トリンテリックス(ボルチオキセチン)とは?効果・副作用・服用方法など解説

メンタルヘルスケア

トリンテリックス(ボルチオキセチン)とは

トリンテリックス(ボルチオキセチン)とは?画像

トリンテリックス(ボルチオキセチン)とは、デンマークのルンドベック社が開発した抗うつ剤です。2019年時点で80か国以上で発売されており、日本では2019年に承認を受けました。
うつの発症に関わるとされるセロトニンの再取り込みを阻害する作用(SSRI)に加えて、さまざまなセロトニン受容体を調節する作用を持っています。
抗うつ剤の中でもS-RIM(Serotonin reuptake inhibitor and serotonin modulator)に分類されており、比較的新しい薬剤であるため、副作用が少ない、離脱症状が少ない、1日1回の服用で治療ができるといったメリットがあります。

トリンテリックス(ボルチオキセチン)がもたらす効果

トリンテリックスは、うつ病・うつ状態への適応を取得しています。
うつ病が発症するメカニズムは正確にはわかっていませんが、ノルアドレナリンやセロトニンと呼ばれる神経伝達物質が脳内に不足していることが要因と考えられています。
セロトニンが不足すると不安や意欲低下に関わるとされており、仕事に対するやる気がなくなったり、何かに対して強い不安を抱えるといった症状が出てきます。

トリンテリックスは、セロトニンの再取り込みを増加させることで、セロトニンの脳内量を増やし「落ち込み」「不安」といった症状の改善効果をもたらします。
加えて、セロトニン受容体調節作用により、ノルアドレナリン・ドパミン・アセチルコリン・ヒスタミンの遊離も促進します。
トリンテリックスは1日1回5~20mgを服用する薬剤ですが、2週間~1カ月ほどで効果があらわれてきます。
毎日服用しないと薬剤の効果が最大限発揮されない可能性があるので、しっかり継続することが大切です。

※それぞれの神経伝達物質と役割について

神経伝達物質役割
セロトニン感情や気分のコントロール
ノルアドレナリン意欲低下・活力低下の改善
ドパミン喜びや快楽の低下の改善
アセチルコリン認知機能の改善・維持
ヒスタミン日中の意識の覚醒

うつ病への効果

国内で行われた臨床試験では、うつ病の患者を
①プラセボと呼ばれる偽薬を服用する群
②トリンテリックス5mgを服用する群
③トリンテリックス10㎎を服用する群

の3つに分けて効果を検証しました。
2か月間服用した時のMADRSスコアは、②トリンテリックス5mgを服用する群③トリンテリックス10㎎を服用する群で有意に低下し、トリンテリックス5mg、10㎎のうつ病への有効性が示されました。
50週間投与した時にも効果は継続しており、長期的に服用しても問題ないことも示されています。

トリンテリックス(ボルチオキセチン)の副作用

トリンテリックス(ボルチオキセチン)の主な副作用画像

トリンテリックスは抗うつ剤の中でも2019年と比較的新しく発売された薬剤であり、副作用もマイルドという特徴があります。
しかし、医薬品ですので少なからず副作用の発現リスクはあります。
トリンテリックスにおける副作用としては「悪心(19%)」「傾眠(6%)」「頭痛(5.7%)」「下痢(4.1%)」などがあげられます。
悪心が最も発現頻度としては高いですが、その他の抗うつ剤(SSRI)と比較すると少ないという特徴があります。
トリンテリックスの副作用は、1週間以内でおさまるとされていますが、許容できないほどの症状が出た場合にはすぐに服用を中止しましょう。

胃腸障害(悪心・嘔吐・下痢・便秘)

最も発現頻度が高い胃腸障害について詳しく解説します。原因として、セロトニン受容体を刺激する作用が影響していると考えられています。
セロトニンは脳だけではなく、胃腸にも作用するため、トリンテリックスを服用することで胃腸の動きも活発化し、下痢や便秘、嘔吐や悪心が起こります。
もし副作用が出てしまった場合はそれぞれの症状に対する対症療法(下痢薬、吐き気止めなどの服用)や服用を2回に分けてみるなどの対処法がおすすめです。

注意が必要な副作用

トリンテリックスを開始した時に気を付けるべき副作用が「賦活症候群(アクチベーションシンドローム)」です。
「気分が高揚する」「不安や焦りが高まり衝動的な行動をしてしまう」症状で、自殺企図にもつながるため注意が必要です。服用開始後に多いとされており、異常な精神状態がみられた場合には服用を中止しましょう。

トリンテリックス(ボルチオキセチン)服用による眠気について

多くの抗うつ剤では眠気を誘発するため、トリンテリックスにおける眠気も気になる方も少なくないかと思います。
*1実際の臨床試験では、6.0%の方に発現しておりました。ほかの抗うつ剤と比べると少ないという特徴がありますが、セロトニン受容体に幅広く作用する以上、少なからず発現リスクはあると考えられます。
眠気が出てしまった場合の対処法としては以下があります。1週間程度継続してもおさまらないようであれば、服用タイミングを寝る前に変えてみたり、用量の減少を検討してみるのがよいでしょう。

トリンテリックス眠気の対処法

  • 慣れるまで待つ
  • 服用タイミングを寝る前に変更する
  • 薬剤の量を減らす
  • 他の抗うつ剤に変更する

トリンテリックス(ボルチオキセチン)は太る?

