ラコサミド

成分名

ラコサミド

適応症状

てんかん(二次発作)/他のてんかん薬で効果がない場合の強直間代発作に対する併用療法など

簡易説明

ラコサミドは抗てんかん薬です。
てんかんは脳の神経信号が活発になりすぎてしまうことで、けいれんや意識障害を繰り返し起こす病気です。脳の一部から始まる部分発作と、脳全体で始まる全般発作の2つに分けられています。部分発作も、適切にコントロールされなければ全般発作につながってしまう恐れもあります。

ラコサミドはこのうち部分発作に特に効果がある薬です。ラコサミド単独で治療に使用するだけでなく、他の抗てんかん薬と一緒に服用することもあります。薬を服用してもなかなか上手く発作がコントロールできない難治性てんかんに対して効果を発揮することも確認されています。
脳の神経が興奮を起こす環境を作りにくくすることで、結果的に興奮を抑えることができます。

処方可能な診療科目

神経内科/脳神経外科/精神科/内科など

健康保険の適応

健康保険適応

病院で処方してもらう時の費用目安

診察料などの目安  :約1000円前後
薬代1錠あたりの目安:ビムパット50㎎ 217.9円/錠、ビムパット100㎎ 355.6円/錠
薬代後発薬1錠の目安:ベンビダ50㎎ 118.5円/錠(個人輸入として)
病院によって差が有り薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要になります。
また、それぞれの健康保険負担割合によっても異なります。

てんかんには様々な種類があり、要件に該当すれば高額療養費制度や障障者手帳制度、小児の医療費助成制度など様々な種類の中から受給できる可能性があります。それぞれの申請先または治療を受ける病院のケースワーカーへ相談してください。

厚生労働省による認可、または発売年月日

2016年8月販売開始

国内のジェネリック認可

現在国内のジェネリック医薬品の製造はありません。

関連製品(先発薬)

ビムパット錠50㎎/ビムパット錠100㎎(ユーシービージャパン/第一三共)

関連製品(ジェネリック)

個人輸入:ベンビダ50㎎(Bilim iLAC)

海外での使用実績

2008年8月に欧州、同年10月にアメリカ、世界70カ国以上で承認されている薬です。

効果・作用

てんかんとは、てんかん発作を繰り返す脳の病気です。脳の神経細胞(ニューロン)に突然発生する異常な電気的刺激によって、繰り返し発作を起こすことを特徴としています。
発作は脳の異常な興奮が起こる場所によって症状が様々です。しかし、それらの症状は患者さんごとにほぼ一定で、同じ症状の発作が繰り返し起こることも特徴です。

てんかんは「特発性てんかん」と「症候性てんかん」の2つに分けられています。
特発性てんかん:検査をしても異常なし、原因がわからないてんかん。基本的にてんかんは遺伝しない病気と考えられていますが、一部には起こしやすい傾向が遺伝するのではないかという可能性が指摘されています。
症候性てんかん:脳に障害が起きたり、脳の一部が傷ついたことで起こるてんかん。例として、出産時のトラブルや低酸素、脳炎、髄膜炎、脳出血や脳梗塞などの脳血管疾患、頭部外傷、アルツハイマー型認知症などが挙げられます。

てんかんの治療法として、薬物療法、外科的手術治療、迷走神経刺激療法、ケトン食療法、ACTH療法などがありますが、基本は薬物療法です。薬物療法では、正しく薬の服用を続けることが必須のため、患者さんの病気に対する理解や、実際の服薬状況と発作の状況を正しく把握する必要があります。

私たちヒトの体は、全身に神経が張り巡らされています。その神経の中を弱い電気の信号が通ることで、様々な情報が伝達されているのです。特に脳には神経細胞がたくさん集まっており、日々大量の情報が処理されています。例えば目や耳、皮膚や舌のような感覚器から脳へ情報が伝達されると、「美しい」「冷たい」「苦い」などと感じることができます。それとは反対に、脳からの命令を体に伝達することで、歩く、話すなどの運動ができます。無意識のうちに働く心臓の動きや呼吸の調節、気持ちの変化などの精神活動も脳で制御されています。
このような働きをしている脳の中の電気の信号が、突然いっせいに発生しすぎると脳の機能が乱れてしまい、正しく情報を受け取ったり命令を出したりすることができず、体の動きをコントロールすることができなくなります。
普段脳の神経は、興奮と抑制(交感神経と副交感神経のような関係)がバランスよく働いています。ところが、突然の電気の信号の一斉な発生は、このバランスを崩してしまいます。この状態で引き起こされるのが、てんかん発作です。

