成分名 |
臭化カリウム |
適応症状 |
不安緊張状態の鎮静/小児の難治性てんかんなど |
簡易説明 |
臭化カリウムは、不安緊張状態の鎮静や小児の難治性てんかんに用いられる薬剤です。
典型的なイオン性の塩であり、水に溶けやすくて水溶液のpHは7であり、臭素イオン源として、写真フィルム用の臭化銀の製造に用いられることもあります。
臭化カリウムは、1912年にフェノバルビタールが登場するまで、てんかんの治療として第一選択薬でした。 |
処方可能な診療科目 |
内科/神経内科/脳神経内科/小児科など |
健康保険の適応 |
健康保険適応 |
病院で処方してもらう時の費用目安 |
診察料などの目安 :約1000円~5000円程
薬代1gあたりの目安:1g約8円
※病院によって差が有ります。初診料・診察料・検査料などが必要です。 |
厚生労働省による認可、または発売年月日 |
【臭化カリウム「ヤマゼン」】
薬価基準収載年月 : 1951年2月
販売開始年月 : 1971年11月
再評価結果公表年月 : 1983年7月 |
国内のジェネリック認可 |
なし |
関連製品(先発薬) |
【製薬メーカー:山善製薬】
臭化カリウム「ヤマゼン」 |
関連製品(ジェネリック) |
なし |
海外での使用実績 | 臭化カリウムのてんかんでの使用は、アメリカでは認められていませんが、ドイツでは、全身性や強直間代性、あるいは小児期の大発作や筋クローヌス性のてんかんを伴うなど、子供や青年特に重篤な症状に対して認められています。
海外で実施された複数の抗てんかん薬における、てんかん、精神疾患等を対象とした199のプラセボ対照臨床試験の検討結果においては、自殺念慮及び自殺企図の発現のリスクが、抗てんかん薬の服用群でプラセボ群と比較して約2倍高い結果となりました。
また、抗てんかん薬の服用群では、プラセボ群と比べて1000人あたり1.9人多いと計算されています。
また、てんかん患者のサブグループでは、プラセボ群と比べ1000人あたり2.4人多いと計算されています。 |
効果・作用 |
臭化カリウムは、不安緊張状態の鎮静や小児の難治性てんかんに用いられる薬剤で、典型的なイオン性の塩です。
特徴としては、水に溶けやすくて水溶液のpHは7であり、臭素イオン源であることから、写真フィルム用の臭化銀の製造に用いられることもあります。
臭化カリウムは水酸化カリウムと臭化水素の中和反応によって生成され、水溶液は中性であり、カリウムイオンと臭化物イオンに電離しています。
常温常圧では無色の固体であり、硫酸との反応で臭素が遊離する特徴があります。
本薬は1800年代では抗痙攣薬や抗不安薬として用いられており、イヌの治療薬としても使われていました。
薄い水溶液は甘く、濃い水溶液は苦くて、ほとんどの濃度範囲では塩辛い味がして、高濃度の場合は内臓の粘膜組織を侵して、吐き気および嘔吐を引き起こします。
1857年のロンドン王立医学・外科学会の会議におけるチャールズ・ロコックによる発表で、抗痙攣薬としての性質が初めて指摘されており、このことがてんかんに対して効果のある治療薬の最初の報告例とされています。
当時てんかんは自慰が原因であると考えられていたことから、チャールズ・ロコックは、臭化物塩は性的興奮を鎮めることによっててんかんの発作を抑える考えました。
本薬は1912年にフェノバルビタールが登場するまで、てんかんの治療として第一選択薬でした。
現在においては、有効な抗てんかん薬のほとんどない乳児重症ミオクロニーてんかん(ドラベ症候群)において、クロバザム・スチリペントール・トピラマート・バルプロン酸などを組み合わせて用いられています。
その他、イヌへの抗てんかん薬としても用いられており、フェノバルビタール単独で効果が思わしくない場合では補助薬として使用されますが、第一選択薬となる例も増加しつつあります。
過去にはネコのてんかんに対しても用いられていましたが、呼吸器系の重篤な副作用を引き起こす危険性があるため、推奨されていません。 |
使用方法 |
・臭化カリウムとして、一般に成人1回0.5gから1gを1日3回経口投与します。なお、年令や症状により適宜増減します。 |
副作用 |
次の副作用があらわれることがあるので観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行ってください。
