自律神経失調症とは?
「自律神経失調症」とは、自律神経の乱れにより生じる様々な身体の不調をさします。自律神経は交感神経と副交感神経の2つの神経からできています。交感神経は身体の活動を高め、副交感神経は身体を休息させる働きがあります。
通常、この2つの神経のバランスがとれていることで、体の内部環境を適切に維持しています。しかし一度このバランスが崩れてしまうと自律神経失調症が発症します。
自律神経失調症にはタイプによって主に4つのタイプに分けることができます。
自律神経失調症のタイプ | |
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本態性型 | 生まれつき自律神経の調整機能が乱れやすい体質です。虚弱体質や低血圧の人に多いです。生活習慣の改善が大切です。 |
神経症型 | ストレスで体調が乱れやすい精神病質的なタイプです。感受性が高く情緒不安定な人がなりやすいです。 |
心身症型 | 日常のストレスが原因で、身体症状と精神症状の両方が出ます。努力家型の性格の人がなりやすいです。 |
抑うつ型 | 心身症型が進行すると出てくるタイプで、精神的なうつ病と身体症状が合併するものです。完全主義者や几帳面な人に多い傾向があります。 |
この中で最も多いタイプは「心身症型自律神経失調症」です。
自律神経失調症の主な症状
自律神経失調症では、さまざまな「身体的」および「精神的」な症状が現れます。
代表的な「身体症状」は、慢性的な疲労・だるさ・肩こり・頭痛・腰痛・動悸・息切れ・吐き気・多汗・ほてり・不眠・便秘や下痢などの消化器症状・微熱・めまい・耳鳴り・しびれ・頻尿・残尿感など。
これらは自律神経の乱れに起因すると考えられています。
一方、「精神症状」としては、イライラ・不安・落ち込み・やる気のなさ・気分の憂鬱・感情の起伏の激しさ・あせり・興味や関心の低下を感じるなど。
こちらは二次的なストレス反応として生じている可能性が高いです。
このように自律神経失調症では、身体面と精神面両方の症状が複合的に現れることが特徴です。ストレスへの脆弱性や対処能力の個人差により、症状の程度やパターンは異なります。
これらの症状に適切に対処することで、自律神経失調症の症状はある程度コントロールが可能です。
自律神経のバランスが乱れる原因
自律神経のバランスが乱れる主な原因として、以下の4つがあげられます。
原因 | |
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ストレス | ストレスは自律神経の乱れに大きく関与します。ストレスがかかると交感神経が優位になり、身体は興奮状態に入ります。長期にわたるストレスは自律神経のバランスを崩し、様々な症状が現れることがあります。 |
不規則な生活習慣 | 生体リズムは24時間周期で運動しており、睡眠や食事などがそのリズムに合わせて行われています。不規則な生活習慣や昼夜逆転の生活は、自律神経のリズムを乱し、バランスを崩す要因となります。 |
季節の変化 | 季節の変わり目は気温や環境の変化が多く、これに適応するためには自律神経が調整される必要があります。気温の急激な変動や新しい環境への適応が、自律神経のバランスを乱すことがあります。 |
ホルモン変化に伴う病気 | 特定の病気や更年期障害など、身体の状態が変化すると自律神経にも影響が及びます。女性の更年期障害ではホルモンの変化が、男性の場合はテストステロンの減少が自律神経の乱れを招く可能性があります。 |
これらの要因が組み合わさることで、自律神経の調整機能が低下し、様々な症状が現れることがあります。重要なのは、これらの原因を理解し、適切な対策や生活習慣の見直しを行うことです。健康な生活環境やストレス管理、規則正しい生活習慣の確立が自律神経のバランスを保つ鍵となります。
自律神経失調症になりやすい人の特徴
自律神経失調症を発症しやすい人の性格や体質には、いくつかの共通点が見られます。
まず性格面では、神経質や内向的・真面目過ぎ・心配性・何事に対しても敏感過ぎる「高感受性」な性格を持つ人が発症しやすい傾向にあります。これらの性格を持つ人はストレスをため込みやすく、自律神経のバランスを崩しやすいです。
次に体質面では、もともと自律神経の乱れが生じやすい冷え性や低血圧、虚弱体質、やせ型の人が発症リスクが高いといえます。健康な体を保つことが難しく、ストレスなどで症状が現れやすくなります。
さらに、女性ホルモンの変化が大きな妊娠・出産・閉経・更年期といった生理現象が影響して、自律神経の乱れが生じるケースも少なくありません。
これらの特徴が相まって、過度なストレスや体調の変化が引き金となり、自律神経失調症が発症する可能性が高まります。重要なのは、これらの特徴を理解し、適切なストレス管理や健康習慣を取り入れることで、予防や症状の軽減が期待できます。自律神経のバランスを整えるためには、個々の特徴に合わせたアプローチが重要です。
自律神経失調症とうつ病の違いは?
