プラジカンテル

成分名

プラジカンテル

適応症状

肝吸虫症
肺吸虫症
横川吸虫症
(日本住血吸虫症にも有用であるが、日本では住血吸虫症に対する効能は承認されていない)

簡易説明

体内に寄生した吸虫の膜構造を破壊することにより、吸虫を致死させます。通常、寄生虫症(肝吸虫症、肺吸虫症、横川肺吸虫症)の治療に用いられます。
ビルトリシドはドイツ・バイエル社及び E・メルク社が共同開発したプラジカンテルを主成分とする吸虫駆除剤です。本剤は広い抗吸虫スペクトルを有し、成虫のみならずセルカリアにも有効で、催奇形性、抗原性、変異原性等の特殊毒性、蓄積性もみられないなどの特徴を有します。

処方可能な診療科目

感染症内科/内科など

健康保険の適応

健康保険適応
住血吸虫症に対しては保険適用外

病院で処方してもらう時の費用目安

診察料などの目安  :約2,000円~
薬代1錠あたりの目安:
新薬錠剤600mg 1錠あたり 1283.5円(薬価)

病院によって差が有り薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要になる。

厚生労働省による認可、または発売年月日

発売開始年月:1989年1月
製造販売承認年月:2009年5月8日(販売名変更による)

国内のジェネリック認可

現在ジェネリック医薬品の製造はありません。

関連製品(先発薬)

ビルトリシド錠600mg 【製薬メーカー:バイエル薬品】

関連製品(ジェネリック)

現在ジェネリック医薬品の製造はありません。

海外での使用実績

本剤はドイツ、アメリカ合衆国、フランス、カナダ等世界26ヵ国で販売されている(2020年6月現在)
アメリカ 1982年承認
カナダ 1997年承認

効果・作用

このお薬は、吸虫類に有効な駆虫薬です。吸虫体に取り込まれ、その膜を不安定化させて殺虫します。効果が高く、1~2日間の服用で治療が可能です。
正確な作用機序はわかっていませんが、Caイオンの急速な流入に伴い寄生虫に形態学的な変化をもたらすことで抗寄生虫作用をもたらすと考えられています。電位依存カルシウムイオンチャネルのβサブユニットが作用点と提唱されています。その他、住血吸虫についてはアデノシン受容体に作用し、カルシウム流入をもたらす機序も考えられている。
組織進入を起こす寄生虫では、宿主の免疫が治療に重要です。マンソン住血吸虫ではプラジカンテルが表面の抗原(27kDAと200kDA蛋白)を曝し、宿主の抗体によって駆除されやすくなります。

吸虫症には、住血吸虫症、肝吸虫症、肺吸虫症、横川吸虫症がありますが、このうち住血吸虫症は日本ではほぼ絶滅しています。残りの患者発生数も非常に少なくなりましたが、世界的には3億人の治療が必要とされてます。
住血吸虫症に対する本剤の有用性は外国においては確立されており、WHOでは住血吸虫症の治療のエッセンシャル・ドラッグとされているが、国内における評価症例がないため、日本国においては住血吸虫症に対する効能は承認されていません。

横川吸虫症:日本を含むアジア諸国に分布し、日本での感染機会はアユの生食が重要です。エジプトに分布する類縁の異形吸虫はボラなどの汽水産の魚類に寄生しています。健康診断の検便で最も多く検出される虫卵が本症といわれています。
肺吸虫症:日本で本症の原因となるのはウェステルマン肺吸虫と宮崎肺吸虫で、淡水産のカニ(モクズカニ、サワガニ)の生食で感染します。主たる症状は呼吸器症状ですが、肺以外にも体内の各所に迷入することがあり、臓器特有の症状を示すことがあります。
肝吸虫症:アジア地域に分布し、コイ科の淡水魚の生食で感染します。東南アジア地域では別種のタイ肝吸虫が分布しています。胆管内に寄生するので経過とともに肝機能異常、肝硬変、胆管細胞癌などを起こすことがあります。

