成分名 |
オウヒエキス |
適応症状 |
咳止め/去痰 |
簡易説明 |
オウヒ(桜皮)はバラ科のヤマザクラ、その他Prumusu属の樹皮を乾燥したもので、古くから民間薬(生薬)として鎮咳去痰(咳を止め、痰の切れをよくする)に使用されてきました。なお、中国では桜の皮を使用した生薬はなく、オウヒは日本独自の生薬成分です。オウヒは2012年に日本薬局方(国内で繫用されている医薬品の規格基準書)に掲載されました。
丸石製薬株式会社は、1987年5月にオウヒエキス製剤であるサリパラ液(以下、本剤)の製造承認を取得、同年に発売を開始しました。
オウヒエキスは一般用医薬品にも用いられていて、2023年1月現在、14製品(かぜ薬、鎮咳去痰薬、のど飴)に含まれています。また、オウヒは漢方薬の十味敗毒湯にも含まれています。
※生薬、漢方薬、西洋薬の違い
・生薬は植物や動物、鉱物などの天然物、単一成分を用いた薬でその効果はそれぞれの成分が持つ働きによります。その生薬を複数組み合わせた薬が漢方薬になります。漢方薬は生薬を決められた割合で組み合わせることで高い効果を生み出します。
漢方薬は漢方医学の理論によって作られています。漢方医学は元々中国から伝わってきた医学を日本独自に発展させたもので、中国の医学(中医学)とは異なる医学です(オウヒが中国にはないのはこのためです)。
漢方、中医学は東洋医学と呼ばれており、体本来のもつ働きを高め、正常な状態に戻そうとする考え方に基づいています。この考え方では病気に至らないものの軽い不調がある状態(未病)も治療対象となります。
一方、現在主に使われている薬(西洋薬)は西洋医学に基づいた薬となります。西洋医学は東洋医学とは異なり、おきている症状に対応するもの、病気そのものを対象とした治療が中心となります。また天然物を成分とした生薬、漢方薬に対し、西洋薬は化学合成して造られる薬が多いことも違いとなります。
東洋医学(生薬、漢方薬)、西洋医学(西洋薬)それぞれに強みや弱みがあり、それぞれの長所を活かした治療が大切になります。 |
処方可能な診療科目 |
内科/消化器科/消化器内科など |
健康保険の適応 |
下記疾患に伴う咳嗽及び喀痰喀出困難
急性気管支炎、肺炎、肺結核 |
病院で処方してもらう時の費用目安 |
診察料などの目安:約300円(10円×30日)~600円(20円×30日)
※薬代は1円台以下を四捨五入した点数(1点=10円)で計算し、1日薬価が四捨五入して10円以下になる場合(1日薬価15円未満)は1点として計算します。なお、3割負担の方であれば、個人負担分はこの場合、100円~200円となります。
薬代1mLあたりの目安:1.56円
薬代後発品1mLの目安:後発品なし
病院によって差が有り薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要になる。 |
厚生労働省による認可、または発売年月日 |
発売年月日:1987年10月1日 |
国内のジェネリック認可 |
現在ジェネリック医薬品の製造はありません。 |
関連製品(先発薬) |
サリパラ液【製薬メーカー:丸石製薬株式会社】 |
関連製品(ジェネリック) |
現在ジェネリック医薬品の製造はありません。 |
効果・作用 |
オウヒエキスを主成分とする本剤は緩やかな鎮咳去痰作用を持つ生薬製剤です。本剤100mL中にオウヒエキスが3.3g含まれています。
オウヒ(桜皮)は江戸時代の民間療法の書物に、「しゃっくりに桜の樹皮を黒焼きにして、粉にして白湯で用いる。」といった記載がされています。また華岡青洲が考案した「十味敗毒湯」という漢方薬の成分(15成分)の一つになっています。なお、漢方薬は含まれる成分が相互に働くことで効果を表す薬ですので、十味敗毒湯の適応症は鎮咳去痰はありません(皮膚疾患*の薬です)。
*「クラシエ十味敗毒湯エキス顆粒」の適応症:化膿性皮膚疾患・急性皮膚疾患の初期、じんましん、急性湿疹、水虫
このような背景から薬効を調べる試験等はあまり行われていませんが、本剤はモルモットを用いた試験で鎮咳効果を確認しています。
