頭が良くなるドーピング?スマートドラッグの副作用や依存性について解説

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スマートドラッグとは?

スマートドラッグとは?画像

スマートドラッグとは、記憶力や集中力を高めるために使用されるものです。「ヌートロピック」と呼ばれることもあります。
覚せい剤や麻薬のように法律で所持を禁止するものではありませんが、通常はてんかんや睡眠障害などに使用されている薬剤のため、脳の中枢神経を刺激する作用があります。
成分が合成されていないサプリメントであれば問題なく使用できるケースがほとんどですが、効果が強く合成されたスマートドラッグの場合、副作用の発現や依存形成といった危険性を伴います
しかし近年、海外の学生や起業家を中心に広がりつつあります。スマートドラッグは、身近なドラッグストアで購入できるものから、処方薬まで幅広く存在しています。

主なスマートドラッグの種類

スマートドラッグは成分に応じて2種類に分けられます。
1つは、成分が合成されてできているもので、医薬品や薬物に分類されます。
もう1つは、ハーブや植物を原料にして作られた天然のもので、サプリメントや食品(栄養ドリンク)に分類されます。
天然由来のスマートドラッグでは、カフェインや高麗人参のような成分が主に含まれております。
一方、合成のスマートドラッグでよく使用されるものとしては、ADHD治療薬「アデロール」ナルコレプシー治療薬「モダフィニル」などがあり、天然由来のスマートドラッグよりも、強力な効果を示すと考えられています。

スマートドラッグの効果と作用メカニズム

スマートドラッグの効果は覚醒作用です。
使用されることが多い医薬品「モダフィニル」は突然睡魔が襲って眠ってしまうナルコレプシーの治療薬であり、脳を目覚めさせる働きがあります。
「アデロール」もADHD治療薬であり、注意力の欠如を改善する効果が期待されています。

また、天然のスマートドラッグも同様に、脳を活性化させるカフェインやタウリンや高麗人参を含んでいます。
カフェインやタウリンは、眠りに関わるアデノシンの働きを阻害し、眠気を覚ます作用があります。しかし、依存性もありますので大量摂取には注意が必要です。

スマートドラッグの種類と服用法

スマートドラッグの種類と服用法画像

スマートドラッグには医薬品に分類される合成のスマートドラッグと、食品やサプリメントに分類される天然由来のスマートドラッグがあります。

医薬品

脳を覚醒させる成分が合成されているため、天然由来のスマートドラッグよりも強い効果をもたらします。
服用は、1日1回~数回、集中力を高めたい前に飲みます。ただし、それぞれの医薬品の服用方法の添付文書を参考に、従ってください。

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●アーカリオン
アーカリオンは脳機能を活性化させ、記憶力や思考能力を向上させる効果があり、主にスマートドラッグとして有名な医薬品です。
効果としては、記憶力や思考能力の向上、糖尿病、慢性疲労、甲状腺機能低下症、腎疾患、線維筋痛症、産後うつ病、無力症などが挙げられます。
アーカリオンにはカフェインと似たような覚醒作用もあり、不安な気持ちや動揺を和らげる効果もあります。
アーカリオンに含まれるスルブチアミンは、ビタミンB1を脂溶性にしたものです。
脳の正常な働きに必要不可欠な成分ビタミンB1は、糖質の代謝に深く関わっています。
そのため、ビタミンB1が不足すると脳の働きが鈍ってしまいますが、脂溶性のビタミンB1スルブチアミンを服用することで、体内のビタミンB1を増やす作用があります。
それにより、脳を活性化させ、記憶力を高める効果が期待できます。

商品名アーカリオン
画像アーカリオン
有効成分スルブチアミン200mg
メーカーServier India Private Limited(セルヴィエ・インディア・プライベート・リミテッド)
購入サイトアーカリオンの購入ページ

サプリ

主にカフェインやタウリン・高麗人参などが成分として含まれるスマートドラッグですが、分類としてはサプリメントや食品にあたります。天然由来のため、ドラッグストアで購入できるものもあります。服用方法はサプリメントにもよりますが、1日1錠~3錠ほど水と一緒に飲みます。エナジードリンクの場合は、集中力を高めたい少し前に飲んでおくとよいでしょう。

<関連商品①>
●コリン
コリンは、スマートドラッグと呼ばれるサプリメントです。
様々な研究結果から、コリンの血中濃度が低ければ低いほど、比例して認知力も低下しているというデータが出ています。
コリンは、脳や記憶に関係する大切な栄養素と近年わかっており、認知症予防としても効果があると考えられています。
成人に最低限必要な1日あたりの摂取量は約425mgとなっていますが、1日あたり日本人の平均摂取量は約300mgです。
他の栄養素のバランスと考えると食事から取るのは難しいため、サプリメントで不足しているコリンを補うのが良いと考えられています。

