高血圧とEDの関係とは?高血圧でも飲めるED治療薬や注意点を解説

高血圧とEDの関係とは?高血圧でも飲めるED治療薬や注意点を解説 ED治療薬(勃起不全)

高血圧とEDの関係

高血圧の人のイメージ画像

高血圧と診断されている人は適切な治療をしなければ、いずれEDになる可能性が極めて高いという話を耳にしたことはありますか?男性にとっては耳を疑うような話ですが事実です。
高血圧患者ではEDを合併する頻度が高いことが研究結果より判明しています。

参考元

ED診療ガイドライン[第3版]

理由はいくつか考えられますが、神経・血行動態のバランスが崩れること、また高血圧に伴う心血管合併症による影響があげられます。

高血圧は自覚症状のない疾患です。ガイドラインによれば病院で測定する血圧が140/90以上、家で測定する血圧が135/85以上とされています。
詳しい高血圧のお話は以下のページで解説します。

EDは男性にとっては非常に深刻な問題です。
EDとは満足な性行為を行うのに十分な勃起が得られないか、維持できない状態が持続または再発すること」と定義されています。

EDの詳しい症状や治療薬については以下のサイトで詳しく説明しています。

高血圧とEDは一見関係性がないように見えますが一つ共通点があります。それはどちらも血流が関与していると言うことです。
血圧も陰茎もどちらも血液が流れることにより血管を拡張したり収縮したりすることでその働きを示します。
様々な要因、例えば動脈硬化などにより血管が硬くなり拡がりにくくなると心臓は普段以上に仕事をして血液を流そうと努力します。その結果血管に負担がかかり血圧は上昇します。
そんな状態が長く続くと今度は陰茎に血液が十分に流れ込まない状態になります。その結果EDが併発するという機序になります。
従ってこの機序からもわかるように高血圧が重症化することでEDも重症化することにつながります。EDにならないようにするためにはまずは血圧の管理することが大切ですね。

高血圧治療薬とEDの関係

血圧の管理がEDにならない為の重要な要素であることは分かりました。そのことを踏まえると、まずは高血圧を治療することが必要になります。
基本的には慢性疾患の治療は食事運動療法から始まります。それでも血圧の管理ができないようであれば初めて高血圧治療薬を服用することになります。
しかし高血圧治療薬を飲めば必ずEDにはならないのかと言われればそうとも言い切れません。なぜなら薬剤性EDというものがあるからです。
高血圧症治療薬の中には性機能を改善するものと悪化させてしまうものが存在するからです。
通常血圧を治療する場合EDになるかどうかまでは考えていません。
まずは目の前の疾患をしっかりと治療する事が何より優先されます。もしEDの不安があれば治療の際に主治医とよく相談してみると良いでしょう。

高血圧の治療薬の中ではED治療薬と同成分の医薬品があります。

成分名商品名適応症
タダラフィル錠アドシルカ錠20mg肺動脈性肺高血圧症
タダラフィル錠シアリス錠5mg/10mg/20mg勃起不全
タダラフィル錠ザルティア錠2.5mg/5mg前立腺肥大症に伴う排尿障害

つまりアドシルカ錠20mgを服用している高血圧患者はEDも同時に治療していることになります。
よって別途ED治療薬を服薬する必要性はありませんし、むしろバイアグラ錠など追加で服薬しないよう注意が必要となります。
しかし、逆に高血圧治療薬が原因でEDになる場合があります。どんな薬が原因となるのかは次の章で詳しく解説します。

高血圧でもED治療薬を服用できる?

前章で血圧の治療薬がEDの治療薬にもなることを解説しました。つまり高血圧でもED治療薬は服用できるということになります。

現在日本で販売されているED治療薬は皆さんご存じバイアグラ(シルデナフィル)、前章で解説したシアリス(タダラフィル)、そしてバルデナフィルの3種類になります。
個人輸入で購入の出来る医薬品については以下のサイトで紹介いたします。

ED治療薬が血圧や心拍数に与える影響はわずかであり、高血圧患者に対しても安全に使用できることが証明されています。

参考元

Effect of sildenafil citrate on blood pressure and heart rate in men with erectile dysfunction taking concomitant antihypertensive medication. Sildenafil Study Group
Chapter 1: The management of erectile dysfunction: an AUA update

