パニック障害とは

パニック障害とは、突然めまいや息苦しさと同時に、「死んでしまうかもしれない」という不安や恐怖に襲われる発作のことを指します。
パニック障害時の発作は、人が多い場所や狭い空間、睡眠中など人によって起こる場所は様々です。
一度発作を起こしてしまうと、「また発作を起こしてしまったらどうしよう」という気持ちが強くなり、一人で出かけるのが怖くなったり、閉所にいられなくなったりするケースもあります。
実はパニック障害は、100人に1人が罹患している身近な疾患です。
患者にとっては社会的な支障が大きく生じるため、周囲の方は疾患への理解を示し、あたたかく支援してあげることが大切です。
パニック障害の症状

パニック障害で代表的な症状は、「パニック発作」「広場恐怖」「予期不安」の3つです。
パニック発作
パニック発作の特徴は、予兆なく突然発症することです。
胸の鼓動が早くなる、体や手足が震える、めまい、ふらつき、吐き気などがよく起こりやすいとされています。
人によりますが、一般的には10分以内にピークを迎え、30分程度で症状は落ち着きます。
身体的な検査を実施しても異常が見つからないことが多いため、周囲に相談できず1人で抱え込んでしまう方も少なくありません。
発作のタイプはさまざまありますが、個人では同じタイプの発作を繰り返す傾向にあります。
予期不安
予期不安は、パニック発作がトラウマとなり、「もう1度発作が起こったらどうしよう」という不安感に襲われることです。
発作が繰り返されるたびに、過去の経験を思い出し不安や恐怖が強くなっていきます。
結果的に症状も悪化するという負のループに陥ってしまうのです。
予期不安の例として、発作を起こしても誰も助けてくれないのではないか、他人に迷惑をかけてしまうのではないかという気持ちも含まれます。
パニック発作が改善したとしても予期不安を改善するのが難しいケースもあります。
広場恐怖
広場恐怖というのは、パニック発作を起こした経験から特定の場所や状況を避けるようになることです。
例えば、「バスの中で発作を起こしてしまい、外に出られずその後バスや電車に乗るのが怖くなってしまった」などがあげられます。
この時、バスに乗ると再び発作が起こるのではないかと心配してしまい、バスに乗れなくなってしまうのです。
行動に制限がかかり、社会的な支障も大きくなっていきます。
パニック障害になる原因

パニック障害の原因については、はっきりとわかっていません。
しかし、脳の延髄で何らかの異常が起こっているのではないかと考えられています。
脳の延髄は、体内の二酸化炭素の量を調節する役割を担っていますが、パニック障害の方では、二酸化炭素がわずかに少なくなったタイミングでも過剰に反応してしまい、息苦しさやめまい、発作につながるとされています。
しかし、あくまで仮説段階ですので、今後の研究に期待する必要があります。
パニック障害の種類

パニック障害には重症度があります。
生涯で1度だけパニックを起こす人は9人に1人といわれていますが、その後何度もパニック発作を繰り返す人の割合は減少していきます。
このような中で、パニック障害の世界的な診断基準「ICD-10」では、4週間以内に少なくとも4回のパニック発作を起こす人は「中等度」、4週間以上の間に各週で少なくとも4回のパニック発作を起こす人は「重度」とされています。
発作の回数から重症度を判別することで、その発作が日常に及ぼしている影響の大きさがわかります。
重度であればあるほど社会的な支障を生じますので、早めに治療をしていくことが大切です。
パニック障害と間違われやすい疾患

パニック障害の主な症状は息切れや呼吸困難、発作、ほてりなどです。
これらの症状は他の疾患でも起こりやすいため、鑑別の際には専門医へ受診することが大切です。
メニエール病
パニック障害と同じくめまいを起こします。
しかし、パニック発作はめまいのほかに息切れなどの症状が突然起こり、そして不安な気持ちに襲われます。
めまい以外にも症状が起こっている場合や、特定の場所に行くと不安を感じて症状が発症する場合はパニック障害の可能性がありますので、専門医を受診すると良いでしょう。
自律神経失調症
自律神経失調症も強い動悸や息苦しさを伴う疾患です。
しかし、身体症状に加えて強い不安や恐怖を伴うものがパニック発作と自律神経失調症の違いです。また、自律神経失調症は自律神経のバランスが崩れることで起こる疾患であり、原因がわかっています。
一方でパニック障害の場合は明確な原因はわかりません。
自律神経失調症の延長でパニック障害を発症することもあるので、注意が必要です。
パニック障害の治療方法