抗うつ剤で発現しやすい「体重増加」に関しても気になる方は多いかと思います。
トリンテリックスの体重増加は臨床試験で0.9%、食欲亢進は0.2%と発現頻度としてはそれほど高くありません。
体重増加は薬剤だけが要因となることは少なく、生活習慣もかかわってくる項目になります。
そのため、もし体重が増加した場合は改めて生活習慣を見直し、以下の対処法をとるとよいでしょう。

トリンテリックス体重増加の対処法

  • 運動を行う
  • バランスの良い食事をとる
  • 食事の時によく噛んで食べるようにする
  • 薬剤の量を減らす

トリンテリックス(ボルチオキセチン)処方や入手方法

トリンテリックス(ボルチオキセチン)処方や入手方法画像

トリンテリックスを入手するためには2つの方法があります。
1つは「処方箋をもらい、医療機関で購入する」方法、そしてもう1つは「個人輸入の通販で購入する」方法です。
トリンテリックスは2019年に発売された薬剤ですので、まだジェネリック医薬品の発売はありません。

医療機関で購入する方法

うつ病の症状が出ている方は、医療機関を受診し診断を受けることで、薬剤を購入することができます。
医療機関では、病気の診断もつけてくれるメリットがある一方、受診費用や交通費用、薬剤費用などが追加でかかってきます。
うつ病と確定しておらず、一緒に症状の相談もしたい方には医療機関での購入がおすすめです。

個人輸入の通販で購入する方法

認められた医薬品であれば通販でも購入することができます。
通販では、交通費用や受診料がかからないため、費用負担を抑えたうえで治療を継続したい方におすすめの方法です。
また、移動時間や待ち時間も少なくなるため、仕事の調整がつきにくい方も通販での購入がよいでしょう。

<関連商品①>
●フォンクセラ【トリンテリックス】

フォンクセラは、日本国内で処方されている「トリンテリックス」の海外版で、うつ病、うつ状態を改善する治療薬です。
先発薬になります。主な特徴としては、副作用がマイルドで使いやすい、離脱症状が少ない、1日1回の服用でOKなど、体に負担が少なく使いやすい薬です。
その効果と手軽さから、うつ病改善の薬では人気トップクラスです。

商品名フォンクセラ
画像フォンクセラ
有効成分ボルチオキセチン5mg/10 mg/20mg
価格5mg:1錠あたり85円~
10mg: 56錠あたり103円~
20mg: 56錠あたり110円~
メーカーPharmaVision San. ve Tic. A.S.
購入ページフォンクセラの購入はこちら

トリンテリックスに関するよくある質問

トリンテリックスに関するよくある質問
Q
トリンテリックスの服用方法について教えてください。
A

10㎎から使用できますが、副作用発現リスクを減らす観点から5mgから開始し徐々に増やしていくのがよいでしょう。1日1回経口で服用します。
食事の影響を受けないので好きな時間に服用して問題ありませんが、眠気が気になる方は就寝前に服用するのがよいです。
最大20mgまで増量することができますので、1カ月ほど経過しても効果がみられない場合は増量を検討します。
ただし、増量する際は1週間以上の間隔をあけて行ってください。

Q
離脱症状は起こりますか?
A

抗うつ剤をはじめいくつかの薬剤では離脱症状が起こる場合があります。離脱症状とは服用していた薬剤を中止・減量した時に、薬をやめた反動で心身に不調が生じることです。
だいたい薬剤を減量して1~3日ほどして「吐き気やめまい、イライラ感、不安」などが発現し、2週間ほどでおさまります。トリンテリックスは比較的離脱症状は起こりにくいとされていますが、離脱症状を防ぐために減量する場合は少しずつ行っていくことが大切です。

Q
運転はできますか?
A

トリンテリックスでは、運転が可能です。
しかし、服用開始時や増量時は副作用が出やすい時期になりますので可能な限り運転は控えていただくのが無難です。
また、少しでも体調に違和感を感じた時は運転含め危険な機械作業なども避けることをおすすめします。

Q
トリンテリックスを使用できない人はどのような人ですか?
A

ボルチオキセチンに対して以前過敏症を起こしたことのある方、モノアミン酸化酵素(MAO)阻害剤を投与中もしくは投与中止後14日以内の方です。
モノアミン酸化酵素(MAO)阻害剤はパーキンソン病に使用される薬剤で、セレギリン塩酸塩、ラサギリンメシル酸塩及びサフィナミドメシル酸塩が該当します。

最後に

トリンテリックス(ボルチオキセチン)は、セロトニンを増やすことで不安や意欲低下などの症状を改善する抗うつ剤です。
比較的新しく発売された薬剤のため、副作用や離脱症状が少ないという特徴があります。
1日1回の服用、1カ月ほどで効果が見込まれますので、意欲低下や気分低下でお悩みの方は治療を検討してみると良いでしょう。

出典

kegg.jp 医療用医薬品:トリンテリックス
こころの健康情報局 すまいるナビゲーター
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