冷え性とは?原因や種類、タイプ別の改善法を解説

病気・症状

冷え性とは

冷え性とは、季節を問わずに手足が冷たく感じる、体が冷えやすい体質のことです。
これは血液循環の悪さや、自律神経の失調などが原因で起こります。
多くの場合検査しても明確な異常が見つからないケースが多いとされています。
人間の体温は通常37度前後で推移していますが、これを保つために体内では熱の生成と放出のバランスがとられています。
熱は主に筋肉や内臓といった臓器の活動によって生成され、血液の流れに乗って全身に運ばれます。
しかし、手足といった末梢部では、心臓から遠いうえに重力の影響も受けるため、血液の循環が悪くなりがちです。血流が滞るとその部分が冷えやすくなるため、手足の冷えは血行不良を示していることが多いのです。

冷え性と冷え症の違い

冷え性と冷え症の違い画像

冷え性

病院で検査を行っても明らかな病気がないのに手足が冷たく感じるなどの症状がある体質のことです。西洋医学で使われる概念では、病気とはみなされません

冷え症

東洋医学的視点から、冷えは気の流れが滞っている異常な状態ととらえます。治療が必要な病態だと考えられます。東洋医学において「しょう」とは病気の意味です。
冷え症の症状は個人差が大きく、手足だけでなく上半身がぽかぽかなのに下半身が冷えたり、腹部のみが冷たい場合など様々です。その人に合った治療が必要となります。
要するに、西洋医学的には「冷え性」は体質の範囲内で、東洋医学的には「冷え症」こそが問題として捉えられる、という違いがあるのです。

冷え性の症状

冷え性の症状:男性

  • トイレが近くなる(頻尿):12.6%
  • 頭痛・頭重:11.8%
  • 肩こり:11.3%
  • 寝つきが悪い・眠れない:10.1%
  • かぜをひく、鼻水やくしゃみが出る、鼻が詰まる:9.3%
  • 腰痛:8.1%
  • だるさ、疲れやすくなる:7.8%
  • 下痢・便秘:6.8
  • めまい:4.3%
  • お腹が張る2.5%

冷え性の症状:女性

  • 寝つきが悪い・眠れない:28.0%
  • トイレが近くなる(頻尿):23.8%
  • 頭痛・頭重:22.8%
  • だるさ、疲れやすくなる:21.0%
  • 腰痛:16.5%
  • 生理痛がひどくなる:15.8%
  • かぜをひく、鼻水やくしゃみが出る、鼻が詰まる:14.5%
  • 下痢・便秘:7%
  • めまい:5.0%

冷えによって悪化する症状として、男女ともに共通する点として、肩こり・不眠・頻尿・頭痛などが挙げられます。

冷え性の原因

冷え性や冷え症の背景には、血行不良など体の熱分布の乱れが関係しています。
代表的な冷えの原因は以下の通りです。

冷え性の原因

  • 運動不足による代謝低下と筋肉量の低下
  • 食事からの栄養バランスの乱れ
  • 喫煙による血管収縮
  • ストレス等で自律神経失調を起こ
  • 服装面での対応ミス

中でもふくらはぎの筋肉は、血液循環を助ける重要な役割があります。運動不足からくる筋力低下は冷えの大きな要因といえます。
食事面でもタンパク質をはじめ栄養バランスを崩さないことがポイントです。ストレス解消や適切な服装選びも大切な対策といえそうです。

男性の冷えの原因

男性の冷えの原因画像

女性に比べて男性の冷え症は少ないと考えられがちですが、決して無縁の症状ではありません。男性が冷えを感じるケースでは、次のような原因があることが多いです。

男性の冷えの原因

  • 加齢に伴う筋肉量の低下
    高齢になるにつれて筋肉が減り、体の熱産生能力が低下することで冷えが生じます。
  • 基礎代謝の低下
    臓器の働きが悪くなり、体内で生成される熱の量が減ることにより冷えがおこります。
  • 末梢循環の悪化
    血管の老化で手足を駆け巡る血流量が減り、末端が冷えやすくなります。
    この他、精神的ストレスなどが引き金となって自律神経のバランスが崩れ、血行不良を招くこともあります。

女性の冷えの原因

女性の冷えの原因画像

女性は男性と比べて冷え症になりやすい体質です。その背景には次のような生理的な要因が関係しています。

女性の冷えの原因

  • 筋肉量が少なく、体温生成効率が低い
  • 脂肪組織が多い
  • 腹部の血流の悪化
  • 月経時の血液不足に伴う血液循環の低下
  • 更年期のホルモンバランス崩れ
  • 寒い場所でのスカート着用による下半身の冷え
  • 下着や衣類の締め付けによる血行悪化

