患者[SLE の症状を悪化させるおそれがある。]
・成長期の小児で結合組織の代謝障害のある患者[結合組織異常を起こすおそれがある。]
・金剤が投与されている患者[重篤な血液障害が発現するおそれがある。]
・妊婦又は妊娠している可能性のある婦人。[催奇形性を疑う症例報告がある。]
▼ウイルソン病/肝レンズ核変性症/鉛・水銀・銅の中毒の場合
・金剤が投与されている患者[重篤な血液障害が発現するおそれがある。]
原則使用禁止
次の患者には投与しないことを原則としますが、特に必要とする場合には慎重に投与して下さい。
■関節リウマチ
・高齢者[重篤な血液障害等を起こすおそれがある。]
・手術直後の患者[重篤な血液障害等を起こすおそれがある。]
・全身状態が悪化している患者[重篤な血液障害等を起こすおそれがある。]
・授乳婦[授乳婦へ投与した場合の乳児に対する安全性は確立されていない。]
■ウイルソン病(肝レンズ核変性症)、鉛・水銀・銅の中毒
・血液障害のある患者[重篤な血液障害を起こすおそれがある。]
・腎障害のある患者[重篤な腎障害を起こすおそれがある。]
・SLE の患者[SLE の症状を悪化させるおそれがある。]
・成長期の小児で結合組織の代謝障害のある患者[結合組織異常を起こすおそれがある。]
・妊婦又は妊娠している可能性のある婦人及び授乳婦[催奇形性を疑う症例報告がある。]

併用禁忌薬

併用注意薬
・免疫抑制剤[副作用が増強するおそれがある。]
・経口鉄剤(クエン酸第一鉄ナトリウム、硫酸鉄等)/マグネシウム又はアルミニウムを含有する制酸剤(水酸化マグネシウム、水酸化アルミウム)/亜鉛を含有する経口剤[本剤の効果を減弱するおそれがあるので、やむを得ず投与する場合には、本剤との同時投与は避けること。]

併用禁忌薬
金剤(金チオリンゴ酸ナトリウム/オーラノフィン等)[重篤な血液障害が発現するおそれがある。]

よくある質問
この薬を飲めば、リウマチは確実に治りますか。

3人に2人くらいの割合で効果を発揮する優れた薬です。
その一方で副作用が強く出ることがあるため、まずは他の薬を試されることが推奨されています。

リウマチに効果があると聞きましたが、副作用として挙げられている症状が多くて服用をためらっています。

副作用の比較的少ないリウマチ用の薬が他にもあります。医師や薬剤師によく相談して、他に選択肢があまりない場合の服用が望ましいです。

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