タミフルとは
インフルエンザ治療薬として知られる「タミフル」は、A型とB型の両方のウイルスに効果を発揮することで、感染症の症状を和らげる役割を果たしています。
特に顕著な効果は「熱が出ている期間を1日程度短くする」点ですが、臨床的にはその効果が期待以上に感じられることがあります。
この治療薬は新型インフルエンザにも効果的であると考えられ、各国で備蓄が進められています。日本でも国と自治体が合わせて2500万人分の備蓄を進めており、感染症の流行に備えています。
ただし、タミフルはウイルスを直接退治するものではなく、ウイルスの増殖を阻害することで症状を和らげる役割を果たします。効果を発揮するためには、感染症の初期症状が現れてから48時間以内に正確に服用する必要があります。つまり、ウイルスが増殖し始める前にアクションを起こすことが必要不可欠です。
インフルエンザの治療薬として平成13年から「タミフル」が使われ始めましたが、日本では年々使用量が増加しており、約7割が日本国内で使用されていると言われています。しかし、全てのインフルエンザ患者に対して必ずしも必要な薬ではありません。
ふだん健康な人がインフルエンザにかかった場合は、薬を使用しなくても5~8日で自然に治り、免疫を獲得します。そのため、全ての患者に対してタミフルが必要なわけではありません。
タミフルは咳や鼻水、下痢、嘔吐などの症状が激しい場合や高熱が出ている場合、高齢者や基礎疾患がある人など、感染が重症化しやすい人に適しています。医師の診断と指示に基づいて処方されるため、適切な使用が求められます。
タミフルに含まれるオセルタミビルリン酸塩は、カプセルとドライシロップの2つの剤形で販売されており、生後2週目の乳児から大人まで使用が可能です。また令和5年12月には新しく錠剤の剤形も販売する至りとなっております。インフルエンザA型・B型に有効で、インフルエンザウイルスが体内で増えていくのを抑えます。
タミフルの効果
タミフルの主な効果は、インフルエンザウイルスの増殖を抑制することです。
主な作用機序としてタミフルの有効成分である「オセルタミビル」が、インフルエンザウイルスが細胞外に放出され、周囲の細胞に感染を広げる過程で重要な役割を果たす酵素として知られている「ノイラミニダーゼ」の働きを阻害することによりその作用を発揮します。
具体的には以下の3つの効果が認められています。
1つ目は、インフルエンザの症状を早期に改善させる効果です。
臨床試験では、タミフルを服用した患者は、服用しなかった患者と比べて、発熱している期間や全体の症状が続く期間が約1~2日短くなりました。この効果により、インフルエンザによる苦痛をある程度軽減できると考えられます。
2つ目は、インフルエンザの重症化を防ぐ効果です。
タミフルを服用することで体内のウイルス量が減少するため、症状の悪化が抑えられます。例えば合併症である肺炎への移行を防ぐ効果が期待できます。
したがって、タミフルを早期に適切に服用することで、インフルエンザからの回復をよりスムーズにし、合併症のリスクを下げることができます。一方で、発症から48時間以上経過している場合には十分な効果が得られない可能性があることに注意が必要です。
最後に3つ目の効果として認められているものは、A型及びB型インフルエンザに対する予防効果があります。
タミフルは感染者との接触から48時間以内に服用すれば、高確率で予防ができるとされています。特に家族や日常的に接する人が感染した場合、緊急的な対策として有効な予防手段となります。タミフルの予防効果は服薬中の期間に限られ、最大で10日間までとされています。予防接種のような長期的な予防には向いておらず、予防効果は服用中の期間にのみ期待されます。
インフルエンザの症状は風邪とよく似ていますが、タミフルには風邪を治療する効果がないことを付け加えておきます。詳しいインフルエンザの症状を知りたい場合は別サイトにて記載がありますので是非参照ください。
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タミフルの使用方法
タミフルは「治療」を目的として使用する場合と「予防」を目的として使用する場合があり、その使用方法はあきらかに異なります。「え?何で?」や「どう違うの?」などの声が聞こえてきそうですね。どの様な違いかは後述しますが、まずは医師の指示に従って服用する事が大切です。
タミフルは現在カプセル剤とドライシロップ剤の2剤形が販売されています。一般的に成人であればどんなに太っていても、どんなに痩せていても服用量がすでに決まっている為そこまで悩むこともありません。しかし一方小児においては体重に応じた適切な量を服用しなければなりません。まずはインフルエンザの治療薬にどんなものがあるかご紹介いたします。