薬物療法
パニック障害の基本的な治療は薬物療法です。
放置していると悪化していってしまうため、発作が起こってから2~3カ月以内に治療を開始することが大切です。
パニック障害を抑えるためには、抗うつ薬やベンゾジアゼピン系抗不安薬を用いて治療を行っていきます。
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●DAXID【ジェイゾロフトジェネリック】
DAXIDは、ファイザーが販売している抗うつ剤で、ジェイゾロフトのジェネリック医薬品となっています。
SSRIに分類されるジェイゾロフトは世界100か国以上で販売されており、歴史と実績がある医薬品です。
うつ病以外にも、パニック障害、摂食障害に使用されます。抗うつ剤の中でも安全性と効果のバランスに優れていますが、効果が出るまで最低10日ほどかかりますので、途中で飲むのをやめないよう注意しましょう。
商品名 | DAXID【ジェイゾロフトジェネリック】 |
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画像 | ![]() |
有効成分 | セルトラリン100mg 50mg |
価格 | 50mg:1錠あたり81円~ 100mg:1錠あたり121円~ |
メーカー | Pfizer(ファイザー) |
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<関連商品②>
●リスコン【リスパダールジェネリック】
リスコンは、リスパダールと呼ばれる薬剤のジェネリック医薬品です。有効成分のリスペリドンは、ドーパミンとセロトニンの分泌を抑制します。
服用方法としては1日2回経口投与しますが、最大12mgを超えないようにします。ほかの抗うつ剤での効果がない方に対して、上乗せをされることが多い医薬品となっています。
商品名 | リスコン【リスパダールジェネリック】 |
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有効成分 | リスペリドン2mg・4mg |
価格 | 2mg:100錠あたり4500円~ 4mg:100錠あたり6750円~ |
メーカー | Consern Pharma社 |
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●アロー【トリプタノールジェネリック】
アロー【トリプタノールジェネリック】は、トリプタノールのジェネリック医薬品です。
アミトリプチリンは、「モノアミン」という神経を伝達する物質を増加させる効果によって、抑うつ状態の改善に効果を示します。
うつ病と夜尿症にも適応があるため、それぞれで飲み方が異なります。副作用としては、循環器障害や発疹などがあげられますので、異常があった場合には医療機関を受診してください。
商品名 | アロー【トリプタノールジェネリック】 |
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有効成分 | アミトリプチリン10mg・25mg・50mg |
価格 | 10mg:100錠あたり1800円~ 25mg:100錠あたり2700円~ 50mg:100錠あたり3600円~ |
メーカー | Actavis Generics(アクタビス) |
購入ページ | アロー【トリプタノールジェネリック】の購入ページはこちら |
認知行動療法
認知行動は薬物治療の効果があまり出ない際に選択されます。
最大限の効果を期待して、薬物療法と組み合わせて行われることもあります。
患者さんの疾患への考え方や向き合い方を改善していく治療法で、これまで持っていた認知のゆがみを正していくことで症状が治まっていきます。
パニック障害診断(セルフチェック)

もしかしたら、自分はパニック障害かも?と不安になる方も少なくありません。
医療機関の受診はあまりしたくないが、パニック障害が気になる場合は以下のセルフチェックをしてみると良いでしょう。
4つ以上当てはまった場合は、パニック障害のリスクがあります。
パニック障害診断(セルフチェック)
4つ以上当てはまった場合は、パニック障害のリスクがあります。
- 動悸・心臓の鼓動が早くなる・心拍数が増加する
- 急に汗をかく
- 手足の震えや身体の震えが起こる
- 息苦しさがある
- 窒息する感じがある
- 胸の痛みや胸部の不快感がある
- 吐き気や腹部の不快感がある
- めまいやふらつき、頭が軽くなる感じ、気が遠くなる感じがする
- 現実感の消失、自分が自分でないような感覚がある
- 死への恐怖がある
- 発狂してしまうかもしれないという恐怖がある
- 感覚がマヒする
- 突然寒気が襲う、突然ほてる
パニック障害に関するよくある質問

- Qパニック発作は身体に異常がないので放置していても大丈夫でしょうか?
- A
パニック発作は確かに身体異常は認められない疾患です。
病院を受診しても発作が起こっていないタイミングだと、「異常なし」とされてしまうため、本人もどこに相談してよいか抱え込んでしまうケースがあります。
本人は発作の治療方法はないのだと思い込み、予期不安や広場恐怖の症状が強くなっていきます。
うつ病などを発症し、自宅に引きこもるようになるケースもありますので、放置はせず、改善に向けて治療を行うことをおすすめします。
- Qパニック障害の薬物治療において注意点はありますか?
- A
パニック障害の治療は根気よく続けていくことが大切です。
たとえ発作が起こったとしても、不安な気持ちを強めず、恐怖がなくなるまで飲み続けることが重要です。
また、抗うつ薬やベンゾジアゼピン系の薬剤は自己判断で中止すると退薬症状や症状の悪化が起こるケースがあります。
お薬を減らしたり、やめたりする際には自分の判断で実施せず、必ず医療機関に相談するようにしましょう。
- Q治療中に意識しておくべきポイントはありますか?
- A
ストレスを抱えすぎないようにしましょう。
過労や緊張はストレスを知らないうちに溜め込んでしまいます。リラックスしながら治療に専念し、自分を追い込みすぎないようにしましょう。
また、コーヒーに含まれるカフェインやアルコールなども控えるようにしましょう。
- Qパニック障害になりやすい人の傾向はあるのでしょうか?
- A
完璧主義や真面目な方の中でも、多くの人が手を抜いてしまうことまでしっかりと取り組む人は注意が必要です。
息抜きをあまりしないため、知らないうちに心が疲れてしまうことがあります。
完璧にこなせないことがストレスになってしまうため、自分を責めてしまう傾向もあります。
このような方は、周りの目を気にしすぎず、自分のペースで仕事や勉強を行う癖をつけるとよいでしょう。
最後に
パニック障害は、突然めまいや息切れ、呼吸困難などを起こす疾患で、同時に「いなくなってしまいたい」といったような強い不安に駆られます。
一度パニック発作を起こすと、その経験がトラウマとなり、特定の場所に行けず生活に制限がかかることがあります。
パニック障害は気づいたときに早めから治療を行うことが大切です。少しでも症状に不安のある方は、治療を検討してみることをおすすめします。
出典
公益社団法人 富山県医師会
ながうしクリニック パニック障害
メンタルヘルス NPO法人生活の発見会