ベンプロペリンリン酸塩

成分名

ベンプロペリンリン酸塩

適応症状

かぜ/気管支炎/上気道炎/鼻カタルなど(咳止め)

簡易説明

ベンプロペリンリン酸塩はスウェーデンのファルマシア社により開発された非麻薬性の鎮咳剤です。
日本国内ではベンプロペリンリン酸塩を主成分とするフラベリック錠(以下、本剤)ファイザー株式会社が販売していました。1976年10月に再評価(最新の治験による有効性、安全性等の再確認)を受け、その薬効等が評価されましたが、2020年10月にファイザー株式会社より「諸般の事情により販売を中止する」と発表され、2022年3月31日付で経過措置期間が満了(販売中止)しました。
本剤の同効薬は下記となります(2022年10月現在)。
・デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物(メジコン散10%、錠15mg)
・デキストロメトルファン臭化水素水和物・クレゾールスルホン酸カリウム(メジコン配合シロップ)
・ジメモルファンリン酸塩(アストミンシロップ0.25%、散10%、錠10mg)
・クロペラスチンフェンジゾ酸塩(フスタゾール散10%、錠小児用2.5mg)
・クロペラスチン塩酸塩(フスタゾール糖衣錠10mg)
※ベンプロペリンリン酸塩を有効成分とする市販薬(一般用医薬品・要指導医薬品)はありません。

処方可能な診療科目

内科/呼吸器内科など 
※経過措置期間が満了しているため、処方可能な診療科はありません。

健康保険の適応

下記疾患に伴う咳嗽
感冒、急性気管支炎、慢性気管支炎、肺結核、上気道炎(咽喉頭炎、鼻カタル)
※経過措置期間が満了しているため、健康保険の適応はありません。

病院で処方してもらう時の費用目安

※経過措置期間が満了しているため、薬価はありません。

厚生労働省による認可、または発売年月日

発売年月:1970年10月

国内のジェネリック認可

現在ジェネリック医薬品の製造はありません。

関連製品(先発薬)

フラベリック錠20mg【製薬メーカー:ファイザー株式会社】 ※販売中止

関連製品(ジェネリック)

現在ジェネリック医薬品の製造はありません。

海外での使用実績

香港、大韓民国で発売されています(2020年11月現在)。

効果・作用

咳は病原微生物や化学物質等の異物を体外に排出する生体防御反応の一つです(本剤の適応症は呼吸器感染症(感冒、肺結核)や呼吸器の炎症(急性気管支炎、慢性気管支炎、上気道炎)となっていますので、これらの疾患に伴う咳止めに用いられます(喘息、花粉症等のアレルギー性の咳は適応となっていませんでした)。
咳は肺や気道が感知した異物刺激が延髄にある咳中枢に伝達され、その反応として延髄から呼気に関連した肺などの筋肉の急激な収縮等が指示されることでおこります。鎮咳剤は、延髄への伝達感度を下げる薬(中枢性鎮咳剤)と延髄からの指示の反応性を弱める薬(末梢性鎮咳剤)に大きく分けられますが、本剤は中枢性鎮咳剤に分類される薬です。なお、中枢性鎮咳剤にはリン酸コデインなどの麻薬性鎮咳剤と本剤のような非麻薬性鎮咳剤があります。なお、麻薬性鎮咳剤の一部には薬物依存に注意が必要な薬もありますが、本剤では依存性は報告されていません。
本剤の咳中枢への作用は動物実験(イヌ、ネコ、ウサギ、モルモット)で咳中枢興奮性の低下が確認されています。また、一部は肺伸長による刺激の低下や平滑筋である気管支筋の弛緩作用(末梢性の効果)も確認されています。この中枢性作用は、機械的刺激による咳反射抑制効果として確認され、その効果はリン酸コデイン(麻酔性鎮咳剤)と同等ないしはそれ以上であったと報告されています。末梢性作用はモルモットで確認され、その作用はパパベリン(平滑筋弛緩薬)と類似するメカニズム(ホスホジエステラーゼ阻害による平滑筋収縮抑制作用)であることが確認されました。体外に異物を排出する生体防御反応には気道粘液とともに排出するメカニズム(喀痰)もありますが、本剤は喀痰に対する作用(気道分泌物の増加作用や分泌物の粘度低下作用、気道粘膜の繊毛運動亢進作用)などはありません。
これらの薬理作用は一般臨床試験、二重盲検試験で有効性が確認されています。
・急性疾患に伴う咳:有効率81.3%(21施設、262症例)
・慢性疾患に伴う咳:有効率69.7%(17施設、149症例)
・小児の急性疾患に伴う咳:有効率85.3%(5施設、75症例)
なお、二重盲検試験で本剤の効果はデキストロメトルファン(同効薬)と同等ないしはそれ以上であることが確認されています。

