インフルエンザの予防薬の種類と効果、予防方法など徹底解説

インフルエンザの予防薬の種類と効果、予防方法など徹底解説 インフルエンザ

インフルエンザの予防薬の種類

インフルエンザの予防薬の種類画像

インフルエンザは、普通の風邪よりも重症化し、全身症状が出る病気です。
その年によって流行の程度やピークの時期などは異なりますので、日々予防を心がけることが大切です。
インフルエンザ予防薬にはいくつかの種類がありますのでそれぞれの特徴についてご紹介します。
もし、インフルエンザの種類や症状など基礎的な部分について知りたい方は下記のコラムを参照ください。

タミフル

タミフルは世界中で使用されている内服のインフルエンザ予防薬です。2001年に中外製薬から発売されました。
一般名は「オセルタミビル」で、カプセルタイプとドライシロップタイプの2つがあります。
タミフルは増殖したウイルスの拡散を抑えることで効果を発揮します。
A型、B型どちらのインフルエンザの治療にも使える点、幼児や小児にも処方できる点が特徴です。
タミフルはインフルエンザ治療とインフルエンザ予防で使い方が異なります。
予防の場合は、1日1回1錠を数日間服用します。
治療の場合は、1回1錠を1日2回、5日間服用します。それぞれの目的に合わせた用量を守りましょう。

目的対象用法・用量
インフルエンザ予防・成人1錠を1日1回、7〜10日間服用します
・体重37.5kg以上の子ども1錠を1日1回、10日間服用します
インフルエンザ治療・成人
・体重37.5kg以上の子ども
1錠を1日2回、合計で5日間服用します

タミフルの効果や副作用について詳しく知りたい方は下記のコラムを参照ください。

イナビル

イナビルは2010年に第一三共から発売された吸入タイプのインフルエンザ予防薬です。
A型、B型どちらのインフルエンザの治療にも使えます
インフルエンザウイルスは細胞に感染すると新たなウイルスを生成し、細胞外に移動、そして別の細胞に感染します。
この別の細胞に移動するときに必要な酵素が「ノイラミニダーゼ」というものです。イナビルは、このノイラミニダーゼの作用を抑えることでウイルスの増殖も抑えます。
イナビルは水を使用しなくても服用することができ、1回の吸入で5日間作用するため、何度も服用しなくてもよいメリットがあります。
一方で、子供や高齢者など薬を吸い込むことが難しい方の服用には向いていません。呼吸器疾患や乳タンパクアレルギーの方は使用する前には注意をしましょう。
成人もしくは10歳以上の子供に予防として使用する場合、吸入容器を1日1個、計2日間吸入します。
治療に使用する際は、吸入容器2つで1回分となりますので、1日2個吸入します。ただし、10歳未満の子供に治療として使用する場合は、容器1つで1回分となります。

目的対象用法・用量
インフルエンザ予防・成人
・10歳以上の子供
1回容器1つ(20mg)を2日間吸入します
インフルエンザ治療・10歳未満の子供1回容器1つ(20mg)を吸入します
・成人
・10歳以上の子供
1回容器2つ(20mg)を吸入します

ゾフルーザ

ゾフルーザは2018年から塩野義製薬で販売された比較的新しいインフルエンザ予防薬です。
一般名は「バロキサビル マルボキシル」で、錠剤です。
ゾフルーザはこれまでのインフルエンザ予防薬とは異なる作用機序を持っており、細胞内でウイルスの繁殖を抑えることで効果を発揮します。
よって、インフルエンザウイルスを不活化するスピードが速い点が特徴で、ゾフルーザを服用すると翌日にはウイルス量が服用前の100分の1ほどに減少することがわかっています。A型、B型どちらのインフルエンザの治療にも使えます。
12歳以上の場合は、1回2錠を服用しますが、80kg以上体重がある場合は1回4錠を服用します。
12歳未満の方は、体重が40kgを超えていれば1回2錠、超えていなければ1回1錠となります。
いずれも体重や年齢によって服用する錠数が異なっているので、使用する際は確認をお願いします。

