二日酔いの症状
二日酔いはアルコールを過度に摂取することによって翌日まで酔いが続くことを指します。症状としては、代表的なものとして頭痛がありますが、そのほかにも吐き気、胸やけ、睡眠障害などがよく出やすいとされています。ただし、二日酔いの症状はその個人のコンディションやアルコール分解能力によって、重さや症状の種類などが異なってくるため、個人差があります。
二日酔いになる原因
二日酔いの原因は、簡単に言えばお酒の飲みすぎです。しかし、なぜお酒を飲みすぎることによって症状が現れるのかについてはさまざまな要因があるとされており、明確にはなっていません。原因として考えられているものをご紹介します。
離脱症状
アルコールには依存性があります。そのため、長い時間飲み続けたり、大量の飲酒するといったように過剰な摂取をした後に断酒すると、突然アルコールをやめた反動で離脱症状が起こり、二日酔いの原因となります。
アセトアルデヒドの蓄積
アルコールは肝臓で代謝されるため、肝臓に到達するとまずは酵素によってアセトアルデヒドという物質に分解されます。アセトアルデヒドはタバコの煙にも含まれる有害物質で、吐き気や頭痛、動悸などを引き起こす作用を持っています。そのため、飲みすぎてしまうと、肝臓の処理能力がアセトアルデヒドに追い付かず、血中の濃度が上昇し、症状があらわれるとされています。
ホルモン分泌量の変化
アルコールを大量に摂取すると、血圧や尿量、血糖値などの調節に働いているホルモン分泌に対して影響を与えることが知られています。例えば、尿量を下げる抗利尿ホルモン、尿の排泄や血圧の調整に関係するアルドステロン・レニンなどがこれに当たりますが、抗利尿ホルモンは、二日酔いになるにつれて尿量を増やしてしまうため、脱水症状を引き起こします。ほかにもインスリンやグルカゴンといったホルモンも二日酔いの時には変化するため、低血糖状態を引き起こすとされています。
胃腸の荒れ
アルコールは胃酸の分泌を増やしてしまうため、胃の粘膜の負担となり、胃腸の荒れや痛みなどを引き起こしてしまいます。結果、吐き気や胸やけなどの症状につながります。
酸性度の上昇
アルコールを大量に摂取してしまうと、血液や体液の酸性度が高まることが知られています。酸性度が上がることによって二日酔いの症状が引き起こされると考えられていますが、明確にわかっているものではありません。
アルコールの血中濃度と酔いの関係
アルコールは、体内に入ったうちの20%が胃で、80%が小腸で吸収されるといわれています。その後、血液にのって脳へ移行すると、アルコールが脳の神経細胞を麻痺させてしまいます。この状態を「酔い」と呼んでいますが、脳内のアルコール濃度によって酔いの段階が変わってきます。もっともアルコール濃度が低い「爽快期」から「ほろ酔い期」「酩酊初期」「酩酊期」「泥酔期」「昏睡期」と順に名前が付けられています。
アルコールの血中濃度 | 酒量 | 酔いの状態 |
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爽快期(0.02~0.04) | ビール:中びん1本 日本酒:1合 ウイスキー:シングル2杯 |
さわやかな気分になる、皮膚が赤くなる、陽気になる、判断が少し鈍くなる |
ほろ酔い期(0.05~0.10) | ビール:中びん1~2本 日本酒:1~2合 ウイスキー:シングル~3杯 |
ほろ酔い気分になる、手の動きが活発になる、理性が失われる、体温が上昇し脈が速くなる |
酩酊初期(0.11~0.15) | ビール:中びん3本 日本酒:3合 ウイスキー:ダブル3杯 |
気が大きくなる、大声でどなる、怒りっぽくなる、立つとふらつく |
酩酊期(0.16~0.30) | ビール:中びん4~6本 日本酒:4~6合 ウイスキー:ダブル5杯 |
千鳥足になってふらつく、何度も同じことを話す、呼吸が速くなる、吐き気やおう吐が起こる |
泥酔期(0.31~0.40) | ビール:中びん7~10本 日本酒:7合~1升 ウイスキー:ボトル1本 |
まともに一人で立てない、意識がはっきりしない、言語がめちゃくちゃになってくる |
昏睡期(0.41~0.50) | ビール:中びん10本超 日本酒:1升超 ウイスキー:ボトル1本超 |
