メトホルミンで痩せる?効果や副作用、注意点を詳しく解説

ダイエット

メトホルミンとは

メトホルミンは、糖尿病治療薬の1種で血糖値を下げる効果があります。
糖尿病の患者では体内に糖が多く生成されることで症状が悪化していきますが、メトホルミンは肝臓で糖が新しく作られることを防いだり、筋肉や脂肪に糖を吸収するよう促進したりすることで血糖値の低下を抑制します。
血糖値を下げる以外にも「体重減少」「心筋梗塞の合併症リスク低下」「がんの発症リスク低下」など複数のメリットがあることも最近分かってきています。
ほかの糖尿病治療薬と比べて費用も安く、効果と安全性・費用のバランスに非常に優れた薬剤です。

メトホルミンの作用画像

<関連商品①>
●ゾメット【メトホルミン】

日本でも処方されている2型糖尿病の治療薬であるメトグルコのジェネリック「ゾメット」です。インタスファーマ社の製造販売しているジェネリック医薬品になります。
ゾメットの有効成分であるメトホルミンは糖の生成を抑制し、血糖値を減少させる効果があります。さらに筋肉への糖の吸収を促進させて、腸管での糖の吸収を抑制します。
体重増加を防止させる効果があるため、美容クリニックにてダイエット目的でも使用されています。

商品名ゾメット
画像ゾメット
有効成分メトホルミン500mg
価格500mg:1錠あたり27円~
メーカーIntas Pharmaceuticals(インタスファーマ)
購入ページゾメットの購入はこちら

メトホルミンの体重への影響

メトホルミンは60年以上前から使用されている歴史の長い糖尿病治療薬です。
*2体重減少効果としては1カ月ほどの服用で-1.2kgが見込めます。メトホルミンで体重が減少する理由として「筋肉での代謝」「肝臓での糖新生の抑制」「ブドウ糖を便中に排泄」3つの作用が大きくかかわっているとされ、肥満・非肥満に関わらず効果が期待できるという特徴があります。
それぞれの効果について詳しく解説していきます。

メトホルミンの働き画像

筋肉での代謝

体内のエネルギーを効率的に利用するために「AMPK」と呼ばれる酵素が大切な役割を果たしています。
「AMPK」の酵素が活性化するとエネルギーの利用効率がよくなり、血糖値や体脂肪減少効果をもたらします。
糖尿病患者では、体内のインスリンを身体でうまく利用できず太りやすくなっていますが、メトホルミンにはAMPKを活性化させる働きがあるため、服用によって体内の筋肉量が増やし、結果的に太りにくい体質に変わる可能性が示唆されています。

肝臓で糖が作られるのを抑制

糖尿病の患者では血糖値が高い状態が続いています。
この高血糖状態を抑制するための方法としては、

①インスリン分泌を促す
②インスリンの感受性を高めるもの

があります。
多くの薬剤は①の作用を持っていますが、メトホルミンは②の作用を発揮するため、体内のインスリン量はそのままで効果を高め、血糖値を下げることができます。
メトホルミンを服用することで、糖のもととなるグリコーゲンが肝臓から放出されず、糖の生成を減少させることができます。

体内のブドウ糖を便の中に排泄

メトホルミンには、糖のもととなるブドウ糖を体外に排出する作用があります。余った糖が体内にあると肥満につながってしまいますが、メトホルミンの服用によってブドウ糖を腸に集め、そのまま便に排泄することができます。実際に臨床の研究でも証明されており、*1神戸大学から論文も発表されています。

その他体重減少作用のある薬剤や肥満改善効果のある薬剤について詳しく知りたい方は以下のページよりご覧いただけます。

ダイエット
「ダイエット」の記事一覧です。

メトホルミンの注意すべき副作用

メトホルミンで出やすい副作用として下痢や倦怠感、腹痛や食欲不振、かゆみや発疹などがあげられます。
メトホルミンでは胃腸系の副作用がよく出やすいとされており、下痢や食欲不振などは20~30%の割合で発現します。
服用を続けることで症状は軽快していきますが、1カ月以上改善しない場合は投与の中止や減量を検討してください

注意するべき副作用 -乳酸アシドーシス

メトホルミンの服用において注意するべき副作用に「乳酸アシドーシス」というものがあります。
乳酸アシドーシスは通常人間の身体でわずかしか作られないはずの「乳酸」が大量に作られ体に蓄積されてしまう状態です。
体の「酸」の割合が増えてバランスが崩れ、血液も酸性に偏っていきます。血液が酸性になると、体の各機能の働きが低下してしまい、悪化すると命の危険をもたらします
乳酸アシドーシスの症状としては、腹痛や吐き気、全身の倦怠感、意識朦朧、呼吸が早くなるなどがあらわれます。
このような症状があらわれたらすぐに医療機関に相談しましょう。
また、メトホルミンは腎臓で排泄される薬剤ですので腎臓の機能が低下している方では乳酸アシドーシスの発症リスクが高くなります。
そのため、CT検査やX線検査で使用するヨード造影剤についても、腎機能の低下をもたらし乳酸アシドーシスを引き起こしやすくなりますので、ヨード造影剤投与48時間以内はメトホルミン服用を避けてください
加えて乳酸アシドーシスは脱水時に起こりやすいとされているため、脱水症の方も発症リスクが高くなります。
過度のアルコール摂取は乳酸の代謝を低下させ、脱水症状をきたすこともあるためメトホルミンを服用されている方は特に注意をしましょう。

