「足の裏がカサカサして痒い」「爪が白く濁ってボロボロになってきた」
このような症状に悩まされていませんか?これらはすべて、多くの人が一度は耳にしたことがある「水虫」の代表的な症状です。
水虫の治療といえば、お風呂上がりに「塗り薬」を塗り込むイメージが強いかもしれません。しかし、実は水虫のタイプや進行度によっては、塗り薬だけでは完全に治すことが難しいケースが多々あります。そこで重要な選択肢となるのが、体の内側から菌を退治する「飲み薬(内服薬)」です。
本コラムでは、水虫に効く飲み薬の種類や効果、塗り薬との違い、服用時の注意点までを解説します。長年水虫に悩まされている方や、爪の変形が気になっている方は、ぜひ最後までお読みいただき、正しい治療への第一歩を踏み出してください。
水虫は飲み薬で治せる?
「水虫って、薬を飲んで治せるの?」と意外に思う方もいるかもしれません。結論、水虫は飲み薬でしっかりと治すことができます。 むしろ、特定の状態にまで進行した水虫に対しては、飲み薬が適しています。
ここでは、どのようなケースで飲み薬が必要になるのか、また逆に塗り薬だけで治療ができるのはどのようなケースなのかを具体的に見ていきます。

飲み薬が必要になるケース
水虫の原因菌は、皮膚の表面だけでなく、時として塗り薬の成分が届かない、奥深くや硬い組織の中に潜り込んでしまいます。以下のようなケースでは、医師から飲み薬が処方されることが一般的です。
爪水虫(爪白癬)
水虫の菌が「爪」の中に入り込んでしまった状態を「爪水虫(爪白癬)」と呼びます。
爪はケラチンという硬いタンパク質でできているため、上から塗り薬を塗っても成分が奥まで浸透しにくく、表面をケアするだけでは根絶が困難です。
飲み薬を服用すると、成分が血液に乗って爪の根本や皮膚の土台に届き、新しく生えてくる爪を健康な状態に導くことができます。
広範囲に広がった水虫
水虫が片足の指の間だけでなく、両足の裏全体、さらには手や体、股部にまで広範囲に広がってしまった場合、すべての患部に毎日漏れなく塗り薬を塗り続けるのは非常に大変です。
塗り残しがあるとそこから再び菌が繁殖してしまいます。このような場合、飲み薬を使用することで、全身のすみずみまで一気に有効成分を行き渡らせ、効率的・効果的に治療を進めることができます。
塗り薬で改善しない水虫
数ヶ月間にわたって医師の指示通りに正しく塗り薬を塗り続けているにもかかわらず、一向に症状が改善しない、あるいは悪化してしまうというケースがあります。
これは菌が皮膚の非常に深い層(角質層のさらに奥)に定着している可能性や、塗り薬の成分が肌に合っていない可能性、あるいは後述する「角質増殖型」という特殊なタイプである可能性が考えられます。
こうした「難治性」の水虫に対しても、アプローチを変えて飲み薬が推奨されます。
塗り薬だけで治療できるケース
すべての水虫で飲み薬が必須というわけではありません。以下のような「初期段階」や「皮膚の表面にとどまっている状態」であれば、塗り薬(外用薬)だけで十分に完治を目指すことができます。
- 症状が一部の指の間に限られている(軽度の趾間型)
- 足の裏に小さな水ぶくれが数個ある程度(軽度の小水疱型)
- 爪への感染が一切見られない
- 過去に水虫になったことがなく、発症してからの期間が短い
塗り薬による治療の基本は、「症状が出ている部分だけでなく、足の裏全体や指の間、アキレス腱のあたりまで広範囲に、毎日欠かさず塗る」ことです。
皮膚のターンオーバーに合わせて、症状が消えてからも最低1ヶ月以上は塗り続ける必要がありますが、正しく継続できれば飲み薬を使わずに治すことが可能です。
水虫の種類と原因
水虫を正しく治すためには、まず水虫の種類や原因について知る必要があります。水虫にはいくつかのタイプがあり、それぞれ見た目や特徴が異なります。
水虫の種類
