成分名 |
メフロキン塩酸塩 |
適応症状 |
マラリア |
簡易説明 |
マラリアは、熱帯から亜熱帯にかけて広く分布している蚊によって媒介されて発症する感染症です。日本でも年間60人ほどの輸入感染が報告されています。適切な処置を迅速に行わなければ、最悪の場合死に至ります。
本剤は、体内に侵入した原虫の供給源となるような活動を阻害し、原虫の動きを弱体化させる目的があります。予防として使用することも可能ですが、マラリア菌が体内に入る可能性があること、健康保険適用外となることを頭に入れたうえで、医師と必要性などを相談して処方してもらう形になります。 |
処方可能な診療科目 |
内科など |
健康保険の適応 |
治療の場合は健康保険適用 ※予防の場合は保険適用外 |
病院で処方してもらう時の費用目安 |
診察料の目安:1,000~2,000円
薬代の目安:メファキン「ヒサミツ」錠275/784.4円(久光製薬)
病院によって差があり、薬代の他に初診料・診察料・検査料などが必要になります。 |
厚生労働省による認可、または発売年月日 |
2001年10月発売 |
国内のジェネリック認可 |
現在ジェネリックはありません。 |
関連製品(先発薬) |
メファキン「ヒサミツ」錠275(久光製薬) |
関連製品(ジェネリック) |
ラリメフ250mg(Ipca Labs社)
ファルシゴプラス(Cadila Healthcare Limited) |
海外での使用実績 | 海外ではメフロキンは妊婦のマラリア治療に広く用いられています。安全性に関するデータは少ないですが、2,500名の妊婦を対象とした後ろ向き調査では、出生異常や流産の増加は見られていません。WHOは妊娠中期・後期での使用を承認し、妊娠前期に使用した場合の中絶措置を求めないとしました。
英国の1998〜2011年の自殺関連行動の有害事象報告を解析した文献によると、100万処方あたりに調整したメフロキンの自殺報告数は全ての医薬品の中で2番目に多かったとされています。オーストラリア国防軍(ADF)はメフロキンの有害作用に関する問題で法的措置に直面しています。カナダ保健省はメフロキン使用に関連する脳損傷が永続的であることを認めました。その症状はPTSDに酷似しており、PTSD治療がメフロキン中毒者に有害であると指摘されています。
米軍は自殺率の高さを懸念しメフロキンの使用を2008年頃から減らしています。2013年頃にはほとんど使用されなくなりましたが自殺率は低下せず、2008年頃から急激に増加しています。日本の防衛省は、海外に派遣された自衛隊員6人の自殺との因果関係は低いと考えていることを報告しています。
なお、アメリカでは軍人の戦闘による心的外傷後ストレス障害(PTSD)に関連した自殺の高いリスクが認識されており、国営PTSDセンターなども運用されています。しかし、アメリカ合衆国退役軍人省(VA)が公表しているデータによると『米軍の自殺率は他の者よりも高く、軍事配備されなかった退役軍人の自殺率が高い』とされています。また、VAはメフロキンに関する健康問題のクレームを受け付けています。アメリカ国防総省 (DoD) が公表しているデータによると『自殺した軍人の53%が軍事配備された経験がなく、85%は戦闘の目撃すらなかった』とされており、各国によるメフロキン塩酸塩に対する論争は後を絶ちません。 |
効果・作用 |
マラリアは、熱帯から亜熱帯にかけて広く分布しているマラリア原虫による感染症です。
雌のハマダラカが媒介する原虫が病原体で、原虫の違いにより熱帯熱マラリア・三日熱マラリア・四日熱マラリア・卵形マラリア・サルマラリアの5種類に大別されます。
蚊に刺されて原虫が体内に入ると、1~4週間の潜伏期間を経た後に発熱や悪寒、頭痛、関節や筋肉の痛み、嘔吐、下痢といった症状があらわれ、脳や内臓に合併症を引き起こすこともあります。
