パズフロキサシンメシル酸塩

成分名

パズフロキサシンメシル酸塩

適応症状

〈適応菌種〉
パズフロキサシンに感性のブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌、腸球菌属、モラクセラ(ブランハメラ)・カタラーリス、大腸菌、シトロバクター属、クレブシエラ属、エンテロバクター属、セラチア属、プロテウス属、モルガネラ・モルガニー、プロビデンシア属、インフルエンザ菌、緑膿菌、アシネトバクター属、レジオネラ属、バクテロイデス属、プレボテラ属

〈適応症〉
敗血症、外傷・熱傷及び手術創等の二次感染、肺炎、肺膿瘍、慢性呼吸器病変の二次感染、複雑性膀胱炎、腎盂腎炎、前立腺炎(急性症、慢性症)、腹膜炎、腹腔内膿瘍、胆嚢炎、胆管炎、肝膿瘍、子宮付属器炎、子宮旁結合織炎

簡易説明

パズフロキサシンメシル酸塩は、富山化学工業と田辺三菱製薬によって開発された注射用ニューキノロン系抗菌薬で、b-ラクタム系抗菌薬の耐性化に対抗する新たな選択しとなる薬剤です。ニューキノロン系抗菌薬は、既に経口剤としての優れた抗菌力と組織移行性が評価されていましたが、注射剤では副作用が増大する可能性があったため、新しい開発が求められていました。本剤は強力な抗菌活性と広範な抗菌スペクトルを持ち、高い血中濃度を保つことができます。また、痙攣誘発作用や細胞毒性が少なく、投与量の調整も可能で、広範な感染症に対応できます。

処方可能な診療科目

総合内科/消化器内科など

健康保険の適応

健康保険適応

病院で処方してもらう時の費用目安

本剤は処方薬ではありません。
薬代1キットあたりの目安:300mg約1106円~/500mg約1357円~/1000mg約2005円~
病院によって差が有り薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要になります。

厚生労働省による認可、または発売年月日

300㎎/500mg:2002年9月発売
1000㎎:2010年10月発売

国内のジェネリック認可

現在ジェネリック医薬品の製造はありません。

関連製品(先発薬)

パシル点滴静注液300mg/パシル点滴静注液500mg/パシル点滴静注液1000mg【製薬メーカー:富士フイルム富山化学】
パズクロス点滴静注液300mg/パズクロス点滴静注液500mg/パズクロス点滴静注液1000mg【製薬メーカー:田辺三菱製薬】

関連製品(ジェネリック)

現在ジェネリック医薬品の製造はありません。

効果・作用

パズフロキサシンメシル酸塩は、富山化学工業株式会社と田辺三菱製薬株式会社で共同開発した注射剤のニューキノロン系抗菌薬です。b-ラクタム系抗菌薬以外の抗菌薬の開発が望まれる中で、本剤は、キノロン骨格の 7位に C-C結合を介して 1-aminocyclopropyl 基を導入したところ、これまでのニューキノロン系抗菌薬に匹敵する強い抗菌活性と広い抗菌スペクトルをもち、高い血中濃度を示しました。加えて、動物試験において痙攣誘発作用、急性毒性や細胞毒性が少なく、細菌特有の DNA ジャイレース阻害作用とヒト等の哺乳類のトポイソメレースⅡ阻害作用における選択性がみられました。
つまり、広い抗菌スペクトルを有し、緑膿菌などのb-ラクタム系抗菌薬耐性菌にも優れた抗菌活性を示すことが特徴となっております。

本剤の効果を検討する国内第3相試験を実施しています。1日投与量2000mgで実施し、敗血症、重症・難治性肺炎や肺炎球菌による肺炎に対する臨床効果を検討しました。結果、敗血症に対しては6名中6名の効果を改善し、有効率100%でした。重症・難治性肺炎に対しては16名中13名の症状改善を示し、有効率81.3%、肺炎球菌による肺炎に対しては有効率76.9%でした。

使用方法

【敗血症、肺炎球菌による肺炎、重症・難治性の呼吸器感染症(肺炎、慢性呼吸器病変の二次感染に限る)以外】
1日1000mgを2回に分けて点滴静注します。なお、年齢や症状に合わせて、1日600mgを2回に分けて点滴静注するなど、減量してください。点滴静注に際しては、30分~1時間かけて投与してください。

【敗血症、肺炎球菌による肺炎、重症・難治性の呼吸器感染症(肺炎、慢性呼吸器病変の二次感染に限る)】
1日2000mgを2回に分けて点滴静注します。点滴静注に際しては、1時間かけて投与してください。

