ドロキシドパ

成分名

ドロキシドパ

適応症状

〇パーキンソン病(Yahr重症度ステージⅢ)におけるすくみ足、立ち眩みの改善に使用されます。
〇シャイドレーガー症候群、並びに家族性アミロイドポリニューロパチーの疾患における起立性低血圧、失神、立ち眩みの改善に使用されます。
〇起立性低血圧を伴う血液透析患者における眩暈・ふらつき・立ち眩み、倦怠感、脱力感等の症状の改善に使用されます。

簡易説明

ドロキシドパはノルアドレナリン作動性神経機能改善薬と呼ばれる医薬品です。
アドレナリン受容体刺激薬であるノルアドレナリン及びアドレナリンのプロドラッグとして作用する、合成アミノ酸前駆体になります。
ノルアドレナリンやアドレナリンとは異なり血液脳関門を通過します。
ドロキシドパは新しい経口ノルアドレナリン補充療法として本邦で開発されました。
特筆すべきはパーキンソン病において、レボドパ等のような従来の治療薬剤で治療が困難であったすくみ足や立ち眩みを改善する効果が期待できます。

処方可能な診療科目

内科/外科/整形外科/小児科/産婦人科/脳神経内科等

健康保険の適応

健康保険適応

病院で処方してもらう時の費用目安

診察料などの目安  :約2,000円~6,000円
薬代1錠あたりの目安:100mg約45円/200mg約84円
薬代後発薬1錠の目安:100mg約36円/200mg薬68円
病院によって差が有り薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要にります。

▽パーキンソン症は指定難病であり、自己負担分の治療費の一部または全部が国または自治体により賄われることがあります。

厚生労働省による認可、または発売年月日

ドプスOD錠100mg/200mg
2011年1月14日製造販売承認
2011年6月24日薬価基準収載
2011年7月12日販売開始

ドプス細粒20%
1989年1月17日製造販売承認
2007年3月6日製造販売承認(販売名変更による)
1989年5月26日薬価基準収載
2007年6月15日薬価基準収載(販売名変更による)
1989年5月26日販売開始

国内のジェネリック認可

国内ジェネリック認可あり

関連製品(先発薬)

ドプスOD錠100mg/200mg/細粒20%【製薬メーカー:住友ファーマ株式会社】

関連製品(ジェネリック)

ドロキシドパカプセル100mg「アメル」/200mg「アメル」【製薬メーカー:共和薬品工業株式会社】
ドロキシドパカプセル100mg「日医工」/200mg「日医工」【製薬メーカー:日医工ファーマ株式会社】

海外での使用実績

米国
承認年月:2014年2月
会社名:Lundbeck
販売名:NORTHERA
剤形・規格:100mg、200mg and 300mg capsules

効果・作用

ドロキシドパは①パーキンソン病におけるすくみ足、立ち眩みの改善に、また②シャイドレーガー症候群、並びに家族性アミロイドポリニューロパチーの疾患における患者の起立性低血圧、失神、立ち眩みの改善に、そして③起立性低血圧を伴う血液透析患者における眩暈・ふらつき・立ち眩み、倦怠感、脱力感等の症状の改善に効果のある医薬品になります。

【作用機序】
ドロキシドパは生体内に広く存在する芳香族L-アミノ酸脱炭酸酵素によって直接lーノルアドレナリンに変換されることによりその効果を発揮します。
①パーキンソン病における立ち眩み及びすくみ足対する作用機序
脳内において減少したNAの回復、脳内ノルアドレナリン作動性神経からのノルアドレナリン遊離を促進させる事によって、低下したノルアドレナリン作動性神経機能を回復します。
②シャイドレーガー症候群及び③家族性アミロイドポリニューロパチーで発生する起立性低血圧、失神、立ち眩みに対する作用機序
末梢の交感神経機能を賦活する事で、血圧全体のかさ上げにより、相対的に起立性の血圧下降を代償する事、及び血圧の反射を構成する過程のいずれかに特異的に作用する事によってその効果を発揮するものと考えられております。
④起立性低血圧を伴う血液透析患者における眩暈・ふらつき・立ち眩み、倦怠感、脱力感に対する作用機序
ノルアドレナリンの補充・分泌促進を介する事で、末梢の交感神経機能を賦活する事により、血圧及び脳血流の低下、運動抑制を改善すると考えられております。なお、臨床試験における血圧低下抑制効果については、現時点では明確にされておりません。

【シャイドレーガー症候群とは】
指定難病の一つです。多系統萎縮症と呼ばれる疾患の一つの病型にいなります。発症初期の症状が尿失禁や失神等の自律神経障害で、それが主な症状として経過する者をシャイドレーガー症候群と呼びます。病気の進行に伴い、パーキンソン病に似た症状や、起立・歩行のふらつきなどが出現します。

【家族性アミロイドポリニューロパチーとは】
末梢神経障害と呼ばれる病気の一つになります。末梢神経に異常な線維状の不溶性タンパク質の塊(アミロイド)が沈着し、本来の神経の働きを失わせる等の機能障害を起こす病気です。発症すると末梢神経障害や心障害、眼障害などによるさまざまな症状が出現するとされております。

