ピロヘプチン塩酸塩

成分名

ピロヘプチン塩酸塩

適応症状

パーキンソン病

簡易説明

パーキンソン病やパーキンソン症候群に用いられる、抗コリン作用を有する薬です。ドーパミンの減少とともに増えているアセチルコリンの活動性を抑制し、かつレボドパ等の抗パーキンソン病薬によって放出の促進されたドーパミンの使用量を節減する働きがあります。アセチルコリンの活動を抑制したりドーパミンの使用量を減らすことによって、ドーパミンの放出量が少なくても身体症状を改善してくれるという効果があります。

処方可能な診療科目

内科/神経内科/脳神経外科など

健康保険の適応

健康保険適用

病院で処方してもらう時の費用目安

診察料の目安:1,000~2,000円
薬代の目安:
 トリモール錠2mg/5.9円(長生堂製薬)
 トリモール細粒2%/41.1円(長生堂製薬)
病院によって差があり、薬代の他に初診料・診察料・検査料などが必要になります。
指定難病であり、自己負担分の治療費の一部または全部が国または自治体により賄われることがあります。

厚生労働省による認可、または発売年月日

1974年2月発売

国内のジェネリック認可

現在ジェネリックはありません。

関連製品(先発薬)

トリモール錠2mg(長生堂製薬)
トリモール細粒2%(長生堂製薬)

関連製品(ジェネリック)

現在ジェネリックはありません。

効果・作用

本剤はパーキンソン病・脳動脈硬化性パーキンソニズム・向精神薬投与による錐体外路症状等のパーキンソン症候群に有効で、特に振戦や筋強剛の症状に優れた効果を示します。
抗コリン作用及びドーパミンの利用度を高める作用を持ち、また抗パーキンソン病薬であるレボドパの作用を強め、ドーパミンの使用量の節減をします。
パーキンソン病はドーパミンの減少によって体内の情報伝達がうまく行われないために、身体が動かしにくい等の症状を呈します。
年を重ねるにしたがってドーパミンの放出量は減り、アセチルコリンという物質が相対的に増えます。
アセチルコリンが増えることで身体に影響が出ますが、本剤でアセチルコリンの活動性を抑制し、かつドーパミンの使用量を節減することによって手の震えやこわばり、体が動かしにくいなどの身体症状を改善することができます。
口渇や便秘、排尿困難などの副作用が出ることがありますので、水分をしっかりとる必要があります。
主な対象は高齢者になると考えられますが、高齢者への投与ではせん妄や不安等の精神症状及び抗コリン作用による口渇や便秘、排尿困難等がよりあらわれやすくなります。
投与の際は普段の様子の観察などを行い、慎重に投与を進めるようにしてください。
妊婦や授乳婦などへの投与は、治療の有益性が乳児への影響を上回る場合にのみ処方されますが、基本的には処方されません。
また、幼児等の子どもに対する安全性は、臨床数が少ないために確立されていません。
抗コリン作用を有する薬剤のため、眼圧の上昇や肝機能の異常など、内部に異常があらわれる場合があります。
早期発見し早期に対処していくためにも、定期的な検査を実施していくことが大切です。
パーキンソン症候群に関して、抗パーキンソン剤はフェノチアジン系薬剤・レセルピン誘導体等による口周部等の不随意運動(遅発性ジスキネジア)を通常軽減することはありません。
場合によってはこのような症状を増悪顕性化させることがあるので注意が必要です。

使用方法

錠剤は1日に3~6錠を3回に分けて食後に経口投与します。
細粒は1日に0.3~0.6gを3回に分けて食後に経口投与します。
なお、年齢や症状に応じて適宜増減します。

副作用

主な副作用
口渇・食欲不振・嘔吐・悪心がみられます。

重大な副作用
悪性症候群がみられることがあります。

その他の副作用
せん妄・眠気・めまい・頭痛・倦怠感・不眠・脱力感・便秘・胃部不快感・排尿困難・発疹・そう痒感・眼の調節障害・AST、ALT上昇・鼻閉・熱感・眼瞼浮腫などがみられることがあります。

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
■ピロヘプチン塩酸塩を配合した医薬品の添加物に、アレルギーをお持ちの方
下記、添加物にアレルギーをお持ちの方、トリモール2mg/細粒2%はアレルギー反応を起こしてしまう為、服用できません。
▼トリモール2mg/細粒2%の有効成分
ピロへプチンとして2mg/22.4mg
▼トリモール2mg/2%の添加物
乳糖水和物、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、トウモロコシデンプン、ヒドロキシプロピルセルロース、ステアリン酸マグネシウム、ヒプロメロース、ヒプロメロースフタル酸エステル、トリアセチン、マクロゴール6000、酸化チタン、タルク/乳糖水和物、トウモロコシデンプン、軽質無水ケイ酸、デキストリン、マクロゴール6000

■他に使用できない方
・過敏症の既往歴のある方
・閉塞隅角緑内障の方
・重症筋無力症の方
・前立腺肥大等の尿路に閉塞性疾患のある方

使用に注意が必要な方
・不整脈または頻拍傾向のある方
・肝障害、腎障害のある方
・高齢者
・高温環境にある方
・三環系抗うつ剤に対し過敏症の既往歴のある方
・胃腸管に閉塞性疾患のある方
・脱水、栄養不良状態を伴う身体的疲労のある方
・開放隅角緑内障の方

上記にあてはまる方は、ピロヘプチン塩酸塩を使用する事が出来ない可能性があります。
ピロヘプチン塩酸塩を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

併用注意薬
・抗コリン作用を有する薬剤(フェノチアジン系薬剤、三環系抗うつ剤等)
・中枢神経抑制剤(フェノチアジン系薬剤、三環系抗うつ剤、モノアミン酸化酵素阻害剤、バルビツール誘導体等)
・ノルアドレナリン遊離抑制作用を有する血圧降下剤(グアネチジン等)

上記を使用している方は、ピロヘプチン塩酸塩を使用する事が出来ない可能性があります。
ピロヘプチン塩酸塩を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬
現在併用禁忌薬は報告されていません

併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

よくある質問
パーキンソン病が進み、嚥下機能が低下しています。服用を続けてもよいですか?

高齢になるにつれて嚥下機能が低下したり、副作用によって症状があらわれることがあります。安全に服用できない、嚥下の際にむせるなどの症状がある場合の服用の継続は大変危険です。医師に相談し、他の治療法がないか検討するようにしてください。

すぐに受診したほうが良い症状はありますか?

悪性症候群やせん妄などがあらわれた場合は減薬や投与の中止が必要な場合があります。また、適切な処置が必要なことも多いため受診することが望ましいです。こうした症状や内臓の症状を早期発見するため、定期的な肝機能検査や眼圧検査をする必要があります。とにかく、副作用と思われる症状が出現した場合は速やかに医師の指示を仰いでください。

パーキンソン病では、身体症状以外に何か症状が出ることはありますか?

パーキンソン病はドーパミンの減少によって身体症状があらわれることが特徴ですが、ドーパミンはそれ以外にも作用しています。意欲や記憶などの精神的な面にも作用しているため、うつや幻視・認知症などがみられたり、自律神経が乱れて便秘や立ちくらみ、排尿障害や発汗障害などを有することがあります。いずれもドーパミンの減少が関係していることがほとんどですので、身体症状がなくても何か気になる症状があれば内科などの受診をおすすめします。アセチルコリンが増えていることによって精神症状があらわれているのであれば、精神科などでも処方してもらえることがあります。

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医薬品を使用し、体調不良が現れた場合、我慢せずに直ちに医師の診察を受け、指示に従って下さい。