アリピプラゾール(エビリファイ)の効果・副作用・服用方法など

アリピプラゾール(エビリファイ)の効果・副作用・服用方法など メンタルヘルスケア

アリピプラゾールとは

ドーパミンが与える影響画像

アリピプラゾールとは、ドーパミンの量を調節することで気分を安定させてくれる抗精神病薬(非定型抗精神病薬)です。効果は個人差が大きいですが、少なめの量を使うとうつ病に効果を発揮し、多めの量を使うと統合失調症の症状改善をもたらします。ドーパミンの量を調節する薬剤DSS(ドーパミン・システム・スタビライザー)は日本でアリピプラゾールのみとなっています。

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アリピプラゾールの作用

アリピプラゾールの作用は脳内のドーパミンを調整することです。ドーパミンが脳の受容体にくっつくと脳の働きを活発化させ、意欲が向上します。
そのため、ドーパミンが少なくなると気力が減り、うつ症状が出現します。
一方で、ドーパミンが過剰に放出されると、気分が高まり幻聴や幻覚など統合失調症の症状が出現します。
アリピプラゾールは、ドーパミンが少なすぎる場合には、ドーパミンの放出を促進し、多すぎる場合には抑制してくれます。
量を調節して使うことができる点が大きな特徴となっています。

アリピプラゾールの歴史

アリピプラゾールは、1987年に日本で作られた抗精神病薬です。
1990年に統合失調症に対する効果が示され、2006年に「エビリファイ」という名前で承認されました。
その後2012年には躁症状の治療薬としても認められ、2013年にはこれまで治療を行っても効果が見込めないうつ病に、2016年には小児の自閉スペクトラム症に適応を取得しています。
日本だけではなく海外でも使用経験が豊富な薬剤で、70か国以上で使用されています。

アリピプラゾール(エビリファイ)の適応症状

統合失調症

服薬中断期間と入院のリスク(統合失調症)画像

統合失調症とは、幻覚や妄想などの症状が出現し、意欲が低下する疾患です。伴って認知機能も低下しますが、日本での罹患人数は80万人ほどと、決して少なくはない疾患です。
アリピプラゾールは鎮静作用が比較的弱いため、統合失調症の中でも興奮症状が少ない方に使用されます。
服用することで幻聴や妄想、意欲減退や認知機能障害などの改善が見込めますが、一方で興奮症状が強い方には、鎮静作用が強い薬剤と併用して処方されることが多いとされています。
統合失調症は、精神疾患の中でも再発しやすい傾向にあります。症状を改善するためには薬剤の服用を継続する必要がありますが、仮に1~10日ほど服用をやめてしまった場合、入院率は約2倍に増加することが分かっています。
薬剤を継続していくことが統合失調症の治療には重要です。

双極性障害における躁症状の改善

双極性障害とは、ハイテンションな状態と無気力な状態を繰り返す疾患です。
気分の変動にはドーパミンが関係しており、躁状態でドーパミンがたくさん放出されているタイミングでは穏やかに気持ちを落ち着かせてくれる効果があります。通常の抗精神病薬の場合、気分を落ち着ける作用が強すぎることでうつ状態に転じてしまうケースがあります。
しかしアリピプラゾールは、ドーパミンの量自体を調節してくれるので、うつ状態への転換が少ないことが期待されています。

うつ病・うつ状態

うつ病にもドーパミンの量が関わっています。ドーパミンはやりがいや達成感を感じたタイミング、嬉しいと感じたタイミングで分泌されます。
そのため、うつ病で気分が落ち込んでいる人の中でも、気分反応性がある方にはアリピプラゾールが効果的と考えられています。また、過眠症状がある方や倦怠感のある方にもよく使用されます。

小児期の自閉スペクトラム症に伴う易刺激性

自閉スペクトラムとは、少しの刺激に対してイライラしたり、怒ったりしてしまう疾患です。
過剰に周囲に反応するため、小児では人間関係に悩むケースも多いとされています。
この自閉症スペクトラム障害で発現する症状の1つに易刺激性がありますが、アリピプラゾールを服用することで気分が安定化され衝動性がコントロールされるメリットがあります。

