アライ(大正製薬)とは
「アライ」とは、2024年4月8日に大正製薬から発売される薬剤で、内臓脂肪を減少させます。薬剤を服用することで肥満の改善が期待されています。
漢方以外で、内臓脂肪や腹囲の減少が期待できる薬が発売されるのは日本で初めてであるため、非常に話題の薬剤となっています。
通常薬剤は病院に行って医師の処方箋がないと購入できませんが、「アライ」は医師の処方箋なしでドラッグストアなどで購入できます。
食事をとった際に、摂取した脂肪を消化管内で分解する「リパーゼ」という酵素があります。
この酵素が活性化すると脂肪分が多く蓄積されますが、「アライ」はこのリパーゼの作用を阻害します。
実際に食事から摂取した脂肪の25％ほどが吸収されずに便として排泄されることがわかっています。
アライを購入できる条件に当てはまる方
「アライ」は誰でも購入できるわけではなく、条件が決まっています。
基本的に成人の「肥満」で生活習慣の改善を試みている人に限られています。
高血圧や糖尿病を合併している「肥満症」にあたる方は使用できません。実際の購入の際には、研修を受けた薬剤師がチェックシートをもとに対象者かどうかを確認し、販売されます。
「肥満」の方
日本肥満症学会では、BMI25以上の方を「肥満」と呼んでいます。この状態では疾患ではありませんが、加えて高血圧や糖尿病などの健康障害を合併すると「肥満症」と定義されるようになります。
「アライ」は「肥満」の段階で使用する薬剤であるため、疾患になる前の早い段階で治療を行うことができます。
また、腹囲が男性85センチ以上、女性90センチ以上である場合に限られます。
18歳以上で生活習慣の改善に取り組んでいる方
年齢は18歳以上の方に限られています。未成年は服用することはできません。
定期的に健康診断を受けており、運動や食事など生活習慣の改善に取り組んでいる人が対象で、何も改善を試みていない人は薬を販売してもらうことはできません。
また、体重や腹囲を「アライ」購入の1カ月以上前から記録している必要があります。
アライの効果
「アライ」の効果は目に見えてあらわれるとされています。
本来体の中に吸収されていた脂肪分の約25%を吸収せずに排出するため、油っぽい便が出ることがありますが、効果が出始めているサインです。
油っぽい便の対策として、事前に便漏れパッドなどを準備しておくとよいでしょう。また、効果は服用4週間後らあらわれると考えられています。
アライの服用方法
「アライ」は1日3回、食事中もしくは食後1時間以内に1カプセルを服用します。
食事に含まれる脂肪分を25％ほど吸収させずに便として排泄させる作用がありますので、食事は脂肪分も含むバランスよいものを心がけると良いでしょう。
食事に脂肪分がなかったり、食事をとっていないのに薬剤を服用してしまうと効果を発揮しません。
通常2週間～4週間ほどで減量を実感できるとされていますので、1カ月は継続服用するようにしましょう。
その後も服用し続ければ減少を続け、途中で体重が再増加するのを防ぎます。
アライの副作用
200名に6カ月間「アライ」と偽薬（プラセボ）を投与した時、全体では45％の方に副作用が出ておりました。
特に多かったのは消化器症状で、その中でも「便を伴う放屁（21%）」「油の漏れ（20%）」が高い傾向にありました。
「アライ」の油分を便として排出する作用が関係していると考えられています。
脂っぽい食事をとりすぎると消化器症状が現れやすくなりますので注意しましょう。
脂肪分が含まれている食事であることは大切ですが、多すぎると良くないため控えめにすることが大切です。
消化器症状は2週間以内に起こりやすく、徐々に発現率は低下していきます。
最初は慣れない可能性がありますのでおむつや生理用ナプキン、便漏れパッドを常備しておくことをおすすめしています。
※「アライ」とプラセボの副作用発現率の差
| 「アライ（オルリスタット）」 | プラセボ | |
|---|---|---|
| 全体 | 45% | 11% |
| 便を伴う放屁 | 21% | 1% |
| 油の漏れ | 20% | 3% |
| 油性排泄物 | 6% | 0% |
| 肝機能検査異常 | 2% | 0% |
アライ(大正製薬)の金額
アライは6日分（18カプセル）で2530円、1か月分（90カプセル）では8800円となっています。
内臓脂肪の減少が期待される医療用医薬品「ゼニカル」と比較しても1カ月の服用の場合、4000円ほど安くなっています。
運動してもなかなか改善せず、困っていた人にとっては1カ月当たり10000円以内で治療が可能という点は安く感じるかもしれません。
従来の「オルリスタット」との違い
これまで有効成分オルリスタットが含まれる「ゼニカル」という薬剤が発売されていました。
「ゼニカル」は肥満症・メタボリックシンドロームに使用する薬剤であり、医師の処方箋がないと購入できませんでした。
このゼニカルが「アライ」と名前を変えて一般医薬品として発売されることが決まりました。
そのため、有効成分はどちらもオルリスタットとなっていますが、いくつか違いがありますのでご紹介します。
| ゼニカル | アライ | |
|---|---|---|
| 有効成分 | オルリスタット | オルリスタット |
| 脂分のカット | 食事に含まれる脂肪の30％カット | 食事に含まれる脂肪の25％カット |
| ネット販売 | 〇 | 〇 |
| 分類 | 処方箋医薬品 | 一般医薬品（市販薬） |
| 用量（1カプセル当たり） | 120mg | 60mg |
ゼニカルについて詳しく知りたい方は以下のページをご覧ください。
<アライ関連商品①>
●アライ・リフィールパック