目的対象用法・用量
インフルエンザ予防・12歳以上、80kg未満ゾフルーザ錠20mgを2錠、
または顆粒4包を服用します
・12歳以上、80kg以上ソフルーザ錠20mgを4錠、
または顆粒8包を服用します
・12歳未満の子供、
体重10kg以上20kg未満
ゾフルーザ錠10mg1錠を服用します
・12歳未満の子供、
体重20kg以上40kg未満
ゾフルーザ錠20mgを1錠、
または粒4包を服用します
・12歳未満の子供、
体重40kg以上
ゾフルーザ錠20mgを2錠、
または顆粒4包を服用します
インフルエンザ治療・12歳以上、80kg未満ゾフルーザ錠20mgを2錠、
または顆粒4包を服用します
・12歳以上、80kg以上ソフルーザ錠20mgを4錠、
または顆粒8包を服用します
・12歳未満の子供、
体重20kg以上40kg未満
ゾフルーザ錠20mgを1錠、
または粒4包を服用します
・12歳未満の子供、体重40kg以上ゾフルーザ錠20mgを2錠、
または顆粒4包を服用します

感染者と接触してしまった場合も予防できる?

感染者と接触してしまった場合も予防できる?画像

感染者と接触してしまった場合でも、インフルエンザの予防はできます
感染者と濃厚に接触してから48時間以内にインフルエンザ予防薬を投与してください。48時間を超えてしまった後に投与しても有効性は裏付けられておりませんので、できるだけ早めに服用することが大切です。
「インフルエンザの感染者と接触してしまった」と心配になる方も多いかもしれませんが、感染者と接触したからといって必ずインフルエンザに感染するわけではありません
ただし、インフルエンザは接触感染飛沫感染を起こします。
接触感染とは、感染した人が触ったドアや手すりを介してウイルスが広がっていく感染経路のことを指します。
飛沫感染とは、咳やくしゃみの飛沫を吸い込んだり、口や目の粘膜に付着することでウイルス感染を起こすことを指します。感染した人と接触した場合、自身も感染するリスクが高くなっています。そのため、薬以外も含め、インフルエンザの予防となる習慣を身に着けておくと良いでしょう。

インフルエンザ予防のために実施したい習慣画像

予防対策①:マスクを着用する

マスクを着用することで飛沫感染を防ぐことができます。
マスクの中でも不織布マスクはウイルスが通り抜けにくいため、厚生労働省もおすすめしています。
自身のウイルスを周りにまき散らさないことも期待できますので、感染者と接触した場合や人ごみに行く場合にはマスクを着けて行動することを心がけてください。

予防対策②:うがいと手洗いをこまめに行う

こまめなうがいと手洗いも感染を防止することに役立ちます。
帰宅したらまず手洗いとうがいを行うようにしましょう。
また、手指の消毒も予防に役立ちますので、玄関やキッチンにアルコール消毒のジェルを置いておくと良いでしょう。
正しい手洗いの方法ですが、指先と爪の間を念入りにこすり、その後指の間を洗うと効果的です。加えて手首までしっかりと洗うのを忘れないようにしてください。

予防対策③:密集地帯を避ける

身近な方でインフルエンザに感染した人と接触しなかったとしても、近くにいた人のくしゃみや咳で感染することもあります。
密集地帯は、このようなリスクが高いため、インフルエンザが流行している時期の人ごみは避けるようにしましょう。特に、妊婦や高齢者はインフルエンザにかかったとき、重症化しやすいとされていますので、注意をしてください。

予防対策④:室内の換気をこまめに行う

換気ができていない場所は、空気中に舞ったウイルスが濃縮されてしまうリスクがあります。また、空気の乾燥は、人間の防御機能を低下させ、普通ではかからないウイルスにもかかってしまう可能性があります。部屋の換気をこまめに行う、加湿器を使って部屋の湿度を上げる、濡れたタオルをおいて部屋を加湿するなどを心がけると良いでしょう。

予防対策⑤:インフルエンザ予防薬を投与する

インフルエンザ流行前に予防接種をしておくと、仮にかかってしまた場合も重症化を防ぐことができるかもしれません。高齢者や妊婦、呼吸器疾患を持っている方は、重症化を防ぐためにもワクチンの予防投与が推奨されています。

