アムホテリシンB

成分名

アムホテリシンB

適応症状

消化管におけるカンジダ異常増殖、真菌血症、呼吸器真菌症、真菌髄膜炎、播種性真菌症

簡易説明

ポリエンマクロライド系抗真菌性抗生物質である。有効成分は、アムホテリシンBであり、主にカンジダ属、アスペルギルス属等の病原真菌に対し抗菌力を示す。しかし、グラム陽性菌、 グラム陰性菌、ウイルス等には、ほとんど効果を示さない。
剤形は錠剤、シロップ剤、注射用剤などが存在し、適宜使い分けることが可能である。

処方可能な診療科目

消化器/呼吸器/泌尿器など

健康保険の適応

健康保険の適応あり

病院で処方してもらう時の費用目安

診察料などの目安  :約3,000円~10,000円
薬代1錠あたり:100mg 31.10円(ハリゾン)
シロップ剤1mLあたり:52.00円(ハリゾン)
シロップ剤1mLあたり:54.60円(ファンギゾン)
ファンギゾン注射用50mg:1023.00円
アムビゾーム点滴静注用50mg:5886.00円
病院によって差が有り薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要になる。

厚生労働省による認可、または発売年月日

ハリゾン錠100mg 販売開始 1987年10月
ハリゾンシロップ100mg/mL 販売開始 1997年8月
アムビゾーム点滴静注用50mg 販売開始 2006年6月
ファンギゾン注射用50mg 販売開始 1962年11月
ファンギゾンシロップ100mg/mL 販売開始 1975年12月

国内のジェネリック認可

ジェネリック医薬品あり

関連製品(先発薬)

アムビゾーム点滴静注用50mg
ファンギゾン注射用50mg 
ファンギゾンシロップ100mg/mL

関連製品(ジェネリック)

ハリゾン錠100mg
ハリゾンシロップ100mg/mL

効果・作用

アムホテリシンBを有効成分とする薬剤は、ポリエンマクロライド系抗真菌性抗生物質に分類され、真菌に対して効果を発揮する。錠剤やシロップ剤などの内服薬と注射剤が存在するが、適応が異なる。内服薬では、消化管におけるカンジダ異常増殖が適応となる。主に免疫機能が低下することで発症する。他にも、HIVや糖尿病、悪性腫瘍などにより、免疫機能が低下することを原因として発症することもある。また、ステロイド薬などの長期連用による免疫機能低下なども原因となる。いずれにせよ、免疫機能が低下することや全身状態が悪くなった時に発症する可能性がある。症状は、自覚症状がなく、検査で発見されるケースもあるが、咽頭や胸部の違和感や嚥下時痛、心窩部痛、嘔気、嘔吐などが認められる。注射剤は、深在性感染症が主な適応になる。移植やステロイドの内服などにより免疫機能の低下により、体の深部に入り込む疾患。内服薬とは異なり、注射薬は調製が必要。希釈や溶解する輸液にも注意が必要である。点滴速度にも注意が必要で、投与時関連反応の発現の可能性もある。その場合は、一時点滴の中断や点滴速度をゆっくりにするなどの対応が求められる。事前に抗ヒスタミン薬などの投与で投与時関連反応を抑制できるとの報告もある。

使用方法

ハリゾン錠100mg: 成人に対し1回1錠を1日2〜4回食後経口投与する。なお年齢、症状により適宜増減する。
ファンギゾンシロップ100mg/mL・ハリゾンシロップ100mg/mL:小児に対し1回0.5〜1mL (アムホテリシンBとして50〜100mg)を1日2〜4回食後経口投与する。
ファンギゾン注射用50mg:
▼静注の場合
1バイアル(50mg)中に溶解液を10mLを加えて溶かし,溶液が透明になるまでゆっくりと振盪する。溶解液は注射用水または 5 %ブドウ糖注射液を使用。この溶解液をさらに5%ブドウ糖注射液で500mL以上に希釈して使用する。
成人に対しては、1日アムホテリシンB 0.25mg/kgより開始し、次回より症状を観察しながら漸増し、1日量として0.5mg/kgを点滴静注するが、投与量は1 日 1mg/kgまたは隔日投与で1.5mg/kgまでとする。副作用の発現のため投与困難な場合には、初回量は1日1 mgより開始し、症状を観察しながら漸増する。1 日総量50mgまでを連日又は隔日1回点滴静注する。点滴静注は3〜6時間以上かけて徐々に行う。 患者の症状,状態に応じて適宜用量を調節する。