アリピプラゾール(エビリファイ)の主な副作用

アリピプラゾール(エビリファイ)の主な副作用

アリピプラゾールの副作用は、昔の抗精神病薬と比較してもマイルドです。
全体的に副作用発現率は低いですが、最も高いものとして「アカシジア(発現率28%)」というものがあります。アカシジアは、じっとしていられないほどの不快感が襲ってくる症状です。
アリピプラゾールでは、用量に関係なく発現するので、少量で使用されている方も注意が必要です。

※そのほか出やすい副作用

発生率5%以上1~5%
精神系不眠、神経過敏、不安、傾眠めまい、頭痛、うつ病、幻覚
錐体外路症状アカシジア、振戦、流涎寡動、歩行異常、ジストニア(筋緊張異常)、ジスキネジア、構音障害、筋強剛
肝臓ALT上昇AST上昇、LDH上昇、γ-GTP上昇、Al-P上昇
代謝異常CK上昇口渇、コレステロール低下、HDL-コレステロール上昇、トリグリセライド上昇、リン脂質低下
その他体重増加体重減少、倦怠感、脱力感、発熱、多汗、総蛋白減少、グロブリン分画異常、ナトリウム低下、カリウム低下、クロール低下

アリピプラゾール(エビリファイ)が必要な方

アリピプラゾール(エビリファイ)が必要な方

アリピプラゾールの特徴は、1日1回の服用で気分安定効果が期待できる点、副作用の発現が少ない点です。
そのため、他の抗精神病薬で効果がなかった方や副作用が出現してしまい薬剤の継続が難しかった方などが適していると考えられます。
他にも以下のような方はアリピプラゾールの服用が推奨されます。

アリピプラゾールの服用が推奨される方

  • 衝動性をコントロールできない方
  • ハイテンションと憂鬱な気分を繰り返す方
  • 意欲の低下が続き、何事にも興味・関心がなくなってきた方
  • 他の抗精神病薬で副作用が出てしまった方
  • 安い費用で治療を行いたい方

アリピプラゾールと他の抗精神病薬との違い

作用

アリピプラゾールは新規の抗精神病薬である「非定型抗精神病薬」に分類されます。従来の「定型抗精神病薬」は、ドーパミンがくっつく受容体を遮断する、もしくはブロックする役割を持ちます。ドーパミンの活動を低下させ、幻覚や妄想を改善させる一方、錐体外路症状と呼ばれる筋肉のこわばりやふるえなどを引き起こします。
アリピプラゾールは、ドーパミン受容体への影響は少なく、ドーパミン自体の量を調節します。そのため、投与量を増やしたとしても受容体を遮断せず、錐体外路症状が起こりにくいと考えられています。

有効性・安全性

他の抗精神病薬ではドーパミン量にかかわらず、受容体をブロックしたり、促進したりするため効果が早く出現しますが、副作用も出やすくなるため注意が必要になります
アリピプラゾールはドーパミン量に依存するため、過剰になってしまったり、枯渇してしまったりする可能性が少ないとされています。そのため急激な副作用も出にくいという特徴があります。

豊富な剤形

アリピプラゾールの先発品(エビリファイ)は錠剤だけではなく、持続性の注射剤や散剤、OD錠などが発売されています。OD錠は水なしで飲むことができるため、普段お仕事をされている方や薬の服用に気づかれたくない方などが適しています。注射剤では、錠剤よりも早く効果が出るため、急に症状が重症化した際などは推奨されます。それぞれの剤形の特徴は以下の通りです。

※剤形とそれぞれの特徴

剤形名メリット
錠剤一般的な服用方法なので、慣れている人が多い
散剤粉状になっているので、飲み込むことが苦手な方が服用しやすい
OD錠水なしで飲めるため、通勤中やお仕事中などどこでも飲むことができる
持続性注射剤注射した部位に薬がとどまり、長い間効果が続く。1回の注射で2~4週間ほど見込める方もいる
注射剤症状が急に悪化した際などはやめに効果を出したいときに使用される

症状が急に悪化した際などはやめに効果を出したいときに使用される

アリピプラゾールの先発役「エビリファイ」は2006年に発売されました。2017年以降は、同じ有効成分が含まれているものの安価で入手可能なジェネリック医薬品も発売されています。
しかし、ジェネリック医薬品と先発品では適応の範囲が異なり、近年適応として追加された「自閉症スペクトラム」などに対しては、先発品のみ使用可能となっています。

