ミノキシジル外用薬(塗り薬)と内服薬の違いについて
ミノキシジルとは、薄毛治療薬に使用する薬剤で、発毛や育毛への効果が認められている有効成分です。
もともと血圧を下げるための経口薬として開発されましたが、途中で発毛の効果が確認されたことから、頭皮に塗る薄毛の治療薬として研究が進められました。
日本では1900年代の後半あたりから市場で発売され始めました。
ミノキシジルには、口から摂取するタイプの内服薬と、患部に直接塗るタイプの外用薬(塗り薬)があります。
ミノキシジル内服薬と外用薬(塗り薬)では、効果の強さや副作用の発現など異なる部分もありますので、ご紹介いたします。
外用薬(塗り薬)・内服薬それぞれのメリット・デメリット
冒頭でお伝えした通り、ミノキシジルは外用薬と内服薬の2種類が出ており、それぞれ適した患者像が異なります。外用薬と内服薬それぞれのよい点と悪い点を知って、適切な薬剤を選んでいきましょう。
外用薬(塗り薬)のメリット・デメリット
外用薬(塗り薬)のメリット
外用薬の最も大きなメリットは、抜け毛治療薬として推奨度が高く、有効性がガイドライン上でも認められている点になります。
日本皮膚科学会が定めている「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017版」で、脱毛治療の選択肢として推奨されています。
そのため、市販の薬剤などを試したうえで、「効果がしっかり出るかどうか不安」と思われる方は塗り薬を用いると良いでしょう。
また、外用薬は、経口薬で起こりやすい飲み忘れが少なく、自分で塗ったかどうかがすぐにわかります。
日々忙しい方や、飲み忘れによる効果の減少が不安な方も外用薬がおすすめです。
外用薬(塗り薬)のデメリット
一方、デメリットとしては、皮膚のかぶれが出やすい点です。皮膚のかぶれやかゆみは赤くなってしまうため、見た目ですぐにわかってしまいます。
また、かゆみによって搔いてしまうことで薬剤の本来得られる効果が最大限でなくなってしまうリスクもあります。
たくさん塗ればよいというわけではないので、適切な量を塗るようにしましょう。
皮膚が弱い方は、外用薬よりも経口で摂取するタイプの薬剤の方が効果を得られるかもしれません。
内服薬のメリット・デメリット
内服薬のメリット
最も大きな特徴は効果です。体の内部を通じて薬の有効成分が浸透していくため、外用薬による塗りムラなどを心配せずに一定の効果が期待できます。
そのため、発毛効果を十分に得たい方は、内服薬がおすすめです。
内服薬のデメリット
注意しなければならない点としては、国内で臨床試験が行われていないため、内服薬を取り扱うクリニックや病院は限定的であることがあげられます。
そのため、自分で内服薬のミノキシジルを取り扱っているクリニック・病院を探すか個人輸入代行などで購入する必要があります。
また、ミノキシジルの内服薬は、毎日一定の時間に決められた量を内服する薬剤です。飲み忘れがないように注意が必要です。
ミノキシジルの副作用
ミノキシジルは医薬品であるため、副作用は少なからず出てしまいます。
※1臨床試験の報告書によると、3072例中271例、およそ8.82%ほどで副作用が出ております。内服薬と外用薬の2種類がありますが、それぞれ出てくる副作用が異なります。
外用薬(塗り薬)の副作用
皮膚炎
外用薬は頭皮に直接塗るタイプの薬剤であるため、皮膚のかゆみやかぶれ、発疹などがあらわれる可能性があります。
頻度としては高くはありませんが、外用薬で起こりやすいため、肌に合わないと感じた場合は医療機関を受診してください。
外用薬の代わりに内服薬を服用することで、副作用が少なく継続できることもあります。
内服薬の副作用
動悸・息切れ
内服薬は体内で吸収されるため、「動悸」、「息切れ」などの副作用が生じるリスクがあります。
ミノキシジルは当初、血圧を下げる治療薬として開発がされていたことから、心臓の疾患を合併している方などは心機能障害や不整脈が悪化してしまう可能性があります。
頻度としては高くはありませんが、降圧剤を別で使用している方や心臓疾患を抱えている方は注意しましょう。