ほかの人が揺り動かしても起きない、大小便はたれ流しになる、呼吸はゆっくりとしていて深い、死亡することもある |
二日酔い事前に予防する方法
自身のお酒への耐性を知っておく
二日酔いを事前に抑えるためには、自身のお酒への「適量」を知っておくことが大切です。パッチテストは、自分がお酒に強いのか、弱いのかを知ることができるテストです。ガーゼに消毒用アルコールをしみこませて、皮膚に貼ります。皮膚に貼ってから7分後に1度確認し、皮膚に色がついていたらその人は「お酒が飲めない」体質です。皮膚に貼ってから10分後に確認し、肌の色が変わっていれば「お酒に弱い」体質です。その後も赤くならなければお酒には強い体質です。パッチテストで知った自身の耐性を忘れずにお酒と付き合っていきましょう。
ドリンク剤を飲む
お酒を飲む前にできる予防方法としては、ドリンク剤を飲むことです。二日酔いの症状が和らぐケースがあります。例えば、ウコンなどが成分として含まれるドリンク剤は、クルクミンという成分が含まれており、アルコールやアセトアルデヒドの分解を早める働きがあります。また、ヘパリーゼにも同様に、肝臓の働きを強める力があります。お酒を飲む30分ほど前にこれらのドリンク剤を飲むことが効果的であるとされています。
●ウコンの力
商品名 | ウコンの力 |
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原材料名 | 果糖ぶどう糖液糖(国内製造)、秋ウコンエキス、食塩/酸味料、環状オリゴ糖、増粘多糖類、ウコン色素、香料、甘味料(アセスルファムK、アスパルテーム・L-フェニルアラニン化合物、ソーマチン)、イノシトール、ナイアシン、V.B6、V.B1、V.B2、乳化剤 |
メーカー | ハウスウェルネスフーズ |
●ヘパリーゼドリンク
商品名 | ヘパリーゼドリンク |
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原材料名 | 肝臓水解物 コンドロイチン硫酸エステルナトリウム ジクロロ酢酸ジイソプロピルアミン ゴミシエキス クコシ流エキス オウギ流エキス タウリン ビタミンB2リン酸エステル ビタミンB6 ニコチン酸アミド |
メーカー | ゼリア新薬 |
サプリメントを飲む
ドリンク剤と同じくサプリメントの服用でも事前に二日酔いの防止につながることがあります。サプリメントは基本的に健康な方が使用するもので、ビタミンやミネラルなど体に良い成分が含まれた錠剤・カプセルです。サプリメントの中には、二日酔いの防止効果があるものがありますので、事前に服用することで症状の緩和が期待されます。
グルタチオン
グルタチオンは、肝臓などで作られ、アンチエイジングや抗酸化作用が期待されています。グルタチオンはグルタミン酸、システイン、グリシンの3種類のアミノ酸から作られております。二日酔い関連では、肝機能障害の予防やアルコール脂肪肝の予防などを目的に使用されることが多いです。
●L-グルタチオン【バイタルミー】
L-グルタチオン【バイタルミー】は、デトックスや美容作用効果のある注目を集めているサプリメントです。グルタチオンのおおきな作用は抗酸化作用ですが、老化の原因となる活性酸素を還元し、元の状態に戻す働きがあります。ストレスや過度な飲酒などから細胞を守ってくれます。
商品名 | L-グルタチオン【バイタルミー】 |
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一般名 | L-グルタチオン |
価格 | 1錠あたり22円 |
メーカー | Sapphire Healthcare(サファイアヘルスケア) |
購入ページ |
●リデュースドグルタチオン
リデュースドグルタチオンは、免疫系の機能維持に効果が期待されているサプリメントです。二日酔いの防止や解毒・デトックス効果があります。
商品名 | リデュースドグルタチオン |
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一般名 | L-グルタチオン(リデュースドグルタチオン) |