使用方法

1回1錠を1日3回噛まずに飲みます。年齢、症状によって適宜増減します。

副作用

副作用集計結果(986例)
主な副作用:口内乾燥(3.14%)、眠気(1.32%)、腹痛(1.22%)
報告されている副作用
・精神・神経系:眠気、めまい
・消化器:口内乾燥、腹痛、食欲不振、胸やけ
・過敏症:発疹
・その他:倦怠感、聴覚異常(音感の変化等)
※聴覚異常(音感の変化等)は処方された患者さんからの健康被害等報告です(2020年12月1日~2021年3月31日の期間に報告されました)。健康被害等報告については、患者さんまたはそのご家族から報告されて情報をとりまとめたものであり、個別に医薬品との関連性を評価したものではありませんが、本症状については添付文書に記載がされています。

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
■ベンプロペリンリン酸塩及び、ベンプロペリンリン酸塩を配合した医薬品の添加物に、アレルギーをお持ちの方
ベンプロペリン酸塩及び、下記添加物にアレルギーをお持ちの方、フラベリックはアレルギー反応を起こしてしまう為、服用できません。
▼フラベリックの有効成分
ベンプロペリンリン酸塩
▼フラベリックの添加物
軽質無水ケイ酸、乳糖水和物、リン酸水素カルシウム水和物、カルメロースカルシウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ステアリン酸マグネシウム、ヒプロメロース、マクロゴール、酸化チタン、タルク、アミノアルキルメタクリレートコポリマーE、中鎖脂肪酸トリグリセリド、カルナウバロウ

使用に注意が必要な方
・妊婦、妊娠している可能性のある方:治療上の有益性が危険性を上回る場合のみ使用します。
・授乳婦:治療上の有益性、母乳栄養の有益性を考慮して、授乳の継続・中止を検討します。
・小児:臨床試験を行っていません。
・高齢者:一般に生理機能が低下しているため、減量するなどの注意をします。

上記にあてはまる方は、ベンプロペリンリン酸塩を使用する事が出来ない可能性があります。
ベンプロペリンリン酸塩を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

併用禁忌薬
なし
※抗コリン性の薬(ヨウ化イソプロパミド含有製剤)と併用した場合、まれに口喝、霧視、尿閉等の症状があらわれることがあるので、抗コリン性の薬剤と併用する場合は、これらの薬を適宜増減することが望ましいとされています。
※抗コリン性の薬:副交感神経(アセチルコリン)の働きを抑える薬。胃薬、排尿障害治療薬、向精神薬等には抗コリン作用を持つ薬剤があります。

併用禁忌薬がないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

ベンプロペリンリン酸塩に関する
よくある質問
噛まずに飲む理由はなんですか?

本剤をかみくだくと口腔内にしびれ感を来すので、かまずに嚥下させること。

ベンプロペリンリン酸塩(フラベリック インタビューフォーム)

【上記引用元:PMDA 医療用医薬品 情報検索】

フィルムコート錠にしてある理由はありますか?

主薬に「しびれ感」があるのでフィルムコート錠とした。

ベンプロペリンリン酸塩(フラベリック インタビューフォーム)

【上記引用元:PMDA 医療用医薬品 情報検索】

参考元一覧

ベンプロペリンリン酸塩(フラベリック 添付文書、インタビューフォーム) 【PMDA 医療用医薬品 情報検索】

経過措置期間満了のご案内(フラベリック錠20mg) 【ファイザー株式会社 MEDICAL INFORMATION】

患者からの医薬品副作用報告の条強について 【厚生労働省 令和3年度第1回医薬品等安全対策部会 資料3‐7】

サイト利用に関する注意事項

医薬品を使用する場合、必ず医師や薬剤師の指示に従って下さい。
医薬品を使用し、体調不良が現れた場合、我慢せずに直ちに医師の診察を受け、指示に従って下さい。