成分名 |
アマンタジン塩酸塩 |
適応症状 |
パーキンソン病(パーキンソン症候群)、A型インフルエンザ、脳梗塞後の意欲・自発性低下の改善など |
簡易説明 |
アマンタジン塩酸塩は複数の疾患に対して効果を持つ薬です。抗パーキンソン作用、精神活動改善作用、A型インフルエンザウイルス増殖阻害作用を示します。パーキンソン病には神経伝達物質のドパミン放出を促進して症状を改善、神経への働きかけの作用によって意欲や自発性などの精神活動を促すことができます。抗ウイルス薬としても使用され、インフルエンザウイルスはA型にかぎり、ウイルスの増殖を阻害する働きを持っています。
先発薬はサンファーマからシンメトレル錠とシンメトレル細粒が販売されています。 |
処方可能な診療科目 |
内科/神経内科/脳神経外科など |
健康保険の適応 |
健康保険適応 |
病院で処方してもらう時の費用目安 |
診察料などの目安 :約2,000円~5,000円
薬代1錠あたりの目安:シンメトレル錠50mg 11.4円/錠 100mg 11.2円/錠
薬代後発薬1錠の目安:50mg5.9円/錠
病院によって差が有り薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要になる。 |
厚生労働省による認可、または発売年月日 |
1975年12月販売開始【シンメトレル錠】 |
国内のジェネリック認可 |
あり |
関連製品(先発薬) |
・シンメトレル錠50mg /100mg
・シンメトレル細粒10%【製薬メーカー:サンファーマ】 |
関連製品(ジェネリック) |
・アマンタジン塩酸塩錠50mg /100mg「ZE」【全星薬品工業】、「サワイ」【沢井製薬】、「日医工」【日医工】、「杏林」【キョーリンリメディオ】、「ツルハラ」【鶴原製薬】
・アマンタジン塩酸塩細粒10%「サワイ」【沢井製薬】、「ツルハラ」【鶴原製薬】 |
海外での使用実績 | ・アメリカ
1959年に抗ウイルス剤として開発されました。その後1968年にアマンタジン塩酸塩としてSYMMETRELが承認されました。
・その他
パーキンソン病治療薬、A型インフルエンザウイルス感染症治療薬としてSymmetrelがオーストラリア、スイス、香港、シンガポールなど十数ヶ国で承認されています。
(現在、脳梗塞後遺症に伴う意欲・自発性低下改善への使用は日本のみの承認となっています。) |
効果・作用 |
アマンタジン塩酸塩はパーキンソン病、脳梗塞後の意欲・自発性低下の改善、A型インフルエンザ感染症の治療に対して使用され、1種類で複数の疾患に対して効果を持つ薬です。元々、抗ウイルス剤として1959年にアメリカで開発され、A型インフルエンザ感染症に対して以前から使用されていました。日本では当初、抗ウイルス剤ではなく1975年にパーキンソン病の治療で、1987年に脳梗塞後の意欲・自発性低下改善に用いられていました。その後1997年にA型インフルエンザ大流行がきっかけとしてアマンタジン塩酸塩が用いられるようになったという経緯があります。
▼A型インフルエンザウイルス感染症への効果詳細
インフルエンザウイルスのA型のみに存在する「M2蛋白」という構造に対して作用します。ウイルスの増殖過程を阻害することで、抗ウイルス薬としてインフルエンザの悪化を抑制する効果を表します。この仕組みからB型インフルエンザウイルスには効果を示さないことが分かります。
▼パーキンソン病への効果詳細
パーキンソン病とは脳内のドパミンが不足し、手足の震えや筋肉の強張りなどが症状として現れます。日本では70歳以上の多くの高齢者が発症していると言われています。
アマンタジン塩酸塩はドパミン放出促進などといった脳内のドパミンによる神経伝達を強める作用によって諸症状を改善させます。その他にもノルアドレナリンやセロトニンといった神経伝達物質の神経系にも作用するため、意欲の低下や自発性の低下などの改善もできるとされています。
▼脳梗塞後の意欲・自発性低下改善での効果詳細
ドパミンとノルアドレナリンは活力、意欲に関わってくる神経伝達物質です。セロトニンはこのどちらに対してもコントロールする働きがあるため、アマンタジン塩酸塩は、神経伝達物質の量を適切にして意欲や自発性低下を改善する働きを表します。 |
使用方法 |
<パーキンソン病>
・通常、成人には初期量1日100mgを1〜2回に分割して経口投与します。一週間後に維持量として1日200mgを2回に分けて経口投与します。
・症状や年齢によって適宜増減できますが、1日300mgの2〜3回分割投与を限度とします。
<脳梗塞後遺症>
・通常、成人には1日100〜150mgを2〜3回に分割して経口投与します。
・症状や年齢によって適宜増減します。
<A型インフルエンザウイルス感染症>
・通常、成人には1日100mgを1〜2回に分割して経口投与します。
・症状や年齢によって適宜増減できますが、高齢者及び腎障害を持つ方は投与量の上限を1日100mgとして下さい。
▼「A型インフルエンザウイルス感染症」に対して使用する際の注意点
・抗ウイルス薬投与が全てのA型インフルエンザウイルス感染症の治療に必須ではないため、それらを踏まえ必要性を検討して下さい。
・抗インフルエンザウイルス薬の服用の有無や種類に関わらず、インフルエンザウイルス感染時は異常行動が現れるという例があります。そのため異常行動による転落事故などの対策をする必要があります。
(重度の異常行動は就学以降の小児や未成年男性、発熱から2日間以内に現れることが多いと報告されています。)