発売当初は喘息、百日咳、咽頭結核に伴う咳嗽及び喀痰喀出困難も適応症でしたが、再評価(最新の知見による承認済み医薬品の再検討)の結果、これらの適応症がなくなり、現在の疾患(急性気管支炎、肺炎、肺結核)に伴うもののみとなりました。
一般用医薬品でオウヒエキスは下記の薬に使われています(会社名:消費者相談窓口)。
・かぜ薬(指定第二類医薬品)
かぜねつショウキカプセルA、カゼトップs、カゼゴールドカプセルGO、カゼックゴールド、ハイゼンG(第一薬品工業株式会社)、ハイカイゲンカゼカプセル(カイゲンファーマ株式会社)、ジスコールかぜ内服液〈小児用〉、ゼリスかぜ内服液「小児用」(大正堂薬品工業株式会社)、パイロンハイEX(シオノギヘルスケア株式会社)
・鎮咳去痰薬(指定第二類医薬品)
ゼリス液Ⅱ(大正堂薬品工業株式会社)、トニン咳どめ液D(佐藤製薬株式会社)、新フクエフ咳止め錠(田村薬品工業株式会社)
・のど飴
ルルのど飴DXG、ルルのど飴OR(第一三共ヘルスケア株式会社) |
使用方法 |
1回2~4mL(*)を1日3回飲みます。症状、年齢等によって用量は増減します。
(*)オウヒエキスとして66~132mg) |
副作用 |
副作用は現在報告されていません。
※何か異変を感じた場合は、直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。 |
使用に注意が必要な方 使用出来ない方 |
使用が出来ない方 ■オウヒエキスを配合した医薬品の添加物に、アレルギーをお持ちの方
下記、添加物にアレルギーをお持ちの方、サリパラ液はアレルギー反応を起こしてしまう為、服用できません。
▼サリパラ液の有効成分
オウヒエキス
▼サリパラ液の添加物
グリセリン、パラオキシ安息香酸プロピル、サッカリンナトリウム水和物、エタノール、香料
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併用禁忌薬 |
併用注意薬 ・N-メチルテトラゾールチオメチル基のあるセフェム系抗生物質
(セフメノキシウム塩酸塩、セフォペラゾンナトリウム、セフブペラゾンナトリウム、セフミノクスナトリウム水和物、セフメタゾールナトリウム、ラタモキセフナトリウム)
・メトロニダゾール
本剤はエタノールを含むため、これらの薬剤とアルコール反応を起こすおそれがあります。
上記を使用している方は、オウヒエキスを使用する事が出来ない可能性があります。 オウヒエキスを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。
併用禁忌薬 ・ジスルフィラム、シアナミド、カルモフール、プロカルバジン塩酸塩
本剤はエタノールを含むため、これらの薬剤とのアルコール反応を起こすおそれがあります。
※アルコール反応:顔面紅潮、血圧降下、悪心、頻脈、めまい、呼吸困難、視力低下等
上記の併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です 現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。 |
よくある質問 |
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参考元一覧 |
桜皮エキス(サリパラ液 添付文書、インタビューフォーム) 【PMDA 医療用医薬品 情報検索(よくある質問)】
オウヒエキス(添付文書) 【PMDA 一般用医薬品・要指導医薬品 情報検索】
サリパラ液の配合変化試験について 【丸石製薬株式会社 サリパラ液500mL お役立ちツール(よくある質問)】
医薬品マスター検索(サリパラ) 【厚生労働省 診療報酬情報提供サービス】
生薬の玉手箱|オウヒ(桜皮) 【株式会社ウチダ和漢薬 毎月の生薬情報】
漢方について知る 【クラシエ 漢方セラピー】 |
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