ラシックス(フロセミド)は個人輸入禁止!購入方法や代替品と効果作用比較

ラシックス(フロセミド)は個人輸入禁止!購入方法や代替品と効果作用比較 利尿剤

ラシックス(フロセミド)とは

ラシックス(フロセミド)はループ利尿薬に分類されている利尿薬です。
利尿薬は、体の中から水分を排出し、浮腫(むくみ)などを改善します。主成分はフロセミドで、アメリカやフランス、スペインなど110か国以上の国と地域で発売されています。
ドイツのサノフィという会社が製造を行っており、錠剤や細粒、注射剤があります。
現在日本では、先発品より安い費用のジェネリック医薬品も発売されております。

ラシックス(フロセミド)の詳細情報
商品名ラシックス
成分名フロセミド
製造販売サノフィ
剤形注射・錠剤
用量錠剤:10mg、20mg、30mg
注射:20mg、100mg
適応高血圧症(本態性、腎性等)、悪性高血圧、心性浮腫(うっ血性心不全)、腎性浮腫、肝性浮腫、月経前緊張症、末梢血管障害による浮腫、尿路結石排出促進
飲み方1日1回40〜80mgを毎日もしくは1日おきに経口投与してください。
腎機能不全などの場合にはさらに用量を追加して使用することもありますが、悪性高血圧に用いる場合には、他の降圧剤と併用する必要があります。
禁忌・無尿の患者
・肝性昏睡の患者
・体液中のナトリウム、カリウムが明らかに減少している患者
・スルフォンアミド誘導体に対し過敏症の既往歴のある患者
・デスモプレシン酢酸塩水和物(男性における夜間多尿による夜間頻尿)を投与中の患者
起こりやすい副作用脱力感、倦怠感、起立性低血圧、貧血、白血球減少、好酸球増加、溶血性貧血、食欲不振、下痢、悪心・嘔吐などには注意をしてください。

ラシックス(フロセミド)の効果・作用

腎臓の尿細管におけるヘンレループという場所に作用します。

利尿薬(作用機序)画像

バイエルファーマナビ

特に、腎尿細管のヘンレループ上行脚と呼ばれる場所では、Na-K-Cl共輸送体を阻害し、ナトリウム、カリウム、クロールの再吸収を阻害しています。
本来排出されるはずの水や塩分が尿として出る前に再吸収されると、体のむくみに繋がるので、再吸収を阻害することで、利尿作用をもたらします。

ラシックス(フロセミド)は、血圧を下げる効果もあります。降圧効果に関しては、高血圧患者に投与すると、ゆっくりと効果が出てくるとされています。
尿を体外に排出することによって循環血漿量が減少し、血管壁のナトリウム含量が減少することが作用機序となっています。
利尿薬には、ループ利尿薬以外にもサイアザイド系利尿薬やカリウム保持性利尿薬(抗アルドステロン薬)、バソプレシン受容体拮抗薬など複数の種類がありますが、これらの薬剤と比較し、高い利尿作用を持っているため、ラシックス(フロセミド)も高い利尿作用が期待できます。

ラシックス(フロセミド)の入手方法

2018年までは、「医療機関(病院やクリニック)で処方箋を出してもらう方法」と「オンライン(ネット)販売で購入する方法」の2つがありました。
しかし、2019年1月1日以降、ラシックス(フロセミド)を含む複数の薬剤の個人輸入に規制がかかり、入手する方法は医療機関で処方箋をもらうのみとなってしまったのです。

ラシックス(フロセミド)の詳細情報
2018年まで2019年1月1日以降
医療機関での購入
オンラインでの購入×

そのため、ラシックス(フロセミド)について現在は、どこの個人輸入代行やオンラインサイトを探しても買うことができません。

ラシックス(フロセミド)の個人輸入が禁止に

厚生労働省から、2017年11月15日「ラシックス(フロセミド)」の個人輸入禁止に関する通達がありました。
背景としては、薬剤が本来の使用目的から外れて使われている可能性があり、健康被害や乱用につながってしまう恐れがあると判断されたからです。
このように、記憶力がよくなる・頭がさえるなど広告がうたれ、本来の効能効果とは異なる目的で使用される薬剤を「スマートドラッグ」と呼びます。

実際の文書によると、タイから輸入した薬剤を使用していた40代女性が、甲状腺機能亢進や低カリウム血症の症状(動悸、ふらつき、四肢の麻痺等)で入院したとの事例が報告されています。

https://www.mhlw.go.jp/content/11126000/000364564.pdf

ラシックス(フロセミド)の代替品について

ラシックス(フロセミド)の個人輸入に規制はかかったものの、代わりになる薬剤はあります。
ラシックス(フロセミド)はループ利尿薬に分類される薬剤でしたので、最も近い代替品となりうるのは同じ作用を持つループ利尿薬のルプラック(トラセミド)となります。

