アルコールが体に与える影響!禁酒・断酒のメリット・デメリットを解説

アルコールが体に与える影響!禁酒・断酒のメリット・デメリットを解説 禁酒

アルコールが体に与える影響

「酒は百薬の長」ということわざがあるように、昔から適量の飲酒が健康によいという考えがありました。
しかし近年では少量の飲酒でも健康にとってはマイナスであるという風潮も耳にすることがありませんか?この章では、飲酒量は0が良いのか、それとも適量の飲酒であれば問題ないのか、また問題ないのであればどの程度なら許容範囲なのかを、最新の研究データをもとに紹介します。

「少量のお酒は体によい」の真実

「少量のお酒は体によい」という言葉は多くの方が耳にしたことがあるでしょう。
根拠としてよく紹介されるのが「フレンチパラドックス」や「Jカーブ理論」です。

フレンチパラドックス

フレンチパラドックスの画像

フランス人の食生活には、肉などの高脂肪なものが多かったり、ワインなどのアルコールが多かったりするにも関わらず心臓疾患の発症率が他の国々よりも低い現象のことです。
ワインに含まれるポリフェノールの効果と考えられているため、ポリフェノールを含むワインなどのアルコールは健康に良いという印象を持つ方は少なくありません。

Jカーブ理論

Jカーブ理論画像

以下のように、飲酒量を横軸に、死亡率を縦軸にとってグラフに描くと、アルファベットの「J」の字になるという理論のことです。

このグラフを見ると少量の飲酒では死亡率が下がっていることから、少量の飲酒は健康によいと考える方が少なくありません。
しかし「過去に飲酒をしていたが体調を崩して禁酒した人」を研究に組み入れると、見かけ上、お酒を飲まない人の死亡率が高くなる等、データに偏りがでるためこの理論の真偽は明らかになっていませんでした。

これらの他にも、少量の飲酒は健康によいという根拠めいたものは数多く存在していますが、2018年8月、世界的にも権威のある医学雑誌Lancetにて「健康への悪影響を最小化するなら飲酒量はゼロがいい」と明確に結論づけられ大きな話題となりました。
アルコール消費量とアルコール関連疾患のリスクに関するデータは以下の通りです。

先ほど紹介した「Jカーブ」とは異なり、緩やかな「Lカーブ」のような形状となっています。
1ドリンク(アルコール換算で10g)くらいまでは疾患リスクは微増であり、それ以上では明らかに疾患リスクが上昇傾向を示していることから、「飲酒するのであれば少量、可能であれば飲酒はしない方がよい」と読み取ることができます。

もちろん、最新の論文1つだけを見てすべてを結論づけることはできません。
しかし最新の研究によって「少量のお酒は体によい」という考えを改めるべき時代にきていることを、多くの方々が認識する必要があると言えるでしょう。

飲酒のメリット・デメリット

先ほど「健康への悪影響を最小化するなら飲酒量はゼロがいい」と結論づけた論文を紹介しましたが、メリットが全くないわけではありません。
飲酒には以下のようなメリット、デメリットがあると考えられています。

飲酒のメリット

飲酒のメリット画像

リラックスできる

アルコールは、理性を司っている「大脳新皮質」のはたらきを鈍くします。結果として、感情、性欲、食欲などの本能を司る大脳の古い皮質のはたらきが活発になります。

・コミュニケーションが捗る

お酒を嗜むことで社交的になり、コミュニケーションが円滑になる場合があります。
アルコールの効果というよりは、飲酒という行為のメリットと言えます。

食欲が増進する

アルコールによって胃液の分泌が増え、消化を助ける目的等で食欲が増します。
なお、食欲に関してはメリットにもデメリットにもなり得ます。

飲酒のデメリット

飲酒のデメリット画像

アルコール依存症を引き起こす

過度な飲酒はアルコール依存症を引き起こす可能性があります。身体的依存と精神的依存が起こると悪循環に陥ってしまい、お酒を断つことが非常に困難になります

200以上の病気を引き起こす

過度な飲酒は、脂肪肝、肝炎、肝硬変などの肝臓障害を引き起こすことは有名ですがそれだけではありません。WHO(世界保健機関)によると、過度な飲酒は200以上の病気の原因となると言われており、全身のさまざまな臓器に障害をもたらします。

急性アルコール中毒を引き起こす

大量の飲酒を短時間の内に実施すると、血液中のアルコール濃度が急激に上昇し、急性アルコール中毒を引き起こす可能性があります。最悪の場合、命を落とします。

メリット、デメリットを見比べても明らかにデメリットのリスクが大きいことが分かります。
コミュニケーション目的として適量の飲酒をすることを意識し、それ以外では基本的には飲酒をしない方が健康にとってはプラスであると考えられます。

どのくらいの飲酒なら問題ない?

