L-カルボシステイン

成分名

L-カルボシステイン

適応症状

・下記疾患の去痰
上気道炎(咽頭炎、喉頭炎)、急性気管支炎、気管支喘息、慢性気管支炎、気管支拡張症、肺結核
・慢性副鼻腔炎の排膿
・滲出性中耳炎の排液(DS50%、シロップ5%を小児に使用する時のみ)

簡易説明

L-カルボシステインはフランスのLaboratories Joullieで各種システインを探索した結果として発見され、去痰剤としての開発が勧められました。
日本国内では1977年に杏林製薬株式会社により、ムコダイン(以下、本剤)の錠剤とシロップが製造承認を取得、2000年には携帯が可能なDS(ドライシロップ)が剤型追加されました。
一般用医薬品でもL-カルボシステインは第二類医薬品に指定されています。L-カルボシステインを含む去痰剤、かぜ薬等が発売されており、2023年1月現在、47製品にL-カルボシステインが含まれています。

処方可能な診療科目

内科/耳鼻咽喉科/呼吸器内科など

健康保険の適応

健康保険適応

病院で処方してもらう時の費用目安

診察料などの目安:約620円(500㎎:6.90円×3錠×30日)~1,530円(250mg:8.50円×6錠×30日)
※小児は患者さんの体重によって使用量が異なるため、成人量で算出しています。なお、地域によっては500mg×3錠という使用方法が可能な場合は、250mg×6錠の処方ができないことがあります。
薬代1錠あたりの目安:錠250mg 8.50円/錠500mg 11.20円/DS50% 19.70円(g)/シロップ5% 6.10円(mL)
薬代後発品1錠の目安:錠250mg 5.70円/錠500mg 6.90~7.90円/DS50% 8.90円/シロップ5% 2.60円/細粒50%* 6.50円
病院によって差が有り薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要になる。
*細粒50%:先発品はありません。

厚生労働省による認可、または発売年月日

発売年月日:1981年1月1日

国内のジェネリック認可

国内ジェネリック認可あり

関連製品(先発薬)

ムコダイン(錠250mg、錠500mg、DS*50%、シロップ5%)【製薬メーカー:杏林製薬株式会社】

関連製品(ジェネリック)

カルボシステイン「ツルハラ」(錠250mg、錠500mg、DS50%、シロップ5%、細粒50%)【製薬メーカー:鶴原製薬株式会社】)
カルボシステイン「サワイ」(錠250mg、500mg)【製薬メーカー:沢井製薬株式会社】
カルボシステイン「トーワ」(錠250mg、500mg)【製薬メーカー:東和薬品株式会社】
カルボシステイン「NIG」(錠250mg、500mg)【製薬メーカー:日医工岐阜工場株式会社】
カルボシステイン「JG」(錠250mg、500mg、シロップ5%)【製薬メーカー:日本ジェネリック株式会社】
カルボシステイン「タカタ」(DS50%、シロップ5%)【製薬メーカー:高田製薬株式会社】

海外での使用実績

イギリス
販売名:Mucodyne
販売会社:SANOFI
※他にも杏林製薬株式会社とライセンス契約のない企業が販売しています。
剤形:375mg硬カプセル、250mg/5mlシロップ、250mg/5ml小児用シロップ

