成分名 |
ザナミビル水和物 |
適応症状 |
A型又はB型インフルエンザウイルス感染症の治療及びその予防 |
簡易説明 |
ザナミビル水和物はA型又はB型インフルエンザウイルス感染症における治療及び予防に用いられる医薬品です。C型インフルエンザウイルス感染症には効果がありません。
シアル酸誘導体の抗インフルエンザウイルス薬として英国グラクソ・スミスクライン社において開発されました。インフルエンザ治療薬であるタミフル(オエルタミビル)と異なる点は吸入薬であるという事です。飲み薬ではないため1剤で大人から小児まで幅広い年齢層に使用可能な医薬品になります。1日2回5日間吸入する事で、インフルエンザウイルスの主要な感染・増殖部位である気道粘膜上皮細胞の表面に直接分布して、A型及びB型インフルエンザウイルスに特異的に作用する薬剤です。 |
処方可能な診療科目 |
内科/外科/整形外科/泌尿器科/皮膚科/精神科/診療内科/放射線化/耳鼻咽喉科など |
健康保険の適応 |
一部健康保険適応
(ザナミビル水和物はA型又はB型インフルエンザウイルス感染症の発症後の治療の目的で使用した場合にのみ保険給付されます。) |
病院で処方してもらう時の費用目安 |
病院によっても若干前後しますがおおよそ以下の通りです。基本的に重症でなければ院外処方になりますので、病院と調剤薬局と別々に費用がかかります。
診察料としては2800円~3500円
検査料としては2800円程度
処方箋料としては700円程度
薬剤料としては2700円(5日分)[リレンザとして換算]~
調剤料等として1000円程度 |
厚生労働省による認可、または発売年月日 |
1999年12月27日製造販売承認
2001年2月2日薬価基準収載
2000年12月8日販売 |
国内のジェネリック認可 |
国内においてジェネリック医薬品の販売はございません。 |
関連製品(先発薬) |
リレンザ【製薬メーカー:グラクソ・スミスクライン株式会社】 |
関連製品(ジェネリック) |
後発医薬品は現時点において販売されておりません |
効果・作用 |
ザナミビル水和物はA型又はB型インフルエンザウイルス感染症における治療及び予防に適応のある医薬品です。
1)作用部位・作用機序
作用部位は、インフルエンザウイルスのノイラミニダーゼになります。
インフルエンザウイルスには、その表面にスパイク状のヘマグルチニン(HA)とノイラミニダーゼ(NA)が存在します。インフルエンザウイルスは、このヘマグルチニンと宿主細胞のシアル酸とを結合させ、宿主細胞内に侵入します。そして新たなウイルスを複製する過程を経て感染細胞から遊離し、次の宿主細胞へ結合することを繰り返すことにより増殖し、感染を広げていきます。
この増殖過程のうち、ウイルスが宿主細胞から遊離する際には、ノイラミニダーゼがヘマグルチニンとシアル酸との結合を切断する働きをします。ザナミビルは、このインフルエンザウイルスのノイラミニダーゼの作用を特異的に阻害してヘマグルチニンとシアル酸との結合の切断を妨げることによあり、感染細胞からのウイルス粒子の遊離を阻害し、インフルエンザウイルスの感染の拡大を阻止します。
【警告】
1)本剤を治療に用いる場合は、本剤の必要性を慎重に検討すること。
2)インフルエンザウイルス感染症の予防の基本はワクチンによる予防であり、本剤の予防使用はワクチンによる予防に置き換わるものではない事に注意が必要です。
【注意事項】
≪効能共通≫
1)本剤はC型インフルエンザウイルス感染症には効果がありません。(※C型インフルエンザウイルスにはノイラミニダーゼが存在しないため)
2)本剤は細菌感染症には効果がありません。
≪治療≫
1)抗ウイルス薬の投与が全てのA型又はB型インフルエンザウイルス感染症の治療には必須ではないことを踏まえ、本剤の使用の必要性を慎重に検討すること。
2)インフルエンザ様症状の発現から2日以内に投与を開始する事。
≪予防≫
1)原則として、インフルエンザウイルス感染症を発症している患者の同居家族又は共同生活者である下記の者を対象とする。
①高齢者(65歳以上)②慢性心疾患患者③代謝性疾患患者(糖尿病等)④腎機能障害患者 |
使用方法 |
ザナミビル水和物を使用する場合、使用開始の時間制限や吸入回数、次回使用までの間隔、吸入期間は、インフルエンザ感染症における治療と予防のどちらの目的による使用であるかによって異なります。
『発症後の治療を目的とする使用方法』
①吸入開始のタイミング;発症後48時間以内
②1回の用量:5mg×2ブリスター
③1日の吸入回数:2回
④吸入間隔:12時間毎
⑤使用期間;5日間
吸入開始のタイミングは早ければ早いほど効果が期待できます。ザナミビル水和物を処方されましたら1回分は直ちに吸入を開始するようにしましょう。1回目の使用が午後遅い場合に使用した際はその日のうちに2回目を吸入するかどうかは主治医もしくは薬剤師に確認し薬の使用を考慮してください。
