ラシックス(フロセミド)などのループ利尿薬とは?特徴や副作用、その他利尿薬との違いを解説

ラシックス(フロセミド)などのループ利尿薬とは?特徴や副作用、その他利尿薬との違いを解説 利尿剤

ループ利尿薬とは

利尿薬とはの画像

ループ利尿薬は、利尿薬の1種です。
ヘンレループという部位に作用して体の水分を外に出すことから、名前が付けられています。
利尿薬は、体の外に余分な水や塩分を排出することで、高血圧の改善・むくみの改善がみられます。利尿薬は「ループ利尿薬」「カリウム保持性利尿薬」「サイアザイド系利尿薬」などさまざま種類がありますが、ループ利尿薬は、利尿薬の中でも特に利尿効果が強いという特徴があります。
より詳しく利尿薬について知りたい方は以下のページよりご覧いただけます。

ループ利尿薬の種類と特徴

ループ利尿薬の種類

ループ利尿薬は、利尿薬の中では昔からある薬剤なため、臨床での使用経験も豊富です。
数多くの種類が発売されていますが、代表的な薬剤としてはサノフィから発売されている「ラシックス」や田辺三菱製薬から発売されている「ルプラック」が有名です。

【代表的なループ利尿薬①:ラシックス】
錠剤だけではなく、注射剤があるため、ご自身の生活スタイルに合わせて投与方法を選ぶことができます。

商品名 ラシックス
有効成分 トラセミド
効果 高血圧症(本態性、腎性等)、悪性高血圧、心性浮腫(うっ血性心不全)、腎性浮腫、肝性浮腫、月経前緊張症、末梢血管障害による浮腫、尿路結石排出促進
用法用量 1日1回40〜80mを毎日、もしくは1日おきに服用します。
メーカー サノフィ

【代表的なループ利尿薬②:ルプラック】
ループ利尿薬の中では、カリウムを保持する作用を持っているため、低カリウム血症が起こりにくいとされています。

商品名 ルプラック
有効成分 トラセミド
効果 心性浮腫,腎性浮腫,肝性浮腫
用法用量 1日1回4〜8mgを経口投与してください。
メーカー 田辺三菱製薬

<利尿剤の関連商品①>

トール20
トール20はルプラックのジェネリック医薬品です。強力な利尿作用を持つため、体の中にたまっている水分を減らしてくれます。
同時にむくみを改善することで心臓への負担を軽減、血圧を下げる効果も期待されています。
ラシックス(トラセミド)と比較して利尿作用が5倍ほど強いことが特徴です。

商品名 トール20【ルプラックジェネリック】
画像 トール20画像
一般名 トラセミド20mg
価格 一錠あたり31円~
メーカー Intas Pharmaceuticals(インタスファーマ)
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<利尿剤の関連商品②>

トラプレス
トラプレスは、ルプラックのジェネリック医薬品です。
腎臓の尿細管でナトリウムやカリウム等の電解質の再吸収を抑え、再吸収されなくなった電解質とともに水分が尿として体外に排出されることで利尿作用を示し、浮腫を改善します。

商品名 トラプレス【ルプラックジェネリック】
画像 トラセミドタブレット画像
一般名 トラセミド10mg、20mg、40mg
価格 10㎎:1錠あたり34円~
20mg:1錠あたり39円~
40mg:1錠あたり56円~
メーカー Alniche Life Sciences Pvt. Ltd.(アルニッチ・ライフ・サイエンス)
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<利尿剤の関連商品③>

ダイトール
ダイトールは、ルプラックのジェネリック医薬品です。心疾患、腎疾患、肝疾患等に伴う浮腫の改善に用いられていますが、体のむくみ取りダイエットとしても女性には人気があります。

商品名 ダイトール【トラセミド5mg/10mg/20mg/40mg】
画像 ダイトール【トラセミド5mg/10mg/20mg/40mg】画像
一般名 トラセミド5mg、10mg、20mg、40mg
価格 5mg:1錠あたり24円~
10mg:1錠あたり37円~
20mg:1錠あたり44円~
40mg:1錠あたり66円~
メーカー シプラ(Cipla)社
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ループ利尿薬の特徴

ループ利尿薬の特徴

ループ利尿薬の最大の特徴は、利尿効果の強さです。ヘンレループという部位において、水分や塩分の再吸収を抑制することによって、尿の量を増やします。体内の水分量が減少するため、浮腫の改善効果が見られたり、血液量が減り血圧を下げる効果がみられたりします。伴って、心臓の負担を軽減することもあります。
また、ループ利尿薬のもう1つの特徴は、腎臓に障害を持っている方でも使用できる点です。