医学的には「白癬(はくせん)」と呼ばれる水虫ですが、症状が現れる部位や状態によって、大きく以下の4つのタイプに分類されます。

趾間型
もっともよく見られる、いわゆる「定番」の水虫です。足の指の間(特に薬指と小指の間)の皮膚が赤くふやけて白くなったり、皮がむけたり、ジュクジュクしてきたりします。強い痒みを伴うことが多く、皮がむけた部分が裂けて痛みを伴うこともあります。
小水疱型
土踏まずや足の側面、指の付け根などに、チクチクとした激しい痒みを伴う小さな水ぶくれがポツポツとできるタイプです。日が経つと水ぶくれが乾燥して、カサカサと皮がむけていきます。主に春から夏にかけて症状が悪化しやすいのが特徴です。
角質増殖型
足の裏、特に「かかと」の皮膚がガサガサに硬くなり、厚くなってひび割れてしまうタイプです。
一見すると単なる「冬場の乾燥による肌荒れ」や「老化による角質肥厚」に見えるため、水虫だと気づかずに放置されやすい厄介な種類です。
このタイプは痒みがほとんどないのが特徴で、塗り薬が浸透しにくいため、飲み薬による治療が必要になるケースが多いです。
爪水虫
前述の通り、水虫の菌が爪の中に侵入した状態です。爪が全体的に白や黄色に濁って不透明になり、次第に厚みを増してボロボロと崩れるようになります。靴に当たって痛みを感じることもあります。足の水虫を長年放置していると、菌が爪に飛び火してこの状態になります。
水虫の原因
水虫の直接的な原因は、「白癬菌」 というカビの一種です。この菌は、人間の皮膚の表面にある「角質」に含まれる「ケラチン」というタンパク質を大好物としています。
白癬菌が皮膚に付着し、感染・発症する仕組みは以下の通りです。
ステップ1
- 水虫の人が剥がした皮膚や垢の中にいる白癬菌が、床やバスマットを介して他人の足に付着する
ステップ2
- 靴を履き続けて足が蒸れたり、汗をかいたりして「湿度70%以上・温度26℃以上」の環境が揃う
ステップ3
- 菌が皮膚の角質層に入り込む
(通常、付着してから24時間〜48時間以上かかります) - 菌がケラチンを分解しながら増殖し、それに対する免疫反応として「痒み」や「炎症」が起こる
つまり、菌が足に付着しただけではすぐに水虫にはなりません。
毎日足をきれいに洗って乾燥させていれば防ぐことができますが、「不衛生」「高温多湿」「皮膚の傷」 などの条件が重なると、菌が奥へと侵入して水虫を発症してしまうのです。
水虫の原因や感染の仕組みについては、以下のコラムでも詳しく解説していますのでお読みください。

水虫に効く内服薬とは
ここからは「水虫の内服薬」について、そのメカニズムやメリットを詳しく掘り下げていきます。
なぜ飲み薬が効くのか
塗り薬は「皮膚の表面から成分を染み込ませる」のに対し、飲み薬は「体の内側からアプローチする」 という全く異なるルートをたどります。

飲み薬の仕組み
①吸収と運搬
口から飲んだ薬は、胃腸で吸収されたあと、肝臓を経て血液に入ります
②患部への到達
血液に乗った有効成分は、全身の皮膚や、爪を新しく作っている「爪母(そうぼ)」という組織に送り届けられます
③内側からの包囲網
有効成分が皮膚の深い層や爪の内部に直接蓄積され、そこに潜んでいる白癬菌の細胞膜を破壊して死滅させたり、増殖を抑えたりします
塗り薬では決して届かない「爪の芯」や「極厚になったかかとの角質」に対して、血液という強力な運搬係を使って内側からダイレクトに薬を送り込めるため、非常に高い効果を発揮するのです。
内服薬が効果を発揮しやすい水虫
飲み薬が特にその真価を発揮するのは、以下のような「塗り薬だけでは効果が見込みにくい水虫」のパターンです。
- 爪水虫(爪白癬)
爪の生え変わり(数ヶ月〜1年)とともに、根元から綺麗な爪を再生させることができます。 - 角質増殖型(かかと水虫)