アリピプラゾール(エビリファイ)の先発薬

アリピプラゾールは大塚製薬が開発しました。「ポカリスエット」や「カロリーメイト」などの印象が強い会社ですが、医薬品の開発も行っており、特に精神系の薬剤を多く発売しています。

【関連商品①:エビリファイ【アリピプラゾール】】
エビリファイは、Abdi Ibrahim Otsuka Pharmaceutical A.S.(アブディ・イブラヒム大塚製薬株式会社)が開発・販売している抗精神病薬(統合失調症)の治療薬です。有効成分として「アリピプラゾール」が配合されています。効果は、意欲の低下を改善して、気分を安定させる働きがあります。他にも興奮や幻覚・妄想を抑える作用があります。

商品名エビリファイ
画像エビリファイ
有効成分アリピプラゾール10mg.15mg
価格10㎎:1錠あたり195円~
メーカーAbdi Ibrahim Otsuka Pharmaceutical A.S.
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アリピプラゾール(エビリファイ)のジェネリック医薬品

【関連商品①:アリップMT【エビリファイジェネリック】】
アリップMTは、統合失調症・うつ病・不安や緊張感を取り除く抗うつ剤です。
統合失調症は脳内伝達物質のバランスが崩れ、現実が正しく認識できなかったり感情のコントロールが出来なかったりなど様々な症状がでる病気の治療薬です。
エビリファイは、第三世代の抗精神病薬と呼ばれ、従来の抗精神病薬よりも副作用が抑えられております。

商品名アリップMT
画像アリップMT
有効成分アリピプラゾール5mg 15mg
価格5mg:1錠あたり39円~
15mg:100錠あたり5400円~
メーカートレントファーマ
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【関連商品②:アスプリト】
アスプリトは、新薬「エビリファイ」のジェネリック医薬品で統合失調症の治療に使用されるお薬です。主成分「アリピプラゾール」は統合失調症にみられる症状である「幻覚」や「妄想」と言った症状に対して効果を発揮するお薬で、その他にも様々な精神疾患にも用いられることのある抗精神病薬です。

商品名アスプリト
画像
有効成分アリピプラゾール15mg
価格15mg:100錠あたり4980円~
メーカーIntas Pharmaceuticals(インタスファーマ)
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アリピプラゾール(エビリファイ)に関するよくある質問

よくある質問
Q
アリピプラゾールは妊婦や授乳婦には使用できますか?
A

添付文書では、投与するメリットが危険性を上回る際に投与することとされています。
基本的には投与しないことが望ましいですが、どうしても辛い場合は医療機関に相談しましょう。

Q
アリピプラゾールはセロトニンにも影響するのでしょうか?
A

ドーパミン以外にもセロトニンに対する作用が認められています。セロトニン1A受容体には作動薬として、セロトニン2A/2Cには遮断薬として作用します。セロトニン2A受容体をブロックすると、ドーパミンの働きを間接的に強めることができます。
結果、意欲の低下などの症状が改善されます。

Q
アリピプラゾールを服用して運転はできますか?
A

運転などの危険な作業は避けてください。アリピプラゾールでは副作用として不快感や傾眠が起こります。
特に初めて服用したタイミングや薬剤の量を増やしたタイミングでは副作用が起こりやすくなりますので注意が必要です。運転は控えていただくことがよいでしょう。

最後に

アリピプラゾールは、気分が安定しない疾患に対して効果が期待される抗精神病薬です。気分の安定化に関与するドーパミンの量を直接調整するため、これまでの抗精神病薬と比較し、効果が高く、副作用も少ないことが見込まれています。
世界的にみても使用実績は豊富であり、安心して使用することができます。抗精神病薬の費用が気になる方であっても、既にジェネリック医薬品が発売されていますので疾患によっては安価に治療を継続することができます。
もし最近、衝動性が抑えられなくなってきた、鬱のような症状が出る、高いテンションと低いテンションを繰り返す場合、アリピプラゾールの投与を検討してみてもよいかもしれません。

参考

綱島こころクリニック アリピプラゾール
心療内科・精神科 こころ診療所 アリピプラゾール
kegg エビリファイ
統合失調症 ABC お薬について
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