現在発売している医薬品
一般名 | 医薬品名 | 製造販売元 |
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オセルタミビルリン酸塩 | タミフルカプセル75 | 中外製薬株式会社 |
オセルタミビルリン酸塩 | タミフルドライシロップ3% | 中外製薬株式会社 |
オセルタミビルリン酸塩 | オセルタミビル錠75mg「トーワ」 | 東和薬品株式会社 |
オセルタミビルリン酸塩 | オセルタミビルカプセル75mg「サワイ」 | 沢井製薬株式会社 |
オセルタミビルリン酸塩 | オセルタミビルDS3%「サワイ」 | 沢井製薬株式会社 |
個人輸入で購入の出来る医薬品
商品名 | タミフル | アンチフル【タミフルジェネリック】 |
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一般名 | オセルタミビル酸塩 | オセルタミビル酸塩 |
価格 | 1錠あたり1,300円 | 1錠あたり429円 |
メーカー | Roche Pharma(ロシュ ファーマー社) | Cipla(シプラ) |
購入ページ |
個人輸入で購入できる医薬品のメリットは病院に行かずに薬が手に入ることですよね。
しかもインフルエンザの検査は病院に行かずとも薬局やドラッグストアで検査キットを購入してきて家庭で検査する事が出来る世の中になっています。
どうも体調がおかしい、もしかしてインフルエンザかも?職場や学校にインフルエンザが流行ってきたなどどんな時にでも簡単に検査する事ができます。
検査で陽性が確認できれば治療を、陰性がでれば予防を、自分で選択して服薬することができます。
しかし残念ながらカプセル剤が飲めないなどの小児においてはこの限りではありません。病院を受診し処方箋を入手し調剤薬局に行き薬を調剤してもらうことでようやくドライシロップの剤形の治療薬が手に入ります。
しかし世の中は少しずつ便利に変化してきています。病院によってはオンライン診療を行っている所も出てきました。スマホ一つあれば自宅で医師に診察してもらえます。
もし興味があれば調べてみると良いでしょう。
それでは治療と予防について詳しい使用方法を紹介します。
治療の場合
タミフルを治療に用いる場合、年齢および体重を考慮し、「成人」「幼小児」「新生児・乳児」のいずれかによって1回投与量が決まります。
1) 成人及び体重37.5kg以上の小児の場合:オセルタミビルとして1回75mgを使用。
2) 幼小児の場合:1回用量として2mg/kg(ドライシロップ剤として66.7mg/kg)を使用。
3) 新生児・乳児の場合:1回用量として3mg/kg(ドライシロップ剤として100mg/kg)を使用。
全ての場合において用法は1日2回、5日間経口投与します。
服用開始すると直ぐに熱も下がり元気になります。しかし感染力はすぐには衰えません。薬はしっかり5日間のみ切って治療に専念しましょう。また外出も最低5日間、且つ熱が引いて更に2日間は控えるようにしましょう。感染を広げるも抑えるも個々の心構え一つです。一人一人がしっかりと対処できればパンデミックも防ぐことは可能です。
予防の場合
タミフルを予防に用いる場合、こちらは以下の通り「成人」「幼小児」の2区分で投与量を考慮します。
1) 成人及び体重37.5kg以上の小児の場合:オセルタミビルとして1回75mgを使用。
2) 幼小児の場合:1回用量として2mg/kg(ドライシロップ剤として66.7mg/kg)を使用。
成人の場合の用法は1日1回、7~10日間投与します。その他の場合の用法は1日1回、10日間経口投与します。
予防投与として使用する場合、基本的に保険診療はできません。従って全額自費扱いとなりますのであらかじめお会計がいくらになるのか聞いておくと良いでしょう。
またインフルエンザウイルス感染患者に接触後2日以内に投与を開始しなければなりません。これは治療に用いる場合でも同様です。
予防効果はタミフルを服用している期間のみ持続します。もし仮に家族に感染者が出た場合にはその家族が完治するまでは服用を続けるようにしましょう。
タミフルの副作用
インフルエンザ治療薬として有名なタミフルですが、副作用については十分認識されていないのが現状です。
ときに重大な精神神経系の副作用を引き起こす可能性が指摘されています。
タミフルの主な副作用として、精神症状の変化や異常行動があげられます。
テレビでもよく報道されましたが異常行動の副作用については次のテーマで詳しく解説します。
最も多い副作用として消化器症状が報告されています。
吐き気や嘔吐、下痢・腹痛など、特に薬を摂取した直後にこれらの症状が現れることがあります。