ガチガチに硬くなった皮膚の底層へ内側から薬が届くため、カサカサ・ひび割れが劇的に改善します。 - 頭部白癬
頭皮や毛穴の奥に菌が入り込む水虫です。髪の毛に遮られて塗り薬が塗りにくいため、飲み薬が適しています。 - 繰り返す慢性水虫
毎年夏になると必ず再発するような、皮膚の奥深くに菌が住み着いてしまっているケース。
内服薬と塗り薬の違い
それぞれの特徴を表にまとめました。どちらが優れているかというわけではなく、症状に合わせて使い分ける(あるいは併用する)ことが大切です。
| 項目 | 内服薬(飲み薬) | 外用薬(塗り薬) |
|---|---|---|
| 作用の仕組み | 血液を通じて体の内側から菌を攻撃する | 皮膚の表面から成分を浸透させて菌を攻撃する |
| 主な対象 | 爪水虫、角質増殖型、広範囲の水虫 | 趾間型、小水疱型、軽度の水虫 |
| メリット | ・爪や厚い角質の奥まで確実に効く ・塗り忘れる手間や塗り残しがない | ・局所にのみ作用するため全身の副作用が少ない ・市販薬の種類が豊富で手軽 |
| デメリット | ・定期的な血液検査が必要な場合がある ・他の薬との飲み合わせ(相互作用)に注意が必要 | ・爪や硬い皮膚には浸透しにくい ・毎日広範囲に塗り続ける手間がかかる |
水虫に効く内服薬の種類
現在、日本の医療機関で水虫(特に爪水虫)の治療に処方されている主な内服薬は、大きく分けて以下の4種類があります。それぞれの特徴、服用方法、メリット・デメリットを解説します。
| テルビナフィン塩酸塩 | 水虫治療のスタンダードとして使われている代表的なお薬 |
|---|---|
| イトラコナゾール | 「パルス療法」という、特殊な飲み方ができるのが最大の特徴のお薬 |
| ネイリン(ホスラブコナゾール) | 2018年に登場した、比較的新しい爪水虫専用の飲み薬 |
| ケトコナゾール | 過去に水虫治療で使われていた抗真菌薬 |
テルビナフィン塩酸塩
長年、水虫治療のスタンダードとして使われている代表的なお薬です。
特徴
白癬菌を殺す作用(殺真菌作用)が非常に強いのが特徴です
服用方法
爪水虫の場合、1日1回1錠を、毎日連続して約6ヶ月間服用します
メリット
実績が豊富で、多くの医療機関で第一選択として使われています。ジェネリック医薬品もあるため、薬代を抑えることができます
注意点
稀に肝機能障害や血液障害などの副作用が現れることがあるため、服用前および服用中に定期的な血液検査(目安として開始後2ヶ月間は月1回、その後も定期的)が必須となります
<関連商品①>
●タービシル
タービシル(Terbisil)は、真菌感染症の治療薬です。テルビナフィンを有効成分として配合しています。
ラシミール錠のジェネリック医薬品として知られています。特に、カンジタ症や水虫などに有効で殺菌効果に強い治療薬です。
| 商品名 | タービシル |
|---|---|
| 画像 | ![]() |
| 有効成分 | テルビナフィン塩酸塩250mg |
| メーカー | |
| 購入ページ | タービシルの購入ページはこちら |
イトラコナゾール
「パルス療法」という、特殊な飲み方ができるのが最大の特徴のお薬です。
特徴
菌の増殖を抑える抗真菌作用があります。脂肪に溶け込みやすく、皮膚や爪に長期間とどまる性質があります。
服用方法(パルス療法)
「1週間毎日飲む → 3週間休む」を1サイクルとし、これを3回繰り返します。 薬を飲んでいない休薬期間中も、爪に蓄積された成分が効き続けます。
メリット
毎日ダラダラと飲み続ける必要がないため、飲み忘れのストレスが軽減される可能性があります。また、実質的な服用期間が短くて済みます。
注意点
「一緒に飲んではいけない薬(併用禁忌)」が非常に多いお薬です。高血圧の薬や睡眠薬など、普段から他のお薬を飲んでいる方は必ず医師や薬剤師に相談する必要があります。また、こちらも定期的な血液検査が必要です。
