クロナゼパム

成分名

クロナゼパム

適応症状

てんかん発作、精神運動発作、自律神経発作など

簡易説明

クロナゼパムはF.Hoffmann-La Roche社によって合成されたベンゾジアゼピン系誘導体です。クロナゼパム製剤(以下、本剤)は日本国内では、1975年に住友化学工業株式会社と日本ロシュ株式会社で共同開発され、それぞれランドセン、リボトリールの2ブランド名で1980年に錠剤、細粒の製造承認を取得しました。
本剤は、ベンゾジアゼピン受容体に結合し脳の興奮を抑える働きをするGABA(γ‐アミノ酪酸)の働きを高めることで、てんかん発作等を抑える薬剤です。ベンゾジアゼピン系抗てんかん薬(ベンゾジアゼピン受容体作動薬)と呼ばれています。

処方可能な診療科目

神経内科/精神科/脳神経外科など

健康保険の適応

小型(運動)発作(ミオクロニー発作、失立(無動)発作、点頭でんかん(幼児けい縮発作、BNSけいれん等)
精神運動発作
自律神経発作

病院で処方してもらう時の費用目安

診察料などの目安:約840円(1錠9.30円×90日=837円)~約4,900円(1錠19.30円×1日3錠×90日=4,914円)
薬代1錠あたりの目安:ランドセン(0.5㎎:9.30円、1㎎:11.20円、2㎎:19.30円)、リボトリール(0.5㎎:9.30円、1㎎:10.60円、2㎎:18.20円)
薬代細粒1gあたりの目安:ランドセン(0.1%:10.80円、0.5%:41.60円)、リボトリール(0.1%:10.70円、0.5%:41.80)
薬代後発品錠あたりの目安:後発品なし
病院によって差が有り薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要になる。

厚生労働省による認可、または発売年月日

販売開始日:1981年1月12日

国内のジェネリック認可

現在ジェネリック医薬品の製造はありません。

関連製品(先発薬)

ランドセン【製薬メーカー:住友ファーマ株式会社】、リボトリール【製薬メーカー:太陽ファルマ株式会社】
※いずれも規格は錠0.5㎎、錠1㎎、錠2㎎、細粒0.1%、細粒0.5%の5規格

関連製品(ジェネリック)

現在ジェネリック医薬品の製造はありません。

海外での使用実績

アメリカで1975年6月にKLONOPINの販売名で承認を取得し、Genentech USA,Inc.が販売しています。
剤型:錠0.5㎎・1㎎・2㎎
適応や使用方法は日本国内と同じです。
(2019年7月時点の情報)

効果・作用

てんかんは脳の一部の細胞が突然一時的に異常な電気信号をおこすことにより生じ、てんかん発作といわれる、突然意識を失って反応がなくなるなど、その異常が発生する部位や範囲によって様々な症状があらわれる病気です。
この脳の一部の細胞(神経細胞)の電気信号は外部からの刺激等によっておこりますが、てんかん発作では刺激等がない状態で自発的におこり、その自発的な電気信号の発生が繰り返しおこることがてんかんの特徴となります。

抗てんかん薬によるてんかんの治療は、その方の症状や検査結果・その方の持病等を考慮した上で抗てんかん薬が選択されます。少量から開始して発作が止まる量(維持量)まで増やしていきます。薬の最大用量まで使用しても効果がない場合は、薬を徐々に減らしながら中止し、他の薬剤をまた徐々に増量しながら開始します。
できるだけ1剤での治療を目指しますが、複数の薬剤併用が効果的な場合もあります。
約8割の方が薬物療法で発作がおこらなくなりますが、いくつかの薬を試しても効果がない場合は手術治療を検討します。

てんかん診療ガイドライン2018では、本剤は以下の位置づけになっています。
(成人てんかん)
新規発症の部分てんかん、全般てんかん:第二選択薬
(小児・思春期てんかん)
他剤治療(バルプロ酸)後に再発した場合のミオクロニー発作:第二選択薬

国内で行われた臨床試験の成績(有効率)
小型(運動)発作:45.2%(328/726)
精神運動発作:49.9%(66/133)
自律神経発作:75.0%(12/16)