ルプラック(トラセミド)とは

ルプラック(トラセミド)の作用

ラシックス(フロセミド)と同じループ利尿薬に分類される薬剤です。
腎臓の尿細管におけるヘンレループという部位に作用し、尿や塩分などを排出し、体内の過剰な水分を外に出すことで浮腫(むくみ)を改善します。
サイアザイド系利尿薬やカリウム保持性利尿薬など、他の作用を持つ薬剤と比較すると、高い利尿作用がある点が特徴です。一方で、作用時間は4~5時間と短いとされています。

「長時間作用型ループ利尿薬」という特徴に加えて、「抗アルドステロン作用」を併せ持つという点が他の薬剤とは異なる、ルプラック(トラセミド)ならではの特徴です。
また、ループ利尿薬の中では、カリウム排泄が少ないとされており、低カリウム血症を起こしにくいことも特徴です。
心性浮腫、腎性浮腫、肝性浮腫などの症状に使用されます。

ルプラック(トラセミド)の注意点

注意点

  • 高齢者に使用するときは、チェックマークの症状や状態に注意しながら、少なめの4mgから投与を開始するなどしてください。
  • 急激に利尿が起こってしまうと、脱水、低血圧などによる立ちくらみやめまい、失神等を起こすことがあります。
  • 特に心疾患などで浮腫のある方では急激に利尿が起こることで、脳梗塞などの血栓塞栓症を誘発するおそれがあります。
  • 低ナトリウム血症や低カリウム血症があらわれやすいとされています。
  • ルプラック(トラセミド)の利尿効果はいきなりあらわれることがありますので、電解質失調、脱水に注意してください。少なめの量から投与を開始して、徐々にゆっくりと増量すると良いとされています。
  • 毎日服用する場合は、電解質失調があらわれることがあリます。
  • 血圧が下がったことでめまい、ふらつきがあらわれることがあります。高い所での作業や自動車の運転等には注意をしてください。
  • 夜間の休息が必要な方は、夜間の排尿を避けるため、午前中に投与してください。

ルプラック(トラセミド)の飲み方・使用方法

田辺三菱製薬が製造した先発医薬品では4mgと8mgの錠剤が発売されています。
1日1回経口投与しますが、症状に応じて用量を減らしたり、増やしたりすることが可能です。

ルプラック(トラセミド)の詳細情報
商品名ルプラック(トラセミド)
成分名トラセミド
製造販売田辺三菱製薬
剤形錠剤
用量4mg、8mg
適応心性浮腫、腎性浮腫、肝性浮腫
飲み方1日1回40〜80mgを毎日もしくは1日おきに経口投与してく1日1回4〜8mgを経口投与してください。
禁忌・無尿の患者
・肝性昏睡の患者
・体液中のナトリウム、カリウムが明らかに減少している患者
・デスモプレシン酢酸塩水和物(男性における夜間多尿による夜間頻尿)を投与中の患者
・本剤の成分又はスルフォンアミド誘導体に対し過敏症の既往歴のある患者
起こりやすい副作用電解質失調(低ナトリウム血症、低カリウム血症、低クロール性アルカローシス)、倦怠感、めまいなどに注意をしてください。

<ルプラック(トラセミド)と同成分の関連商品>

ルプラック(トラセミド)の詳細情報
商品名トール20【ルプラックジェネリック】トラセミドタブレットムクミトール
画像トール20画像トラセミドタブレット画像ムクミトール画像
一般名トラセミドトラセミドトラセミド
価格一錠あたり33円一錠あたり34円一錠あたり25円
メーカーIntas Pharmaceuticals(インタスファーマ)Alniche Life Sciences Pvt. Ltd.(アルニッチ・ライフ・サイエンス)Asle pharmaceuticals(アスレ)
購入ページトール20の購入ページはこちらトラセミドタブレットの購入ページはこちらムクミトールの購入ページはこちら

費用について

病院やクリニックによって、診察料や処方料は異なりますが、目安として1か月分の費用をまとめております。
ラシックス(フロセミド)は輸入規制対象により、オンラインサイトでの販売はされておりませんが、ルプラック(トラセミド)であればオンラインサイトでの購入が可能です。

ラシックス(フロセミド)の詳細情報
ラシックス(フロセミド)ルプラック(トラセミド)
医療機関約4000円~
※診察料・処方料:3500円~
※薬剤:14円/錠×30日=420円
約4000円~
※診察料・処方料:3500円~
※薬剤:17.2円/錠×30日=516円
オンラインサイト販売されていません。約690円〜
※診察料・処方料:ー
※薬剤:23円/錠×30日=690円