価格 | 1錠あたり70円 |
メーカー | Biovea(バイオビア)社 |
購入ページ |
RU-21
RU-21は、アメリカなど世界100か国以上で人気のある、実績豊富なサプリメントとなります。二日酔いの防止に使用されていますが、他にも飲んでいる最中の不快な症状にも効果が期待されています。
●RU-21
チャンポンを避ける
お酒を飲んでいる最中にできる、二日酔いの予防策もあります。それはチャンポンを避けることです。チャンポンとは、さまざまな種類のお酒を飲むことです。チャンポンは酔いやすいという話を聞いたことがあるかもしれませんが、自分の飲んだ量が分かりにくいため、ついつい飲みすぎてしまうことがあります。また、一気にお酒を飲むことや夜遅くまで飲むのも二日酔いにつながってしまう行為のため、避けることが予防につながります。
食べ物と一緒に飲む
食べ物と一緒に飲むこともお酒を飲んでいる最中にできる、二日酔い予防策の1つです。胃が空の状態でお酒を飲むと胃の粘膜を刺激してしまい、胃が荒れやすくなります。また、アルコールの吸収速度も早まるため、早く酔っぱらってしまいます。そこで、おつまみなど、食べ物と一緒に飲むことでアルコールの吸収がゆっくりになり、二日酔いになりにくくなります。食べ物も、特に牛乳やチーズなどの脂肪が含まれている食品を摂取すると、胃に膜を作ってくれる作用が期待され、胃の粘膜の保護してくれます。ほかにも枝豆やお肉やおさかななどのタンパク質はアルコールを分解する力を強めてくれる作用があります。このように、食べ物と一緒に飲む、そして食べるものを選んでいくことで二日酔いは予防できます。
水を飲みながらお酒を飲む
お酒を飲むときにはチェイサーとしてお水を飲むことが大切です。アルコール濃度をバランスよく保ってくれるため、肝臓への負担が軽くなります。お酒で水分が体から失われると二日酔いの状態は起こりやすいといわれています。そのため、水分補給をしっかりとすることで、二日酔いを予防していきましょう。
二日酔いになった場合早く治す方法
【食事】
お酒を大量に飲むと脱水症状を起こしやすくなるため、水分をとることが大切です。水ももちろん大事ですが、スポーツ飲料は体への吸収が早いため積極的に飲みましょう。
また、ビタミン類はアルコール分解や代謝を促進する作用を持っています。そのため、みかんやリンゴなどの果物、果汁100%ジュースもおすすめです。加えて、タンニンという成分はダメージを受けた胃の粘膜を修復する作用があるため、緑茶や柿などもよいでしょう。
二日酔いの症状の1つに頭痛がありますが、コーヒーに含まれるカフェインを摂取すると改善することがあります。
【医薬品】
二日酔いには、さまざまな症状が出るため、その症状にあった薬物療法を行っていきます。代表的な医薬品も一緒にご紹介します。
頭痛
●ロキソニンSクイック 12錠
ロキソニンSクイックは、「ロキソプロフェンナトリウム水和物」が痛みや熱の原因を抑制することで鎮痛・解熱効果を発揮します。服用後錠剤が速やかに溶けるので、服用しやすいという特徴があります。錠剤の中に、胃の粘膜を保護する成分も含まれていますので、二日酔いの後の頭痛におすすめです。
商品名 | ロキソニンSクイック 12錠 |
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有効成分 | ロキソプロフェンナトリウム水和物・メタケイ酸アルミン酸マグネシウム |
メーカー | 第一三共ヘルスケア |
胸やけ
●サクロン 96錠
サクロン 96錠は、アルコールの大量摂取で出過ぎた胃酸を抑制する作用を持ちます。朝まで気持ち悪さが残っている方や、胃がむかむかする方、胸やけのある方におすすめの医薬品です。
商品名 | サクロン 96錠 |
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有効成分 | 銅クロロフィリンカリウム・無水リン酸水素カルシウム・沈降炭酸カルシウム・水酸化マグネシウム・ロートエキス |
メーカー | エーザイ |
【サプリメント】
服用することで二日酔いの症状や不快感の改善効果が期待されています。それぞれ、成分や特徴が異なりますので、ご自身の症状や体質に合ったものを選ぶと良いでしょう。