▼気管内注入での使用の場合
1バイアルを注射用水10mLに溶解し、その0.2〜4 mLを更に注射用水約10mLに希釈して用いる。
通常、初回量は1日1mgまたは5〜10mgより開始し、徐々に増量し、1日10〜20mgを隔日1回気管内に注入する。

▼胸膜内注入での使用の場合
調製方法は気管内注入と同じ。
初回量は1日1mgより開始し、徐々に増量し、5〜20mgを週1〜3 回、胸水排除後、胸膜内に注入する。

▼髄腔内注入での使用の場合
1バイアルを注射用水10mLに溶解し、0.2〜4 mLを更に注射用水20〜30mLに適宜希釈して用いる。
通常1回0.25〜1mgを採取髄液量を超えない液量で漸増法により1日1回隔日、又は3日毎に徐々に注入する。

▼膀胱内注入での使用の場合
膀胱内の尿を排除し、アムホテリシンBとして15〜20mgを注射用水100mLに溶解し、 1日1〜2回尿道カテーテ ルを使用して直接注入する。注入後薬剤は少なくても1時間以上(可能であれば2〜3時間)膀胱内に留めておく。

▼皮内注で使用の場合
1バイアルを2%プロカイン10mLに溶かし、その0.1〜0.4mLを病巣皮内及び皮下に分注する。1回の総量は50mgを限度として、10〜30日の間隔で行う。

▼吸入での使用の場合
1バイアルを注射用水10〜20mLで溶解し、1 回2.5~ 5 mg/mLを1日2〜5回吸入する。1〜2ヵ月継続して行う。

アムビゾーム点滴静注用50mg:
▼真菌血症、呼吸器真菌症、真菌髄膜炎、播種性真菌症に対しての用法・用量
アムホテリシンBとして 2.5mg/kgを1日1回、1〜2時間以上かけて点滴静注する。1日総投与量は5mg/kgまでとする。患者の症状に応じて適宜増減できる。また、クリプ トコッカス髄膜炎で使用する場合は、1日総投与量は6mg/kgまで投与することが可能。

副作用

ショック・アナフィラキシー/皮膚粘膜眼症候群/中毒性表皮壊死症/投与時関連反応/腎障害/肝障害など

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
▼本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
▼白血球を輸注中の患者

使用に注意が必要な方
▼腎機能が低下している患者
▼高齢者
▼妊婦

上記にあてはまる方は、アムホテリシンBを使用する事が出来ない可能性があります。
アムホテリシンBを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

併用注意薬
▼シスプラチン/ペンタミジン/アミノグリコシド系抗生物質/バンコマイシン/シクロスポリン/ガンシクロビル/タクロリムス/ホスカルネットナトリウム
腎機能障害が発生する可能性があるため。
▼ステロイド
低カリウム血症を増悪させる可能性があるため。
▼利尿剤

上記を使用している方は、アムホテリシンBを使用する事が出来ない可能性があります。
アムホテリシンBを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬
▼白血球輸注
アムビゾーム点滴静注用50mgと併用禁忌
併用した事例において急性肺機能障害がみられたとの報告があるため。

上記の併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

よくある質問
保管はどうしたらいいですか?

通常、一般の方は内服薬の管理になると思うので、内服薬について回答すると、室温保存で子どもの手の届かないところで保管してください。その際、直射日光は避けてください。

シロップ剤の注意点はありますか?

服用前に軽く振ってください。一時的に歯が黄色っぽく色づく場合がありますが、歯ブラシで擦ればとれるので問題ありません。本剤は、ほとんど吸収されず局所的に作用する薬剤であるため、患部にいきわたるようにしてください。例えば、口腔カンジダの場合は、口の中全体に含み、できるだけ長い間薬剤が浸透するようにしてから飲み込んでください。

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医薬品を使用し、体調不良が現れた場合、我慢せずに直ちに医師の診察を受け、指示に従って下さい。