あがり症(社交不安障害)効果?インデラルとメインテートの比較を解説

あがり症(社交不安障害)効果?インデラルとメインテートの比較を解説 あがり症・緊張緩和

あがり症(社交不安障害)とは

あがり症とは「社会不安障害(SAD:Social Anxiety Disorder)」の通称です。
まわりからどのように見られているかを気にするあまり、社交的な場面で強い不安や恐怖を感じてしまい、日常生活を送るうえで支障がでるのが特徴です。あがり症については別のコラムで詳しく解説しているのでご参照ください。

あがり症は、若年で発症することが多いと言われていますが、成人になってから自覚するケースもあります。本コラムでは、あがり症に対する代表的な治療薬のうち、インデラルやメインテートについて解説します。

あがり症に対するインデラルの作用と効果

あがり症では、社交的な場面で大量に汗をかいたり、鼓動が早くなったり、顔が真っ赤になったり、手足が強く震えたりします。これらの反応は交感神経が過剰に活性化してしまうことが原因と言われており、この活性化を抑えることがあがり症の改善につながります。

交感神経には、α受容体、β受容体という刺激を受け取る場所が存在しますが、あがり症にはβ受容体が主に関与しているといわれています。β受容体への刺激を遮断することで交感神経の過剰な活性化を抑える効果を持っているのがβ遮断薬という分類の治療薬で、あがり症の治療においては、「インデラル」というβ遮断薬が非常に有名となっています。

商品名 インデラル
有効成分 プロプラノロール塩酸塩
メーカー 太陽ファルマ株式会社

日本では1966年に発売が開始されており歴史の長いβ遮断薬となります。発売から長い年月が経っているため、使用後の臨床データが豊富という安心感もあります。

効果を期待する1~2時間前に服用することで、過剰な交感神経の興奮を抑え、あがり症の症状を抑えることができます。また、約24時間以内に身体から排出されることからも、インデラルは比較的早く効いて早く抜けていくという使い勝手の良さがあるといえます。

インデラルの入手方法

インデラルは医療用医薬品に分類されるので、病院やクリニックなどの医療機関を受診し、医師の診断に基づいて処方してもらう必要があります。なお、医療用医薬品のインデラルの効能・効果は以下の通りとなっています。

<効能又は効果>

  • 本態性高血圧症(軽症~中等症)
  • 狭心症
  • 褐色細胞腫手術時
  • 期外収縮(上室性、心室性)、発作性頻拍の予防、頻拍性心房細動(徐脈効果)、洞性頻脈、新鮮心房細動、発作性心房細動の予防
  • 片頭痛発作の発症抑制
  • 右心室流出路狭窄による低酸素発作の発症抑制

したがって、医療機関において、あがり症の治療としてインデラルを処方してもらう場合は「適応外処方」となる点に注意が必要です。

インデラルは輸入規制対象

医師からインデラルの処方を受ける際、あがり症の場合は適応外処方になってしまうので、海外から個人輸入をして手に入れるという方法がとられるケースが過去にはありました。

しかし、厚生労働省が通達している「数量にかかわらず厚生労働省の確認を必要とする医薬品」が改正されたことにより、インデラルの成分であるプロプラノロールを含む医薬品は、輸入する際にあらかじめ輸入確認証の交付を受けることが必要で、厚生労働省の確認を受けなければならなくなりました。

この輸入規制によって、あがり症に対してインデラルが用いられるケースは減少しています。

インデラルに代わる薬とは

これまでの解説のとおり、インデラルを気軽に入手することが困難になったことから、代わりとなる医薬品のニーズが高まっています。

インデラルが分類されるβ遮断薬を含め、あがり症の薬物治療は以下の3パターンに分けられます。

①β遮断薬、αβ遮断薬
②ベンゾジアゼピン系抗不安薬
③SNRI(または選択的セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)

インデラルが含まれるβ遮断薬が過剰な交感神経の興奮をおさえる「身体的症状に対する効果」を持っているのに対し、ベンゾジアゼピン系抗不安薬、SNRI、SSRIは不安そのものを取り除く「精神的症状に対する効果」をもっており、作用するメカニズムが異なります。

したがって、インデラルに代わる薬はβ遮断薬、αβ遮断薬の中から選択する必要があります。

あがり症にはメインテートも効果的

インデラルの代わりとして、β遮断薬の中でもいま注目を浴びているのは「メインテート(成分名:ビソプロロールフマル酸塩)」です。

インデラルと同様β遮断薬に分類されており、社交的な場面での大量な発汗、過度な鼓動の高鳴り、過度な赤面、手足の強い震え等の原因となる交感神経の過剰な興奮を抑えることであがり症への効果が期待されています。

商品名 メインテート
有効成分 ビソプロロールフマル酸塩
メーカー 田辺三菱製薬株式会社

<関連商品>

商品名 ビセレクト【メインテートジェネリック】
画像 ビセレクト【メインテートジェネリック】
一般名 ビソプロロールフマル酸塩
価格 1錠あたり26円
メーカー Intas Pharmaceuticals(インタスファーマ)
購入ページ

メインテートの効果

あがり症の発症に関与する交感神経の受容体としてβ受容体を紹介しましたが、β受容体はさらにβ1、β2、β3に分類されます。

主に存在する場所 反応
β1受容体 心臓 心機能の亢進など
β2受容体 全身 気管支の拡張、血管の拡張など
β3受容体 膀胱 膀胱の弛緩(畜尿)など

メインテートは主にβ1受容体を選択的に遮断する特性を持つため、過剰な動悸や心拍数の増大に対して効果を発揮します。これらの症状で困っている方は特にメインテートの効果が期待できるかもしれません。

