年末年始の飲み会シーズンに増える急性アルコール中毒とは?
年末年始はいろいろと飲む機会が増えてくるものですよね。その場の雰囲気でついつい飲みすぎてしまい記憶が無くなるなんて失敗談に身に覚えのある方もいるかもしれません。しかし度が過ぎれば急性アルコール中毒になる危険性も秘めていることには注意が必要です。
急性アルコール中毒は、短時間に過度なアルコールを摂取することによって引き起こされ、生命に危険を及ぼす状態をいいます。通常、アルコールを摂取することによって血中アルコール濃度が上昇し、その影響を感じられます。しかし飲みすぎることによってアルコールの代謝と排泄が追いつかなくなることにより、血中アルコール濃度が急激に高くなり中枢神経系が抑制されることでこれらの症状が生じます。以下に、急性アルコール中毒の症状とリスクについて詳しく解説します。
血中アルコール濃度と症状の関係
爽快期(血中アルコール濃度20~40mg/dl) | 陽気になる、皮膚が赤くなる |
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ほろ酔い期(血中アルコール濃度50~100mg/dl) | ほろ酔い気分、手の動きが活発になる |
酩酊初期(血中アルコール濃度110~150mg/dl) | 気が大きくなる、立てばふらつく |
酩酊極期(血中アルコール濃度160~300mg/dl) | 何度も同じことをしゃべる、千鳥足 |
泥酔期(血中アルコール濃度310~400mg/dl) | 意識がはっきりしない、立てない |
昏睡期(血中アルコール濃度410mg/dl以上) | 揺り起こしても起きない、呼吸抑制から死亡に至る |
急性アルコール中毒の危険性
呼吸・循環中枢の抑制 | 高い血中アルコール濃度が呼吸・循環中枢を抑制し、生命維持機能が脅かされます。これによって死亡するケースも報告されています。 |
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窒息の危険 | 吐物による窒息が生じる可能性があります。特に昏睡期において、嘔吐が制御できない状態では重大なリスクになります。 |
事故やトラブルの危険性 | もうろう状態での行動は危険を伴います。転倒、交通事故、溺れるなど、さまざまな危険性が増大します。 |
意識障害 | 意識混濁、意識消失などが起こります。 |
急性アルコール中毒は生命に深刻な影響を及ぼす可能性があり、そのリスクを理解し、適切な予防策を講じることが必要不可欠です。飲酒時の自己制御や周囲への配慮が、安全で楽しい飲み会を実現する鍵となります。
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急性アルコール中毒の原因・症状
急性アルコール中毒は、短時間で大量のアルコールを摂取することにより、肝臓の分解が追いつかずに血中アルコール濃度が急激に上昇し、重篤な症状が引き起こされる状態です。
アルコールは主に胃や小腸で吸収され、肝臓で分解されます。しかし、短時間で大量のアルコールを摂取すると、肝臓の分解作業が追いつかず、血中アルコール濃度が急激に上昇します。その結果、呼吸・循環中枢が抑制され、最悪の場合、死に至ります。
一般的に血中アルコール濃度が0.3%を超えると、「泥酔期」と呼ばれる状態になり、脳の海馬部分にまひが広がります。この段階ではまだ死の危険は低いが、認知機能や運動能力に深刻な影響を与えます。
血中アルコール濃度が0.4%を超えると、「昏睡期」と呼ばれ、まひが脳全体に広がります。この段階では呼吸数や血圧が低下し、死の危険が高まります。
血中アルコール濃度が上昇すると、死に至る可能性があるだけでなく、嘔吐物がのどに詰まって窒息する危険性も存在します。酩酊状態が原因での転倒・転落死、溺死のリスクも高まります。
急性アルコール中毒における代表的な症状としては、
軽度の症状 | 吐き気、嘔吐、酩酊感、歩行障害 | これらはアセトアルデヒドの蓄積による中毒症状です。 |
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中度の症状 | 意識の混濁、昏睡、血圧の低下、呼吸抑制、失禁 | これが急性アルコール中毒の進行段階です。 |
重度の症状 | 呼吸麻痺や吐物による窒息の危険性、死亡する可能性 | 昏睡期に進行した段階です。 |
アルコール中毒の症状はこららのように軽症で済む場合もあれば、呼吸停止により死に至る可能性もある重症の場合もあります。
日本人の多くはアルコール代謝酵素の活性が低いため、アルコールに対する耐性が弱い傾向にあるとされています。したがって、空腹時や短時間にお酒を大量に飲む「イッキ飲み」は特に危険です。
