アタザナビル硫酸塩

成分名

アタザナビル硫酸塩

適応症状

HIV−1感染症

簡易説明

アタザナビル硫酸塩には、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)の体内感染拡大を抑制するはたらきがあります。
抗HIV剤はその作用によっていくつかのグループに分類されるのですが、その中でアタザナビル硫酸塩を含む薬は「プロテアーゼ阻害薬」という種類に該当します。
ウイルス粒子の産生に必要な「プロテアーゼ」という酵素の活性を阻害することで、HIVウイルスの増殖防止の効果が得られるのです。

処方可能な診療科目

内科/感染症科 など

健康保険の適応

健康保険適応

病院で処方してもらう時の費用目安

診察料などの目安  :約1,000円~2,000円
薬代1錠あたりの目安:150mg約384,9円/200mg約614,3円
薬代後発薬1錠の目安:現在ジェネリック医薬品の国内製造はありません。
病院によって差が有り薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要になる。

厚生労働省による認可、または発売年月日

2004年1月(発売)

国内のジェネリック認可

現在ジェネリック医薬品の製造はありません。

関連製品(先発薬)

レイアタッツカプセル150mg(製薬会社:ブリストル・マイヤーズスクイブ)
レイアタッツカプセル200mg(製薬会社:ブリストル・マイヤーズスクイブ)

関連製品(ジェネリック)

レイアタッツ ジェネリック(製薬会社:Emcure Pharma, Cipla)

効果・作用

アタザナビル硫酸塩には、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)の体内感染拡大を抑制するはたらきがあります。
HIVの体内感染拡大を抑制する、つまり体内においてHIVを産生させないようにする手段はいくつかあり、抗HIV剤はそのアプローチの仕方によって、NRTI(核酸系逆転写酵素阻害薬)、NNRTI(非核酸系逆転転写酵素阻害薬)、INSTI(インテグラーゼ阻害薬)、PI(プロテアーゼ阻害薬)などの種類に分けられます。
その中で、アタザナビル硫酸塩が含まれる薬はPI(プロテアーゼ阻害薬)に分類されます。
PIの作用機序ですが、まずHIVは体内に侵入したあと、標的となる細胞に吸着してその細胞内に侵入します。
そしていくつかの工程を経て、自身の遺伝子をその標的細胞内に組み込みます。これが標的細胞への感染という状態です。
感染後は同細胞において、HIVの遺伝子が含まれる「複合タンパク質」が合成されます。
この複合タンパク質はそのままでは機能しません。機能させるには、ある酵素で結合の一部を切断し、複合タンパク質を「機能タンパク質」に変える必要があります。その酵素が「プロテアーゼ」です。
プロテアーゼによる切断によって、複合タンパク質は機能タンパク質へと形を変え、HIVウイルスとしての機能をもつようになります。これがHIVウイルスが増殖する仕組みです。
アタザナビル硫酸塩にはプロテアーゼを阻害する作用があるため、その服用によってHIVの増殖を防止し、体内感染拡大を抑制する効果が得られるのです。

使用方法

下記、ご自身の該当する側の用法用量に従って、1日1回食事中または食事のすぐ後に服用してください。
【抗HIV薬による治療経験がない方】
・レイアタッツ300mgとリトナビル100mg
・レイアタッツ400mg
のいずれか

【抗HIV薬による治療経験がある方】
レイアタッツ300mgとリトナビル100mg

副作用

主な副作用
悪心/総ビリルビン上昇/CK上昇/アミラーゼ上昇/失神/浮腫/動悸/心停止/第一度AVブロック/心筋炎/頭痛

重大な副作用
肝炎/重度肝機能障害/糖尿病/糖尿病悪化/高血糖/出血傾向/出血事象/QT延長/心室頻拍/torsades de pointes/房室ブロック/第一度~第三度AVブロック/皮膚粘膜眼症候群/Stevens-Johnson症候群/多形紅斑/中毒性皮疹/尿細管間質性腎炎/腎間質結晶沈着