どのくらいの飲酒なら問題ない?の画像

健康日本21(第二次)において、厚生労働省は「生活習慣病のリスクを高める飲酒量」を、1日当たりの純アルコール摂取量として男性40g以上、女性20g以上と定義しています。

具体的には、ロング缶(500ml)のビール1缶、日本酒1合、ウイスキーダブル(60ml)の純アルコール量が20gとなります。
また、お酒に含まれるアルコール量は簡単に計算できるので覚えておくと便利です。

お酒に含まれるアルコール量の計算

純アルコール量(g)=お酒の量(ml)×アルコール度数/100×0.8(アルコールの比重)

ちなみに、人気上昇中のいわゆるストロング系チューハイ(アルコール度数9%)のロング缶500mlのアルコール度数を計算すると以下の通りです。
500×9/100×0.8=純アルコール量36g
なんと、いわゆるストロング系チューハイのロング缶1本で、「生活習慣病のリスクを高める飲酒量」の男性の1日量にかなり近づきますし、女性の場合だと、1日量の約2倍に達します。

何本飲んだか、何杯飲んだかも重要ですが、何を飲んでいるのかをしっかり把握しながら適量の飲酒を楽しみましょう。

アルコール依存症の恐怖

前章では、飲酒は少量でも健康にとって良くないということを紹介しました。
少量でも健康にとっては良くないので、もし多量の飲酒を長期間続けているとお酒が無いと生きていられない「アルコール依存症」にまで発展してしまう可能性があります。

アルコール依存症とは

アルコール依存症とは、自分で飲酒量をコントロールしたり、我慢したりできなくなる病気です。
飲みすぎたら身体を壊すことや、会社や友人、愛する家族などにも迷惑がかかることを頭では理解していても、自分では禁酒することができなくなります。
最終的には周囲との人間関係を壊し、自分自身の身体も壊してしまう恐ろしい病気です。

e-ヘルスネット【情報提供】(厚生労働省)によると、アルコール依存症は以下のように定義づけられています。
長期間多量に飲酒した結果、アルコールに対し精神依存や身体依存をきたす精神疾患。

アルコール依存症は進行性の病気

アルコール依存症は、多量の飲酒を長期的に継続していくことで発症する「進行性」の病気です。
アルコールに対する反応性は個人差が大きいので一概には言えませんが、以下のようなステップで進行していきます。

アルコール依存症の進行の画像

アルコール依存症の進行

①飲酒が習慣となる

飲酒が習慣になると耐性ができ、アルコールに強くなって飲酒量が増えます。
そして飲酒による気分の高まりを求めてさらに飲酒の機会が増えていきます。

②精神的依存の症状が起こる

お酒を飲んでいないと物足りないと感じるようになり、記憶がなくなるまで飲酒するようになります。
日常生活における飲酒の優先順位が高まってきます。

③身体的依存症状が起こる

お酒が切れると、寝汗、微熱、下痢、不眠などの軽度の離脱症状が起こるようになります。
また飲酒が原因のトラブル(ケガ、遅刻、飲酒運転等)が起き、周囲から注意されるようになります。

④依存症の悪循環によるトラブルが続く

手の震えや極度の不安感等の強い離脱症状が現れ始めます。
またその依存症を治すために迎え酒をするようになります。
飲酒によるトラブルが多くなり、時に攻撃的になります。

⑤コントロール不能になる

飲酒をコントロールすることができなくなります。
飲酒していないと正常な状態をキープできず常に飲酒しており、離脱症状や合併症によって日常生活をおくることさえ困難になります。

精神的依存症状が引き起こされる前に自身としっかり向き合い、適切な飲酒量にコントロールしていくことが重要です。
また、すでに精神的依存症状や身体的依存症状が起きていると感じている方も治療開始として遅すぎることはありません。
アルコール依存症の治療プログラムや新しい治療薬の登場により、早期治療開始による減酒、断酒は十分に可能な時代となっています。

アルコールの「禁酒」と「断酒」

飲酒の量を減らすには、完全にアルコールを断つ「禁酒・断酒」と、アルコールの摂取量を減らす「減酒・節酒」の2パターンの方法があります。
この章では「禁酒・断酒」について紹介します。

禁酒、断酒のメリット・デメリット

禁酒、断酒のメリット・デメリットの画像

「禁酒・断酒」とは、完全にアルコールを断つことを言います。
いままでのアルコール依存症の治療では、この禁酒や断酒が治療のゴールとされていました。
禁酒や断酒に成功すればアルコール依存症を克服したことと同義なので、これらに挑戦することは大きなメリットと言えます。
しかしアルコール依存症患者が急に禁酒や断酒をすると離脱症状が起きてしまうこともあり治療を断念してしまう方が多くなるのはデメリットと言えます。

禁酒、断酒の方法

禁酒、断酒の方法の画像

禁酒や断酒に対する薬物治療は、飲酒欲求軽減薬抗酒薬の2種類があります。

飲酒欲求軽減薬

商品名:レグテクト / 主成分:アカンプロサート
レグテクトは、脳内の「グルタミン酸受容体」と呼ばれる部位に作用します。
アルコール依存症の方はグルタミン酸受容体が強く活性化していますが、レグテクトはその働きを抑えると言われています。
断酒時は精神的にも身体的にも依存症状が出てしまい、何かしらの飲酒したくなるような刺激によって再飲酒への渇望感が起こります。
しかし、レグテクトを服用することでこの再飲酒への渇望感を抑えることができ、結果として断酒期間を延長することができます。
<レグテクト関連商品>