商品名コリン
画像コリン
有効成分コリン500mg
メーカーNatures
購入サイトコリンの購入ページ

<関連商品②>
●DMAE「VitalMe」
DMAEは日常生活のあらゆる場面で必要となる、記憶力・思考力・集中力などを高めます。
主成分であるDMAEは『ジアチルアミノエタール』と呼ばれており神経伝達物質であるアセチルコリンの前躯体になります。
これが増えると脳内への情報伝達がスムーズになり、記憶力・集中力・思考力の向上につながります。
仕事や勉強などの効率をUPさせたい方、脳内を活性化してスッキリさせたい方におススメのサプリメントとなっています。

商品名DMAE「VitalMe」
画像DMAE「VitalMe」
有効成分1粒あたり:DMAE(酒石酸ジメチルアミノエタノール 360mg)135mg
その他の成分:ゼラチン、米粉、ステアリン酸(植物性)、二酸化ケイ素、酸化チタン
メーカーSapphire Healthcare(サファイアヘルスケア)
購入サイトDMAE「VitalMe」の購入ページ

<関連商品③>
●メモリープロテクト
メモリープロテクト(MEMORY PROTECT)は、アメリカのライフ・エクステンション社(Life Extension)の商品で、脳のアンチエイジングをサポートする【ブレインサポートサプリメント】です。
認識や記憶低下を引き起こす脳での炎症を抑えるよう働きかけるコロストリニン(Colostrinin polypeptide complex)と、認識の低下に関わるとされる酵素を阻害する働きをするリチウム(Lithium)が主に含まれています。
コロストリニンは認識力、記憶力を高めるためアルツハイマー病の治療にも用いられており、アルツハイマー病治療において重要な役割を果たすだけでなく、神経変性障害への適応も示唆されています。
リチウムにはタンパク質の分解を促す効果があるとされており、脳の状態に悪影響を及ぼすタンパク質の蓄積ケアに有効的とされています。
配合が異なる茶色と白色の2種類のカプセルからなり、合計36カプセルを36日間かけて決められた順に摂取していきます。

商品名メモリープロテクト
画像メモリープロテクト
有効成分薄茶ベジカプセル 1粒あたり:リチウム(オロチン酸リチウム)1000mcg/コロストリニン(Proline-Rich Peptide Complex)100mcg その他の成分:結晶セルロース/植物性セルロース(カプセル)/コメブレンドエキス/マルトデキストリン 白ベジカプセル 1粒あたり:リチウム(オロチン酸リチウム)1000mcg その他の成分:結晶セルロース/植物性セルロース(カプセル)
メーカーLife Extension(ライフエクステンション)
購入サイトメモリープロテクトの購入ページ

<関連商品④>
●アルファ-GPC
アルファ-GPCの主成分であるアルファGPC(アルファグリセリルホスホコリン)は、全ての細胞に存在していて、体の成長と生命の活動に必要な成分です。主成分のアルファGPCは、母乳にも存在している成分で、安全性があり安心して使用できる成分です。
同様にスマートドラッグとして知られるコリンの前駆体として体内で必要量だけコリンに変化するため、コリンが多く存在しています。コリンが不足すると、記憶力の低下や肝機能の低下の原因になります。
ウルトラアルファGPCを服用することで、記憶力や集中力といった機能を高める働きをしてくれます。
また、学習能力の向上効果や肝機能の低下予防、成長ホルモンの分泌促進効果も期待されています。
サプリメントですので副作用もなく、安心して使用できます。

商品名アルファ-GPC
画像アルファ-GPC
有効成分1粒あたり:アルファ-グリセリルホスホリルコリン(アルファGPC)300mg その他の成分:リン酸2Ca二水和物/結晶セルロース(植物繊維)/ヒドロキシプロピルメチルセルロース(植物性カプセル)/パルミチン酸アスコルビル/シリカ
メーカーSwanson Health Products(スワンソンヘルスプロダクツ)
購入サイトアルファ-GPCの購入ページ

