新型コロナ感染者が増加中
令和6年1月、鳴りを潜めていた新型コロナウイルスですが、新年のはじまりと共に再びその猛威を奮いだしてきました。1月26日時点で全国のコロナ感染者数が9週連続で増加、入院患者数は昨年末の2倍が確認されており、新型コロナ「第10波」到来を表明しています。
参考元
コロナ「10波」到来か・インフル同時流行の懸念・感染症への対策に意識を #専門家のまとめ
正に驚くべきはその変異の多さです。
皆さん覚えていますか?遡ること2020年、中国武漢市で最初に「アルファ株」が発見されて以来、これまで様々な変異株が確認されてきました。
2021年の夏にはデルタ株が流行し、その後オミクロン株が確認され、BA.1が2022年初頭から流行しだしました。さらに2022年春から夏にかけてBA.2が確認され、2022年夏からはBA.5が主流になりました。
今ではBQ.1やXBBの変異株が確認されるという推移をたどっております。その上で今度は新たな変異株「JN.1」が出現し、また新たな局面へと入りました。
新たに発見されたJN.1は免疫を逃れやすく、感染しやすい株である可能性があると考えられています。この変異株の影響が新型コロナ感染者数の増加の原因となっているのではないかと示唆されています。
新型コロナウイルス感染症が2023年5月8日で感染症法上の「5類」に引き下げられて以降感染者数の増加・減少を繰り返してきました。この変更により最も大変な思いをしているのは医療現場です。
法律上5類に引き下げられはしましたが、決して新型コロナウイルスが無くなったり弱くなったりした訳ではありません。
中にはいまだに後遺症で苦しむ人もいます。もちろん死亡する人だっているのです。
インフルやその他の感染症と同時流行も
新型コロナウイルスが増加傾向の中、同時にインフルエンザも流行期に入りました。インフルエンザは予防接種を受けているから大丈夫と思っている人も中にはいるかもしれません。
しかし予防接種はあくまで重症化を防ぐのが目的であり感染を防ぐためのものではありません。そのため感染対策は必要不可欠と言えます。
また同時に増加傾向にある感染症として、A群溶血性レンサ球菌咽頭炎(溶連菌感染症)や咽頭結膜熱(アデノウイルス感染症)があります。
溶連菌感染症は特に学校・幼稚園・保育園での流行が多く見られる為お子さんのいる家庭は注意が必要です。子どもの感染症と思われがちですが、まれに大人でも感染することがあります。
またアデノウイルス感染症は症状が風邪とよく似ています。高熱が続くことから新型コロナと間違えやすい症状です。これらの感染症を比較して見てみると以下の通りとなります。
感染経路 | 潜伏期間 | 症状 | |
---|---|---|---|
新型コロナウイルス | 飛沫感染 接触感染 エアロゾル感染 | 1~14日 | 発熱、咳、倦怠感、頭痛、下痢、鼻汁、味覚異常、嗅覚異常、関節痛、筋肉痛、咽頭痛など |
インフルエンザウイルス | 飛沫感染 接触感染 | 1~4日 | 発熱、頭痛、全身倦怠感、筋肉痛、関節痛、咳、鼻汁、咽頭痛など |
溶連菌感染症 | 飛沫感染 接触感染 | 2~5日 | 発熱、全身倦怠感、咽頭痛、発疹、イチゴ舌 |
アデノウイルス感染症 | 飛沫感染 接触感染 | 5~7日 | 発熱、咽頭炎、結膜炎など |
現在は新型コロナウイルスやインフルエンザウイルスの検査キット不足が深刻化しています。検査キットを無駄にしないよう病院にかかる際には症状が出てすぐ受診するのではなく半日から1日様子を見てから受診することで確定診断ができるようになります。
新型コロナ対策の基本
新型コロナウイルス感染症が5類に引き下げられて以来感染対策は個人の判断に委ねられました。
しかし基本的対策は5類になったからと言って変わるものではありません。どの様な対策が効果的か今一度確認してみましょう。
対策の基本
マスクの着用
医療機関受診時や高齢者施設訪問時にはマスクの着用を推奨しています。電車や職場、学校など人が集まる場所では「咳エチケット」を心がけましょう。
三密を避ける
密閉・密集・密接のそれぞれについて回避するようにしましょう。3つの条件がそろう場所ではクラスター発生のリスクが増します。
密閉空間では定期的に換気を行うこと、密集場所では人と人の距離を確保すること、密接場面での会話は避けることは引き続き有効です。
手洗い・手指消毒
共有物に触った後、食事の前後、公共交通機関の利用後などは手洗い・手指消毒を心がけると良いでしょう。ただ、手洗いが多くなると手荒れも酷くなってしまいます。
手を洗った後にはハンドクリームなどで保湿もしっかりと行うと良いですね。
換気
風の流れを作るため、対角線上の2方向の窓を開けることで換気効果が大きいです。室内環境は温度18度~28度、湿度は40%~70%が望ましいとされています。
飲食店や会場への入場時における検温、またアクリル板やビニールシートによるパーテーションなども効果的であることは間違いありません。