一方でβ2受容体に対しての遮断作用は非常に弱いので、血管拡張が関係するあがり症の症状(赤面、発汗など)に対してはインデラルほど作用が強くないと考えられています。

メインテートの飲み方

医療用医薬品のメインテートの効能・効果は以下のとおりであり、あがり症に対しての処方は適応外処方となることに注意が必要です。

  • 本態性高血圧症(軽症〜中等症)
  • 狭心症
  • 心室性期外収縮
  • 虚血性心疾患又は拡張型心筋症に基づく慢性心不全
  • 頻脈性心房細動

上記の治療においては1日の最高用量が5mgに設定されているので、少ない用量から服用を始めて、多くても5mg以下となるように調整する必要があります。

また、メインテートを服用してから約3時間で最高血中濃度に達することから、効果を期待する2~3時間前には服用しておくとよいと考えられます。

メインテートの副作用

メインテートの服用によって以下の副作用が起こる可能性があります。

  • 循環器系:血圧の低下など
  • 精神神経系:めまい、立ちくらみ、ふらつきなど
  • その他:むくみ、倦怠感など

メインテートはβ受容体のうちβ1受容体に対して選択的に作用するので、β2に関連する副作用(血管収縮・気管支収縮など)への影響は大きくないといわれています。

上記以外の副作用が起こる可能性があるため、服用後に体調を感じた場合は中止や減量などを検討してください。

メインテートの注意点

以下に該当する方は使用することができないので注意が必要です。

  • 高度の徐脈(著しい洞性徐脈)、房室ブロック(II、III度)、洞房ブロック、洞不全症候群のある患者
  • 糖尿病性ケトアシドーシス、代謝性アシドーシスのある患者
  • 心原性ショックのある患者
  • 肺高血圧による右心不全のある患者
  • 強心薬又は血管拡張薬を静脈内投与する必要のある心不全患者
  • 非代償性の心不全患者
  • 重度の末梢循環障害のある患者(壊疽等)
  • 未治療の褐色細胞腫又はパラガングリオーマの患者
  • 妊婦又は妊娠している可能性のある女性
  • 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

上記以外でも注意が必要な疾患や併用薬があるので、心配な方は一度医療機関において医師の診察を受けたうえで治療方針を検討してください。

メインテートとインデラルの違い

メインテートとインデラルの違いは大きく3つあります。

①効果の範囲

メインテートがβ受容体のうちβ1受容体を選択的に遮断するのに対し、インデラルはβ受容体全体を遮断します。

したがって、インデラルは大量の発汗、過度な鼓動の高鳴り、過度な赤面、手足の強い震え等の原因となる交感神経の過剰な興奮を全体的に抑えることができると考えられます。

一方、メインテートのβ2受容体に対する作用(発汗抑制、赤面抑制など)はインデラルと比較すると弱いと考えられます。

②副作用の範囲

メインテートがβ受容体のうちβ1受容体を選択的に遮断するのに対し、インデラルはβ受容体全体を遮断します。

したがって、インデラルが過度にβ受容体を遮断してしまうと広範囲において副作用が引き起こされる可能性があります。

一方で、メインテートはβ1受容体を選択的に遮断するため、β2、β3遮断による全身的な副作用はインデラルと比較すると少ないと考えられます。

③作用時間

メインテートとインデラルの作用時間は以下の通りです。

メインテート インデラル
作用時間 服用後、約3.1時間で最高血漿中濃度に達するというデータがあります 服用後、約1.5時間で最高血漿中濃度に達するというデータがあります
作用持続時間 約34~43時間で身体から排出されるというデータがあります 約15~20時間で身体から排出されるというデータがあります

メインテートはゆっくり効いてゆっくり身体から抜けていきます。したがって、効果を期待するタイミングが読めない時に事前に服用しておくことができます。

インデラルは比較的早く効いて早く身体から抜けていきます。したがって、効果を期待するタイミングがある程度予測できる時に、そこから逆算して服用することができます。

自身のスケジュールに合わせた薬剤選択をしておくと、その安心感から過度な緊張、恐怖を感じにくくなるでしょう。

メインテートの入手方法

メインテートは医療用医薬品に分類されるので、病院やクリニックなどの医療機関を受診し、医師の診断に基づいて処方してもらう必要があります。なお、医療用医薬品のメインテートにはあがり症に対する効能効果は認められていませんので、あがり症の治療として処方してもらう場合は、インデラルと同様「適応外処方」となります。

しかしインデラルと異なり、メインテート(ビソプロロールフマル酸塩)には輸入規制がありません。医療機関に行く手間や負担をかけずにメインテートを取り寄せられるのは大きなメリットといえます。

メインテートの有効成分であるビソプロロールフマル酸塩を含む医薬品にはジェネリック(後発品)があり、弊社メデマートでは正規品個人輸入代行として以下の商品を取り扱っています。

<関連商品>

商品名 ビセレクト【メインテートジェネリック】
画像 ビセレクト【メインテートジェネリック】
一般名 ビソプロロールフマル酸塩
価格 1錠あたり26円
メーカー Intas Pharmaceuticals(インタスファーマ)
購入ページ

Q&A

まとめ

インデラル・メインテートまとめ

  • インデラルはあがり症の症状全般に対する作用が期待できるが、副作用の起こる範囲は広い
  • インデラルは輸入規制があるため、入手が困難な状況にある
  • インデラルは効果が期待されるタイミングが分かっているときに服用しやすい
  • メインテートはインデラルと比べて作用する範囲は狭いが、その分副作用の起こる範囲も狭い
  • メインテートは輸入規制がないので、手に入れやすい状況にある
  • メインテートは効果が期待されるタイミングが読めない時に服用しやすい
タイトルとURLをコピーしました