使用方法

【パーキンソン病が適応症の場合】
通常成人に対しては、成分名であるドロキシドパとして初期量として1日100mgを、1日1回経口投与から開始し、隔日に1回100mgずつ増量していき、個々の患者にあった最適投与量を探し、維持量とします。なお標準維持量としては、1日600mgを1日3回分割投与する事になっております。
しかし、年齢や症状によって適宜増減する事になりますが、上限として1日900mgを超えない事とされております。

【家族性アミロイドポリニューロパチー、シャイドレーガー症候群が適応症の場合】
通常成人に対しては、成分名であるドロキシドパとして1日量200~300mgを1日2~3回に分けて経口投与する事から始めて、数日から1週間毎に1日量として100mgずつ増量していき、個々の患者にあった最適投与量を探し、維持量とします。なお標準維持量としては、1日300~600mgを1日3回分割投与する事になっております。
しかし、年齢や症状によって適宜増減する事になりますが、上限として1日900mgを超えない事とされております。

【血液透析患者が適応症の場合】
通常成人に対しては、成分名であるドロキシドパとして1回量として200~400mgを透析を開始する30分から1時間前に経口投与する事になります。
なお、年齢や症状によって適宜減量する事になりますが、上限として1回量は400mgを超えない事とされております。

副作用

重大な副作用
1)悪性症候群(頻度不明)
高熱、意識障害、高度の筋硬直、不随意運動、血清CKの上昇等が現れる事があります。
2)白血球減少、無顆粒球症、好中球減少、血小板減少(いずれも頻度不明)

その他の副作用
1)精神神経系
幻覚、頭痛・頭重感(3.4%)、めまい(1%以上)
妄想、神経過敏(いらいら感、焦燥感、興奮等)、不安、抑うつ、不眠、不随意運動、頭がぼーっと
する(0.3~1%未満)
精神症状の増悪、悪夢、パーキンソン症状の増悪、知覚異常、感情失禁、振戦、すくみ、固縮、言語障害の悪化、眠気(0.3%未満)
夜間せん妄、健忘(頻度不明)
2)消化器
悪心、食欲不振、胃痛(胃部不快感等)(1%以上)
嘔吐、口渇、腹痛、消化不良(胸やけ等)、便秘、下痢、流涎(0.3~1%未満)
腹部膨満感、舌のあれ(0.3%未満)
3)循環器
血圧上昇(2.2%)、動悸(1%以上)
胸痛(胸部不快感、胸部絞扼感等)(0.3~1%未満)
不整脈、チアノーゼ、四肢冷感(0.3%未満)
狭心症(頻度不明)
4)肝臓
AST、ALTの上昇(0.3~1%未満)
ALP、LDHの上昇(0.3%未満)
5)過敏症
発疹(0.3~1%未満)
そう痒(0.3%未満)
6)眼
羞明(0.3%未満)
7)泌尿器
頻尿、尿失禁、尿閉(0.3%未満)
8)その他
倦怠感、ほてり(顔面潮紅等)(0.3~1%未満)
発熱、浮腫、眼瞼浮腫、両手の痛み、肩こり、脱力感(0.3%未満)
のぼせ、発汗、CK上昇(頻度不明)

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
1)本剤に対し過敏症の患者
■ドロキシドパを配合した医薬品の添加物に、アレルギーをお持ちの方
下記、添加物にアレルギーをお持ちの方、ドプスOD錠100mg/200mg/細粒20%はアレルギー反応を起こしてしまう為、服用できません。
▼ドプスOD錠100mg/200mg/細粒20%の有効成分
ドロキシドパ
▼代表薬の添加物
D-マンニトール、トウモロコシデンプン、アルファー化デンプン、アスパルテーム(L-フェニルアラニン化合物)、ステアリン酸マグネシウム、ポビドン
2)閉塞隅角緑内障の患者
眼圧を上昇させる恐れがあるため服用できません。
3)本剤を投与中の患者には、ハロタン等のハロゲン含有吸入麻酔剤を投与しない事
頻脈、心室細動の危険が増大する為服用できません。
4)イソプレナリン等のカテコールアミン製剤を投与中の患者
不整脈、場合により心停止を起こす可能性がある為服用できません。
5)妊婦又は妊娠している可能性のある女性
6)重篤な末梢血管病変(糖尿病性壊疽等)のある血液透析患者
投与する事で症状が悪化する恐れがある為服用できません。