しかし全部が全部どのED治療薬でも問題なく服用できるかと言われればそうですとは言えません。中にはED治療薬が飲めない場合ももちろん存在します。
どんな場合かと言えば
①血圧が極めてコントロール不良の場合
②硝酸剤を服用している場合
③不整脈薬を服用している場合
 が考えられます。
①の血圧が極めてコントロール不良の状態とは、具体的には血圧が170/100以上、または90/50以下の場合とされています。ED治療薬を服用することにより別の疾患が悪化してしまうからです。
では高血圧でも飲めるED治療薬について具体的に解説していきます。

高血圧でも飲めるED治療薬

まず高血圧は治療していることが前提となります。なぜなら未治療でコントロール不良の高血圧患者(170/100以上もしくは90/50以下)に対してED治療薬の使用はできないからです。
その上でどんなED治療薬であれば服用できるのかを見ていきます。
日本で販売されているED治療薬は3種類あると解説しました。コントロールされている高血圧の患者であればその3種のどのED治療薬も服薬することは可能です。
ただし、既に説明済みですが高血圧治療薬であるアドシルカを服用中の患者に対しては他のED治療薬を服薬することはできません。何故ならばアドシルカはシアリスと同一成分だからです。

ED治療薬(日本)

  • バイアグラ(シルデナフィル)
  • シアリス(タダラフィル)
  • バルデナフィル

代表的なこれらED治療薬の他ジェネリック医薬品も多数各社から販売されています。
同様に海外で販売されているED治療薬も高血圧患者に対し安全に使用することができます。

ED治療薬(海外)

  • ズデナ(ザイデナジェネリック)
  • ステンドラ(スペドラ)
  • カマグラゴールド(シルデナフィル)
  • アバナ(アバナフィル)
  • タダシップ(タダラフィル)
  • レビスマ(バルデナフィル)
  • シルビトラ(バイアグラ+レビトラ)
  • シルダリスト(バイアグラ+シアリス)
  • スーパーバイマス(バイアグラ+早漏防止薬)

一部を紹介しましたが、見て分かる通り海外で販売しているED治療薬の方が豊富です。また海外製品では合剤と呼ばれる配合錠の販売も見られます。
例えばシルビトラのようにバイアグラとレビトラが一緒になったED治療薬やスーパーバイマスの様にED治療薬と早漏防止薬が一緒になったED治療薬が販売されています。
日本の製品で物足りないなと感じた場合は海外製品を使用してみても良いかもしれませんね。

EDの原因となり得る降圧薬

降圧薬のイメージ画像

降圧薬の中にはEDの原因となる医薬品があります。
現在日本において販売されている高血圧治療薬を分類すると、カルシウム拮抗薬、アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬、アンジオテンシン変換酵素阻害薬、利尿薬、ベータ遮断薬、α遮断薬、アルドステロン拮抗薬、直接的レニン阻害薬、交感神経抑制薬、血管拡張薬などがあります。
これらの中で利尿薬」と「ベータ遮断薬」、「交感神経抑制薬」についてはEDの原因となる可能性が示唆されています。

製品名作用機序理由
利尿薬フルイトラン
ラシックス
アルダクトン
体内の水分をオシッコとして体外へ出すことにより降圧作用をもたらす利尿作用により亜鉛の排泄が増加、亜鉛の不足に伴いテステステロん生成が減少しEDが発症
ベータ遮断薬テノーミンβ受容体を遮断することにより血管の収縮を抑制し降圧作用をもたらす神経伝達を弱める作用、その結果性的刺激を受けても性的興奮の伝達がうまくいかずEDが発症
交感神経抑制薬アルドメット自律神経に作用し末梢血管収縮を抑制することにより降圧作用をもたらすベータ遮断薬同様神経伝達を弱める作用、その為性的刺激を感じても脳からの勃起命令が陰茎に伝わらずEDが発症

EDにならない為には上記医薬品だけを避ければよいかと言われると決してそうとも言えません。と言うのも、降圧剤により血圧が下がり過ぎるとEDになることがあるからです。
動脈硬化により陰茎への血流が低下している状況で、降圧薬投与により更に血流が低下してしまうことでが考えられています。
血圧は下げすぎず上げすぎずコントロールすることが大切です。