肝機能障害
内服薬で起こりやすい副作用の1つに肝機能障害があります。
口から薬剤を摂取すると、肝臓で薬剤が代謝されますが、肝臓は「沈黙の臓器」ともいわれており、目立った症状が起こりにくいという特徴があります。
肝機能障害の副作用発現頻度自体も稀ではありますが、重篤化すると肝不全を引き起こすリスクがあるため、注意が必要です。
両方であらわれる可能性がある副作用
頭痛・めまい
ミノキシジルは血管を拡張させる作用を持っています。中でも人間の体にある細い血管(毛細血管)が拡張すると、頭痛が起こります。
また、拡張によって血流が低下し、低血圧から「めまい」を起こす可能性もあります。「頭痛」や「めまい」が起こった場合は、医療機関を受診してください。
手足のむくみ
血管を拡張させる作用が起こると、血液量が全体的に減っていきます。すると、体が血を供給しようと働きかけるため、血液過剰となりむくみが起こる場合もあります。
むくみは重篤な症状には至らず、一過性であることがほとんどですが、稀に心機能の低下とともに引き起こすことがあります。
このような症状を放置していると心不全や心筋梗塞を引き起こすリスクも否めないため、少しでも違和感を感じたら医療機関に相談するようにしましょう。
ミノキシジルに関するよくある質問
- Qミノキシジルの内服薬が購入できる場所はどこでしょうか?
- A
ミノキシジルの内服薬は国内で承認されていない薬剤となります。そのため、「個人輸入で購入する」もしくは、「自由診療で薬剤を扱っているクリニックなどで処方してもらう」必要があります。
ミノキシジルの外用薬も、5%までであれば通常の病院や薬局で入手することが可能ですが、5%以上の濃度の薬剤が欲しい場合は、内服薬と同じように個人輸入もしくは処方しているクリニックに行く必要があります。
- Qミノキシジルの外用薬をたくさん塗ったら効果がその分出ますか?
- A
外用薬はたくさん塗ったからと言ってたくさん効果が出るものではありません。むしろ、必要以上の量を塗りすぎると頭皮の負担となってかぶれや発疹などの副作用が出やすくなります。
用法・用量を守って服用するようにしましょう。
- Qフィナステリドというものを聞いたのですが、ミノキシジルと同じものでしょうか?
- A
ミノキシジルは髪の毛を生やすことを促進する薬剤で、AGAの症状が悪化していくのをとめる薬剤ではありません。
一方で、フィナステリドはヘアサイクルを正常な周期に戻し、AGAの症状がすすんでいくのをとめる役割があるとされています。
ただし、フィナステリドのみの使用では「髪の毛をはやすこと」を促進する力は乏しいため、ミノキシジルと一緒に使用するとより効果的です。
発毛に加えてAGAの進行を抑制したい方は併用も検討してみると良いでしょう。
- Q年齢で薬の効果に差はあるのでしょうか?
- A
治療を開始する年齢が早ければ早いほど効果は出やすいとされています。
AGAの症状が気になった場合には、我慢をしすぎずに治療を早めに開始していくことが大切です。
- Qミノキシジルの有効性が実感できるのはだいたいどのくらいからでしょうか?
- A
ミノキシジルの効果は、使用開始から半年ほどといわれています。
ただし、個人差があり、はやいかたでは3カ月ほどで効果を実感される方もいるようです。
そのため、3カ月ほど飲んで効果が出ないからと服用をやめるのではなく、一定期間は継続して飲み続ける、塗り続ける努力が大切です。
最後に
ミノキシジル外用薬と内服薬の違いまとめ
- 外用薬は5mgまでドラッグストアで販売している
- 内服薬は個人輸入もしくはAGA専門クリニックにて処方してもらう
ミノキシジルは、発毛効果、育毛効果、脱毛効果が認められている医薬品です。外用薬と内服薬の2種類があり、それぞれの症状や生活スタイルに合わせて使い分けることができます。
ドラックストアでも購入はできますが、より高い効果を期待する場合には、医薬品の治療をおすすめします。どのような場合においても、症状が出たら我慢、放置しすぎずに早めに治療を相談していきましょう。