アトバコン

成分名

アトバコン

適応症状

<適応菌種>
ニューモシスチス・イロベチー
<適応症>
ニューモシスチス肺炎
ニューモシスチス肺炎の発症抑制
〈アトバコン・プログアニル塩酸塩の配合錠〉
マラリア

簡易説明

日和見感染症であるニューモシスチス肺炎の原因となる真菌(ニューモシスチス・イロベチー)の増殖を阻害することにより、症状の改善および発症を抑制するお薬です。
通常、ニューモシスチス肺炎の治療および発症抑制に用いられます。
サムチレールは、ニューモシスチス肺炎(PCP)の治療及び発症抑制における内服の第2選択薬です。
本剤は、副作用によりスルファメトキサゾール・トリメトプリム配合剤(ST合剤)の使用が困難な場合に使用すること。

処方可能な診療科目

呼吸器内科/内科 など

健康保険の適応

健康保険適応

病院で処方してもらう時の費用目安

診察料などの目安:約3000円~6000円程度
新薬サムチレール内用懸濁液15% 1包あたり1471.1円(薬価)
新薬マラロン配合錠(アトバコン・プログアニル塩酸塩配合錠)1錠あたり507.3円(薬価)
※病院によって差が有り。薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要になる。

厚生労働省による認可、または発売年月日

2012年4月【発売開始年月日】

国内のジェネリック認可

なし

関連製品(先発薬)

サムチレール内用懸濁液15% 【製薬メーカー:グラクソ・スミスクライン】
マラロン配合錠(アトバコン・プログアニル塩酸塩配合錠)【製薬メーカー:グラクソ・スミスクライン】
マラロン小児用配合錠(アトバコン・プログアニル塩酸塩配合錠)【製薬メーカー:グラクソ・スミスクライン】

関連製品(ジェネリック)

なし

効果・作用

ニューモシスチス肺炎(PCP)は、真菌の一種類である「ニューモシスチス・イロベチイ」により引き起こされる感染症です。ニューモシスチス・イロベチイは、以前は原虫に分類されていましたが、遺伝子解析の結果、真菌の一種であると判明しされました。ニューモシスチス・イロベチイは、咳や痰を介して感染が拡大する「飛沫感染」がひとつの感染様式として想定されています。
免疫力が正常な健康な方に対しては発症することはありませんが、免疫抑制状態になると重篤な肺炎症状を引き起こすことがあります。日和見感染の一種になります。

ニューモシスチス肺炎をきっかけとしてエイズと診断される方も多いです。その他、ステロイドや免疫抑制剤を使用している方、血液腫瘍に罹患している方なども免疫状態が普段よりも低下しているため、ニューモシスチス肺炎を発症する可能性があります。ニューモシスチス肺炎は、適切な治療が行われなければ致死率が10~60%と高い病気です。

アトバコンは、ニューモシスチス・イロベチーのミトコンドリア電子伝達系を選択的に阻害することで、抗ニューモシスチス活性を示すユビキノン類似体です。
PCP治療及び発症抑制において、アトバコンに既存の薬剤と同程度の有効性が認められること、既存薬に比べて高い忍容性が確認されています。
第一選択薬のサルファ薬(ST合剤:バクタ)やペンタミジン(ベナンバックス)に次ぐ第二もしくは第三選択肢として用いられることになります。

ニューモシスチス肺炎の予防としては、ST合剤のスルファメトキサゾール・トリメトプリム配合剤(商品名:バクタ)か、サムチレールが用いられます。
サムチレールよりもバクタのほうが有効率が高いです。
サムチレールは、アレルギーや副作用によりバクタの使用が困難な場合に使用されます。副作用が少なく長期服用も比較的容易です
アトバコンは、2011年12月現在、世界20カ国以上で、PCPに対する標準的な治療及び発症抑制薬として承認されています。

■マラロン〈アトバコン・プログアニル塩酸塩の配合錠〉は、
アトバコンとプログアニル塩酸塩の配合剤であり、それぞれの薬剤がマラリア原虫の核酸の複製に必要なピリミジン、チミジル酸の生合成を異なる経路で阻害することで、抗マラリア原虫活性を示します。
通常、マラリアの治療と予防に用いられます。