その他の副作用
末梢神経障害/健忘/傾眠/浮動性めまい/味覚異常/灼熱感/痙攣/運動過多/感覚鈍麻/反射亢進/黄疸/黄疸眼/耳鳴/耳炎/呼吸困難/咳嗽/しゃっくり/低酸素症/胃腸障害/嘔吐/下痢/消化不良/腹痛/口渇/鼓腸/胃炎/膵炎/アフタ性口内炎/腹部膨満/大腸炎/便秘/歯痛/食道潰瘍/食道炎/胃腸炎/口腔内潰瘍/消化性潰瘍/血尿/頻尿/蛋白尿/腎結石/腎臓痛/尿異常/結晶尿/腎不全/乏尿/多尿/尿路感染/感染/発疹/脱毛症/皮膚そう痒症/蕁麻疹/血管拡張/水疱性皮膚炎/湿疹/血管浮腫/脂肪萎縮/顔面脂肪萎縮/光線過敏/多汗/斑状出血/紫斑/蜂巣炎/皮膚糸状菌症/皮膚乾燥/爪障害/脂漏/関節痛/筋萎縮/筋肉痛/ミオパチー/背部痛/骨痛/四肢痛/筋無力症/無力症/ピクピクした動き/食欲不振/食欲亢進/体重減少/体重増加/脱水/脂質異常症/痛風/乳酸アシドーシス/肥満/高血圧/蒼白/疲労/胸痛/発熱/倦怠感/歩行障害/異形成/全身浮腫/熱過敏/末梢性浮腫/疼痛/アレルギー反応/肝脾腫大/無胆汁症/肝腫大/肝臓細胞障害/脂肪肝/女性化乳房/男性生殖能低下/無月経/インポテンス/月経障害/骨盤痛/不眠症/不安/うつ病/睡眠障害/異常な夢/失見当識/激越/リビドー減退/情動不安定/幻覚/敵意/神経過敏/精神病/自殺企図/ALT上昇/AST上昇/リパーゼ上昇/好中球減少/ヘモグロビン減少/体脂肪再分布/体脂肪蓄積/胸部脂肪増加/体幹部脂肪増加/末梢部脂肪減少/野牛肩/胆石症/胆嚢炎/胆汁うっ滞 など

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
・アタザナビル硫酸塩に対し過敏症の既往歴のある方

・重度の肝障害のある方

・新生児、月齢3ヵ月未満の乳児(核黄疸の発現の危険性があります)

・以下の薬剤を使用中の方
リファンピシン/イリノテカン塩酸塩水和物/ミダゾラム/トリアゾラム/ベプリジル塩酸塩水和物/エルゴタミン酒石酸塩・無水カフェイン・イソプロピルアンチピリン/ジヒドロエルゴタミンメシル酸塩/エルゴメトリンマレイン酸塩/メチルエルゴメトリンマレイン酸塩/ピモジド/シンバスタチン/ロバスタチン(国内未発売)/ロミタピドメシル酸塩/バルデナフィル塩酸塩水和物/ブロナンセリン/アスナプレビル/アゼルニジピン/オルメサルタンメドキソミル・アゼルニジピン/ルラシドン塩酸塩/リバーロキサバン/リオシグアト/グラゾプレビル水和物/グレカプレビル水和物・ピブレンタスビル/プロトンポンプ阻害剤(オメプラゾール/ランソプラゾール/ラベプラゾール/エソメプラゾール/ボノプラザンフマル酸塩)/アスピリン・ランソプラゾール/アスピリン・ボノプラザンフマル酸塩/セイヨウオトギリソウ

使用に注意が必要な方
・心伝導障害(房室ブロック)のある方
アタザナビル硫酸塩の作用により、心電図検査でPR間隔の延長を示すことがあります。

・血友病及び著しい出血傾向を有する方
HIVプロテアーゼ阻害薬(ヒト免疫不全ウイルス(HIV)が体内で感染拡大するのを抑える薬)にて治療中の血友病の方において、突発性の出血性関節症など、出血事象の増加が報告されています。

・無酸症等、著しい低胃酸状態が持続している方
標題の状態の方の場合、アタザナビル硫酸塩の血中濃度が低下し、作用が減弱する可能性があります。

・B型・C型肝炎の方
肝機能が悪化するおそれがあります。定期的に肝機能検査を実施するなど、注意深く状態をモニタリングすることが必要です。

・使用前に著しいトランスアミナーゼの上昇が認められた方
肝機能が悪化するおそれがあります。定期的に肝機能検査を実施するなど、注意深く状態をモニタリングすることが必要です。

・軽度〜中等度の肝障害のある方
アタザナビル硫酸塩は主に肝臓で代謝されるので、肝障害のある方の場合、高い血中濃度が持続するおそれがあります。

・妊婦または妊娠している可能性のある方
標題の状態の方は、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみお使いください。