ネイリン(ホスラブコナゾール)
2018年に登場した、比較的新しい爪水虫専用の飲み薬です。
特徴
日本で開発されたお薬で、爪への移行性が非常に高く、優れた効果を発揮します。
服用方法(パルス療法)
1日1回1カプセルを、毎日連続して「12週間」服用します。その後は服用を終了し、爪が生え変わるのを待ちます。
メリット
治療期間が3ヶ月と、従来の連続服用薬(テルビナフィン)の半分で済みます。また、イトラコナゾールに比べて併用禁忌の薬が少なく、使いやすいのが大きな特徴です。
注意点
新しい薬であるため、テルビナフィンに比べると薬価が高めです。また、妊娠中の方や妊娠の可能性のある方は服用できません。
ケトコナゾール
過去に水虫治療で使われていた抗真菌薬です。
特徴
白癬菌を含む幅広い真菌(カビや酵母菌)に対して、その細胞膜の主要成分であるエルゴステロールの合成を阻害することで、非常に強力な抗真菌効果を発揮する薬剤です。
服用方法(パルス療法)
かつて水虫の内服治療が行われていた時代は、成人は1日1回200mg〜400mgを食事中または食直後に連続服用するという方法がとられていました。
メリット
非常に幅広い種類のカビに対応できる(抗菌スペクトルが広い)ため、水虫だけでなく、皮膚に常在するマラセチア菌やカンジダ菌など、様々な原因による真菌感染症を1つの成分で同時に抑え込めるというパワーを持っていました。
注意点(現在の位置づけ)
現在の日本における水虫治療において、ケトコナゾールの「内服薬」が処方されることは原則ありません。
かつては使用されていましたが、他の抗真菌薬に比べて「肝臓への負担(重篤な肝障害)」のリスクが比較的高いこと、そして上記で紹介したテルビナフィンやイトラコナゾール、ネイリンといった「より安全で効果の高い優れた新薬」が登場したことにより、水虫に対する内服薬として使用される機会が大きく減りました。現在、ケトコナゾールは「塗り薬」や「ニゾラールシャンプー(脂漏性皮膚炎用)」などの外用剤として広く活躍しています。
<関連商品①>
●ニナゾール
ニナゾールは、カビの一種である真菌を殺菌する薬です。
ケトコナゾールの作用は、真菌の細胞膜を構成しているエルゴステロールが生成されるのを防ぐことで症状を改善していきます。
ニゾラールについて詳しく知りたい方は、以下のコラムで詳しく解説していますので、お読みください。

| 商品名 | ニナゾール |
|---|---|
| 画像 | ![]() |
| 有効成分 | ケトコナゾール200mg |
| メーカー | |
| 購入ページ | ニナゾールの購入ページはこちら |
市販で購入できる飲み薬はある?

「病院に行く時間がないから、ドラッグストアで水虫の飲み薬を買いたい」と考える方も多いでしょう。ここでは、市販の飲み薬の現状と、その限界について解説します。
漢方薬
ドラッグストア漢方コーナーなどで、「水虫・皮膚炎に」と書かれた漢方薬を見かけることがあります。代表的なものとしては、以下のような処方があります。
- 消風散(しょうふうさん)
分泌物(ジュクジュク)が多く、痒みが強い皮膚症状に用いられます。 - 十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう)
化膿しがちな皮膚症状や、初期の皮膚疾患に用いられます。
これらは、体の免疫力を高めたり、皮膚の炎症を抑えたり、体内の余分な水分を排出したりすることで、水虫特有のジュクジュク感や痒みを和らげるサポートをしてくれます。
生薬配合の市販薬
漢方生薬をベースに、皮膚の代謝を促す成分などを配合した錠剤(例:「タウロミン」など)も市販されています。
これらも漢方薬と同様に、体質を改善して皮膚の炎症を鎮める目的で使用されることがあります。
市販薬だけで水虫は治る?