過敏症/発疹/紅斑/そう痒感/悪心/嘔吐/食欲減退/下痢/頭痛/眩暈/ふらつきなど
その他の副作用
ざ瘡/膿痂疹/興奮/運動失調/抑うつ/構音障害/意識障害など
※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。 |
使用に注意が必要な方 使用出来ない方 |
使用が出来ない方 ■臭化カリウムを配合した医薬品の添加物に、アレルギーをお持ちの方
下記、添加物にアレルギーをお持ちの方は、臭化カリウムにアレルギー反応を起こしてしまう為、服用できません。
▼臭化カリウムの有効成分
臭化カリウム
■腎機能障害のある患者
腎機能障害のある患者は、血中濃度の上昇を招き中毒を起こすおそれがあることから使用できません。投与しないでください。
■脱水症、全身衰弱のある患者
脱水症、全身衰弱のある患者は、体液量の少ない患者では血中濃度が上昇して、中毒を起こすおそれがあることから使用できません。投与しないでください。
■器質的脳障害、うつ病の患者
器質的脳障害、うつ病の患者は、臭素中毒が潜在していることがあり、また、本薬に対する感受性が亢進している場合があるので中毒を起こすおそれがあることから使用できません。投与しないでください。
■緑内障の患者
緑内障の患者は、臭化カリウムの体内動態及び血圧に対する作用は塩化ナトリウムに類似し、かつ体液中濃度は総ハロゲン量として平衡していることから、眼圧を上昇させて症状を更に悪化させるおそれがあります。そのため使用できません。投与しないでください。
■低塩性食事を摂取している患者
低塩性食事を摂取している患者は、臭化カリウムの体内動態は塩化ナトリウムに類似し、かつ体液中濃度は総ハロゲン量として平衡しているので、吸収が促進され、血圧上昇、中毒を起こすおそれがあることから使用できません。投与しないでください。
使用に注意が必要な方 ■肝障害又はその既往歴のある患者
肝障害又はその既往歴のある患者は、肝障害を悪化又は再発させるおそれがあります。観察を十分に行い、このような症状があらわれた場合には、投与を中止することが望ましいですが、やむを得ず投与を続ける必要がある場合には、慎重に投与してください。
■小児
小児は、中毒を起こしやすいです。観察を十分に行い、このような症状があらわれた場合には、投与を中止することが望ましいですが、やむを得ず投与を続ける必要がある場合には、慎重に投与してください。
■高齢者
高齢者は一般に生理機能が低下していることから、減量するなど注意が必要です。観察を十分に行い慎重に投与してください。
■妊婦、産婦、授乳婦等
妊娠中及び授乳中の投与に関する安全性は確立していません。妊婦又は妊娠している可能性のある婦人及び授乳中の婦人に投与する場合には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与してください。やむを得ず授乳中の婦人に投与する場合は授乳を避けさせてください。
上記にあてはまる方は、臭化カリウムを使用する事が出来ない可能性があります。 臭化カリウムを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。 |
併用禁忌薬 |
併用注意薬 ・中枢神経抑制剤
フェノチアジン誘導体
塩酸クロルプロマジン 塩酸チオリダジン 塩酸フルフェナジン プロペリシアジン等
バルビツール酸誘導体
フェノバルビタール ペントバルビタール アモバルビタール等
・アルコール(飲酒)
上記を使用している方は、臭化カリウムを使用する事が出来ない可能性があります。 臭化カリウムを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。
併用禁忌薬 なし
併用禁忌薬がないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です 現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。 |
よくある質問 |
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