『発症の予防を目的とする使用方法』
①吸入開始のタイミング:感染者と接触後36時間以内
②1回の用量:5mg×2ブリスター
③1日の吸入回数:1回
④吸入間隔:24時間毎
⑤使用期間:10日間
ザナミビル水和物を予防投与する場合、対象となるのは、インフルエンザを発症している患者の同居家族や共同生活者のうち、高齢者や慢性心疾患の患者等、インフルエンザ予防の必要性が高い方とされております。
【吸入し忘れた場合の対処方法】
ザナミビル水和物を吸入し忘れた場合は、気づいた時点で1回分を直ちに吸入してください。次に吸入するタイミングが近い場合には、忘れた分を飛ばして、そのまま吸入を続けてください。2回分を一度に吸入する事のないよう注意しましょう。 |
副作用 |
重大な副作用
1.ショック、アナフィラキシー(いずれも頻度不明)
ショック、アナフィラキシー(血圧低下、呼吸困難、咽頭・喉頭浮腫等)が起こることがあります。
2.気管支痙攣、呼吸困難(いずれも頻度不明)
3.中毒性表皮壊死融解症、皮膚粘膜眼症候群、多形紅斑(いずれも頻度不明)
4.異常行動(0.06%)
因果関係は不明であるものの、インフルエンザ罹患時には、転落等に至る恐れのある異常行動(急に走り出す、徘徊する等)が現れることがあります。
その他の副作用
1.過敏症
発疹(0.1%~1%)
顔面浮腫、蕁麻疹(0.1%未満)
2.精神神経系
頭痛、手指の痺れ感、不眠症(0.1%未満)
血管迷走神経反応(頻度不明)
3.消化器
下痢、悪心・嘔吐(0.1%~1%)
咽頭乾燥、口渇、口内炎、下の荒れ、食欲不振、胃部不快感(0.1%未満)
4.呼吸器
嗄声、咽頭刺激感、鼻道刺激感、喘鳴、鼻出血、鼻漏、痰(0.1%未満)
5.感覚器
嗅覚障害、耳鳴り(0.1%未満)
6.循環器
動機(0.1%未満)
7.全身症状
発汗、発熱、頚部痛、背部痛、低体温(0.1%未満)
※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。 |
使用に注意が必要な方 使用出来ない方 |
使用が出来ない方 本剤の成分に対して過敏症の既往歴のある患者
有効成分:ザナミビル水和物
添加物:乳糖水和物
使用に注意が必要な方 1)合併症・既往歴等のある患者
①乳製品にたいして過敏症の既往歴のある患者
本剤は、夾雑物として乳蛋白を含む乳糖水和物を使用しており、アナフィラキシーがあらわれたとの報告がある。
②免疫低下状態の患者
患者の状態を十分に観察しながら投与する事。
③気管支喘息及び慢性閉塞性肺疾患等の慢性呼吸器疾患のある患者
気管支痙攣や呼吸機能の低下が現れた場合、本剤の投与を中止し、適切な処置を行う事。インフルエンザウイルス感染症により気道過敏性が亢進することがあり、本剤投与後に気管支痙攣や呼吸機能の低下がみられたという報告がある。(呼吸器疾患の既往歴がない患者においても同様な報告がある)
軽度又は中等度の喘息患者(ただし、急性のインフルエンザ症状を有さない症例)を対象とした海外の臨床薬理試験において、13例中1例に気管支痙攣が認められた。
また、本剤を投与する場合には本剤投与後に気管支痙攣が起こる可能性があることを患者に説明することとし、必要時に使用できるよう短時間作用発現型気管支拡張剤と患者に所持させること。
なお、慢性呼吸器疾患の治療に用いる吸入薬(短時間作用発現型気管支拡張剤等)を併用する場合には、本剤を投与する前に使用するよう指導すること。
2)腎機能障害患者
透析を必要とするような腎機能障害患者を対象とした臨床試験は実施していない。
3)妊婦
妊婦または妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与する事。動物実験で胎盤通過性が報告されている。
4)授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験で乳汁中に移行することが報告されている。
5)小児
①小児に対しては、本剤を適切に吸入投与できると判断された場合にのみ投与する事。
②低出生体重児、新生児、乳児又は4歳以下の幼児を対象とした臨床試験は実施していない。
上記にあてはまる方は、ザナミビル水和物を使用する事が出来ない可能性があります。 ザナミビル水和物を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。 |
併用禁忌薬 |
併用禁忌薬並びに併用注意薬は設定されておりません
併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です 現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。 |
よくある質問 |
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