高血圧の方がED治療薬を服用する際の注意点

ED治療薬を服用す際のイメージ画像

高血圧患者がED治療薬を服用する場合、以下6項目に対して注意が必要となります。

高血圧患者がED治療薬を服用する場合の注意点

  • 収縮期血圧170mmHg以上、拡張期血圧100mmHg以上の重度高血圧の方はED治療薬の服用はできません
  • 高血圧患者がED治療薬を服用するには、先ず降圧剤で血圧を正常域まで下げ血圧をコントロールする必要があります
  • 降圧剤とED治療薬の併用は血圧の過剰な低下を招き、めまいや立ちくらみなどの副作用が生じるリスクがあります
  • ニトログリセリン系医薬品(アイトロール・ニトロール・シグマートなど)との併用は降圧作用が強すぎて危険なため禁止されています
  • ED治療薬の服用前には必ず血圧測定を行い、高血圧状態でないことを確認すること
  • 服用後も定期的に血圧チェックを行い、明らかな低血圧症状がないか観察すること

以上の点を守ることで、高血圧患者も比較的安全にED治療薬を利用することが可能です。医師の指示に従うことが大切です。

高血圧とEDの関係のよくある質問

Q
高血圧治療薬であるアドシルカ錠20mgを飲めば常に勃起状態になるのですか?
A

ED治療薬であるシアリス錠5mg/10mg/20mgにも同様の事が言えますが、ED治療薬を飲んだからと言って24時間常に勃起しっぱなしと言う訳ではありません。
薬を飲んだ後、性的刺激が加わることで初めてその作用を発揮します。
つまり高血圧治療薬であるアドシルカも同様で、飲んだからと言って性的刺激がなければ勃起することはありません。
逆を言えば性的刺激があることで持続勃起や勃起延長することが副作用になります。

Q
高血圧治療薬以外でEDになる可能性のある薬はありますか?
A

高血圧治療薬以外にもED(勃起障害)の原因となりうる薬剤は数多く存在します。
代表的なものとしては、抗うつ剤・精神安定剤・向精神薬・ホルモン剤・アレルギー用剤・脂質異常症治療薬などがあります。
これらの薬剤はEDの副作用として知られています。
作用機序としては、これらの薬が中枢神経や血管系、性ホルモン分泌に影響を及ぼすことで、勃起メカニズムが阻害されてしまうためと考えられています。
服用している薬剤でEDが生じた場合は、主治医に相談し、可能であれば他の薬への変更を考える必要があるでしょう。
代替薬についても副作用の確認が大切です。

Q
高血圧治療薬とED治療薬を一緒に飲む際、注意点は何がありますか?
A

高血圧治療薬はその名の通り血圧を下げる作用のある薬を指します。
ED治療薬は目的はEDの改善ですが、その作用機序上血管拡張作用を有しており血圧を下げます。
従って一緒に飲む際の注意点としては血圧が下がりすぎることにより眩暈やふらつき等の副作用に注意が必要となります。
ただし、性的興奮中は一時的に血圧上昇傾向を示すため必ずしも副作用が出るとは限りません。

Q
高血圧を治療するとEDになるのですか?
A

高血圧の方は動脈硬化が進んでいる可能性が高いです。
その結果EDになる可能性がありますが、更に高血圧の治療薬で利尿剤やβ遮断薬を使用している方はその副作用でEDになる可能性がありダブルパンチで影響を受けることになります。

まとめ

高血圧とED関係まとめ

  • 高血圧患者ではEDを併発する頻度が高い
  • 高血圧とED共通の原因として血流動態が関与している
  • 高血圧が重症化するとEDも進行する

したがって、ED予防のためには高血圧のコントロールが重要です。

高血圧治療薬とEDの関係まとめ

  • 治療薬がEDを改善したり悪化さたりすることがある
  • 利尿薬やベータ遮断薬などがEDの原因となりうる

したがって、ED予防のためには高血圧のコントロールが重要です。

高血圧患者がED治療薬を使う際

  • 血圧がコントロールされていることが前提
  • 低血圧を引き起こす可能性があるため注意が必要

以上から、高血圧とEDには密接な関係があり、お互いの病態に影響を及ぼし合うことが分かります。
よって医師の指示のもと適切な治療法を選択し、必要に応じてED治療薬を使用することが重要です。

出典

高血圧の話(一般向け「高血圧治療ガイドライン2019」解説冊子
高血圧治療ガイドライン2019
高血圧治療ガイドライン2019の改訂ポイント
ED診療ガイドライン「第3版」
Effect of sildenafil citrate on blood pressure and heart rate in men with erectile dysfunction taking concomitant antihypertensive medication. Sildenafil Study Group
Chapter 1: The management of erectile dysfunction: an AUA update
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