副作用

主な副作用
発疹やALT/AST増加、下痢や悪心、注射部位反応などがあげられます。

重大な副作用
ショック、アナフィラキシー、急性腎障害、肝機能障害、偽膜性大腸炎、横紋筋融解症、幻覚などの精神症状、低血糖などに注意をしてください。

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
■パズフロキサシンメシル酸塩を配合した医薬品の添加物に、アレルギーをお持ちの方
下記、添加物にアレルギーをお持ちの方はアレルギー反応を起こしてしまう為、服用できません。
▼パシル/パズクロスの有効成分
パズフロキサシンメシル酸塩
▼代表薬の添加物
メタンスルホン酸、塩化ナトリウム

・以前、パズフロキサシンメシル酸塩を使用して過敏症となったことのある方は使用できません。
・妊婦もしくは妊娠している可能性のある女性には使用できません。
・小児には、動物実験において関節異常が認められたとの報告があるため使用できません。

使用に注意が必要な方
・キノロン系抗菌剤に対し過敏症となったことのある方は、使用には注意をしてください。
・本人もしくは両親、兄弟に気管支喘息、発疹、蕁麻疹などのアレルギー症状を起こしやすい体質のある方は、過敏症を起こしやすいため十分に問診を行ってください。
・心臓、循環器系機能障害のある方は、塩化ナトリウムを含有するため水分やナトリウム貯留が生じやすく、浮腫などの症状を増悪させるリスクがあります。
・てんかんなどの痙攣性疾患もしくはこれらの既往歴のある方は、痙攣を起こすことがあるため注意をしてください。
・重症筋無力症の方は、フルオロキノロン系抗菌薬で症状を悪化させるとの報告があります。
・大動脈瘤もしくは大動脈解離を合併している方、大動脈瘤もしくは大動脈解離の既往、家族歴若しくはマルファン症候群などのリスク因子がある方は、海外の疫学研究において、フルオロキノロン系抗菌薬投与後に大動脈瘤及び大動脈解離の発生リスクが上昇したとの報告があります。
投与する際は、画像検査の実施を検討してください。
・腎機能障害のある方は、1日2000mgを投与する場合、血中濃度上昇による副作用の発現に十分注意してください。異常があらわれた場合には症状に合わせて減量、休薬などの適切な処置を行ってください。
・高度の腎障害のある方は、高い血中濃度が持続することがあります。
・血液透析を施行している方は、投与量や投与間隔を適切に調節し、患者の状態を観察しながら慎重に投与してください。
・高齢者は腱障害があらわれやすいとの報告があるため、用量などに注意をして投与してください。

上記にあてはまる方は、パズフロキサシンメシル酸塩を使用する事が出来ない可能性があります。
パズフロキサシンメシル酸塩を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

併用注意薬
<テオフィリン、アミノフィリン水和物>
消化器障害、頭痛、不整脈、痙攣などのテオフィリン中毒症状があらわれる場合があります。血中濃度の変化などに気を付けてください。
<フェニル酢酸系、プロピオン酸系非ステロイド性消炎鎮痛剤(ジクロフェナクナトリウム/ロキソプロフェン/ナトリウム水和物)>
痙攣があらわれるリスクがあります。もし症状があらわれた場合には、両方の薬剤を投与中止し気道確保と抗痙攣薬の使用などを行ってください。
<ワルファリン>
ワルファリンの作用を強めて、出血やプロトロンビン時間の延長があらわれることがあります。
<副腎皮質ホルモン剤(経口剤、注射剤)(プレドニゾロン/ヒドロコルチゾン)>
伳障害のリスクが増大するとの報告があります。投与するメリットが上回るとされる場合にのみ併用を検討してください。

上記を使用している方は、パズフロキサシンメシル酸塩を使用する事が出来ない可能性があります。
パズフロキサシンメシル酸塩を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬
なし

併用禁忌薬がないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

パズフロキサシンメシル酸塩に関する
よくある質問
本剤の投与期間に制限はありますか?

本剤の投与期間は、原則として 14 日以内とされています。また、本剤投与開始 3 日後を目安に継続投与が必要か判断し、投与中止もしくはより適切な他剤に切り替えるべきか検討を行ってください。

用法及び用量に関連する注意

【上記引用元:パズフロキサシンメシル酸塩 医薬品インタビューフォーム】

投与するときの注意点はありますか?

本剤を投与する際、患者の血管を確保できないなど、やむを得ず側管から投与する場合は、他の薬剤との配合変化を避けるために、本剤使用の前後に生理食塩液でフラッシングと呼ばれるライン洗浄を行ってください。

適用上の注意

【上記引用元:パズフロキサシンメシル酸塩 医薬品インタビューフォーム】

参考元一覧

パズフロキサシンメシル酸塩 添付文書

サイト利用に関する注意事項

医薬品を使用する場合、必ず医師や薬剤師の指示に従って下さい。
医薬品を使用し、体調不良が現れた場合、我慢せずに直ちに医師の診察を受け、指示に従って下さい。