てんかん発作は①部分発作(脳の一部から興奮が始まるもの) ②全般発作(脳の全体が一気に興奮するもの) ③分類不能 の3つに分けられています。①では意識が保たれている単純部分発作、意識が失われる複雑部分発作、全身のけいれんに進展する二次性全般化など、②では欠神発作、ミオクロニー発作、間代発作、強直発作、間代強直発作、脱力発作などの種類があります。
それぞれの発作に対して効果がある薬が異なるるため、この症状による分類はとても重要とされています。

ラコサミドはこれらの発作の分類の中で、特に部分発作で効果を発揮します。脳の神経の電気信号は、ナトリウムチャネルという機能によって発射されます。脳の神経の興奮を決めるのは、活性化できるナトリウムチャネルの割合です。ラコサミドでは、この活性化できるナトリウムチャネルの割合を減少させることで、神経の過剰な興奮を抑えることができるという仕組みです。これにより結果的に発作を抑制することができるのです。
従来のナトリウムチャネル阻害薬がナトリウムチャネル不活性化を急速に促進するのに対して、ラコサミドではゆっくり穏やかな不活性化を促進するのが特徴で、別のてんかん治療薬と併用することで効果が期待できます。他の抗てんかん薬との相互作用も認めていないことも、併用治療に期待される一因です。

ラコサミドも、他の抗てんかん薬と同様に、血中濃度を適切に保つことでしっかりとてんかん発作を予防することができます。正しい用法用量で正確に服用すること、服用を続けることが大切です。飲み忘れてしまったことに気が付いた時は、すぐに服用してください。ただし、次の服用時間が近い場合には1~数時間遅らせて次の分を服用してください。忘れた分を飛ばして服用しないでおくと、てんかん発作が起こりやすくなることがあります。また、決して1度に2回分は服用してはいけません。ラコサミドは食事とは関係なく服用することができる特徴があります。空腹でも薬の効果は変わりませんので、安心してください。
てんかんの治療薬は長い間服用を続ける必要があるだけでなく、中止や減量に関しても注意が必要です。突然に中止してしまったり、急激に減量することで、重いけいれん発作が起こってしまう可能性があります。中止や減量については、医師の慎重な判断のもと、長い時間をかけて徐々に行う必要があります。自己判断で行わないようにしましょう。

使用方法

成人:ラコサミドとして1日100㎎から服用スタートします。そのあと、1週間以上の間隔をあけて増量し、維持期には用量を1日200㎎とします。開始直後、維持期ともに1日2回に分けて服用します。症状に合わせて、1日400㎎までの範囲内で増量します。増量する際も、1週間以上の間隔をあけ、増量する1日用量が100㎎以下ずつ、徐々に行います。

小児:4歳以上の小児に処方されます。ラコサミドとして1日2㎎/㎏からスタートし、その後1週間以上の間隔をあけて、1日用量として2㎎/㎏ずつ増量します。維持用量は体重によって異なり、30㎏未満の場合には1日6㎎/㎏、30㎏以上50㎏未満の場合には4㎎/㎏とします。いずれも1日2回に分けて服用します。症状に応じた増量に関しては、30㎏未満の場合は1日12㎎/㎏、30㎏以上50㎏未満の場合は1日8㎎/㎏を超えない範囲内で調節します。増量に当たっては成人と同様に、1週間以上の間隔をあけ、1日用量で2㎎/㎏以下ずつ行います。体重が50㎏以上の小児については、成人と同じ用法用量が用いられます。

服用に当たっては、血液検査上、腎機能の低下や肝機能の低下が認められる場合には、用量に注意するなどして慎重に使用することとされています。
また、小児においては、成長過程で体重が増えていくため、これに応じた適切な観察と用量の設定が必要です。

副作用

重大な副作用
(いずれも1%未満または頻度不明)

