低カリウム血症とは?症状や原因、治療法を詳しく解説!

低カリウム血症とは?症状や原因、治療法を詳しく解説! 利尿剤

低カリウム血症とは?

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通常我々の血液中のカリウムの正常値は「3.5~5.0mEq/L」とされています。
低カリウム血症とは、血液中のカリウムイオンの濃度が基準値よりも低下した状態を指します。
つまり、血清カリウム濃度が3.5mEq/L未満となった状態を「低カリウム血症」と呼んでいます。

そもそも私たちの体内においてカリウムとはどの様な役割を担っているのでしょうか?
「カリウム」は、私たちの体内において様々な重要な機能を担う、必要不可欠なミネラルの一つです。
その役割は多岐にわたり、心臓のリズムから細胞の正常な機能まで、健康に欠かせない役割を果たしています。

「カリウムの役割」

役割 詳細
①筋肉の収縮とリラクゼーションの調整 カリウムは筋肉の収縮とリラクゼーションを助け、適切な筋肉の機能を維持します。 これにより、日常生活や運動中において正確な動きや柔軟性をサポートします。
②心臓のリズム調整 心臓は正確なリズムで拍動する必要があります。カリウムはこの心臓のリズムを整え、正常な心拍数を維持する役割を果たしています。 適切なカリウム濃度があることで、心臓の機能は安定し、血液が体内を効果的に循環します。
③血圧のコントロール カリウムはナトリウムとのバランスを保ち、これによって血圧をコントロールする助けをします。 十分なカリウムが摂取されることで、高血圧のリスクを軽減することが期待されます。
④水分バランスと酸塩基バランスの維持 カリウムは体内の水分バランスや酸塩基バランスを調整し、これによって細胞や組織の正常な機能をサポートします。 適切な水分バランスは細胞の膨張と収縮を助け、酸塩基バランスは酸性やアルカリ性の調整に寄与します。

カリウムは、体内の調和とバランスを保つために欠かせないミネラルです。その豊富な機能は、筋肉や心臓の正常な機能、血圧の管理、水分バランスや酸塩基バランスの維持に関わります。
適切な食事とカリウムの摂取は、健康な生活を維持するために重要な要素です。

低カリウム血症の原因と症状

低カリウム血症の原因

低カリウム血症の原因

低カリウム血症の主な原因については以下の点が報告されています。 これらの原因を理解し、適切な生活習慣や食生活を心がけることが、低カリウム血症を予防につながります。

①カリウムの摂取不足

長期的な食事制限や病気による食欲不振で、体内に十分なカリウムが摂取されないと、低カリウム血症の危険が増します。バランスの取れた食事と栄養補助食品の活用で、十分なカリウムを摂取しましょう。

②利尿剤や下痢によるカリウムの過剰排泄

利尿剤の使用や下痢、発汗の量が増えると、体内のカリウムが過剰に排出され、血中のカリウム濃度が低下します。
医師の指示に従い、利尿剤の使用は慎重に扱う必要があります。

③アルドステロンの過剰分泌

アルドステロンは、カリウムの排泄を促進するホルモンであり、その過剰分泌により尿と一緒に多くのカリウムが排出され、血中の濃度が低くなります。
アルドステロンの異常な分泌は、腎臓や副腎の問題に関連している可能性があります。医師に相談して検査を受けましょう。

低カリウム血症の予防には、カリウムが豊富な野菜や果物、ナッツ、種子などを含むバランスの取れた食事が大切です。
また薬物の使用は医師の指導に従い、慎重に行うことが大切です。
特に利尿剤の使用には注意が必要です。
そして定期的な運動、十分な休息、ストレス管理などの健康的な生活習慣を心がけ、全体的な健康をサポートするようにしましょう。

低カリウム血症の症状

低カリウム血症とは? 低カリウム血症が引き起こす可能性のある主な症状には以下の3点があります。

低カリウム血症の症状

①筋力低下やけいれん

カリウムは筋肉の正常な動きをサポートしています。
低カリウム血症では、筋肉の制御が乱れ、筋力低下やけいれんが起こる可能性があります。 これが進行すると、歩行困難や呼吸困難などが起こり日常生活に影響を及ぼすことがあります。

②不整脈

心臓は正常なリズムを維持するためにカリウムに依存しています。低カリウム血症では、心臓のリズムが乱れ、不整脈が発生する可能性があります
これは日常生活を送るうえで深刻な問題を引き起こす可能性があります。

③腎機能低下

カリウムは腎臓の正常な機能にも関与しています。低カリウム血症が続くと、腎臓の機能が低下し、尿の排出量が増加する可能性があります
これが長期間続くと、腎臓に永続的なダメージを与え、腎機能の低下を引き起こす可能性があります。腎機能の異常が疑われる場合は、迅速な対応が必要となります。

その他、筋肉痛、手足のだるさやこわばり、呼吸困難や不整脈などが見られます。
これらの症状が現れた場合は、早期の診断が必要です。自分の身体のサインに注意を払い、健康な生活を維持するために適切な対策を講じるようにしましょう。

低カリウム血症の診断法と治療法

低カリウム血症の診断法

低カリウム血症の診断法

カリウムは体内で重要な役割を果たしており、心臓や神経系の正常な機能を維持するために必要不可欠です。
低カリウム血症は様々な原因によって引き起こされ、その症状は軽度から重篤まで幅広いものがあります。
この状態を正確に診断するためには、いくつかの診断方法と検査を行う必要があります。