クリニックで処方される金額との比較

クリニックor個人輸入画像

インフルエンザ予防薬をクリニックや病院で接種する方が多いですが、なかには初診料などの金額負担をできるだけ抑えたいと思われる方もいらっしゃるかもしれません。個人輸入代行でタミフルのジェネリック医薬品を購入した場合、3600円ほどになります。一方、クリニックでは診察料や処方料を含めて6400円ほどとなります。費用負担を可能な限り抑えて予防を行いたい場合は個人輸入を検討してみてはいかがでしょうか。

※タミフル(ジェネリック)の費用比較

クリニックでの処方個人輸入
合計
(10錠)
約6400円約3600円
治療薬の
費用目安
約450円/錠約360円/錠
診察料
(再診料)
約1300円/回0円/回
処方料約600円/回0円/回

<関連商品①>
●タミフル
タミフルは、インフルエンザウイルスに直接作用する世界初の抗インフルエンザ薬です。
A型・B型インフルエンザのどちらにも効果があり、新型インフルエンザにも有効とされています。また、症状を改善させる他、インフルエンザの予防としても使用できます。
2001年に日本国内でも発売が開始されて以降、インフルエンザ治療の第一選択薬として多くの医療機関で処方がされています。
※インフルエンザの治療に抗生物質は効果がありません。

商品名タミフル
画像タミフル
有効成分オセルタミビル酸塩75㎎
メーカーRoche Pharma(ロシュ ファーマ)
URLタミフルの購入はこちら

<関連商品②>
●アンチフル
アンチフルは、タミフルのジェネリック医薬品です。

商品名アンチフル
画像アンチフル
有効成分オセルタミビル酸塩75㎎
メーカーCipla(シプラ)
URLアンチフルの購入はこちら

注意事項

副作用

薬剤によっても異なりますが、インフルエンザ予防薬の投与で副作用が発現する可能性があります。主なものとしては、吐き気や下痢、頭痛などです。ごくまれにショック症状や急性腎不全なども報告されています。過去、インフルエンザ予防薬の投与で過敏症を起こしたことがある方は注意をしてください。また、ひどい副作用が出た場合には我慢をせず、お近くの医療機関をすぐに受診してください。

予防投与の可能時期

インフルエンザ予防薬はいつでも打てるわけではありません。インフルエンザ感染者と濃厚に接触した場合、48時間以内に投与をしないと効果が見込めません。もし48時間を超えてしまった時の有効性は確認されておりませんので、できるだけ早いタイミングで打つことが望ましいです。

インフルエンザ関するよくある質問

インフルエンザ関するよくある質問画像
Q
インフルエンザに抗菌薬は効果がありますか?
A

インフルエンザウイルスに抗菌薬は効きません。ですが、高齢者や体の弱い方はインフルエンザにかかってしまうと肺炎球菌などの細菌感染を引き起こしやすくなります。そのため、インフルエンザにかかったら合併症を防ぐ治療として抗菌薬を使用することはあります。

Q
インフルエンザにかかってしまったらどのくらい外出を控えるべきでしょうか?
A

インフルエンザの発症前日から発症後3~7日ほど鼻やのどからウイルスが排出されているといわれています。そのためこの期間は人に感染させてしまう恐れがあり、外出を控えるべきです。排出するウイルスの量は熱が下がっていくとともに減少しますが、熱が下がった後もわずかながらウイルスを排出するとわかっています。排出期間の長さには個人差がありますので、症状が完全になくなってから外出することをおすすめします。

Q
インフルエンザと普通の風邪はどのように違うのでしょうか?
A

普通の風邪は様々なウイルスが原因で起こりますが、喉の痛みや鼻水、くしゃみや咳など部分的な症状が中心です。全身症状はほとんど見られず、熱もインフルエンザほど高くはなりません。一方でインフルエンザは、インフルエンザウイルスにかかって発症する病気で、38度以上の高熱や頭痛、筋肉痛など全身症状がみられます。

最後に

インフルエンザは毎年12~3月に日本でも流行する病気です。インフルエンザにかかると、高熱・筋肉痛などの全身症状が出て、おさまるまで辛い期間を過ごすこととなります。インフルエンザにかからないために、予防薬の投与が推奨されていますが、薬以外でもマスクをして外出する、人ごみに行かない、加湿することを心がけて過ごしていきましょう。

出典

【医師監修】インフルエンザの薬の種類はいくつ?それぞれの特徴を解説
厚生労働省 インフルエンザQ&A
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