アポモルヒネ塩酸塩水和物

成分名

アポモルヒネ塩酸塩水和物

適応症状

イーシー・ドパール配合錠やネオドパストン配合錠のようなレボドパ含有製剤の頻回投与及び他のパーキンソン病治療薬の増量等を行っても効果が十分に得られない場合における、パーキンソン病患者におけるオフ症状の改善に対して適応症状を持ちます。

簡易説明

アポモルヒネ塩酸塩水和物は抗パーキンソン剤としてアポカイン皮下注30mgとして発売されています。パーキンソン病においては初の皮下注射剤であり、ドパミンD1、D2様受容体に作用する麦角構造を持たないドパミンアゴニストになります。
皮下注射剤であるアポモルヒネ塩酸塩水和物の作用は、投与後20分で効果が見られ、パーキンソン病におけるオフ症状を速やかに改善し、かつ投与後2時間でその効果が消失する短時間作用型の医薬品になります。この特徴を利用してオフ症状を一次的に改善するレスキュー治療薬として使用されております。

処方可能な診療科目

内科/外科/整形外科/小児科/産婦人科/皮膚科/耳鼻咽喉科/脳神経外科内科/泌尿器科/消化器内科外科/精神科/麻酔科など

健康保険の適応

健康保険適応

病院で処方してもらう時の費用目安

■病院で処方してもらう時の費用目安
診察料などの目安  :約10,000円~
薬代1筒あたりの目安:3mL約7910円/(薬価)
※病院によって差が有り薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要になります。
高額療養費制度の対象になるため患者の年齢、所得水準によっても異なってきます。

指定難病であり、自己負担分の治療費の一部または全部が国または自治体により賄われることがあります。パーキンソン病は指定難病であり、自己負担分の治療費の一部または全部が国または自治体により賄われることがあります。

厚生労働省による認可、または発売年月日

アポモルヒネ塩酸塩水和物を主成分とするアポカイン皮下注30mgは2012年3月30日に製造販売の承認が認められ、2012年5月29日にその薬価基準が収載となりました。その後2012年7月27日に発売されました。

国内のジェネリック認可

現在ジェネリック医薬品の製造はありません。

関連製品(先発薬)

アポカイン皮下注30mg【製薬メーカー:協和キリン株式会社】

関連製品(ジェネリック)

現在ジェネリック医薬品の製造はありません。

海外での使用実績

本剤は、米国・欧州を含め39カ国で販売承認を取得しています。

効果・作用

アポモルヒネ塩酸塩水和物はレボドパ含有製剤の頻回投与及び他のパーキンソン病治療薬の増量等を行っても効果が十分に得られない場合におけるオフ症状の改善にたいして効果のある薬になります。

その作用機序は、ドパミンD1様及びD2様受容体作動薬として作用します。線条体において当該受容体を刺激する事によって、パーキンソン病における運動機能障害に対して改善効果を示します。
パーキンソン病は、振戦、筋固縮、無動、姿勢反射障害の四症状を特徴とする錐体外路系の変性疾患になります。これら臨床症状の改善には、ドパミン補充療法が有効とされております。補充療法にはドパミン前駆物質であるレボドパ(ドパストンン、ドパゾール)などがあります。
ドパミン受容体刺激薬は、カベルゴリン(カバサール他)、ペルゴリドメシル酸塩(ペルマックス他)、等の「麦角系」と、プラミペキソール塩酸塩水和物(ビ・シフロール、ミラペックス)、ロピニロール塩酸塩(レキップ)等の「非麦角系」に分類されます。アポカイン皮下注は非麦角系のドパミン受容体刺激薬であり、レボドパ治療に伴う運動症状の日内変動に対するレスキュー療法として使用されております。これらドパミン受容体刺激薬もドパミン補充療法以外の手段として広く使用されております。

使用方法

アポカイン皮下注30mgは医薬品の特性を利用したレスキュー治療薬であり、パーキンソン病患者に見られる「オフ症状」が発現した際に直ちに皮下投与を行います。
通常、成人に投与する場合においては、アポモルヒネ塩酸塩として1回1mgから投与を開始し、以後患者の経過を見ながら1回量として1mgずつ増量し、維持量(1回1~6mL)を定めます。
その後は、患者の症状によって適宜増減して使用しますが、最高投与量は1回6mLと定められております。

副作用

重大な副作用
1)突発的睡眠(頻度不明)、傾眠(21.2%)
2)QT延長、湿疹(いずれも頻度不明)
3)狭心症(1.0%)
4)血圧低下(7.1%)、起立性低血圧(4.0%)
5)幻視(6.1%)、幻覚(1.0%)、幻聴(1.0%)、妄想(1.0%)

