エトトイン

成分名

エトトイン

適応症状

てんかんのけいれん発作(全般けいれん発作)

簡易説明

エトトインはヒダントイン系の抗てんかん剤です。
脳の中枢神経系に作用して、てんかん発作を引き起こす脳内の過剰興奮(異常な電気的活動)を抑制することで、てんかんの全般けいれん発作を抑えます。
ただし、エトトインの抗けいれん作用は弱いので、基本的に他の抗けいれん薬と組み合わせて処方する抗けいれん補助薬として使われます。
てんかんの発作は大きく分けて強直間代発作(大発作)・欠伸発作(小発作)・部分発作の3つがありますが、エトトインは大発作に選択的に効く薬なので、小発作には効き目がありません。
混合発作型では、エトトインの単独投与により小発作の誘発、または増悪を招くことがあります。
連用中における投与量の急激な減少ないし投与の中止により、てんかん重積があらわれることがあるので、徐々に減量をするなど慎重に行うことが必要です。
眼振・構音障害・運動失調・眼筋麻痺等の症状は過量投与の兆候であることが多いので、このような症状があらわれた場合は、至適有効量まで徐々に減量することが必要です。
連用中は定期的に肝・腎機能、血液検査を行うことが望ましいです。また複視・眼振の症状があらわれることがあるので、定期的に視力検査を行うようにします。
眠気、注意力・集中力・反射運動能力等の低下が起こることがあるため、エトトイン服用者本人には運転や機械の操縦などに従事させないよう注意が必要です。

処方可能な診療科目

精神科/内科/脳神経外科など

健康保険の適応

健康保険適用

病院で処方してもらう時の費用目安

診察料などの目安:1,000~2,000円
薬代の目安:アクセノン末1g/95.8円
診察料・初診料・検査料などが病院によって異なり、薬代のほかに別途必要になります。

厚生労働省による認可、または発売年月日

アクセノン(旧)/1960年2月3日認可
アクセノン末(現)/2002年3月11日代替新規認可

国内のジェネリック認可

現在ジェネリックはありません

関連製品(先発薬)

アクセノン末

関連製品(ジェネリック)

現在ジェネリックはありません

海外での使用実績

海外で実施された複数の抗てんかん薬における、てんかん、精神疾患等を対象とした 199 のプラセボ対照臨床試験の検討結果において、自殺念慮及び自殺企図の発現のリスクが、抗てんかん薬の服用でプラセボ群と比較して約 2倍高く(抗てんかん薬服用群:0.43%、プラセボ群:0.24%)、抗てんかん薬の服用群では、プラセボ群と比べ 1,000 人あたり 1.9 人多いと計算されました(95%信頼区間:0.6~3.9)。また、てんかん患者のサブグループでは、プラセボ群と比べ 1,000 人あたり 2.4 人多いと計算されています。

効果・作用

比較的古くから用いられているてんかんの薬剤で、てんかんのけいれん発作の中の強直間代発作(全般けいれん発作・大発作)に効果があります。
強直間代発作(大発作)というのは、「けいれん症状」と「意識消失症状」の2つを伴うもので、欠伸発作(小発作)というのは「意識消失症状」のみを示すものです。部分発作というのは、部分的・一時的な「けいれん症状」と「意識障害・異常行動」を示す発作のことです。全般けいれん発作で、大発作と小発作が混合している時に、エトトインだけを単独で処方すると、小発作の誘発・増悪を招くことがあるので注意が必要です。
服用中に自己判断で服薬を中止したり減薬をすると、離断症状でてんかん症状が悪化することがあるので、医師の指示・説明を守ってください。
エトトインの使用目的はけいれん閾値(いきち)を高めるのではなく,発作焦点からのてんかん発作の拡がりを阻止することによると考えられています。閾値とは,ある刺激や作用が生体に引きおこす最小の有効値のことです。
てんかんは脳内で神経が異常に興奮することなどによっておこり、その症状は全身のこわばりやけいれん、意識の消失、体の一部に症状があらわれるなど多種多様となります。
脳には神経細胞が集積していて、神経伝達物質などの作用により神経細胞が興奮しシグナルが伝わり神経伝達がおこります。神経の興奮伝達に関わる物質としてナトリウムイオン(Na+)、カルシウムイオン(Ca2+)、塩化物イオン(Cl−)などがあり、この中でNa+やCa2+は興奮性シグナルとして作用し、Clーは抑制性のシグナルとして作用します。Na+はNaチャネルという通り道から神経細胞内へ入り神経細胞の興奮がおこります。
エトトインは神経細胞におけるNaチャネルを阻害することで細胞内へのNa+の流入を抑え、神経細胞の異常な興奮を抑える作用などをあらわすとされています。エトトインは成分の化学構造中にヒダントイン骨格という基本構造をもつことから、ヒダントイン系抗てんかん薬などと呼ばれています。