低年齢者ほどアルコール代謝能力が未発達なこともあり、未成年者の飲酒は法律でも禁止されています。成人であっても過剰な飲酒は健康を損ない、最悪の場合には急性アルコール中毒による死を招く危険性があることを肝に銘じる必要があります。
急性アルコール中毒を防ぐポイント
急性アルコール中毒は重篤な健康被害を引き起こす可能性があるため、安全な飲酒の心得が重要です。以下の6点に注意して、急性アルコール中毒を予防する様にしましょう。
「イッキ飲み」を強要しない・させない
イッキ飲みや早飲み競争は危険であり、「アルハラ=アルコール・ハラスメント」につながりかねません。自分がイッキ飲みをしないと決めている場合、他者からの勧めに勇気をもって断りましょう。相手に理解を求め、互いの安全を守りましょう。
飲み会やお酒の席には注意
イッキ飲みを強要されそうな場には最初から行かないか、適切な対処法を考えて臨むことが重要です。無理に参加せず、自分の意思を尊重しましょう。自身の健康と安全を最優先に考えましょう。
幹事に事前に伝える
イッキ飲みをしない旨を事前に伝え、約束を守ることで、強要されても断りやすくなります。コミュニケーションを大切にし、安心して参加できる雰囲気を作りましょう。
ユニークな理由で断る
断りづらい場合は、ユニークで面白い理由をつけて断ることも一つの手段です。例えば、「家訓がイッキ飲みを禁じている」といった理由を挙げることで、周囲の理解を得やすくなります。
適量を守り、体調に注意が必要
急性アルコール中毒を防ぐためには、適量を知り、その日の体調に気をつけることが重要です。個人差があるため、自分に合った量で安全な範囲内で飲むよう心がけましょう。
空腹時には注意する
空腹時はアルコールが急速に吸収されるため、飲酒する際にはつまみを摂りながら、適切なペースで飲むようにしましょう。健康な飲酒環境を整え、無理な摂取を避けましょう。
安全な飲酒の心得を守り、周囲とのコミュニケーションを大切にすることで、楽しいひとときを安心して過ごせるでしょう。
急性アルコール中毒患者の対処法
忘・新年会で飲みすぎてしまい必ず一人位は具合悪くなる人はいますよね。そんな時もしそれが急性アルコール中毒だった時どうしたら良いでしょう。突然のことでみんな焦ってしまい正しい対処の方法を忘れてしまうかもしれません。その時の為にここでは急性アルコール中毒患者に対する適切な対処法について「5つのポイント」をご紹介いたします。
119番通報と救急車の呼び出し
急性アルコール中毒の症状が見られた場合、次の症状があれば迅速に119番に通報し、救急車を呼びましょう。
・意識がなくゆすっても反応しない
・全身が冷えきっている
・呼吸が異常
・大量の血や食べ物を吐いた
・倒れて口から泡を吹いている
応急処置
ネクタイやベルトをしている場合は外し、衣服をゆるめて患者を楽にします。
意識がある場合は、水分補給として水やお茶、スポーツドリンクを飲ませることが有効です。
回復体位の確認
意識を失った場合には「回復体位」で横に寝かせ、吐いたものが窒息の原因にならないように気をつけましょう。長時間同じ向きで寝かせないように、30分ごとに向きを変えると良いです。
吐いたものの処理
嘔吐しているときは抱き起こさずに横向きのままにし、嘔吐したものはよく拭き取ります。吐き気があり自力で吐けない場合は、無理に吐かせないように注意してください。
体温の維持
急性アルコール中毒になると体温が下がりやすいため、上衣や毛布などで体を保温しましょう。
急性アルコール中毒は早期の対処が重要です。これらのポイントを守り、周囲の協力を得ながら患者に接する事で、安全な状態に導くことができます。楽しいひとときを過ごすためにも「5つのポイント」はしっかりと覚えておきましょう。
まとめ
まとめ
年末年始の飲み会シーズンを前に、急性アルコール中毒のリスクが高まっています。急性アルコール中毒はアルコールの飲み過ぎで引き起こされ、重篤な症状を招く可能性があります。しかし適切な予防法を心がけることで、このリスクを大幅に低減できます。
まず、自分の飲酒量の限界を知ることが大切です。体調不良時にはついつい飲み過ぎてしまう可能性があるため、無理な飲酒は控えめにするべきです。また、飲み会の前には軽食を食べ、飲酒中も適宜水分補給を欠かさないことが予防のポイントです。
もしも周囲の人が急性アルコール中毒の症状を示した場合は、速やかに119番に通報し、救急車を呼び出す必要があります。意識がない場合には横向きの回復体位で寝かせ、吐瀉物の吸引に注意しながら、救急隊到着まで見守ります。
飲み会の最中、仲間内で飲みすぎを強要することは絶対に避けましょう。イッキ飲みを断る勇気や、仲間を阻止することも予防の一環となります。気をつけて過ごすことで、楽しく、事故のない年末年始を過ごしましょう。
出典