自律神経失調症は、医学的に正式な病気ではありません。身体に様々な症状をきたした「状態」をさします。しかし、うつ病は病気であると言う点で明らかな違いがあります。
それぞれの症状を具体的に解説していきます。
自律神経失調症 | うつ病 | |
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症状の特徴 | 自律神経は、心臓、血圧、呼吸、消化、体温などの機能を調整します。自律神経失調症では、この調節が崩れ、さまざまな症状が生じることがあります。 典型的な症状には、頭痛・めまい・動悸・冷汗・排尿異常・消化不良・過度な疲労感など身体症状が中心です。 | うつ病は、気分の低下や無気力感・興味の喪失など精神的な症状が中心です。 疲労感・睡眠障害・食欲の変化・自己評価の低下・集中力の低下なども共通の症状です。 |
原因 | 交感神経と副交感神経のバランスが崩れることで起こります。ストレス・不規則な生活習慣・遺伝的な要因・疲労・特定の疾患などが自律神経失調症の原因となることがあります。 | 脳の神経伝達物質のバランスが崩れたり、心理的な要因であるストレスやトラウマなどが原因で気分が落ち込む精神疾患です。 |
診断と治療 | 医師による診断が必要であり、検査や症状の詳細な診断が行われます。 治療は、生活習慣の改善・ストレス管理・運動・薬物療法など自律神経機能を整えることが中心です。 | うつ病の診断も医師により行われ、症状の詳細な確認や精神的な評価が含まれます。 心理療法(認知行動療法・対人関係療法など)や抗うつ薬などによる薬物療法が一般的な治療法として使用されます。 |
どちらの状態もストレスが関与していることがありますが、自律神経失調症は主に「身体的」な症状に焦点が当てられ、うつ病は主に「精神的」な症状に焦点が当てられます。
このように、原因や症状、治療法が異なる点から、自律神経失調症とうつ病は明確に区別されるべき疾患です。しかしながら両疾患は同時に発症することもあり、症状が重なることがあるため、診断には特に注意が必要です。
自律神経失調症の診察・検査と治し方
「診察と検査」
自律神経失調症には、明確な診断基準がありません。そのため、他の病気を除外することから診察は始まります。動悸や胸の痛みがある場合には心電図検査を行い、胃の痛みがある場合には胃カメラ検査を行うなど、症状に合わせて検査を行い、他に原因となる病気がないことを確認します。その上で、自律神経機能検査を行うことが補助的な診断法として有用です。
代表的な検査として新起立試験があります。これは横になった状態から、立ち上がった時における血圧と脈拍の変化を測定するもので、正常者では血圧と脈拍は大きく変動しませんが、自律神経失調症の場合は立ち上がり後の血圧低下や頻脈が顕著です。ほかにも呼吸試験や心理テストなどを行い、自律神経機能検査と組み合わせて、自律神経のバランスを定量的に判断することが重要です。
「治し方」
最も大切なことは日々重なるストレスを解消することです。仕事や家庭などからのストレスが自律神経のバランスを崩している場合が多いため、趣味活動や散歩など、ストレス解消法を取り入れることが重要です。必要に応じて仕事の軽減も考慮する必要があります。
次に生活習慣の改善です。規則正しい睡眠サイクルをつくることで交感神経と副交感神経の日内リズムを正常化させます。適度な運動、バランスの取れた食事摂取することが最も大切です。
さらに薬物療法では抗不安薬や抗うつ薬、睡眠薬などを用います。漢方薬も効果が期待できます。具体的に使用される抗不安薬については以下のページにて紹介しますのでご確認ください。
中でも自律神経調整剤として医療用医薬品で使用されている薬を一部紹介すると、「グランダキシン錠50mg」があります。ジェネリック医薬品であれば「トフィソパム錠50mg」になります。この医薬品はいずれも処方箋医薬品になるため病院受診しなければ入手することはできません。
しかし個人輸入で購入の出来る医薬品ならば別です。家にいて自分で輸入する事で入手することが可能です。
それが「トフィカーム【グランダキシンジェネリック】」です。詳細は以下のサイトから閲覧できます。
商品名 | トフィカーム【グランダキシンジェネリック】 |
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画像 | |
有効成分 | トフィソパム |
価格 | 1箱あたり4,600円~ |
メーカー・ブランド | Sun Pharma Laboratories Ltd. |
URL | トフィカーム【グランダキシンジェネリック】の購入はこちら |
治療法にはさらに認知行動療法などの精神療法も併用し、症状と認知のズレを修正することで効果を高めます。
以上のように、「治し方」については生活面からのアプローチと薬物・精神両面の治療を組み合わせることが重要になります。
自律神経失調症の予防と注意点
自律神経失調症の予防のために大切なのが、「適度な運動」です。特に有酸素運動は自律神経のバランス改善に効果的です。同時にストレス発散にもなります。ただし過剰な運動は逆に自律神経を乱すことになるので、無理のない範囲で行うことがポイントです。
次に「規則正しい生活リズムの構築」です。規則正しい睡眠と食事、朝の日光浴びを心がけることで、体内時計を整え自律神経の乱れを防ぎます。「入浴」も同様に体温調整を介して自律神経に良い影響があります。その上でストレス発散法を取り入れ、ストレスが蓄積しないようにすることも大切です。好きな音楽を聴いたり散歩したり各自に合ったストレス解消法を見つけることが必要です。
また早期発見につなげるため、半年に一度は自律神経機能検査を受けることをおすすめします。特にストレスの多い方は要注意です。
まとめ
まとめ
「自律神経失調症」とは医学的に正式な病名ではなく、自律神経の乱れに起因するさまざまな症状に対してつけられた病名です。その代表的な症状には、慢性的な疲労・頭痛・消化器症状・不眠・イライラ等の身体症状と不安・気分の憂鬱といった精神症状が複合的に現れます。 これらの症状をもたらす原因には、ストレスや不規則な生活習慣・季節の変化・ホルモン変化などによる自律神経のバランス崩壊があげられます。 ストレスへの脆弱性や対処能力の個人差によって症状の程度は異なります。 治療では生活習慣の改善、ストレス対策とともに、必要に応じて抗不安薬や抗うつ薬・睡眠薬などの薬物療法を用います。 認知行動療法による精神療法も併用されることがあります。予防には運動や規則正しい生活習慣の確立が重要です。 自律神経失調症診断の方法は明確に決まっていないため「現在の症状」を検討しながら慎重に行い、他の病気を除外することで診断されます。
出典