主成分はオルリスタットで、脂肪分のうち約25％の吸収を抑えます。
吸収されなかった脂肪分は、排便を通じて体外に排泄されます。
| 商品名 | アライ・リフィールパック |
|---|---|
| 画像 |  |
| 有効成分 | オルリスタット60mg |
| 価格 | 1錠あたり133円～ |
| メーカー | Glaxo Smith Kline（グラクソ・スミスクライン） |
| 購入ページ | アライ・リフィールパックの購入はこちら |
<ゼニカル関連商品①>
●ゼニカル
ゼニカルは、世界でもかなり人気がある薬剤です。ジェネリック医薬品も発売しています。
体調管理に使われる医薬品で、生活習慣病の予防としても効果が期待できます。
| 商品名 | ゼニカル |
|---|---|
| 画像 |  |
| 有効成分 | オルリスタット(Orlistat)120mg |
| 価格 | 120mg:1錠あたり173円～ |
| メーカー | Delpharm Milano S.r.l. |
| 購入ページ | ゼニカルの購入はこちら |
<ゼニカル関連商品②>
●オルリガル
オルリガルは、アメリカで開発された人気ダイエット商品、ゼニカルのジェネリック医薬品です。
食事と一緒に服用する事で、食事の余分な脂肪を吸収しにくくする(約3割カット)、便と一緒に体外へ排出する効果が期待出来ます。
脂っこい食事を食べる前に服用すると効果があります。
| 商品名 | オルリガル |
|---|---|
| 画像 |  |
| 有効成分 | オルリスタット(Orlistat)120mg |
| 価格 | ハブファーマシューティカルズ&リサーチ 『Hab Pharmaceuticals & Research』 |
| メーカー | Delpharm Milano S.r.l. |
| 購入ページ | オルリガルの購入はこちら |
<関連商品③>
●オルリファスト
オルリファストは、海外で人気のダイエット医薬品『ゼニカル』のジェネリック医薬品です。
通常、食事で吸収されるはずの脂肪分を約30%程度カットする働きが有り、ダイエット医薬品として人気です。
今までの食事量でも脂肪分を約30%程カットするので、食生活を変えずにダイエットされたい方等必見の品です。
| 商品名 | オルリファスト |
|---|---|
| 画像 |  |
| 有効成分 | オルリスタット(Orlistat)120mg |
| 価格 | 60mg:1錠あたり88円～ 120mg:1錠あたり78円～ |
| メーカー | ロイドラボラトリーズ |
| 購入ページ | オルリファストの購入はこちら |
アライの国内製と海外製の違い
もともとアライは、イギリスの製薬株式会社であるGSK(グラクソ・スミスクライン社）が開発した薬になります。
これまで海外でもアライの有効成分であるオルリスタットは、病院でしか処方されない肥満改善薬でしたが、2007年にアメリカ食品医薬品局（FDA）がアライ（オルリスタット60mg）を薬局で購入できるよう承認をしました。
その後、2009年に日本の製薬株式会社である大正製薬が、GSK(グラクソ・スミスクライン社）より日本での開発・販売権を獲得し長い臨床試験結果を得て、2024年4月に日本でも薬局での発売が開始されました。
アライ(大正製薬)の試験結果
*1「アライ」は3000人以上を対象にした5つの臨床試験を実施しています。
その試験を統合させた結果によると、偽薬（プラセボ）を使用した群と比較して3.2％「アライ」を服用した群の方が体重が減少していました。
体重の減少だけではなく、LDLコレステロールの減少、空腹時血糖値の減少、拡張期血圧の減少なども副次的な効果として認められています。
日本人のみを対象にした臨床試験においても、同じ結果が得られています。
「アライ」を服用した群はプラセボを服用した群と比較して8％ほど内臓脂肪面積が減少していました。
アライに関するよくある質問
- QダイレクトOTCとは何ですか？
- A
通常医薬品は、最初に医療用医薬品として承認・発売されます。
その後長い期間使用経験を積み安全性情報が集まってから一般の医薬品として発売されます。
しかし、一部の医薬品は医療用医薬品を経ずに最初から市販薬として承認されることがあります。
これがダイレクトOTCで、アライは「ダイレクトOTC」に該当します。
- Q1日3回服用しないといけないのでしょうか？
- A
1日3回の服用が基本ですが、食事をとらなかった場合、脂肪がほとんど含まれない食事をとった場合の服用は避けてください。
このような場合は1日3回服用しない日があっても構いません。
最後に
「アライ」は日本で初めて発売される市販薬での内臓脂肪減少薬です。
医師の処方箋なしで購入できるため、これまで病院に行く時間がなかった方やアクセスがあまり良くなかった方も購入しやすくなります。
しかし、「アライ」の購入のためには「肥満」や「生活習慣の改善を試みている人」「成人」などのいくつかの条件があります。購入する前にはしっかりと自分が条件に当てはまるかどうかチェックすると安心です。
これまで食事改善や運動のみでは改善が見られなかった方、内臓脂肪が気になってきた方はぜひ「アライ」で内臓脂肪の減少のため治療を行っていきましょう。
出典
医療サイト 朝日新聞アピタル 肥満改善助ける市販薬「アライ」発売へ 国内初、大正製薬が4月から
日本経済新聞 大正製薬、内臓脂肪減少薬｢アライ｣を4月に発売 国内初
*1Orlistat, a new lipase inhibitor for the management of obesity
大正製薬 製品情報サイト アライ
