アルベンダゾール

成分名

アルベンダゾール

適応症状

包虫症(エキノコックス症)

簡易説明

包虫症(エキノコックス症)の治療に用いるお薬です。
包虫(エキノコックス)は寄生虫の一種で、おもにキタキツネの糞便を経由して人間に感染し、数年から数十年の時を経て人体に重い障害を引き起こします。
本剤は、包虫の体内代謝を阻害して、包虫の増殖を抑えます。ただし、その効果は十分とは言えず、薬だけで完治させることは困難です。最も有効な治療は手術による包虫の摘出です。

処方可能な診療科目

内科/消化器内科/感染症内科 など

健康保険の適応

健康保険適応

病院で処方してもらう時の費用目安

エスカゾール錠200mgを処方してもらう場合。
診察料などの目安:約1000円~約2000円(保険により3割負担の場合)
薬代1錠あたりの目安:約344.8円(薬価)
病院によって差ががあります。また、診察料・薬代の他に、初診料・検査料などが必要になる場合があります。

厚生労働省による認可、または発売年月日

1994年4月販売開始(新薬:エスカゾール錠200mg)

国内のジェネリック認可

現在ジェネリック医薬品の製造はありません。

関連製品(先発薬)

エスカゾール錠200mg【製薬メーカー:グラクソ・スミスクライン】

関連製品(ジェネリック)

現在ジェネリック医薬品の製造はありません。

効果・作用

包虫症はエキノコックス症とも呼ばれ、おもに北海道でみられる病気です。エキノコックスは寄生虫の一種で、この成虫(包条虫)はおもにキツネに寄生し、キツネの糞便に卵を排出します。

人への感染は、キツネの糞に汚染された飲食物(山菜や沢水)を口にすることにより起こります。また、イヌの毛に付着した虫卵を、イヌと遊んでいて経口的に取り込んで感染することもあります。

虫卵が人の口に入ると、それが腸で幼虫(包虫)になって感染がはじまります(人のなかでは成虫にならず、幼虫のまま増え続けます)。血液を通って主に肝臓に寄生してゆっくりと増殖し、1~5mmの小さな包虫のスポンジ状の集合体を形成して著しく腫大し、黄疸(おうだん)、腹水、肝不全、消化管出血などの症状を引き起こします。肝臓のほか、肺、脳などにも寄生します。

感染してから数年、十数年にわたっては無症状ですが、肝臓が腫れて上腹部の痛みや黄疸が出ることがあります。脳に転移すると神経症状が現れ、無治療の状態では90%以上の方が亡くなるとも報告されています。日本においては北海道を中心として分布が確認されており、年間30件弱の発症例の報告があります。

感染予防には、流行地ではイヌやキタキツネとの接触は控え、小川の生水は飲まない、野イチゴや山菜は十分に洗ってから食べるなどの注意が必要です。北海道ではペットのイヌは放し飼いにしないことも大切です。

このお薬は、このエキノコックス症に有効です。包虫の体内代謝を阻害して、包虫の増殖を抑えます。ただし、その効果は十分とは言えず、薬だけで完治させることは困難です。最も有効な治療は手術による包虫の摘出です。なお、日本では包虫症の治療薬としてだけ承認されていますが、海外ではジアルジア症、鞭虫症、フィラリア、神経嚢虫症、蟯虫症、回虫症等の治療に用いられます。

また、アルベンダゾールは、未承認ながら全く違う他の病気に対する有用性も報告されています。

ひとつは、悪性腫瘍(癌)に対しての治療効果です。様々な癌の治療のために研究が進められています。アルベンダゾールが癌細胞の成長を抑制することで、抗がん効果が得られると言われています。通常の抗がん治療で効果が得られていない多くの方が、このアルベンダゾールを併用することで抗がん効果があらわれたと、報告されています。

もう一つが、新型コロナウィルス感染症です。イベルメクチンとともにアルベンダゾールが配合された錠剤が一部で出回り、新型コロナウィルス感染症の予防の目的で飲まれています。イベルメクチン・アルベンダゾール共に日本では予防効果があると正式に認められてはおらず、今のところ効果は未知数です。

