ラサギリンメシル酸塩

成分名

ラサギリンメシル酸塩

適応症状

パーキンソン病

簡易説明

ラサギリンメシル酸塩は脳内のドーパミン分解を抑制する作用を有する成分で、その摂取によって相対的にドーパミン量が増加し、パーキンソン病の治療に効果を示すものです。
同様の作用を持つ既存の成分と比較して副作用が少なく安全性も高く、さらに1日の摂取回数も少なくて済むとして、2018年6月より本成分を主とする医薬品が発売されました。
現在、今後のパーキンソン病治療に大きな期待が寄せられている成分です。

処方可能な診療科目

神経内科/脳神経内科など

健康保険の適応

健康保険適応

病院で処方してもらう時の費用目安

診察料などの目安  :約10,000円~30,000円
薬代1錠あたりの目安:0.5mg 515.3円/1mg 953.8円
病院によって差が有り薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要です。
パーキンソン病は指定難病であり自己負担分の治療費の一部または全部が国または自治体により賄われることがあります。

厚生労働省による認可、または発売年月日

2018年6月11日(発売)

国内のジェネリック認可

現在ジェネリック医薬品の製造はありません。

関連製品(先発薬)

・アジレクト錠0.5mg【製薬会社:武田薬品】
・アジレクト錠1mg【製薬会社:武田薬品】

関連製品(ジェネリック)

現在ジェネリック医薬品の製造はありません。

効果・作用

ラサギリンメシル酸塩は、「MAO-B阻害作用」を持つ物質で、主にパーキンソン病治療薬の主成分として用いられています。
パーキンソン病とは、手足の震え、筋肉の固縮、姿勢反射障害(体のバランスが悪くなる)、無動(動きが遅くなる)といった症状を伴う進行性の疾患で、現在1000人に1~1.5人程度が罹患しています。
難病に指定されている同疾患、その原因は何かしらの遺伝子異常や環境因子の影響とされてはいるものの、現時点で明確にはなっていません。
ただ同疾患に起因する諸症状は、脳内の神経細胞から分泌されるドーパミン量の減少によって発現することが知られています。
そのため、同疾患の治療においては脳内のドーパミン量を増加させることが必須となります。
ここで、ドーパミンは「MAO-B」と呼ばれる酵素によって分解されます。
そして冒頭に挙げた通り、本成分ラサギリンメシル酸塩は「MAO-B阻害」という作用を有しています。
したがって、ラサギリンメシル酸塩の摂取によってドーパミンの分解酵素のはたらきが抑制され、ドーパミンの減少量が減る、つまり相対的に体内の同成分量が増加することで、パーキンソン病に係る各症状の改善が見込まれるのです。

使用方法

通常、成人はラサギリン酸塩として1mgを1日1回服用します。

副作用

主な副作用
ジスキネジア、頭痛、めまい、ジストニア、異常な夢、悪心、嘔吐、便秘、腹痛、口内乾燥、関節痛

重大な副作用
起立性低血圧、転倒、骨折、外傷、傾眠、突発的睡眠、幻覚、幻視、せん妄、幻聴、錯覚、失見当識、精神症状、衝動制御障害、病的賭博、病的性欲亢進、強迫性購買、暴食、セロトニン症候群、不安、焦燥、興奮、錯乱、発熱、ミオクロヌス、発汗、頻脈、悪性症候群、無動緘黙、強度筋強剛、嚥下困難、血圧変動、白血球増加、血清CK上昇、ミオグロビン尿、腎機能低下

その他の副作用
関節炎、筋骨格痛、頚部痛、狭心症、心筋梗塞、皮疹、食欲減退、結膜炎、体重減少、アレルギー、倦怠感、水疱性皮疹、白血球減少症、インフルエンザ、うつ病、平衡障害、鼓腸、脳血管発作、鼻炎、尿意切迫、手根管症候群、皮膚癌、悪性黒色腫