市販の飲み薬(漢方・生薬)だけで水虫を「完治」させることはできません。
漢方薬や生薬配合の市販薬は、あくまで「痒みや炎症といった皮膚の症状を和らげる」「肌の環境を整える」ためのものであり、水虫の原因菌である「白癬菌」を直接殺す効果はありません。
また、前述した「テルビナフィン」「イトラコナゾール」「ネイリン」といった白癬菌を退治できる強力な内服薬は、すべて「医療用医薬品」に指定されているため、市販では一切購入できません。
特に爪水虫や角質増殖型水虫を根本から治すためには、医療機関を受診し、顕微鏡検査で菌を確認した上で、適切な医療用の飲み薬を処方してもらう必要があります。市販薬だけで長期間様子を見ることは、症状を長引かせる原因になるため避けましょう。
水虫の内服薬を服用する際の注意点
医療用の水虫の内服薬は高い効果を発揮しますが、その分、服用にあたってはいくつか守らなければならない注意点があります。

副作用について
水虫の飲み薬は、成分が全身を巡るため、以下のような副作用が起こる可能性があります。
もし服用中に「体がだるい」「白目が黄色くなる」「尿の色が濃い茶色になる」「発疹が出た」などの異常を感じたら、すぐに服用を中止して医師に連絡してください。
- 肝機能障害
最も注意すべき副作用です。自覚症状がないまま進行することがあるため、血液検査が必要です - 胃腸症状
吐き気、腹痛、下痢、食欲不振など - 皮膚症状
発疹、痒み、蕁麻疹など - 味覚異常
稀に「味がしなくなる」「変な味がする」といった症状が出ることがあります(主にテルビナフィンで起こりやすいとされています)
定期検査について
特に「テルビナフィン」や「イトラコナゾール」を服用する場合は、定期的な血液検査が法律やガイドライン・添付文書で義務付けられています。
「面倒だから」「体調が悪くないから」と検査を受けないでいると、薬の処方を止められてしまうこともあります。自身の安全を守るための必須事項ですので、必ず検査を受けましょう。
治療期間の目安
水虫の飲み薬は、1〜2回飲んだからといってすぐに治るものではありません。爪水虫の場合、約3ヶ月〜6ヶ月ほど治療期間に要します。また、薬の服用自体が3〜6ヶ月で終わっても、実際に爪が完全に綺麗な状態に生え変わるまでには「足の親指で約1年〜1年半」かかります。
「なかなか見た目が変わらない」と焦るかもしれませんが、爪や皮膚の生まれ変わりのスピードに合わせる必要があるため、長期戦を覚悟しておきましょう。
自己判断で服用を中止しない
「痒みがなくなったから」「なんとなく綺麗になってきたから」という理由で、自分の判断で薬を飲むのをやめてしまうのは、水虫治療において最大のNG行為です。
見た目が綺麗になっても、皮膚の奥や爪の根元にはまだ「死にかけの白癬菌」が生き残っています。ここで薬をやめると、以前よりも薬が効きにくい「耐性菌」となって大復活を遂げてしまうリスクがあります。必ず医師から「治療終了です」と言われるまで、きっちり飲み続けましょう。
水虫治療でよくある失敗
多くの人が水虫治療に挑戦しては挫折し、「水虫は治らない」と思い込んでいます。しかし、治らないのには必ず理由があります。よくある失敗パターンを記載します。

症状が消えたので薬をやめてしまう
最も多い失敗です。塗り薬でも飲み薬でも、痒みや赤みが引いたタイミングは「菌が減って大人しくなっただけ」であり、根絶されたわけではありません。不完全燃焼のまま治療をやめるため、数ヶ月後に必ず再発します。
家族内で再感染する
せっかく自分が病院に通って飲み薬を飲み、足が綺麗になっても、同居している家族に水虫の人がいると意味がありません。
家の中のバスマット、スリッパ、畳などを通じて、剥がれ落ちた菌を再び足に付着させてしまい、ピンポン感染(うつし合い)を起こします。水虫治療は、「家族全員で同時に治す」 のが鉄則です。
爪水虫を放置する
「足の指の間は痒いから塗り薬を塗るけれど、爪が濁っているのは痛くないから放置する」というパターンです。
いくら皮膚の水虫を塗り薬で治しても、爪から毎日新しい菌が皮膚へと供給され続けるため、いつまで経っても足の水虫が治りません。
市販薬だけで長期間様子を見る
市販の塗り薬は優秀なものが多いですが、爪水虫や角質増殖型には効果を十分発揮しない可能性があります。
「効かないな…」と思いながら市販の塗り薬や漢方薬を何年も買い続け、その間に菌がどんどん爪の奥深くへ進行してしまい、結果的に治療に時間も費用もかかるようになってしまうケースも後を絶ちません。
水虫はなぜ再発しやすいのか
「水虫が治ったと思ったら、次の年の夏にまた出てきた…」
このように、水虫は非常に再発しやすい病気として知られています。これには2つの理由が考えられます。

①「再発」ではなく、実は「完治していなかった」だけ
前年の治療を自己判断で早期終了してしまった場合、皮膚の奥に潜伏していた菌が、夏に「高温多湿」の環境を迎えることで再びアクティブになり、症状がぶり返します。これは新しい菌に感染したのではなく、古い菌の「居残り」です。
②生活環境が変わっていないため、何度も「再感染」している
水虫が完全に治っても、白癬菌に対する免疫が体にできるわけではありません。そのため、菌がうようよしているバスマットを使い続けたり、毎日通気性の悪い安全靴を長時間履き続けたりしていれば、いつでも「2回目、3回目の新しい水虫」に感染します。
ローテーションして乾燥させる」「家族全員で治療する」 という生活環境の改善が不可欠なのです。
水虫に関するよくある質問

- Q水虫の飲み薬は市販で購入できますか?