政府として一律に求めることはしませんが、自主的に行うことに問題はない為、個人の選択を尊重しつつしっかりと取り組んでいく必要があります。
また、症状がある方、新型コロナ検査陽性の方、同居家族に陽性者がいる方は周囲の方に感染を広げないためにも外出は控えるようにしましょう。一人一人の考え・行動が重要と言えます。
新型コロナウイルスにかかってしまった場合の対応
どんなに感染対策を施しても感染リスクは決してゼロにはなりません。ではもし新型コロナウイルスに感染してしまったらどうしたら良いでしょうか。
基本的に、新型コロナウイルスに感染した場合、発症2日前から発症後7~10日間は感染性のウイルスを排出していると言われています。特に発症後5日間が他人に感染させるリスクが高いため注意が必要です。
自分が感染した場合
発症後5日間経過かつ、症状軽快から24時間経過するまでの間は外出を控え自宅で様子を見ることが推奨されます。
また10日間が経過するまではウイルス排出の可能性があることから不織布マスクを着用するなどの配慮も必要です。
同居家族が感染した場合
もし同居されている家族が感染者となった場合には、可能であれば部屋を分け、出来る限り接触を避けるようにしましょう。
7日目までは発症の可能性がある為手洗いや換気など基本的感染対策をしっかりと行うようにしましょう。
病院受診する際には感染対策をしっかりした上で受診する様にしましょう。もし病院受診が出来ない場合には「オンライン診療」を行っている病院もあります。
テレビ電話のできるスマホさえあれば誰でも簡単に自宅で診察してもらうことができます。診察終了後には最寄りの薬局を指定して薬を受け取ることができます。
新型コロナウイルスの第10波のピークに備えて準備しておくことも大切かもしれません。
「番外編」
労働者が業務に起因して感染したものであると認められる場合
労災保険給付の対象となります。
また新型コロナウイルス感染症による症状が持続し、療養や休業が必要と認められる場合にも労災保険給付の対象となります。
なお、5類感染症に変更されましたがこの取扱いに変更はありません。
加入している生命保険による給付金
各保険会社では、2023年5月8日以前には「みなし入院」による入院給付金等の特別取扱いがあり、感染者となった場合給付金をもらえた方もいますが、5月8日以降はどの保険会社でも「みなし入院」の取扱いを終了したため、入院した場合にのみ入院給付金の支払いが発生するよう変更となりました。
新型コロナのワクチン接種はどうなってる?
人によっては新型コロナウイルスのワクチンは既に7回目の接種まで終えました。皆さんは何回目のワクチンまで行いましたか?当初はモデルナ社とファイザー社からスタートしたワクチン接種ですが副反応で断念した人も中に入るかもしれません。集団接種の予約を取るのにも苦労しましたよね。
そんな全額を公費負担している新型コロナワクチンですが、令和6年3月31日をもってワクチン接種(特例臨時接種)は終了となります。
早急に接種を希望する人は2月中に1回目の接種を行えれば最大2回の接種まで無料期間内に終えることが可能ですのでお急ぎください。
しかし、4月1日以降に接種を希望する場合は全額自己負担となり自費で接種しなければならなくなります。心配なのはその金額です。厚生労働省は定期接種の場合、自己負担額を最大で7,000円程度にする方針を決めました。
もし任意接種する場合には自己負担金額は7,000円を超える見通しだと言います。インフルエンザの予防接種と比較すると格段に高いですよね。今後も継続してワクチン接種をすると考えるとなかなか難しいのかもしれません。
新型コロナウイルスまとめ
まとめ
ここ数週間、新型コロナの感染者数が再び増加傾向にあります。従来株やオミクロン株に加え、新しい変異株のJN.1なども流行しています。
感染力が強く、ワクチンの効果を弱める変異株もあるため、引き続き警戒が必要です。
また今年はインフルエンザなどの季節性の感染症も流行しています。新型コロナとインフルの同時感染(重症化しやすい)や、医療崩壊のリスクが指摘されています。引き続き手洗い、マスクなどの基本的な感染対策が大切です。
そして、3月末で全額公費負担の特例臨時接種が終了となります。4月以降の接種費用は個人負担となりますが、効果と必要性が認められています。高齢者や基礎疾患のある方は4月以降の接種も検討するようにしましょう。
引き続き流行が続く新型コロナですが、ワクチン接種など医療の進歩で重症化リスクは低減しています。ただ依然として感染力が強く流行していることに変わりありません。
基本的な感染対策を怠らず、自分と周囲の健康を守ることが大切です。情報に敏感になり、冷静な対応を心がけていきましょう。
出典
国立感染症研究所(A群溶血性レンサ球菌咽頭炎)
国立感染症研究所(咽頭結膜熱)
マスク着用の有効性に関する科学的知見
厚生労働省(新型コロナウイルスに関するQ&A)
新型コロナワクチン接種をご希望の方へ