スマートドラッグの副作用

医薬品を本来とは違った目的でスマートドラッグとして使用すると、副作用リスクが高まります。
使用される医薬品は脳の機能に直接影響するため、倦怠感や吐き気が発現し、日常生活に支障をきたす可能性があります。*1平成30年に行われたスマートドラッグでの健康被害を調査した研究では、「レポドパ」を成分として含む医薬品で1343件、「レミニール」を成分として含む医薬品で898件、「ラサギリン」を成分として含む医薬品で295件、「塩酸アマンタジン」を成分として含む医薬品で757件認められていました。

https://mhlw-grants.niph.go.jp/system/files/report_pdf/202025001B-buntan4.pdf

レポドパはパーキンソン病の治療薬で、脳内のドパミン量を増やす医薬品です。主な症状として意識消失や、記憶障害、せん妄が報告されています。
「レミニール」は認知症に使用される薬剤で、脳の神経伝達物質アセチルコリンを増加させます。スマートドラッグとして摂取すると、副作用として心不全や不整脈が出たとの報告があります。

※医薬品としてのみ取り扱われていた成分による健康被害

薬剤名報告件数主な副作用
レミニール898件悪性症候群、心電図QT延長、胆管炎、不整脈、意識消失、心不全
ラサギリン295件起立性低血圧、脱水、全身健康状態悪化、セロトニン症候群、歩行障害、ジスキネジア、妄想
レボドパ内服薬:30件
レポドパ・カルビドパ内用薬:542件
レポドパ・カルビドパ・エンタカポン内用薬:334件
レボドパ・ベンセラジド塩酸塩:227件
体調不良、譫妄、概日リズム睡眠障害、注意力障害、記憶障害、小脳梗塞、意識消失、ジストニア
塩酸ジラゼプ4件肝障害、頻尿、出血性素因
塩酸アマンタジン757件各種物質毒性、意識変容状態、ミオクローヌス、痙攣発作、歩行障害、幻聴、幻覚、悪性症候群
プロプラノール塩酸塩内用薬:185件
注射薬:17件
無顆粒球症、心不全、呼吸困難、咳嗽、ショック、肝機能異常、中毒性表皮壊死融解症、低血糖
ピリドキシンピリドキサールリン酸エステル水和物注射薬:16件
注射薬:22件
内用薬:3件
ライ症候群、アナフィラキシー反応、循環虚脱、徐脈、横紋筋融解症
シチコリン注射薬6件呼吸抑制、アナフィラキシー反応、スティーヴンス・ジョンソン症候群、ショック

スマートドラッグの依存性

スマートドラッグとして使用されているものには、依存性を形成するものもあります。
一度使用して、集中力が高まったと感じてしまうと、さらに強い効き目が欲しくなり、知らず知らずのうちに服用量が増えていることがあります。自分でコントロールが効かず、スマートドラッグだけではなく違法薬物にまで手を出してしまう危険性があります。
実際にスマートドラッグ服用で頭がよくなることはなく、集中力や注意力をあげるサポートをしてくれるものです。スマートドラッグの目的と正しい使い方を理解しておかないと、乱用や依存形成につながってしまう可能性があることを留意しておきましょう。

スマートドラッグの依存性

スマートドラッグの服用は医師の診察を

スマートドラッグにはいくつか種類がありますが、健康被害や乱用につながるリスクが高いものは医師の診察が必須とされています。
本来は別の病気に用いられている薬剤を自己判断でスマートドラッグとして使用することは、依存性の形成や副作用発現の危険性と隣り合わせです。
集中力の欠如や認知機能低下でお悩みの方はその旨を医師に相談の上、処方してもらった薬剤を服用しましょう。
健康被害が少ないと考えられているサプリメントや食品であっても「記憶力が高められる」「頭がよくなる」という言葉で宣伝しているスマートドラッグはすぐに購入せず、どのような成分が含まれているかご自身でチェックしてから服用するようにしましょう。

よくある質問

よくある質問
Q
スマートドラッグの個人輸入は可能ですか?
A

種類にもよりますが、健康被害や乱用につながる恐れが高いものは、医師の処方箋・指示がなければ個人輸入が禁止されています。健康被害や乱用につながるリスクが高い成分としては「アテノロール」「レベチラセタム」「プロプラノロール」などがあります。

Q
スマートドラッグを飲めば頭がよくなりますか?
A

スマートドラッグ自体に頭をよくする作用はありません。集中力を高めたり、持続させたりする作用があるのみですので、あくまでサポートとして使用することをおすすめしています。

最後に

スマートドラッグは、近年若者を中心に拡大しています。集中力を高めたり記憶力を向上させることを期待して使用されますが、スマートドラッグの種類によっては副作用や依存性リスクを形成するものもあります。医薬品をスマートドラッグとして使用する場合は、医師の診察を必ず受け、自己判断で服用量を調整するようなことは避けてください。

出典

*1「脳機能調整薬情報の流布状況および健康被害調査」
公明党 スマートドラッグ  副作用や依存症の危険周知せよ
いわゆる「スマートドラッグ」を個人輸入する場合の取扱いについて

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