- A
いいえ、購入できません。白癬菌を直接殺すことができる医療用の抗真菌薬(テルビナフィンやネイリンなど)は、副作用の管理や他の薬との飲み合わせの確認が必要なため、必ず医師の診察と処方箋が必要です。
ドラッグストア等で買える市販の飲み薬は、痒みや炎症を抑える漢方薬などに限られます。
- Q爪水虫にはどの薬が使われますか?
- A
主に「ネイリン(ホスラブコナゾール)」「テルビナフィン」「イトラコナゾール」の3種類が使われます。現在では、服用期間が3ヶ月と短く、併用禁忌が少ない「ネイリン」が選ばれるケースが増えています。
ただし、患者のライフスタイルや、普段飲んでいる他の病気の薬に合わせて、最適なものを選択する必要があります。
- Q飲み薬はどれくらいで効果が出ますか?
- A
爪水虫の場合、目に見える変化が出るまでに「最低でも3ヶ月〜半年」はかかります。飲み薬を飲むと、これから新しく作られる爪に薬の成分が浸透します。そのため、今すでに白く濁ってボロボロになっている爪が急に綺麗になるわけではありません。根本から「ピンク色の健康な新しい爪」がゆっくりと伸びてきて、古い爪を押し出すのを待つ必要があるため、効果を実感するには時間がかかります。
- Q飲み薬と塗り薬は併用できますか?
- A
はい、非常に効果的な治療法としてよく併用されます。特に爪水虫の場合、飲み薬で内側から治療しつつ、皮膚に出ている趾間型や小水疱型の症状に対して塗り薬を外側から塗ることで、よりスピーディーに足全体の菌を根絶することができます。これまで診断を受けたことがない方は医師の指示に従って併用してください。
- Q水虫は自然に治りますか?
- A
残念ながら、自然に治ることは原則ありません。冬場になると乾燥して一時的に痒みが治まったり、皮むけが落ち着いたりするため「治った」と勘違いしがちですが、白癬菌は皮膚の奥で眠っているだけです。
放置すると翌年の夏に悪化するだけでなく、爪水虫に進行したり、家族や周囲の人に感染を広げたりするリスクがありますので、早めの医療機関受診をおすすめします。
最後に
水虫の原因菌である白癬菌が「爪の内部」に入り込んだ爪水虫や、皮膚がガチガチに硬くなった「かかと水虫(角質増殖型)」に対しては、塗り薬だけでは太刀打ちできず、飲み薬を服用する必要があります。
「水虫なんておじさんの病気だから恥ずかしくて病院に行けない」「何年も付き合っているからもう治らない」と、一人で抱え込んで諦めてしまう必要は全くありません。
現代の医療における内服薬治療の進歩は目覚ましく、正しい知識を持って適切な治療を受ければ、頑固な爪水虫の治癒を目指すことが可能です。
その際、治療を成功させるためには、「痒みや見た目の症状が消えたからといって、決して自己判断で服薬を途中でやめないこと」です。皮膚の奥や爪の底に潜む最後の1匹が死滅するまで、治療を続けましょう。
さらに、せっかく自分の足を綺麗にしても、同居する家族が水虫を放置していれば家庭内で菌をうつし合う「ピンポン感染」を起こすため、家族全員が一丸となって同時に治療に取り組むこと、そして靴の乾燥や足の洗浄といった生活環境の改善を同時に行うことが大切です。
出典
Hisamitsu 水虫相談室
水虫の4つのタイプの症状と原因や対処法を解説!
これって水虫?似ている病気との違いや自己判断の落とし穴



