ビペリデン塩酸塩

成分名

ビペリデン塩酸塩

適応症状

パーキンソン病

簡易説明

従来のパーキンソン病の治療では、レボドパなどのドーパミンを促進する薬が使用されますが、本剤は抗コリン薬です。
ドーパミンが減ると相対的にアセチルコリンという物質が増え、症状が出やすくなります。
本剤はアセチルコリンの働きを阻害することによってドーパミンとアセチルコリンのバランスを取り、症状が出るのを抑えてくれる薬です。

処方可能な診療科目

内科/神経内科/脳神経外科/精神科など

健康保険の適応

健康保険適用

病院で処方してもらう時の費用目安

診療代の目安:1,000~2,000円
薬代の目安:
 アキネトン錠1mg/5.7円(住友ファーマ)
 アキネトン細粒1%/25.2円(住友ファーマ)
 ビペリデン塩酸塩錠1mg「ヨシトミ」/5.7円(田辺三菱製薬)
 ビペリデン塩酸塩散1%「ヨシトミ」/14.4円(田辺三菱製薬)
 ビペリデン塩酸塩錠2mg「サワイ」/5.7円(沢井製薬)
 ビペリデン塩酸塩錠1mg「アメル」/5.7円(共和薬品工業)
 ビペリデン塩酸塩細粒1%「アメル」/14.4円(共和薬品工業)
病院によって差があり、薬代の他に初診料・診察料・検査料などが必要になります。
指定難病であり、自己負担分の治療費の一部または全部が国または自治体より賄われることがあります。

厚生労働省による認可、または発売年月日

錠剤/1964年6月発売
細粒/1981年11月発売

国内のジェネリック認可

あり

関連製品(先発薬)

アキネトン錠1mg(住友ファーマ)
アキネトン細粒1%(住友ファーマ)

関連製品(ジェネリック)

ビペリデン塩酸塩錠1mg「ヨシトミ」(田辺三菱製薬)
ビペリデン塩酸塩散1%「ヨシトミ」(田辺三菱製薬)
ビペリデン塩酸塩錠2mg「サワイ」(沢井製薬)
ビペリデン塩酸塩錠1mg「アメル」(共和薬品工業)
ビペリデン塩酸塩細粒1%「アメル」(共和薬品工業)

効果・作用

パーキンソン病はドーパミンの減少によって引き起こされることがわかっていますが、他にも関係する物質があることが判明しています。それがアセチルコリンという神経伝達物質です。
健康な人であれば、ドーパミンとアセチルコリンのバランスが均衡に保たれていますが、パーキンソン病はドーパミンが減るにしたがって、相対的にアセチルコリンの量が増えていることになります。
アセチルコリンが増えると、パーキンソン病特有の症状である振戦や筋強剛、無動といった症状があらわれます。
通常のパーキンソン病治療ではドーパミンを増やすために薬が使われますが、本剤は抗コリン剤と呼ばれ、アセチルコリン受容体に作用し、アセチルコリンの働きを阻害することによってアセチルコリンを抑制する働きをします。
本剤の処方目的は、アセチルコリンを阻害することでドーパミンとのバランスの不均衡を正すためです。
バランスを均衡状態に戻すことで、症状の減少を期待されています。
本剤は主に特発性パーキンソニズムに効果があるとされています。
特発性パーキンソニズムとは、振戦・筋固縮・動作緩慢・姿勢反射異常のうち、2つ以上の症状を有するもので、進行性ですが長期的になることが多いです。
特発性パーキンソニズムへの有効率は92%と報告されています。
他のパーキンソニズムになると使用する薬も変わってきますので、医師の所見や検査結果に相違がないかがとても重要です。

使用方法

ビペリデン塩酸塩として、通常成人1回1mg1日2回よりはじめ、その後漸増し、1日3〜6mgを分割経口投与します。なお、年齢、症状により適宜増減します。少量から開始し、観察を十分に行い、慎重に維持量まで増量することとされています。また、他剤から本剤に切り替える場合には、他剤を徐々に減量しながら本剤を増量するのが原則です。

副作用

重大な副作用
悪性症候群や依存症がみられることがあります。

その他の副作用
幻覚・せん妄・精神錯乱・不安・嗜眠・記憶障害・口渇・悪心・嘔吐・食欲不振・胃部不快感・下痢・便秘・口内炎・排尿困難・尿閉・発疹・血圧低下・血圧上昇・眼の調節障害・肝障害などがみられることがあります。

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
■ビペリデン塩酸塩を配合した医薬品の添加物に、アレルギーをお持ちの方
下記、添加物にアレルギーをお持ちの方、アキネトン錠1mg/細粒1%はアレルギー反応を起こしてしまう為、服用できません。
▼アキネトン錠1mg/細粒1%の有効成分
日局ビペリデン塩酸塩1mg/日局ビペリデン塩酸塩10mg
▼アキネトン錠1mg/細粒1%の添加物
結晶セルロース、トウモロコシデンプン、硬化油、軽質無水ケイ酸、ステアリン酸マグネシウム/乳糖水和物、軽質無水ケイ酸

■他に使用できない方
・閉塞隅角緑内障の方
・過敏症の既往歴のある方
・重症筋無力症の方

使用に注意が必要な方
・前立腺肥大など尿路に閉塞性疾患のある方
・胃腸管に閉塞性疾患のある方
・不整脈または頻拍傾向のある方
・てんかんを持っている方
・高温環境にある方
・動脈硬化性パーキンソン症候群の方
・脱水、栄養不良状態等を伴う身体的疲弊のある方
・腎機能障害の方
・肝機能障害の方
・妊婦、授乳婦
・小児等
・高齢者

上記にあてはまる方は、ビペリデン塩酸塩を使用する事が出来ない可能性があります。
ビペリデン塩酸塩を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

併用注意薬
・抗コリン作用を有する薬剤(フェノチアジン系薬剤、ブチロフェノン系薬剤、三環系抗うつ剤等)
・中枢神経抑制剤(バルビツール酸誘導体、フェノチアジン系薬剤、三環系抗うつ剤、モノアミン酸化酵素阻害剤等)
・他の抗パーキンソン剤(レボドパ、アマンタジン、ブロモクリプチン等)

上記を使用している方は、ビペリデン塩酸塩を使用する事が出来ない可能性があります。
ビペリデン塩酸塩を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬
現在併用禁忌薬は報告されていません

併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

よくある質問
パーキンソン病治療薬が精神科でも処方されているのはなぜですか?

精神疾患もパーキンソン病同様にドーパミンの分泌量などが関係しているからです。過剰分泌であれば興奮や幻覚などがありますが、不足では意欲減退や不随運動などがみられることがあります。ドーパミンが不足しているということは相対的にアセチルコリンが増えているということですから、アセチルコリンを抑制して抑うつ感や不随運動を取り除く必要があります。ただし精神科では単体で処方されることはあまりなく、他の向精神薬と併用して使われることが多いです。本剤は主に統合失調症に使用されます。

指定された量より多く飲むとどうなりますか?

パーキンソン症状の増悪がみられることがあります。口渇、体温上昇、頻脈、不整脈、尿閉、興奮、幻覚、妄想、錯乱、けいれん、呼吸抑制等があらわれることあります。もし多く飲んだことに気づいた場合は医師へ連絡し、適切な処置を行うようにしてください。また、大量投与により気分高揚等がみられたとの報告もあり、これは依存症へつながる場合があるため、慎重に服用を進めてください。

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