※次のことに考慮してインフルエンザウイルス感染症の予防に使用します。
・ワクチン接種が禁忌の方
・ワクチンの入手が困難な状況
・ワクチン接種後抗体を得るまでの期間
・A型以外のインフルエンザウイルスに対しては効果なし
▼「パーキンソン症候群又は脳梗塞後遺症に伴う意欲・自発性低下の改善」に対して使用する際の注意点
・投与を急に中止した場合、パーキンソン症状の悪化、悪性症候群、カタトニー(緊張病)、錯乱、精神状態の悪化、せん妄などが現れることがあります。本剤の投与を中止する予定があれば徐々に減量して下さい。
・投与量を増量した場合、中枢神経系の副作用(睡眠障害、幻覚など)が現れる頻度が高くなる傾向があります。 |
副作用 |
主な副作用
アマンタジン塩酸塩には、副作用が起こる可能性があります。
アマンタジン塩酸塩を服用した場合、どのような副作用が起こるか知っておきましょう。
重大な副作用
・悪性症候群(Syndrome malin)
・中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)/皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)
・視力低下を伴うびまん性表在性角膜炎、角膜浮腫様症状
・心不全
・肝機能障害
・腎障害
・意識障害(昏睡を含む)
・精神症状(幻覚、せん妄、錯乱など)
・痙攣
・ミオクロヌス
・異常行動
・横紋筋融解症
極めて稀な副作用ですが、重度の副作用にご注意下さい。
重篤な副作用の発生率は低いですが、用法や用量を間違えると命に危険を及ぼすような、重篤な副作用が発生する恐れもあります。
その他の副作用
・精神神経系(睡眠障害、眠気、不安、激越、失調、興奮、めまい、頭痛・頭重、神経過敏、集中力障害、不随意運動、欲動亢進、言語障害、歩行障害の悪化、抑うつ、失見当識、躁状態、悪夢)
・消化器(便秘、下痢、食欲不振、悪心・嘔吐、腹痛)
・視調節障害(霧視など)
・循環器(血圧低下、動悸)
・過敏症(発疹、多形滲出性紅斑)
・光線過敏症
・AST(GOT)、ALT(GPT)、ALPの上昇
・BUN、クレアチニンの上昇
・低体温
・尿失禁
・脱力感
・倦怠感
・発汗
・下肢浮腫
・網状皮斑
・胸痛
・白血球減少
※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。 |
使用に注意が必要な方 使用出来ない方 |
使用が出来ない方 ■透析を必要とする重篤な腎障害のある患者
本成分は大部分が未変化体として尿中に排泄されるため、蓄積により意識障害や精神障害、ミオクロヌスなどの副作用が現れることがあります。(血液透析によって少量しか排除されません。)
■妊娠又は妊娠している恐れのある方、授乳婦
催奇形性が疑われる症例の報告があります。またヒト母乳中への移行も認められています。
■アマンタジン塩酸塩に対して既往歴のある方
■アマンタジン塩酸塩を配合した医薬品の添加物に、アレルギーをお持ちの方
下記、添加物にアレルギーをお持ちの方は、アレルギー反応を起こしてしまう為、服用できません。
▼シンメトレル錠の有効成分
アマンタジン塩酸塩
▼代表薬の添加物
・セルロース
・ポビドン
・第三リン酸カルシウム
・タルク
・ステアリン酸マグネシウム
・ヒプロメロース
・酸化チタン
・マクロゴール
使用に注意が必要な方 ■心血管疾患(うっ血性心疾患など)又は末端性浮腫のある患者
■腎障害のある患者
透析を必要とする患者の場合、使用できません。
■肝障害のある患者
■低血圧の判断をされた患者
■精神疾患のある患者
■閉塞隅角緑内障の患者
■高齢者
副作用が現れやすいため、低用量から使用を開始し、状態を観察しながら用量や投与間隔に注意して下さい。
■小児等
上記にあてはまる方は、アマンタジン塩酸塩を使用する事が出来ない可能性があります。 アマンタジン塩酸塩を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。 |
併用禁忌薬 |
併用注意薬 ■下記の薬は幻覚、睡眠障害などの副作用が増強されることがあるため用量に注意して下さい。
・抗パーキンソン剤(レボドパ、抗コリン剤、プラミペキソール、タリペキソール、ドロキシドパ)
・中枢興奮剤(メタンフェタミン等)
・食欲抑制剤(マジンドール)
■下記の薬はジスキネジー、幻覚等の副作用が増強されることがあるため注意して下さい。
・抗パーキンソン剤(プラミペキソール)
■下記の薬はアマンタジン塩酸塩の作用が強まり、錯乱、ミオクロヌス等の副作用が現れる恐れがあるため用量に注意して下さい。
・チアジド系利尿剤
・カリウム保持性利尿剤
■下記の薬は相互に作用を増強させる恐れがあるため注意して下さい。
・NMDA受容体拮抗剤(メマンチン等)
上記を使用している方は、アマンタジン塩酸塩を使用する事が出来ない可能性があります。 アマンタジン塩酸塩を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。
併用禁忌薬 現在併用禁忌薬に該当する医薬品はございません。
併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です 現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。 |
よくある質問 |
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