発症してから24時間以内に適切な処置をしなければ、最悪の場合死に至る恐ろしい感染症です。
悪性の場合は脳マラリアによる意識障害や腎障害も報告されています。
日本ではあまり聞きなじみがありませんが、輸入感染として年間60人程度の感染が報告されています。
原虫が体内に入ると、赤血球のヘモグロビンを取り込み食胞で分解し、アミノ酸の供給源として利用します。
このときに遊離するヘムという物質は、原虫においては極めて有毒です。これを重合させてへモゾイン(マラリアピグメント)という物質にして無毒化させます。
本剤の原虫に対する作用機序は明らかになっていない部分が多いですが、ヘムの重合阻害作用や食胞の機能阻害によるものだと考えられています。
主に熱帯熱マラリア原虫および四日熱マラリア原虫に対して、赤内型分裂体(シゾント)除去作用によって予防及び治療効果を発揮するとされています。ただし、休眠期間に入っている原虫には効果を示しません。
よって原虫を駆除することが目的ではなく、あくまでも原虫の働きを弱体化させるための薬です。
予防として服用することも可能ですが、その場合は体内にマラリア菌が侵入する恐れもあります。
そして予防の場合は保険適用外ですので、本当に服用が必要なのか、現地の現状はどうなのかを考慮したうえで、医師と相談して処方してもらい、処方通りに服用するようにしてください。 |
新型コロナウイルス感染症予防・治療に関して | 既に承認されている抗寄生虫薬および抗原虫薬を対象に感染細胞系でスクリーニングを行った結果、抗マラリア薬であるメフロキンが新型コロナウイルスに対して、他剤よりも高い抗ウイルス効果を示しました。
メフロキンはコロナウイルスが細胞に吸着した後の侵入過程を阻害することから、ウイルスの複製を阻害するネルフィナビルと併用することで相乗的な抗ウイルス効果が得られることも示唆されました。
数理モデルから、標準治療で用いられる濃度のメフロキン投与により生体からのウイルス排除は6.1日短縮され得ると推定されました。メフロキンが有望な新型コロナウイルス治療薬候補であることを示しており、今後更なる研究が待たれます。 |
使用方法 |
治療の場合、通常成人には、体重に応じメフロキン塩酸塩として、825mg(3錠)〜1,100mg(4錠)を2回に分割して経口投与します。
30kg以上45kg未満の方には初回550mg(2錠)、6〜8時間後に275mg(1錠)を経口投与します。
45kg以上の方には初回550mg(2錠)、6〜8時間後に550mg(2錠)を経口投与します。
感染地(メフロキン耐性のマラリア流行地域)及び症状によって、成人には体重に応じメフロキン塩酸塩として、1,100mg(4錠)〜1,650mg(6錠)を2〜3回に分割して経口投与します。
30kg以上45kg未満の方には、初回825mg(3錠)、6〜8時間後に275mg(1錠)を経口投与します。
45kg以上60kg未満の方には初回825mg(3錠)、6〜8時間後に550mg(2錠)を経口投与します。
60kg以上の方には初回825mg(3錠)、6〜8時間後に550mg(2錠)、さらに6〜8時間後に275mg(1錠)を経口投与します。
予防として使用する場合、通常成人には、体重に応じメフロキン塩酸塩として、206.25mg(3/4錠)〜275mg(1錠)を、マラリア流行地域到着1週間前より開始し、1週間間隔(同じ曜日)で経口投与します。流行地域を離れた後4週間は経口投与します。なお、流行地域での滞在が短い場合であっても、同様に流行地域を離れた後4週間は経口投与します。
30kg以上45kg未満の方は206.25mg(3/4錠)、45kg以上の方は275mg(1錠)を処方通りに服用します。 |
副作用 |
主な副作用
めまい・嘔気・腹部膨満・胃部不快感・ふらつき・頭痛・蕁麻疹・TTT上昇・ZTT上昇・好酸球上昇・嘔吐がみられます。