房室ブロック、徐脈、失神:PR間隔の延長による
中毒性表皮壊死融解症、薬剤性過敏症症候群、無顆粒球症など

重大な副作用はめったにありませんが、初期症状等に注意してください。比較的起こりやすい副作用は、日々の生活でとても不快に感じるものです。しかし、これらを自己判断で突然に中止してしまうと、その反動から重いけいれん発作を起こすおそれがあります。自己判断で中止や増減したりせず、必ず医師に相談してください。

その他の副作用
3%以上のもの:めまい(17.8%)、悪心・嘔吐、疲れやすいなど
1~3%未満のもの:記憶障害、振戦、運動失調、複視、白血球減少、下痢、肝機能異常、食欲低下など

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
■ラコサミドを配合した医薬品の添加物に、アレルギーをお持ちの方
下記、添加物にアレルギーをお持ちの方、ビムパットはアレルギー反応を起こしてしまう為、服用できません。
▼ビムパットの有効成分
ラコサミド
▼代表薬の添加物
ビムパット50㎎:結晶セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、結晶セルロース・軽質無水ケイ酸、クロスポビドン、ステアリン酸マグネシウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール(部分けん化物)、酸化チタン、マクロゴール4000、タルク、青色 2 号アルミニウムレーキ、三二酸化鉄、黒酸化鉄
ビムパット100㎎:結晶セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、結晶セルロース・軽質無水ケイ酸、クロスポビドン、ステアリン酸マグネシウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール(部分けん化物)、酸化チタン、マクロゴール4000、タルク、黄三二酸化鉄

■他に使用できない方
重度の肝機能障害がある患者さんは服用できません。

使用に注意が必要な方
・心伝導障害や重度の心臓の病気がある患者さん、腎機能低下や肝機能障害がある患者さんは注意が必要です。

・妊婦:治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ使用します。(動物実験では、胎児に薬の成分が移行することが分かっています。)

・授乳婦:治療性の有益性と母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続または中止を検討する必要があります。(動物実験では母乳に移行することが分かっています。)

・小児:低出生体重児、新生児、乳児、4歳未満の幼児に対しては、臨床試験は実施されていません。また、小児における単剤療法についての臨床試験は国内外ともに行われていません。

・高齢者:生理機能の低下を考慮した使用が必要です。

上記にあてはまる方は、ラコサミドを使用する事が出来ない可能性があります。
ラコサミドを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

併用注意薬
PR間隔の延長を起こすおそれのある薬:ラコサミドの副作用によりPR間隔延長作用が増強するおそれがあります。

上記を使用している方は、ラコサミドを使用する事が出来ない可能性があります。
ラコサミドを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬
現在併用禁忌薬は報告されていません

併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

よくある質問
薬を飲んだ直後に嘔吐してしまいました。今回の薬はきちんと効きますか?

飲んだ直後に吐いてしまった場合には、薬の効果はないと考えられます。服用後およそ15~30分以内に吐いてしまった場合には、もう1回分重ねて服用してください。それ以上の時間がたっている場合には、それ以上飲む必要はありません。
吐いてしまった後慌てて2回目を飲んでしまった、余分に飲んでしまった場合には、その薬の種類や量によってその後の対応の仕方が違います。主治医に相談してください。

以前飲んでいたてんかんの薬では、いつも採血をしていました。ビムパットでも同じように採血しなければいけませんか?

2020年2月時点で、ビムパットの血中濃度についての有効な値は得られていません。国際試験において薬の効果がある人とない人の血中濃度はどちらも同程度だったこと、薬力学解析において、発作回数が減少しなかった患者さんで、血中濃度が最も下がった状態の数値と、発作回数の改善とは関連がなかったことの3点から、定期的な採血による血中濃度の観察は必要ないとされています。ビムパットでは、血中濃度に服用量による比例制はありますが、個人差は小さいことが特徴で、その値と発作の回数について明らかな関係性は認められていません。
きちんと服薬できているかどうかや、服用用量の調節時には採血による血中濃度のモニタリングは有用です。肝機能障害や腎機能障害を起こしていないかどうかの観察も含め、その際は採血を受けましょう。

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医薬品を使用する場合、必ず医師や薬剤師の指示に従って下さい。
医薬品を使用し、体調不良が現れた場合、我慢せずに直ちに医師の診察を受け、指示に従って下さい。