使用方法

通常成人は1日1~3gを毎食後および就寝前の4回に分けて分割経口投与します。
小児には1日0.5~1gを4回に分割経口投与します。
一般に初回より大量投与することは避けて少量よりはじめ、十分な効果が得られるまで漸次増減します。なお、年齢や症状によって適宜増減していきます。

副作用

重大な副作用
(1)血液障害(再生不良性貧血,溶血性貧血,単球性白血病,汎血球減少,赤芽球癆,血小板減少,無顆粒球症など)。
(2)皮膚粘膜眼症候群(スティブンス-ジョンソン症候群),中毒性表皮壊死融解症(TEN)。
(3)SLE(全身性エリテマトーデス)様症状(発熱,紅斑,関節痛,肺炎,白血球減少,血小板減少,抗核抗体陽性など)。
(4)間質性肺炎(発熱,せき,呼吸困難など)。
(5)リンパ節腫張,悪性リンパ腫。
(6)劇症肝炎,肝機能障害,黄疸。
(7)過敏症症候群(発疹,発熱,リンパ節腫脹,肝機能障害,白血球増加,好酸球増多,異形リンパ球出現など)。
(8)小脳萎縮。
(9)横紋筋(おうもんきん)融解症(筋肉痛,脱力感,CK上昇,血中・尿中ミオグロビン上昇など)。
(10)急性腎障害,間質性腎炎。
(11)悪性症候群(発熱,意識障害,筋強剛,不随意運動,発汗,頻脈など)。

その他の副作用
猩紅熱様・麻疹様・中毒疹様発疹・巨赤芽球性貧血・白血球減少・運動失調・注意力・集中力・反射運動能力等の低下・眠気・頭痛・倦怠感・不眠・不安・しびれ感・複視・眼振・食欲不振・悪心・嘔吐・くる病・骨軟化症・歯牙の形成不全・発熱・舌のもつれ・甲状腺機能検査値(血清 T4値等)の異常等があります。

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
・妊婦、産婦
・新生児(低出生体重児を含む)
・過敏症のある方

使用に注意が必要な方
・高齢者
・授乳婦
・虚弱者(衰弱者を含む)
・肝機能障害、血液障害、甲状腺機能低下症、混合発作型をお持ちの方

上記にあてはまる方は、エトトインを使用する事が出来ない可能性があります。
エトトインを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

ジスルフィラム、イソニアジド、パラアミノサリチル酸、クマリン系抗凝結剤、ワルファリン
(本剤の血中濃度が上昇し中毒症状<眼振・構音障害・運動失調・眼筋麻痺等>)
アセタゾラミド
(くる病、骨軟化症)

上記を使用している方は、エトトインを使用する事が出来ない可能性があります。
エトトインを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

よくある質問
すぐにわからない副作用などはありますか?

検査などでわかる副作用は、巨赤芽球性貧血/AST・ALT・γ-GTP上昇などの肝機能障害/甲状腺機能検査値(T3,T4値など)の異常,高血糖/血清葉酸値の低下,CK上昇,免疫グロブリン低下(IgA,IgGなど)があります。連用による副作用は歯肉増殖/骨軟化症・くる病・歯牙の形成不全(AL-P上昇,カルシウム・無機リンの低下など)が報告されています。

体内から排出されるまでにどのくらい時間がかかりますか?

人での報告はされていませんが、イヌにエトトイン2g経口投与後48時間までに投与量の23.5%が排尿から排出されたことが報告されています。

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