重大な副作用
中毒性表皮壊死症・けいれん・錯乱・妄想・肺炎・肝炎・循環不全・心ブロック・脳症・呼吸抑制・ショック・ミオパシー・視野欠損・網膜障害・スティーブンス・ジョンソン症候群・幻覚・呼吸困難などがみられることがあります。
その他の副作用
腹痛・倦怠感・下痢・不眠・平衡障害・不安・傾眠・筋肉痛・関節痛・振戦・魔夢・健忘・視力障害・聴力低下・耳鳴・食欲不振・便秘・心悸亢進・発疹・そう痒・AST上昇・ALT上昇・LDH上昇・CK上昇・CPK上昇・脱力感・顔面浮腫・胸痛・疲労・発熱・悪寒・異常感覚・無気力・落ち着きのなさ・神経症・筋痙直・ニューロパシー・行動障害・パニック発作・協調異常・末梢神経障害・末梢性運動障害・精神病様症状・睡眠障害・偏執反応・霧視・前庭障害・唾液増加・舌浮腫・歯肉腫脹・徐脈・不整脈・期外収縮・房室ブロック・低血圧・高血圧・心房細動・頻脈・白血球増多・過敏症・多形紅斑・潮紅・関節炎・アキレス腱炎・多汗・失神・無力・抑うつ状態・感情不安定・異夢・胃痛・消化不良・潰瘍性口内炎・フィブリノゲン上昇・白血球減少・血小板減少・LAP上昇・BUN下降・血沈上昇・トリグリセリド上昇・脱毛・鼻出血などがみられることがあります。
※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。 |
使用に注意が必要な方 使用出来ない方 |
使用が出来ない方 ■メフロキン塩酸塩を配合した医薬品の添加物に、アレルギーをお持ちの方
下記、添加物にアレルギーをお持ちの方、メファキン「ヒサミツ」錠275はアレルギー反応を起こしてしまう為、服用できません。
▼メファキン「ヒサミツ」錠275の有効成分
メフロキン塩酸塩275mg
▼メファキン「ヒサミツ」錠275の添加物
アミノアルキルメタクリレートコポリマーE、カルボキシメチルスターチナトリウム、結晶セルロース、酸化チタン、ステアリン酸マグネシウム、タルク、乳糖水和物、ヒプロメロース、マクロゴール6000、ラウリル硫酸ナトリウム
上記にあてはまる方は、メフロキン塩酸塩を使用する事が出来ない可能性があります。 メフロキン塩酸塩を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。 |
併用禁忌薬 |
併用注意薬 ・キニーネ
・キニーネ類似化合物
・キニジン
・クロロキン
・ハロファントリン
・抗不整脈剤
・カルシウム拮抗剤
・ベラパミル
・β-遮断剤
・抗ヒスタミン剤
・フェノチアジン系薬剤
・三環系抗うつ剤
・イミプラミン
・ジゴキシン
・エタノール摂取
・経口腸チフス生ワクチン
・HDCV
・抗てんかん剤
・バルプロ酸
・薬物代謝酵素<CYP3A4>を阻害する薬剤
・シメチジン
・イトラコナゾール
・リトナビル
・マクロライド系抗生物質
・肝薬物代謝酵素<CYP3A4>を誘導する薬剤
・デキサメタゾン
・リファンピシン類
・フェノバルビタール
・肝薬物代謝酵素<CYP3A4>の基質となる薬剤
・制酸剤<PPI・H2ブロッカー以外>
・H2受容体拮抗剤
・プロトンポンプ阻害剤
・胃内pHを上昇させる薬剤
上記を使用している方は、メフロキン塩酸塩を使用する事が出来ない可能性があります。 メフロキン塩酸塩を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。
併用禁忌薬 現在併用禁忌薬は報告されていません
併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です 現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。 |
よくある質問 |
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