別の種類の利尿薬である「サイアザイド系利尿薬」と異なり、腎臓の血流量や糸球体ろ過率に影響を与えずに、利尿作用をもたらします。
そのため、腎障害を合併している高血圧の患者などにも使用できます。

他利尿薬との違い

他利尿薬との違い

ループ利尿薬は他の利尿薬と比較して、いくつか違いがあります。

作用機序

利尿薬は腎臓に作用しますが、その中でも細かく分類すると、作用する部位はそれぞれ異なっています。
ループ利尿薬は、「ヘンレループの上行脚」に作用し、ナトリウムとカリウムの再吸収を抑制します。
結果、カルシウムやマグネシウムの再吸収も抑制されるため、高い利尿効果がある一方で、低カリウム血症には注意が必要です。

サイアザイド系利尿薬は「遠位尿細管」という場所でNa+/Cl-共輸送体を阻害することで、ナトリウムの再吸収を抑制します。
また、カリウム保持性利尿薬やアルドステロン拮抗薬は、「遠位尿細管や集合管のナトリウムチャネルを抑制する」ことで、ナトリウムの再吸収を抑制します。カリウムの排泄が少ないため、低カリウム血症は起こりにくいとされています。

利尿作用

ループ利尿薬は、ナトリウムやマグネシウム、カリウムなどの再吸収を抑制するため、体外に排出する水分や塩分が多くなり、強力な利尿作用がもたらされます。
利尿効果がサイアザイド系利尿薬・アルドステロン拮抗薬と比較して高いため、浮腫改善薬として使用される機会も多いという特徴があります。
しかし、ループ利尿薬の1種である「フロセミド」に関しては利尿効果が高い一方で、作用時間が短くだいたい2時間ほどといわれています。長く効果を持続させたい方は注意が必要です。

降圧作用

ループ利尿薬は、利尿作用が強い一方で降圧作用は低いとされています。サイアザイド系利尿薬が、利尿薬の中で最も強い降圧作用を示します。
そのため、ループ利尿薬で血圧低下させたい際には、降圧剤の併用も検討されます。

腎障害患者への使用

ループ利尿薬は、腎障害のある方でも使用することができます。腎臓の血流量や糸球体ろ過に影響を大きく及ぼさないためです。
一方、サイアザイド系利尿薬は、腎機能が低下している方への効果は低いとされており、慢性腎不全の患者では使用されません。

ループ利尿薬の副作用・禁忌

ループ利尿薬の副作用

ループ利尿薬の副作用で代表的なものは、低カリウム血症や吐き気、下痢、倦怠感などです。
ループ利尿薬は、体の中の余分な水分を排出しますが、同時にカリウムやナトリウムなども排出してしまいます。利尿効果が非常に高いため、気づかないうちに低カリウム血症を引き起こしている場合があります。
低カリウム血症になると「ジギタリス中毒」になりやすく、重症心室性不整脈なども発症しやすくなるため、注意が必要です。脱力感や手足のだるさを感じたら重度の低カリウム血症の可能性があるため、注意をしましょう。
頻度はまれですが、頭痛や聴覚障害も起こることが報告されていますので、少しでも異常を感じたらお近くの医療機関を受診しましょう。

ループ利尿薬の禁忌

ループ利尿薬の禁忌は以下の通りです。
ループ利尿薬を服用して過敏症の出たことのある方や、低カリウム血症を起こしやすい方などは、疾患の悪化や副作用が強く出てしまう恐れがあるため、使用できません。

早めに病院を受診した方がよいケース

  • 無尿の患者
    →尿がないため、効果が期待できないため
  • 肝性昏睡の患者
    →低カリウム血症が起こり、アルカローシスが増悪し肝性昏睡が悪化する可能性があるため
  • 体液中のナトリウム、カリウムが明らかに減少している患者
    →電解失調を起こす恐れがあるため
  • デスモプレシン酢酸塩水和物(男性における夜間多尿による夜間頻尿)を投与中の患者
  • ループ利尿薬の成分やはスルフォンアミド誘導体に対して過敏症を起こしたことがある方

ループ利尿薬に関するよくある質問

最後に

ループ利尿薬は、利尿薬の中でも利尿作用が強いため、高血圧や心不全でお悩みの方に使用される薬剤です。水分を体外に排出するため、浮腫の改善効果も期待できます。
腎臓に障害のある方でも比較的使いやすい薬剤ではありますが、効果が強すぎるため、低カリウム血症には注意が必要です。漫然とした投与はしないよう意識していきましょう。

出典

【参考元:日経メディカル ループ利尿薬の解説】 【参考元:教育公園 利尿薬を使い分ける】 【参考元:*1 「循環器薬剤のトレンド」 利尿薬】
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