・授乳婦
乳汁を介してHIV母児感染の可能性があります。また本成分の乳汁中への移行により乳児に重篤な有害事象が発現する可能性もありますので、極力摂取を避けてください。

・小児等
小児等に対する国内臨床試験は実施されていないため、安全性が確立されていません。

・高齢者
高齢者においては、一般に肝機能、腎機能、心機能などの生理機能が低下しています。また合併症があったり他の薬剤を併用していたりするケースが多いため、状態を十分に観察しながら服用してください。

上記にあてはまる方は、アタザナビル硫酸塩を使用する事が出来ない可能性があります。
アタザナビル硫酸塩を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

併用注意薬
【アタザナビル硫酸塩の効果が減弱する可能性のあるもの】
H2受容体拮抗剤/エトラビリン/エファビレンツ/テノホビルジソプロキシルフマル酸塩/ネビラピン/ブプレノルフィン塩酸塩/ホスアンプレナビルカルシウム水和物/ボリコナゾール/緩衝作用を有する薬剤/制酸剤

【アタザナビル硫酸塩の副作用があらわれる可能性があるもの】
クラリスロマイシン

【併用薬の副作用があらわれる可能性があるもの】
CYP3A4の基質となる薬剤/アトルバスタチンカルシウム水和物/アミオダロン塩酸塩/エトラビリン/エルバスビル/キニジン硫酸塩水和物/クラリスロマイシン/シクロスポリン/ジルチアゼム塩酸塩/シルデナフィルクエン酸塩/タクロリムス水和物/ダサチニブ水和物/タダラフィル/テノホビルジソプロキシルフマル酸塩/テムシロリムス/トラゾドン塩酸塩/ニカルジピン塩酸塩/ニフェジピン/ネビラピン/フェロジピン/ブプレノルフィン塩酸塩/ベラパミル塩酸塩/ボセンタン水和物/ボリコナゾール/マラビロク/リドカイン塩酸塩全身投与/リファブチン/ロスバスタチン/ワルファリン/経口避妊薬/三環系抗うつ薬

【その他】
イトラコナゾール/ケトコナゾール/ボリコナゾール

上記を使用している方は、アタザナビル硫酸塩を使用する事が出来ない可能性があります。
アタザナビル硫酸塩を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬
【アタザナビル硫酸塩の効果が減弱する可能性のあるもの】
アスピリン・ボノプラザンフマル酸塩/プロトンポンプ阻害剤/リファンピシン/セイヨウオトギリソウ含有食品

【併用薬の副作用があらわれる可能性があるもの】
アゼルニジピン含有製剤/イリノテカン塩酸塩水和物/エルゴタミン酒石酸塩・無水カフェイン・イソプロピルアンチピリン/エルゴメトリンマレイン酸塩/グラゾプレビル/グレカプレビル・ピブレンタスビル/ジヒドロエルゴタミンメシル酸塩/シンバスタチン/トリアゾラム/バルデナフィル塩酸塩水和物/ピモジド/ブロナンセリン /ベプリジル塩酸塩水和物/ミダゾラム/メチルエルゴメトリンマレイン酸塩/リオシグアト/リバーロキサバン/ルラシドン塩酸塩/ロバスタチン/ロミタピド

上記の併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

よくある質問
アタザナビル硫酸塩を含むものを始め、抗HIV薬は一生飲み続けなければならないのですか?

現在、抗HIV薬でウイルスを死滅させる効力を持つものはありません。
すべてはウイルスの増殖を抑制するためのものです。
そのため、服用を止めると同ウイルスは再び増殖を始めます。
ウイルスの増殖を阻止するには、生涯にわたる継続した服用が不可欠なのです。

服用し忘れた場合どうしたらいいですか?

アタザナビル硫酸塩を含む薬は、予定時刻を少しだけ過ぎた場合は速やかに服用してください。
それ以降の服用時刻を変更する必要はありません。
予定時刻を大幅に過ぎた場合はその1回は飛ばして、次回の受診時に医師にその旨を伝えてください。決して2回分をまとめて服用してはいけません。
あまり飲み忘れが続くと、ウイルスの増殖をゆるすだけでなく、薬への耐性を持たせてしまい後の治療が困難になる危険性がありますのでご注意ください。

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医薬品を使用し、体調不良が現れた場合、我慢せずに直ちに医師の診察を受け、指示に従って下さい。