商品名アカンプロル【レグテクトジェネリック】アカンプロサート【レグテクトジェネリック】
画像レグテクトジェネリック画像アカンプロサート【レグテクトジェネリック】画像
有効成分アカンプロサートアカンプロサート
メーカーSun Pharma(サンファーマ)Intas Pharmaceuticals(インタスファーマ)
購入ページアカンプロルの購入ページはこちらアカンプロサートの購入ページはこちら

抗酒薬

・商品名:ノックビン / 主成分:ジスルフィラム
・商品名:シアナマイド / 主成分:シアナミド

ノックビン、シアナマイドは「アセトアルデヒド」を分解するアルデヒドデヒドロゲナーゼという酵素をブロックすることで、アセトアルデヒドを蓄積させます。
アセトアルデヒドは、悪酔いを引き起こす原因物質であるため、ノックビン、シアナマイドの服用中に少量でも飲酒すれば、頭痛や吐き気などの症状が強く起こります。
あえて積極的に悪酔い症状を引き起こすことで、アルコールを摂取する意欲を無くす効果が期待できます。
<ノックビン関連商品>

商品名クロノール
画像クロノル画像
有効成分ジスルフィラム
メーカーCharoon Bhesaj(チャロエンバエサジ)
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アルコールの「減酒」と「節酒」

飲酒の量を減らすには、完全にアルコールを断つ「禁酒・断酒」と、アルコールの摂取量を減らす「減酒・節酒」の2パターンの方法があります。この章では「減酒・節酒」について紹介します。

減酒、節酒のメリット・デメリット

「減酒・節酒」とは、アルコールの摂取量を減らすことを言います。
禁酒や断酒がアルコール依存症治療のゴールではあるものの、離脱症状などから治療を断念してしまう方が多いことが問題でした。

一方で減酒、節酒であればそのハードルを下げられるというメリットがあります。
アルコール依存症治療のファーストステップとしては非常に取り組みやすいでしょう。
大きなデメリットはないですが、少しの飲酒のつもりが飲みすぎてしまったり、家族に隠れて飲酒をしてしまったり等、飲酒する余地があることはデメリットのひとつと言えるかもしれません。
減酒や節酒においても、禁酒や断酒と同様に薬物治療によって治療効果を高めていくことが有効とされています。

減酒、節酒の方法

禁酒や断酒に対する薬物治療は、オピオイド受容体拮抗薬飲酒欲求軽減薬の2種類があります。

オピオイド受容体拮抗薬

商品名:セリンクロ / 主成分:ナルメフェン
セリンクロは脳内の「オピオイド受容体」と呼ばれる部位に作用することで、飲酒欲求を減らしてくれます。
飲酒する1〜2時間前に服用すると、お酒を飲んでもおいしいと感じられなくなり、結果として徐々に飲酒量が減少していきます。
セリンクロを半年間服用した場合、1日の平均的なアルコール摂取量が約10g減少し、大量飲酒の日数が1ヶ月あたり2~3日減少したというデータがあります。

飲酒欲求軽減薬

商品名:レグテクト / 主成分:アカンプロサート
禁酒や断酒の薬物治療でも紹介した「飲酒欲求軽減薬」は、減酒や節酒においても有効です。
レグテクトを服用することで飲酒への渇望感を抑えることができるので、飲酒をしない日数(断酒期間)を増やすことができると言われています。
減酒をしながら断酒期間も徐々に増やすことで、最終的に完全な断酒を実現させる治療方針であり近年注目されています。
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メーカーSun Pharma(サンファーマ)Intas Pharmaceuticals(インタスファーマ)
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アルコールに関するよくある質問

よくある質問
Q
アルコールを飲むと血圧が下がるので高血圧の方には一定のメリットがあるのではないでしょうか?
A

少量のアルコールを摂取した後は一時的に血圧が下がります。
しかし長期的にみると、飲酒を継続することで血圧を高めると言われているため、血圧を下げるためにアルコールを摂取することは効果的ではありません。

Q
どのくらいの精神的依存症状、身体的依存症状がでたら治療を行うべきですか?
A

アルコール依存症の診断を受けて薬物治療を行う場合は、医師の判断に従うことになります。
セルフメディケーションの一環としてご自身で判断される際は、AUDIT(アルコールスクリーニングテスト)を活用するのがオススメです。
こちらのチェックリストで20点以上の場合はアルコール依存症が疑われます。

まとめ

この記事のまとめ

  • 「少量のお酒は体に良い」という考え方は近年の論文により見直され始めている
  • 「健康への悪影響を最小化するのであれば飲酒量はゼロ」がいいという論文が2018年に発表された
  • 飲酒のデメリットはそのメリットと比べてはるかに大きい
  • 「禁酒・断酒」にはレグテクト、ノックビン、シアナマイドが有効とされている
  • 「減酒・節酒」にはレグテクト、セリンクロが有効とされている
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