その他の副作用
血液及びリンパ系障害、心臓障害、耳及び迷路障害、眼障害、胃腸障害、一般・全身障害及び投与部位の状態、肝胆道系障害、傷害、中毒及び処置合併症、臨床検査、筋骨格系及び結合組織障害、神経障害、精神障害、腎及び尿路障害、生殖系及び乳房障害、呼吸器、胸郭及び縦隔障害、血液障害の副作用が報告されております。

発生頻度は以下の通りです。
1)10%以上
悪心(18.2%)、注射部位反応(13.1%)、好酸球数増加(18.2%)、ジスキネジー(11.1%)、あくび(16.2%)
2)5~10%未満
注射部位硬結、注射部位血腫、異常感、血中CK上昇、不眠症
3)5%未満
貧血、動悸、上室性期外収縮、洞性不整脈、回転性眩暈、眼精疲労、視力障碍、便秘、嘔吐、流涎過多、腹部不快感、下痢、麻痺性イレウス、消化不良、口内炎、注射部位掻痒感、胸部不快感、投与部位反応、末梢性浮腫、口渇、ALT上昇、肝障害、AST上昇、尿中血陽性、体重減少、血中Al-P上昇、血圧上昇、血中免疫グロブリンE上昇、血中尿素上昇、血小板数減少、単球数増加、白血球数減少、白血球数増加、尿中蛋白陽性、姿勢異常、筋痙縮、筋骨格不快感、頭痛、浮動性眩暈、体位性眩暈、意識障害、鎮静、病的賭博、自発陰茎勃起、緊張性膀胱、鼻漏、しゃっくり、息詰まり感、喀痰増加、薬疹、冷汗、全身性掻痒症、蒼白
4)頻度不明
溶血性貧血、血小板減少症、薬剤離脱症候群(無感情、不安、鬱、疲労感、発汗、疼痛等)、転倒、クームス試験陽性、持続勃起症、呼吸困難、限局性及び全身性皮疹

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
1)本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
■アポモルヒネ塩酸塩水和物を配合した医薬品の添加物に、アレルギーをお持ちの方
下記、添加物にアレルギーをお持ちの方、アポカイン皮下注30mgはアレルギー反応を起こしてしまう為、服用できません。
▼アポカイン皮下注30mgの有効成分
アポモルヒネ塩酸塩水和物
▼代表薬の添加物
・ピロ亜硫酸ナトリウム、ベンジルアルコール、水酸化ナトリウム、塩酸
2)重度の肝機能不全患者

使用に注意が必要な方
1)合併症・既往歴等のある患者
①幻覚等の精神症状又はそれらの既往歴のある患者
②重篤な心血管系疾患又はそれらの既往歴のある患者
③不整脈の既往歴のある患者、QT延長症候群の患者又はQT延長を起こすことが知られている薬剤を投与中の患者
④電解質異常(低カリウム血症等)のある患者
⑤うっ血性心不全の患者
⑥低体重の患者
2)腎機能障害患者
3)肝機能障害患者(重度の肝機能不全患者を除く)
4)妊婦
5)授乳婦
6)小児等
7)高齢者

上記にあてはまる方は、アポモルヒネ塩酸塩水和物を使用する事が出来ない可能性があります。
アポモルヒネ塩酸塩水和物を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

併用注意薬
1)5-HT3受容体拮抗剤(オンダンセトロン、グラニセトロン等)
2)降圧作用を有する薬剤
3)ドパミン拮抗剤(フェノチアジン系薬剤、ブチロフェノン系薬剤、メトクロプラミド等)
4)QT延長を起こすことが知られている薬剤(イミプラミン、クロミプラミン等)

上記を使用している方は、アポモルヒネ塩酸塩水和物を使用する事が出来ない可能性があります。
アポモルヒネ塩酸塩水和物を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬
現在併用禁忌薬は報告されていません

併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

アポモルヒネ塩酸塩水和物に関する
よくある質問
くすりを皮下投与してからどのぐらいで効果が現れますか?

投与後20分で効果が現れ、また投与後120分でその効果が消失すると報告されております。

アポカイン皮下注30mgはいつどうやって使用しますか?

アポカイン皮下注30mgは、オフ症状が発現した際に専用の注入器を用いて、患者さんご自身で皮下に投与します。

アポカイン皮下注30mgは何回でも使用する事ができますか?

アポカイン皮下注30mgの投与回数の上限は1日5回とされています。また投与したあとは、少なくとも2時間の間隔を開ける必要があります。

参考元一覧

インタビューホーム 【協和キリン株式会社】
医療用医薬品の添付文書情報 【PMDA】

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医薬品を使用し、体調不良が現れた場合、我慢せずに直ちに医師の診察を受け、指示に従って下さい。