これは個人差があり、薬に対する個々の体質や胃腸の強さによって影響が変わる可能性があります。したがって、薬を飲んだ後に不快な症状が現れた場合は、速やかに医師または薬剤師に相談することが重要です。
また、頭痛やめまいなどの精神神経系の副作用も報告されています。これらの症状が現れると、日常生活に支障をきたすことがあります。例えば、車の運転や機械操作を行う際は、十分な注意が必要です。また、これらの症状が持続する場合には、適切な対処法を検討する必要があります。
さらに、アレルギー反応や皮膚の発疹が起こることもあります。特にアレルギー体質の人は、注意が必要です。薬を初めて使用する際には、過去のアレルギー歴や過敏症について医師に正確に伝えることが大切です。
これにより、適切な医療判断が行われ、副作用を最小限に抑えることが出来ます。
一方で、タミフルの副作用が全ての患者に現れるわけではありません。多くの場合、副作用は軽度で一過性であることが多いです。とはいえ、タミフルの副作用についての国民の認知は低いのが実情であり、もっと副作用に関する知識の普及が必要だと思われます。
インフルエンザの蔓延期にはタミフルが第一選択の治療薬となります。特に子どもや高齢者、基礎疾患を有する患者さんに対しては、慎重な投与と綿密なフォローアップが重要であると言えるでしょう。
タミフルの異常行動について
タミフルは、精神神経系に副作用を起こし、異常行動を引き起こすリスクがあることが指摘されています。
まず、タミフルによって引き起こされる異常行動とは何かを理解するために、薬物の作用機序を振り返ってみましょう。タミフルは、インフルエンザウイルスの複製を阻害することによって感染を抑える働きがあります。しかし、この薬の中には、中枢神経系に影響を与える可能性のある成分も含まれています。
タミフルによる自殺念慮(じさつねんりょ)や自傷行為(じしょうこうい)、突発的暴力などの異常行動は、主に小児の場合に報告されています。
タミフルを投与された小児が、自殺を図ったり、自傷行為に及ぶ危険性は、健常人の2倍以上であるとの報告があります。睡眠障害や不安、うつ状態といった精神症状から異常行動へ進行するケースも少なくありません。小児における異常行動発現のメカニズムの詳細は不明です。心理的な安定性がまだ発達途中にあるため、薬物の影響を受けやすいという仮説が立てられています。また脳内での興奮性神経伝達物質(こうふんせいしんけいでんたつぶっしつ)のバランスが崩れることが関与している可能性などが考えられています。
2006年頃から欧米を中心にタミフルの異常行動に関する報告が相次ぎ、日本でも2009年ころには小児の異常行動を注意喚起する改訂添付文書が追加されました。このため、子供や思春期の患者に対しては、より慎重な観察が必要であると言えるでしょう。
インフルエンザそのものによっても異常行動がみられることがあり、タミフルとの因果関係の判断が難しい場合も少なくありません。しかしタミフルを投与後、異常行動が新たに発現したり、症状が顕著に悪化したケースも数多く報告されており、副作用の可能性を視野に入れることが大切です。
タミフルはインフルエンザ治療の第一選択薬であり、その有効性は高い一方で、異常行動などの重篤な副作用にも十分な注意が必要です。タミフルの処方を検討する際には、患者さんへの十分な説明とともに、綿密な観察が不可欠であると言えるでしょう。
よくある質問(Q&A)
まとめ
タミフルまとめ
- インフルエンザウィルスの増殖を抑える薬である
- 発症してから48時間以内に投与するのが効果的である
- タミフルと異常行動の因果関係はわかっていない
タミフルは、主にインフルエンザの治療や予防に使われる薬です。インフルエンザは感染力が強く、発熱や体調不良を引き起こすウイルスによる病気で、タミフルはこのインフルエンザウイルスの増殖を抑制することで、症状を和らげたり回復を早めたりします。インフルエンザの症状が出てからなるべく早く(発熱から48時間以内に)服用を始めると、効果が高まります。ウイルスの増殖を初期に抑えることがポイントです。
薬の使用方法として治療の場合には発症から48時間以内に始め、通常は1日2回、5日間服用します。予防の場合にはインフルエンザに感染する可能性が高い状況では、通常は1日1回、10日間服用します。一部の報告では、特に子供や若い人たちに異常行動が起こる可能性が示唆されています。しかし、これについてはまだ研究が進んでおらず、確定的な因果関係は分かりません。もし異常行動が見られた場合は、速やかに医師に相談しましょう。タミフルは感染症の治療や予防に役立つ薬ですが、正しい使い方や副作用、異常行動のリスクについては理解しておくことが大切です。発熱から48時間以内に使うことで最大限の効果が期待できますが、必ず医師の指示に従い、自身の症状や体調に合わせて利用しましょう。