特に女性は内臓の血流動態が変化しやすく、子宮や卵巣周囲が低体温状態に陥りやすいのが特徴です。
こうした生理機能の違いが、女性は体の芯まで冷え込みやすい体質につながっていると考えられます。

冷え性の種類

冷え性の種類画像

冷え性の種類

  • 手足のみ冷える四肢末端型:栄養不足が原因のケースが多い
  • 下半身冷える下半身型:姿勢の悪さなどが関係している
  • 体全体が冷える全身型:基礎代謝の低下が原因
  • 体の芯から冷える内臓型:ストレスが引き金に

手足の冷え以外の自覚症状も型で異なることが分かっています。
冷えの原因や好発時期も個人差が大きいので、自分の冷えの特徴を知ることが大切です。タイプ別の対策を行うことで、より効果的に冷え対策ができるでしょう。

冷え性と病気の関係性

冷え性そのものは病気ではありませんが、時に大きな病気を示していることがあります。
代表的な症状と関連疾患は以下の通りです。

冷え性と病気の関係性

  • むくみがある
    リンパ浮腫や女性ホルモン異常が考えられます。
  • 貧血がひどい
    体のどこかで出血の可能性や子宮内膜症などの婦人科疾患の可能性があります。
  • 特定部位の局所的な冷え
    過去の外傷や手術の影響が考えられます。
  • 左右片側の冷え
    重大な病変の可能性が考えられます。
  • ほてりがある
    冷えの一種に顔のほてりなどがあります。女性ホルモンの異常や、赤面症などの可能性が考えられます。
  • 汗を伴う冷え
    女性ホルモンの影響や皮膚疾患の可能性があります。
  • しびれと冷え
    冷えていない時から冷えがある場合には神経学的な疾患の可能性があります。
  • 色素沈着や変色
    冷えとむくみがあり赤や紫に変色している場合は血行不良が考えられます。

冷え以外の症状にも注目し、適切な専門医の診断を受けることが大切です。

冷え性の改善方法

冷え性の改善方法画像

冷え性を改善するには、体の芯から温めることが大切です。代表的な生活改善策は以下の通りです。

冷え性の改善方法

  • 運動で筋肉をつける
    筋肉をつけることは体の熱産生と血流を改善します。
  • 体を温める食事をとる
    根菜類や薬味がおすすめです。
  • おなかや背中に温めるアイテムを使う
    腹巻やカイロなどを上手に使用することが大切です。腹部の血行促進で便秘改善にもつながります。
  • 湯船につかる
    39度のお湯に15分程度つかるのがベストです。
  • タバコをやめる
    禁煙で冷え性も改善します。

身体をじっくり温めて血行を良くすることが大切です。
冷え性対策のポイントは「ゆっくりと体温を上げる」こと。毎日続けることが肝要です。

【薬物療法】
冷え性の治療には、血行促進と自律神経の安定化を目的とした薬物療法もあります。
代表的な成分がビタミンEです。これは抗酸化作用が高く、末梢循環障害の改善効果が実証されています。女性ホルモン分泌を高めることから、更年期障害に伴う冷え性にも有用です。
市販されている関連薬には、トコフェロール(ビタミンE)を配合した血行促進・自律神経安定薬が多数あります。うつ病気味の冷え性の改善にも一定の効果が期待できそうです。
生活習慣の改善に加え、適切な薬物療法を併用することで冷え対策の相乗効果が期待できるでしょう。かかりつけ医と相談しながら治療を進めましょう。

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まとめ

冷え性は生活習慣や体質、環境要因などが関係し合って起こる、手足の冷えを代表症状とする症状群です。時にはその背後に重大な病気が隠れていることもあるので要注意です。
冷えの程度や部位によって四肢末端型下半身型全身型内臓型などのタイプ分けができます。原因や好発時期も個人差が大きいので、自分の冷えの特徴を知ることが大切です。
食事、運動、入浴、服装など生活スタイルからのアプローチと、必要に応じた薬物療法の併用で、冷え性の改善を図っていきましょう。冷え対策は根気よく続けることが肝心です。

出典

全国健康保険協会
千葉県医師会
クラシエ
第一三共ヘルスケア
ツムラ
養命酒製造株式会社
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