利尿剤の関するよくある質問

Q
ルプラック(トラセミド)の臨床試験結果について教えてください。
A

浮腫の患者を対象に、ルプラック(トラセミド)8mgを1日1回6日間経口で投与しました、その結果、浮腫に対しては、115名中85名で改善し、改善率73.9%でした。
また、副作用発現頻度は115名中4名、3.5%でした。内訳は、頭重感、耳鳴、血清尿酸値上昇及び血清カリウム値低下でした。
有効性試験の詳細の結果は以下となっております。

疾患全般改善率(中等度改善以上)
心性浮腫21/28(75.0%)
腎性浮腫35/46(76.1%)
肝性浮腫26/37(70.3%)
その他3/4(75.0%)
85/115(73.9%)
Q
ルプラック(トラセミド)を飲み忘れた際にはどうしたらよいでしょうか?
A

飲み忘れた場合は、気がついたときにできるだけ早く飲んでください。
ただし、次の通常飲む時間が近い場合には、忘れた分は飲まないで1回分を飛ばしてください。
絶対に2回分を一度に飲むことは避けてください。誤って多く飲んだ場合は医師または薬剤師に相談してください。

Q
ルプラック(トラセミド)の併用注意薬にはどのようなものがありますか?
A

以下の薬剤との併用には注意ください

併用注意薬作用
昇圧アミン(ノルアドレナリン等)昇圧アミンの作用を減弱するおそれがあるので、手術前の患者に使用する場合には、一時休薬などの処置を行ってください。
ツボクラリンやその類似物質(ツボクラリン塩化物塩酸塩水和物)麻痺作用を増強することがあるので、手術前の患者に使用する場合には、一時休薬などの処置を行ってください。
降圧剤
(ACE阻害剤、β遮断剤等)
併用によって高圧作用を強めてしまう恐れがあるため、降圧剤を用量調節してください。
アミノグリコシド系抗生物質
(ゲンタマイシン硫酸塩、アミカシン硫酸塩等)
アミノグリコシド系抗生物質の腎障害及び第8脳神経障害(聴力障害)を増強するおそれがあるため、併用を避けることが望ましいとされています。やむを得ず投与する場合には、アミノグリコシド系抗生物質の血中濃度をモニターし、投与量、投与間隔を調節してください。
セファロスポリン系抗生物質尿細管でのナトリウムの再吸収の増加に伴い、セファロスポリン系抗生物質の再吸収も増加し、腎毒性を増強するおそれがあるため、併用する際には慎重に投与してください。
ジギタリス剤
(ジギトキシン、ジゴキシン等)
不整脈を起こすおそれがある。血清カリウム値をモニターし、カリウム剤の補充を行ってください。
糖質副腎皮質ホルモン剤
ACTH
グリチルリチン製剤
両剤がカリウム排泄作用を有しているため、過剰のカリウム放出を起こすおそれがあります。
併用する場合には、慎重に投与してください。
糖尿病用剤細胞内外のカリウム喪失がインスリン分泌の抑制、末梢でのインスリン感受性の低下をもたらすと考えられています。
糖尿病用剤の作用を著しく減弱するおそれがあります。
リチウム
(炭酸リチウム)
リチウム中毒を起こすおそれがあるので、血中リチウム濃度に注意してください。
サリチル酸誘導体
(サリチル酸ナトリウム、アスピリン等)
腎の排泄部位において両剤の競合が起こり、サリチル酸誘導体の排泄が遅れるおそれがあります。
結果、サリチル酸中毒が発現するおそれがあります。
非ステロイド性消炎鎮痛剤
(インドメタシン等)
非ステロイド性消炎鎮痛剤のプロスタグランジン合成抑制による水、ナトリウム体内貯留傾向が、本剤の水、ナトリウム排泄作用に拮抗するためと考えられています。結果、本剤の利尿作用が減弱されるおそれがあります。
尿酸排泄促進剤
(プロベネシド等)
尿酸排泄促進剤の尿酸排泄作用を減弱するおそれがあります。
カルバマゼピン症候性低ナトリウム血症があらわれることがあります。

最後に

ラシックス(フロセミド)は、高い利尿効果とむくみ改善効果から、個人輸入で愛用している方が多い薬剤でした。
しかし、2019年1月1日以降、残念ながら、ネットでラシックス(フロセミド)は購入できなくなりました。
オンラインで購入できる利尿薬はルプラック(トラセミド)以外にも多数ありますが、利尿薬の中でも、同じ作用機序を持つルプラック(トラセミド)が今後、代わりの選択肢になっていくと考えられます。

出典

ルプラック4mg、8mg 添付文書
ルプラック錠20mgの基本情報
利尿薬を再考するー高齢者心不全におけるトラセミド(ルプラック(トラセミド))の意義ー
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