使用方法

〈ニューモシスチス肺炎の治療〉通常、成人には1回5mL(アトバコンとして750mg)を1日2回21日間、食後に経口投与する
〈ニューモシスチス肺炎の発症抑制〉通常、成人には1回10mL(アトバコンとして1500mg)を1日1回、食後に経口投与する
(用法及び用量に関連する注意)本剤は絶食下では吸収量が低下するため、食後に投与すること
<注意事項>
本剤は、副作用によりスルファメトキサゾール・トリメトプリム配合剤(ST合剤)の使用が困難な場合に使用すること。
本剤を食後に投与できない患者では、代替治療を検討すること。
投与開始時及び投与中に下痢が認められている場合には、本剤の吸収が低下し、効果が減弱する可能性がある。下痢が認められている患者では、代替治療を検討すること。
〈アトバコン・プログアニル塩酸塩の配合錠として〉
治療:通常、成人は1回4錠を1日1回3日間、食後に服用します。
通常、小児は体重に応じて1回1錠~4錠を1日1回3日間、食後に服用します。体重別の服用量は、11~20kgでは1錠、21~30kgでは2錠、31~40kgでは3錠、40kgを超える小児は4錠です。体重5~10kgの小児には、マラロン小児用配合錠が使用されます。
予防:通常、成人および体重40kgを超える小児は1回1錠を1日1回、マラリア流行地域到着24~48時間前より開始し、流行地域滞在中および流行地域を離れた後7日間、毎日食後に服用します。体重11~40kgの小児には、マラロン小児用配合錠が使用されます。
いずれの場合も、必ず指示された服用方法に従ってください。

副作用

主な副作用
アトバコンには、副作用が起こる可能性があります。
アトバコンを服用した場合、どのような副作用が起こるか知っておきましょう。

貧血/過敏症/血管性浮腫/気管支痙攣/咽喉絞扼感/頭痛/不眠症/悪心/嘔吐/下痢/肝酵素上昇

重大な副作用
皮膚粘膜眼症候群/Stevens-Johnson症候群/多形紅斑/重度肝機能障害/無顆粒球症/白血球減少
極めて稀な副作用ですが、重度の副作用にご注意下さい。

■アトバコンの注意すべき副作用
皮膚粘膜眼症候群/Stevens-Johnson症候群/多形紅斑/重度肝機能障害/無顆粒球症/白血球減少/貧血/過敏症/血管性浮腫/気管支痙攣

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
・過敏症
【相対禁止】
・妊婦・産婦

使用に注意が必要な方
・下痢
・重度肝障害
・重度腎障害
・食後に投与できない方
・授乳婦
・新生児(低出生体重児を含む)
・乳児
・幼児・小児
【投与に際する指示】
・下痢
・食後に投与できない方

上記にあてはまる方は、アトバコンを使用する事が出来ない可能性があります。
アトバコンを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

併用注意薬
リファンピシン
リファブチン
テトラサイクリン塩酸塩
メトクロプラミド
ジドブジン
アセトアミノフェン
ベンゾジアゼピン系薬剤
アシクロビル
オピオイド系鎮痛薬
セファロスポリン系抗生物質
止しゃ薬
緩下剤
インジナビル

上記を使用している方は、アトバコンを使用する事が出来ない可能性があります。
アトバコンを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬
なし

併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

よくある質問
併用注意薬のリファジンは、一緒に飲むとどう悪いのですか?

結核やMAC症の治療に用いるリファンピシン(リファジン)またはリファブチン(ミコブティン)と飲み合わせると、この薬の血中濃度が低下して効果が表れないおそれがあります。せっかく飲んだのにもったいないことになります。なので、併用しないことが望ましいです。他にも注意が必要な薬剤がいくつかあります。服用中の薬は、忘れずに医師に報告しておきましょう。

まずくて仕方ないのですが、いい方法はないですか?

なるべく口の中の滞在期間を短くして飲み込むことです。舌の上に乗せるとどうしても味を感じてしまうので我慢して飲み込みましょう。

サイト利用に関する注意事項

医薬品を使用する場合、必ず医師や薬剤師の指示に従って下さい。
医薬品を使用し、体調不良が現れた場合、我慢せずに直ちに医師の診察を受け、指示に従って下さい。