使用に注意が必要な方
1)合併症・既往歴等のある患者
①コカイン中毒の患者
服用により本剤の作用が増強する可能性がある為服用に注意が必要です。
②心室性頻拍のある患者
服薬により症状が悪化する可能性がある為服用に注意が必要です。
③高血圧の患者
高血圧を悪化させる可能性がある為服用に注意が必要です。
④動脈硬化症の患者
過度の昇圧反応が起こる可能性がある為服用に注意が必要です。
⑤甲状腺機能亢進症の患者
頻脈等の症状が悪化する可能性がある為服用に注意が必要です。
⑥心疾患のある患者
服用により症状が悪化する可能性がある為服用に注意が必要です。
⑦重篤な肺疾患、気管支喘息又は内分泌系疾患のある患者
これらの症状が悪化する可能性がある為服用に注意が必要です。
⑧慢性開放隅角緑内障の患者
眼圧が上昇する可能性がある為服用に注意が必要です。
⑨糖尿病を合併した血液透析患者
重度の糖尿病を合併した血液透析患者では末梢循環障害を生じる可能性がある為服用に注意が必要です。
2)腎機能障害患者(重篤な腎障害のある患者)
3)肝機能障害患者(重篤な肝障害のある患者)
4)妊婦
5)授乳婦
6)小児等
7)高齢者
高齢者は一般的に生理機能が低下している為服用に注意が必要です。

上記にあてはまる方は、ドロキシドパを使用する事が出来ない可能性があります。
ドロキシドパを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

併用注意薬
1)モノアミン酸化酵素阻害剤(代表薬名:エフピーOD錠2.5)
ノルアドレナリンの代謝が抑制され、ノルアドレナリンの濃度が増加します。その結果本剤の作用が増強され、血圧の異常上昇をきたす可能性があります。
2)三環系抗うつ剤(イミプラミン「代表薬名:トフラニール錠10mg」、アミトリプチリン「代表薬名:トリプタノール錠10mg」等)
神経終末でのノルアドレナリンの再吸収が阻害され、ノルアドレナリンの濃度が増加します。その結果本剤の作用が増強され、血圧の異常上昇をきたす可能性があります。
3)分娩促進剤(オキシトシン)、エルゴタミン、抗ヒスタミン剤(クロルフェニラミン等)
相加的に作用(末梢血管収縮作用)を増強させます。その結果本剤の作用が増強され、血圧の異常上昇をきたす可能性があります。
4)α1-受容体遮断作用のある薬剤(タムスロシン「代表薬名:ハルナールD錠0.2mg」、ドキサゾシン「代表薬名:カルデナリン錠」、イフェンプロジル「代表薬名:セロクラール錠10mg」等)
これらの薬剤はα1受容体遮断作用を有する為、本剤の作用が減弱される可能性があります。
5)アメジニウム(代表薬名:リズミック錠10mg)
神経終末でのノルアドレナリンの再吸収・代謝が阻害され、ノルアドレナリンの濃度が増加します。その結果本剤の作用が増強され、血圧の異常上昇を来すことがあります。
6)レセルピン誘導体(レセルピン「代表薬名:レセルピン錠0.25mg」等)
レセルピンは脳内ノルアドレナリン、ドパミンを減少させます。その結果本剤の作用が減弱される可能性があります。
7)レボドパ(代表薬名:ネオドパストン配合錠L250)、アマンタジン(代表薬名:シンメトレル錠100mg)等
動物実験でレボドパ、アマンタジンの作用を増強する事が認められております。その結果としてこれらの医薬品の作用を増強する事があると考えられます。
8)フェノチアジン系薬剤、ブチロフェノン系薬剤
これらの薬剤は抗ドパミン作用の他に末梢のα受容体遮断作用を有しております。その結果として本剤の作用が減弱する事があります。
9)鉄剤(代表薬名:フェロミア錠50mg)
動物実験にてキレートを形成し、本剤の吸収が減少するとの報告があります。その結果として本剤の作用が減弱される可能性があります。

上記を使用している方は、ドロキシドパを使用する事が出来ない可能性があります。
ドロキシドパを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬
1)ハロタン等のハロゲン含有吸入麻酔剤
ハロゲン含有吸入麻酔剤は、心筋のノルアドレナリンに対する感受性を高めます。その結果として頻脈、心室細動の危険が増大する為併用禁忌とされております。
2)イソプレナリン等のカテコールアミン製剤(イソメニール「代表薬名:イソメニールカプセル7.5mg」、プロタノール「代表薬名:プロタノールS錠15mg」等)
相加的に作用(心臓刺激作用)を増加させるため、不整脈、場合によっては心停止を起こす恐れがある為併用禁忌とされております。

上記の併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

よくある質問
ドロキシドパを1日3回服薬していますが飲み忘れたときはどうしたらよいか?

飲み忘れたときは気が付いた時点で直ちに服薬してください。但し、次の服用時間まで4時間以上の間隔を開けるようにして下さい。2回分一気に服薬しないよう注意するようにしてください。血液透析を受けている場合は、血液透析の前に気が付けばすぐに服薬してください。
ドプスOD錠100mg薬のしおり 【一般社団法人くすりの適正使用協議会】

ドロキシドパの適応症の中で、パーキンソン病に使用される場合におけるYahr重症度ステージⅢとはどのような状態をいうのか?

ヤールはパーキンソン病の重症度を5つの段階に分けて分類しております。Ⅲ度の状態では、明らかな歩行障害が現れ、バランスを崩し転倒しやすくなる状態をいいます。それでも何とか介助なしで日常生活を送れることができるレベルです。
パーキンソン病の重症度分類 【パーキンソンスマイル.net】

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医薬品を使用し、体調不良が現れた場合、我慢せずに直ちに医師の診察を受け、指示に従って下さい。