シリマリン
シリマリンはミルクシスルというヨーロッパで使用されているハーブに含まれている成分です。ヨーロッパでは毒キノコを食べてしまった際などに使われることのある成分で、不規則な食生活や宴会などで受けたダメージを内側からケアしてくれる効果が期待されています。
●サマリン
サマリンは、肝機能を向上させるサプリメントで、アルコールによる肝臓の負担を軽減、二日酔いを軽減してくれる作用を期待されています。機序としては、解毒作用のあるグルタチオンという抗酸化物質の生成を促進する事で、肝臓の解毒作用を高め保護します。
商品名 | サマリン |
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一般名 | シリマリン |
価格 | 1錠あたり59円 |
メーカー | Berlin Pharmaceutical Industry |
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●シリマリン
シリマリンは、マリアアザミというハーブから抽出されるシリビン、シリジアニン、シリクリスチンの3つのフラボノイドを含むサプリメントです。肝機能の改善や障害予防に使用されています。
商品名 | シリマリン |
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一般名 | シリマリン |
価格 | 1錠あたり30円 |
メーカー | Life Extension(ライフエクステンション) |
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パッチ型サプリ
これまでは錠剤タイプで経口服用するサプリメントでしたが、貼るタイプもあります。さまざまなビタミンなどが配合されており、二日酔い予防や改善が期待できます。パッチ製剤ですので飲み忘れも少ないとされています。
●ハッピーアワーパッチ【パッチMD】
ハッピーアワーパッチ【パッチMD】は、二日酔いの不快感の改善・解消に使用されるサプリメントです。有効成分がさまざま含まれており、ビタミンB群、ビタミンC、ビタミンE、マグネシウム、カリウム、タウリン、マリアアザミ(シリマリン)などが代表的です。飲酒することで失われがちな栄養素をバランスよく補給し、アルコール分解をサポートします。
二日酔いの時にしてはいけないこと
運動
二日酔いの時には、気分転換で体を動かしたくなる場合もありますが、酔いを加速させてしまうことがあります。運動をすると、汗で水分が失われ脱水症状となります。
二日酔いの症状を改善するどころか、逆効果になってしまいますので避けてください。また、転倒や動悸の原因にもなりえますので注意してください。
迎え酒
二日酔いの症状を緩和させるための迎え酒は、避けてください。逆効果となってしまい、酔いが長引いてしまいます。飲みすぎた翌日に迎え酒をして楽になった経験があるのは、アルコールで脳を麻痺させているためです。肝臓への負担は重くなっており、アルコールの分解速度もさがってしまいます。回復するまでの時間が伸びてしまうので、二日酔いの時には適切な休息をとったり、症状に合わせた対策をとっていきましょう。
よくある質問
最後に
二日酔いまとめ
二日酔いは、現在も何故起こるかどうかが明確にわかっていません。二日酔いは頭痛や気持ち悪さなどさまざまな症状がつきものですが、薬を飲むことで症状は改善することが可能です。そのため、つらいと思ったら我慢しすぎず薬を飲んで安静にしていることが早く回復させるコツですので、無理せず症状に合わせたサプリメントや医薬品を飲むことをお勧めしています。二日酔いの症状は基本的に時間の経過とともに改善していきますが、普段からお酒は自分にあった量で、適度に楽しむことが大切です。
参考にした文献およびサイト
【参考元:養命酒 二日酔いに効く食べ物・飲み物は? 正しい対処法で症状を早く改善!】【参考元:Asahi 人とお酒のイイ関係 ほどよく、楽しく、いいお酒 二日酔いとは】【参考元:くすりと健康の情報局第一by三共ヘルスケア】