低カリウム血症の診断法

①血液検査

血液検査はもっとも簡単に低カリウム血症を診断できる唯一の方法です。
健康診断などで行なわれる一般的な血液検査を行うことにより早期に発見する事が可能です。

②尿検査

カリウムは主に尿を通じて排泄されるため、尿中のカリウム濃度も重要です。尿検査によって、カリウムの排泄量が正常かどうかを確認できます。
尿中のカリウム排泄が増加している場合、体内でのカリウムの損失が考えられ、低カリウム血症の原因が明らかになる可能性があります。

③心電図

低カリウム血症は心臓のリズムに影響を与え、心拍異常や不整脈などが見られることがあります。
心電図検査を行うことにより、これら低カリウム血症の特有の心電図パターンを確認する事ができるようになります。

④病歴と臨床評価

患者の病歴や臨床的な症状も重要な情報となります。
特に、嘔吐、下痢、利尿があるかどうか、また薬物の使用などが低カリウム血症の原因を特定する上で役立ちます。
低カリウム血症は症状が軽度であっても重大な状態に進展する可能性があるため、早期の診断と治療が重要です。
医師が患者の症状や検査結果を総合的に評価し、原因を特定することで、適切な治療方針を立てることが可能です。

バランスのよい食事は低カリウム血症の予防と対策に重要です。特に以下の食材に含まれるカリウムが効果的です。
果物(バナナ・キウイ)、野菜(ほうれん草・かぼちゃ)、いも類、海藻類、肉・魚など。
カリウムは体内のナトリウムを排出し、高血圧の予防にも役立ちます。
ただし、食事のバランスが重要で、食べ過ぎには注意が必要です。過度な摂取は逆にカリウム濃度を高くし、他のミネラル不足を引き起こす可能性があります
よってバランスのとれた食事をする事が体調管理につながります。

低カリウム血症の治療法

低カリウム血症の治療法

低カリウム血症の治療では、まずカリウム補給が基本です。
カリウムを豊富に含む食事を心がけることが第一歩ですが、激しい嘔吐下痢などで食事摂取が困難な場合は、サプリメントによる補給が必要不可欠です。
サプリメントは消化管への刺激を抑えるため、少量ずつ分割摂取します。特殊コーティング剤を用いた製剤もあり、副作用の軽減に役立ちます。食事と併用することで効果的な吸収が期待できます。
重度の低カリウム血症では点滴補液が第一選択肢となります。
カリウム保持性利尿薬も併用されることがありますが、腎機能を考慮する必要があります。
低カリウム血症の治療には、症状と体質に合わせた綿密な対応が欠かせません。食事内容の見直しも同様に大切なポイントといえます。

低カリウム血症の早期発見と改善のコツ

低カリウム血症の早期発見と改善のコツとポイントは以下の通りです。
早期発見のコツ 改善のコツ
①定期的な血液検査を行う 特に疾患などのない方はもちろん、慢性的な下痢、利尿薬使用などリスク因子がある人は特に定期検査が重要です。
②カリウム摂取量を増やす カリウム含有量の多い食品を意識的に取り入れる。または積極的にサプリメントで補うようにする。
③水分摂取を確保する 脱水は低カリウム血症を悪化させるため、普段からこまめに水分補給を心がける。
④嘔吐・下痢の治療を行う 原因疾患があればその治療を優先して行うこと。 口から水分摂取が難しい場合には輸液で水分を補給する。
⑤利尿薬使用時は注意が必要 定期検査では必ず確認する。 必要に応じて利尿剤の量を調整する。
⑥カリウム排泄抑制薬の使用は慎重に エプレレノン、スピロノラクトン、トリアムテレンなどは腎機能低下などに注意しつつ使用を考慮する。

低カリウム血症に気づいたら早めの食事調整と定期検査が大切です。
症状の進行を防ぐには日頃の意識が”カギ”となります。

低カリウム血症まとめ

低カリウム血症は、血液中のカリウム濃度が基準値未満になる状態、つまり3.5mEq/L未満の血中カリウム濃度を指します。
体内のカリウムは筋肉の収縮、心臓のリズム調整、血圧のコントロール、水分バランスや酸塩基バランスの維持など多岐にわたる重要な機能を担っています

低カリウム血症の原因は摂取不足、利尿剤や下痢による過剰排泄、アルドステロンの過剰分泌などがあります。
予防にはバランスのとれた食事が重要で、カリウムが豊富な食材を摂取することが効果的です。
症状としては筋力低下やけいれん、不整脈、腎機能の低下などが挙げられます。
低カリウム血症の診断には血液検査、尿検査、心電図などが用いられます
治療ではカリウム補給が基本であり、食事やサプリメント、点滴補液が利用されます。重度の場合は医師の指導のもとで治療が行われます。

早期発見と改善のためには、定期的な血液検査や注意深い症状の観察が重要となります。
カリウム豊富な食事の摂取やサプリメントの利用、適切な水分補給などが予防策となります。
特に嘔吐や下痢の治療、利尿薬の慎重な使用も考慮する必要があります。
全体的な健康管理とバランスのとれた生活習慣が、低カリウム血症の予防と改善の第一歩です。

出典 【参考元:重篤副作用疾患別対応マニュアル 低カリウム血症】 【参考元:MSDマニュアル プロフェッショナル版(低カリウム血症)】 【参考元:MSDマニュアル 家庭版(低カリウム血症)】
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