新型コロナウイルス感染症予防・治療に関して

この薬は併用に注意すべき薬がありますので、予防接種や治療を受ける時は必ず医師または薬剤師に本剤を飲んでいることを伝えてください。

使用方法

【成人・小児】
1日0.5㎎~1㎎を1~3回に分けて飲み始め、効果が得られるまで徐々に増量します。通常は維持量として1日2㎎~6㎎を1~3回に分けて飲みます。
【乳児・幼児】
1日、体重1㎏あたり0.025㎎を1~3回に分けて飲み始め、効果が得られるまで徐々に増量します。維持料として1日、体重1㎏あたり0.1㎎を1~3回に分けて飲みます。

副作用

主な副作用
眠気、ふらつき、喘鳴(ゼイゼイとした呼吸音)など

重大な副作用
依存性(*)、呼吸抑制、睡眠中の多呼吸発作、刺激興奮、錯乱、肝機能障害、黄疸

全体の副作用の発生頻度:27.3%(1,423/5,206)
主な副作用の発生頻度:眠気(13.9%)、ふらつき(7.6%)、喘鳴(2.7%)

海外で実施された複数の抗てんかん薬の臨床試験で、自殺未遂・願望の発現リスクが未治療群に比べて約2倍だった(抗てんかん薬群:0.43%、未治療群:0.24%)との報告があります。

(*)依存性
ベンゾジアゼピン受容体作動薬を長く続けると、依存性(この薬を飲みたいと強く感じる気持ち)が現れることがあります。厚生労働省の「重篤副作用疾患別対応マニュアル‐ベンゾジアゼピン受容体作動薬の治療薬依存」は主に睡眠薬、抗うつ剤として使用されるベンゾジアゼピン受容体作動薬について記載されていますが、クロナゼパムによる薬物依存も日本国内で報告されています。

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
本剤を飲んで過敏症(じんましん等)が現れた方(過敏症がおこりやすいため)
急性閉塞隅角緑内障の方、重症筋無力症の方(症状を悪化させることがあるため)

使用に注意が必要な方
心臓に障害のある方、呼吸機能が低下している方(症状が悪化するおそれがあるため)
脳に器質的障害のある方(作用が強く現れるおそれがあるため)
衰弱している方(副作用が現れやすいため)
腎臓・肝臓に障害のある方(本剤の排泄が遅くなるおそれがあるため)
妊婦・妊娠している可能性のある方(新生児の奇形や胎児に本剤の作用があらわれるとの報告があるため)
授乳中の方(乳汁移行により新生児に本剤の作用が現れるおそれがあるため)
小児等(作用が強く現れるおそれがあるため)※低出生体重児、新生児を対象とした臨床試験はおこなっていません。
高齢者(運動失調等の副作用が現れやすいため)

上記にあてはまる方は、クロナゼパムを使用する事が出来ない可能性があります。
クロナゼパムを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

併用注意薬
抗てんかん剤、中枢神経抑制剤、アルコール:作用が増強されることがあります。ヒダントイン誘導体の抗てんかん剤(フェニトイン)と併用するとヘニトインの血中濃度が上昇したとの報告があります。
モノアミン酸化酵素阻害剤(パーキンソン病治療薬):舞踏病(意思に反して手足等が動く、精神症状などが現れる難病)が発現したとの報告があります。
パルプロ酸ナトリウム(抗てんかん剤):欠神発作重積(てんかん発作症状の一つ。意識障害や動作停止の発作)が現れたとの報告があります。

上記を使用している方は、クロナゼパムを使用する事が出来ない可能性があります。
クロナゼパムを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬
現在併用禁忌薬は報告されていません

併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

よくある質問
薬を飲み忘れた場合はどうすればよいですか。

気が付いた時に飲んでください。ただし、次の飲む時間が近い時は一度飛ばして、次の時間に飲むようにし、絶対に2回分を一度に飲まないでください。多く飲みすぎると、眠くなる、めまいがするなどの副作用が起こる可能性があります。
間違えて多く飲みすぎて副作用が出た場合は、すぐに受診してください。

薬が残った場合はどうすればよいですか。

医師や薬局などで処分方法を相談してください。絶対に他の人に渡してはいけません。

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医薬品を使用し、体調不良が現れた場合、我慢せずに直ちに医師の診察を受け、指示に従って下さい。