使用方法

通常、成人にはアルベンダゾールとして1日600mgを3回に分割し、食事と共に服用して下さい。投与は28日間連続して行い、14日間の休薬期間を設けて下さい。なお、年齢・症状により適宜増減して下さい。


※使用上の注意事項・留意事項
・本剤が服用し難い場合には、口中でかみ砕いてから飲み込むこともできます。
・食事(脂肪食)と共に服用すると、血漿中濃度が空腹時服用の5倍高まることが報告されています。囊胞内への薬物移行量を高めるために、食事と共に服用することが望ましいです。

副作用

重大な副作用
汎血球減少症/皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)/多形紅斑/肝機能障害/黄疸

その他の副作用
肝機能検査値異常(Al-P、AST(GOT)、ALT(GPT)、 ビリルビンの上昇等)/貧血/白血球減少/好酸球増加/腹部痛/悪心/嘔吐/頭痛/めまい/瘙痒/皮疹/蕁麻疹/可逆性の脱毛/発熱

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
次の患者には投与しないで下さい。
・妊婦又は妊娠している可能性のある婦人〔器官形成期試験において、ラット及びウサギの30mg⁄kg投与群で生存胎児数の減少、吸収胚数の増加、骨格奇形がみられ、ラットでは更に平均胎児重量の減少がみられました。ラットの三世代生殖試験及び周産期・授乳期投与試験において、それぞれ12及び40mg⁄kg投与群で次世代の生存率、平均生児体重の低下がみられ、40mg⁄kg投与群では更に一般状態の悪化、奇形・骨格変異等の増加がみられました。〕
・本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
・アルベンダゾールを配合した医薬品の添加物に、アレルギーをお持ちの方
下記、添加物にアレルギーをお持ちの方(エスカゾールの場合)は、アレルギー反応を起こしてしまう為、服用できません。
▼エスカゾールの有効成分
・アルベンダゾール
▼エスカゾールの添加物
・乳糖水和物
・ポビドン
・結晶セルロース
・トウモロコシデンプン
・デンプングリコール酸ナトリウム
・ラウリル硫酸ナトリウム
・サッカリンナトリウム水和物
・ステアリン酸マグネシウム
・ヒプロメロース
・プロピレングリコール

使用に注意が必要な方
■慎重投与
・授乳婦〔授乳中の投与に関する安全性は確立していません。〕
・小児等〔小児等に対する安全性は確立していません。(使用経験が少ないため、 6 歳未満の小児等には使用しないことが望ましいです。)〕

上記にあてはまる方は、アルベンダゾールを使用する事が出来ない可能性があります。
アルベンダゾールを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

併用注意薬
・プラジカンテル〔プラジカンテルとの併用により、アルベンダゾール活性代謝物の血中濃度が上昇することが報告されています。〕
・リトナビル/フェニトイン/カルバマゼピン/フェノバルビタール〔これらの薬剤との併用により、アルベンダゾール活性代謝物の血中濃度が減少し、本剤の効果が減弱する可能性があります。〕

上記を使用している方は、アルベンダゾールを使用する事が出来ない可能性があります。
アルベンダゾールを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬
特になし

併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

よくある質問
エスカゾールは、人間だけでなく、ペットの犬・猫などにも有効でしょうか。

エスカゾール(アルベンダゾール)は、元々は動物の寄生虫駆除薬として開発されたため、有効かもしれません。ただ、エスカゾールは人間用として承認され売られているものです。おそらく動物用のものがあると思われるので、獣医さんにご相談された方が良いかと思います。

知らない間にエキノコックスに感染していないか心配です。この薬を飲めば治りますでしょうか。

仮に感染していたとしても、エスカゾールを飲むだけで完治することはないようです。無症状の期間が長い難しい病気なので、感染が心配される場合は、最寄りの保健所にご相談ください。

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