日本では吸虫症の発症例数が極めて少ないこと、安全性、有効性、用法の面から適当な抗吸虫薬がないことから、希少疾病用医薬品としての指定を受け、1988年9月に製造販売承認を得て1989年1月に発売されました。
その後、医療事故防止対策に基づき、2009年5月に販売名をビルトリシド錠からビルトリシド錠600mgに変更しました。

犬猫用の条虫類駆除剤は、ドロンシットという商品名でバイエル薬品より販売されております。

使用方法

〈肝吸虫症、肺吸虫症〉
プラジカンテルとして〉1回20mg/kgを1日2回2日間経口投与する。
〈横川吸虫症〉
プラジカンテルとして、1回20mg/kgを1日1~2回1日経口投与する。
<用法・用量に関連する使用上の注意>
1回投与量20mg/kgは、患者の体重に応じほぼ次の錠数になる。
体重20~26kg:3/4錠
体重27~33kg:1錠
体重34~41kg:1錠1/4錠
体重42~48kg:1錠1/2錠
体重49~56kg:1錠3/4錠
体重57~63kg:2錠
体重64~70kg:2錠1/4錠
体重71~78kg:2錠1/2錠
体重79~86㎏:2錠3/4錠

使用にあたり、眠くなることがあります。
車の運転や危険な作業には注意しましょう。

副作用

主な副作用
嘔気/下痢/頭痛/腹痛/発疹/AST上昇/ALT上昇/γ-GTP上昇/LDH上昇/Al-P上昇/血清ビリルビン上昇

その他の副作用
赤血球減少/血小板減少/好酸球増多/白血球増加/嘔吐/食欲不振/頭重感/眠気/眩暈/倦怠感/発熱/過敏症/アレルギー反応/多発性漿膜炎/そう痒/痙攣/無力症/脱力感/筋肉痛/不整脈/脳波の徐波増加

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
■プラジカンテルを配合した医薬品の添加物に、アレルギーをお持ちの方
下記、添加物にアレルギーをお持ちの方プラジカンテル(ビルトリシド錠600mgの場合)は、アレルギー反応を起こしてしまう為、服用できません。

▼ビルトリシド錠600mgの有効成分
1錠中、プラジカンテル600mg含有
▼ビルトリシド錠600mgの添加物
トウモロコシデンプン/結晶セルロース/ポビドン/ラウリル硫酸ナトリウム/ステアリン酸マグネシウム/ヒプロメロース/マクロゴール4000/酸化チタン

■その他の使用できない方
・過敏症
・リファンピシン投与中
・有鉤嚢虫症
・条虫症

希望禁止
・妊婦・産婦

使用に注意が必要な方
・住血吸虫
・住血吸虫の幼虫ステージ

慎重投与
・肝機能障害
・腎機能障害
・不整脈
・高齢者

上記にあてはまる方は、プラジカンテルを使用する事が出来ない可能性があります。
プラジカンテルを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

併用注意薬
デキサメタゾン
フェニトイン
カルバマゼピン
ヒドロキシクロロキン硫酸塩
シメチジン
イトラコナゾール

上記を使用している方は、プラジカンテルを使用する事が出来ない可能性があります。
プラジカンテルを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬
リファンピシン:リファジン等(プラジカンテルの効果がなくなります)

上記の併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

よくある質問
プラジカンテルは店頭薬ですか?人への使用は安全ですか?

プラジカンテルは処方せんでのみ入手可能な医薬品です。 医師が推奨する用量および期間で使用した場合安全です。

条虫のサナダムシはプラジカンテルで治療できますか?

できますが、保険適用ではありません。ただ、錠剤を1回内服すれば終了です。内服後、頭部が腸管に付着していた虫体がそのままの形状で排泄されます。確実に駆虫されたかどうかはこの頭部を確認する必要がありますが、鉛筆の芯程の頭部を見つけるのは容易なことではなく、万が一確認できなくても1か月程度してから検便による虫卵検査を行い、虫卵が検出されなければ根治となります。

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