効果・作用

本剤は粘液の調整作用と粘膜の正常化作用により、去痰、排膿、排液を促進する薬です。呼吸器疾患(風邪等)では痰の構成成分である気道の粘液を正常化し、気道粘膜を修復することで痰の排泄を促し、気道をきれいにします。副鼻腔炎や中耳炎ではでは、副鼻腔や中耳の粘膜を修復し線毛運動を回復することで、鼻水や耳の貯留液の排泄を促します。また炎症を抑える作用も確認されています。なお本剤は、小児の中耳炎の排液については、国内で初めて適応を取った薬です。
本剤の臨床試験は治験も含め数多く行われていますが、ここでは1960年10月~1983年10月に行われた使用成績調査の内容を記載します。
・錠250mgの有効性
上気道炎 74.7%(915/1,225)、急性気管支 79.6%(834/1,048)、気管支喘息 62.7%(510/814)、慢性気管支炎 63.7%(769/1,208)、気管支拡張症 68.0%(278/409)、肺結核 60.9%(173/284)
なお、この5,262例のうち37例(0.7%)に副作用があらわれました。
・シロップ5%の有効性
上気道炎 76.7%(1,058/1,382)、急性気管支炎 75.9%(1,167/1,537)、気管支喘息 70.1%(284/405)、慢性気管支炎 63.6%(42/66)、気管支拡張症 85.7%(6/7)、肺結核 40.0%(2/5)
同上、3,846例のうち13例(0.3%)に副作用があらわれました。

使用方法

【錠剤】
1回500mgを1日3回飲みます。
【DS】
1回500mg(本剤1g)*を1日3回飲みます(DSは飲むときに混ぜます。)
*幼児・小児の場合は1回10mg/kg(本剤20mg)
【シロップ(幼児・小児用の用量設定のみ)】
1回10mg/㎏(本剤200mL)を1日3回飲みます。

副作用

重大な副作用
副作用発現率:0.91%(101例/11,066例)
・中毒性表皮壊死融解症、皮膚粘膜眼症候群
・肝機能障害、黄疸
・ショック、アナフィラキシ

その他の副作用
・0.1~5%未満の副作用
食欲不振、下痢、腹痛、発疹
・0.1%未満の副作用
悪心、嘔吐、腹部膨満感、口喝、湿疹、紅斑、掻痒感
・頻度不明の副作用
浮腫、発熱、呼吸困難

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
■L-カルボシステインを配合した医薬品の添加物に、アレルギーをお持ちの方
下記、添加物にアレルギーをお持ちの方ムコダインはアレルギー反応を起こしてしまう為、服用できません。
▼ムコダインの有効成分
L-カルボシステイン
▼ムコダインの添加物
(錠剤共通)
クロスカルメロースナトリウム、ポリビニルアルコール、ショ糖脂肪酸エステル、ステアリン酸マグネシウム
(250mgのみ)
ヒプロメロース
(500mgのみ)
メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、タルク
(DS)
粉末還元麦芽糖水アメ、D-マンニトール、クロスカルメロースナトリウム、デンプン、グリコール酸ナトリウム、アスパルテーム、ヒドロキシプロピルセルロース、含水二酸化ケイ素、香料
(シロップ)
D-ソルビトール、ソルビン酸、カラメル、香料、ph調整剤

使用に注意が必要な方
・心障害のある方:同系統の薬で心不全に悪影響を及ぼしたとの報告があります。
・肝機能障害の方:肝機能が悪化することがあります。
・妊婦:動物実験で胎児への移行が確認されたため、使用しないことが望ましい。
・授乳婦:乳児への影響に関する情報がないため、治療上の有益性と危険性から授乳継続を判断します。
・高齢者:一般的に生理機能が低下しているため、減量するなどの注意をします。

上記にあてはまる方は、L-カルボシステインを使用する事が出来ない可能性があります。
L-カルボシステインを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

現在併用禁忌薬に該当する医薬品はありません。

併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

よくある質問
細粒50%は後発医薬品にしかないのですか。

ムコダイン細粒50%は1986年に発売されましたが(2008年にムコダイン細粒50%に名称変更)、2015年に販売が終了(薬価基準収載満了)しました。なお、ムコダインには2%シロップも、DS33.3%もありましたが、こちらも販売終了しています(後発医薬品なし)。

心不全に悪影響を及ぼした同系統の薬はなんですか。

海外でメチルシステインのエアロゾル製剤で心不全の方(2名)に悪影響を及ぼしたとの報告があります。

サイト利用に関する注意事項

医薬品を使用する場合、必ず医師や薬剤師の指示に従って下さい。
医薬品を使用し、体調不良が現れた場合、我慢せずに直ちに医師の診察を受け、指示に従って下さい。