乳酸チアドーシスの発症リスクが高い人画像

副作用のリスクを最大限軽減するために以下の点に気を付けて服用しましょう

メトホルミンの注意点

  • 空腹時のメトホルミン服用は避ける
  • 水を意識的に飲むようにし、1日1.5L以上を目指す
  • 下痢が出たら一緒に整腸剤を服用する
  • 過度のアルコール摂取は避ける

メトホルミンを使用できない方

メトホルミンは全員が服用できる薬剤ではなく、「授乳中の方」「妊娠中の方」「胃腸障害のある方」「利尿作用がある薬剤を服用している方」など以下のリストに記載のある方は使用することができません。
特に乳酸アシドーシスを起こしやすい背景を持つ方「腎機能障害のある方」「経口摂取ができない方」などは注意が必要であるため、ご自身が当てはまっていないかチェックしましょう。

メトホルミンを服用できない方理由
・乳酸アシドーシスに過去なったことがある方
・重度の腎機能障害もしくは透析を実施している方
・重度の肝機能障害のある方
・心血管や肺機能に高度の障害がある方
・下痢や嘔吐などの胃腸障害のある方や経口摂取ができないなど、脱水状態が懸念される方
・過度のアルコールを摂取する方
乳酸アシドーシスを起こしやすいため
・重症ケトーシス
・糖尿病性昏睡又は前昏睡
・1型糖尿病の方
輸液やインスリンによる速やかな高血糖の改善が必要であるため
・重症感染症
・手術前後
・重篤な外傷のある患者
インスリン注射による治療が優先されるため、メトホルミンの投与は適さない
また、乳酸アシドーシスを起こしやすいため
・栄養不良状態
・飢餓状態
・衰弱状態
・脳下垂体機能不全又は副腎機能不全の方
低血糖を起こすことがあるため
・妊娠または妊娠している可能性のある方動物実験(ラット、ウサギ)で胎児への移行が認められているため
・メトホルミンの成分もしくはビグアナイド系薬剤に対して過敏症を起こしたことがある方再び過敏症を起こす危険性があるため

メトホルミンに関するよくある質問

メトホルミンに関するよくある質問
Q
メトホルミンを飲んでも体重減少しない原因としては何が考えられますか?
A

メトホルミンを服用しても不規則な食生活が続いていたり、運動を全くしない生活を続けていると効果が出にくい可能性があります。
薬だけに頼るのではなく、生活習慣も見直し、両立させることが大切です。
また、薬剤を継続的に服用できていない場合も効果をしっかりと得られない場合があります。メトホルミンによる体重減少効果は1カ月で約1kgとされていますので、もし1kg以上の減少を目指す場合はより長い期間での服用継続が必須となっています。
ただし、運動や食生活の見直しなどを並行して行うと短い服用期間でも効果が得られる場合がありますので、生活習慣の改善を行いながらメトホルミンを服用していくと良いでしょう。

Q
メトホルミンの服用方法について教えてください
A

メトホルミンは、1日500mgから開始していきます。成人ではその後増量をし、750~1500mgの間で維持していきます(最高用量は2250mg)
1日2~3回に分けて服用、タイミングは食直前もしくは食後となっています。
飲み忘れないよう、ご自身の生活に合わせて習慣化させていくことが大切です。

Q
併用で注意するべき薬剤はありますか?
A

禁忌ではないものの、血糖降下作用のある薬剤を併用すると想像以上に血糖値がさがりすぎてしまうことがあります。
例えば、「リベルサス」などのGLP-1受容体作動薬や「フォシーガ」と呼ばれるSGLT2阻害剤は同じく糖尿病の方に使用される薬剤で併用すると低血糖症状をきたす恐れがありますので注意しましょう。

最後に

メトホルミンは、肝臓において糖が新しく作られるのを防ぐ、筋肉や脂肪に糖の吸収を促進することで血糖値を下げます。
副作用としては胃腸症状が出やすいですが、服用を続けていくと軽快することが多いとされています。
しかし、乳酸アシドーシスには注意が必要で初期症状が見られたらすぐに医療機関を受診してください。
メトホルミンは、血糖値を下げる効果だけではなく体重減少効果や腸の糖分排出効果をもたらします。
2型糖尿病の方で、なかなか食欲を抑えることができなかった方、肥満が気になる方におすすめです。

出典

*1:Enhanced Release of Glucose Into the Intraluminal Space of the Intestine Associated With Metformin Treatment as Revealed by [18F]Fluorodeoxyglucose PET-MRI
*2:Long-term treatment study of global standard dose metformin in Japanese patients with type 2 diabetes mellitus
kegg:医療用医薬品:メトホルミン塩酸塩
グッドサイクルシステム 第26回 メトホルミンによる乳酸アシドーシスはなぜ起こるの?
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