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
【使用出来ない方】
■ラサギリンメシル酸塩を配合した医薬品の添加物に、アレルギーをお持ちの方
下記、添加物にアレルギーをお持ちの方、アジレクト錠はアレルギー反応を起こしてしまう為、服用できません。
▼アジレクト錠の有効成分
ラサギリンメシル酸塩
▼代表薬の添加物
・D-マンニトール
・トウモロコシデンプン
・部分アルファー化デンプン
・ステアリン酸
・タルク
・軽質無水ケイ酸

■中等度以上の肝機能障害がある方
本成分の血中濃度が上昇する恐れがあります。

使用に注意が必要な方
■低体重の方
本成分の血中濃度が上昇し、副作用の発現が多なることが確認されています。

■軽度の肝機能障害のある方
本成分の血中喉が上昇する可能性があるので、低用量での服用も考慮しなければなりません。

■妊婦
ウサギを用いた動物実験において、本成分を含む薬とレボドパ・カルビドパ(いずれもパーキンソン病の症状を改善する薬)を併用した際、本成分の曝露量(体内に取り込まれる量)が通常使用(上段「使用方法」参照)時の8倍を超え、着床後胚死亡率が増加することが認められています。
そのため妊婦の方が服用するのは、治療上の有益性が危険性を上回ると判断された場合に限定する必要があります。

■授乳婦
本成分のヒト母乳への移行は不明ですが、ラットを用いた動物実験においてプロラクチン分泌の阻害が認められています。
そのため治療上の有益性と母乳移行の危険性、また母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続または中止を検討しなければなりません。

■小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施されていないため、安全性が確立されていません。

■高齢者
一般的に生理機能が低下しているため、低用量の服用を考慮する必要があります。

上記にあてはまる方は、ラサギリンメシル酸塩を使用する事が出来ない可能性があります。
ラサギリンメシル酸塩を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

併用注意薬
■レボトパ含有製剤
ジスキネジア等、レボトパ由来の副作用が増強されることがあります。

■トラゾドン塩酸塩
脳内セロトニン濃度が高まる危険性があります。

■デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物
脳内セロトニン濃度が高まる危険性があります。

■CYP1A2阻害薬、シプロフロキサシン
本成分の血中濃度が上昇する場合があります。

■CYP1A2誘導薬
本成分の血中濃度が低下する場合があります。

上記を使用している方は、ラサギリンメシル酸塩を使用する事が出来ない可能性があります。
ラサギリンメシル酸塩を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬
■セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(※)
(ミルナシプラン塩酸塩、トレドミン 他)

■選択的ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(※)
(アトモキセチン塩酸塩、ストラテラ)

■リスデキサンフェタミンメシル酸塩、ビバンセ 他(※)

■ノルアドレナリン・セロトニン作動性抗うつ薬(※)
(ミルタザピン、レメロン 他)

(※)上記4カテゴリの薬は、本成分を含む薬と併用すると重篤な副作用が発現する危険性がありますので、一方の服薬を休止してから他方の服薬を開始するまで14日以上空けなければなりません。

■塩酸テトラヒドロゾリン・プレドニゾロン、コールタイジン 他
急激な血圧上昇を起こす危険性があります。

上記の併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

よくある質問
ラサギリンメシル酸塩の摂取にあたり、特に注意すべき点はありますか?

副作用の一つに該当するものですが、ラサギリンメシル酸塩の摂取により前兆のない突発性睡眠および睡眠発作が現れることがあります。
そのため本成分を含む薬を服用した際は、自動車の運転、機械の操作での作業等、危険を伴う作業は絶対に避けてください。

抗パーキンソン病薬には様々な種類があり、その有効成分も多数ある中で、ラサギリンメシル酸塩にはどのような特徴がありますか?

ラサギリンメシル酸塩の特徴としてはまず、現在あらゆる角度からパーキンソン病にアプローチする成分がある中で、「MAO-B阻害」成分(上段【効果・作用】参照)という種類に分類されることです。
また同じ「MAO-B阻害」成分の中では、.ラサギリンメシル酸塩は覚せい剤原料でなく副作用も少ないというのが大きな特徴です。

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